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第5章 夏休み編

第137話「飛香とのデート 前編」

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8時30分頃


駅前広場


◈◈◈


守里: ちょっと早く着きすぎちゃったかな。



集合時間より30分も早く、集合場所に到着した守里。



守里: ま、適当に待っとくか。




そして5分後…



守里: …ん?



守里は、仕事へと向かう大人達が少し小走りで移動する中、キョロキョロしながら、こちらに向かって歩いている、顔の小さい女子を見つける。



守里: あ!飛香~


飛香: え?守里!



早く来すぎちゃったって思ってたのに…



守里: 飛香も早かったな笑


飛香: う、うん。守里はなんで?


守里: いや、普通に早く到着しすぎた。楽しみで。


飛香: そ、そう…



楽しみ…

守里もそう思って…



守里: ってかなんか、飛香…いつもと雰囲気違うね。


飛香: 変…かな?


守里: 笑、全然。いつものクール系と違って、可愛い系で、凄い似合ってる!


飛香: ///ありがとボソッ…


守里: どうする?もう出発する?


飛香: そうだね、早く行った方が良いだろうし。


守里: え?水族館って、ここの近くの水族館だよね?


飛香: 違うよ。


守里: あ、そうだったんだ。


飛香: ほら、行こ。


守里: うん。



そうして、飛香と守里は駅の中に入って行く。



守里: 飛香は、今から行く水族館に行ったことあるの?


飛香: いや、ないよ。


守里: ふ~ん。


飛香: 守里は?


守里: 僕もない。


飛香: そっか…


守里: …


飛香: …


守里: なんか、口コミとか見てる感じ、凄い楽しそう。


飛香: そうだね。


守里: …


飛香: …


守里: あ、ここ、ペンギンいるんだ。


飛香: へぇ~


守里: …


飛香: …



ど、どうしよう!

会話が全然続かない!!


いつも守里と一緒にいるはずなのに、めちゃくちゃ緊張する…


で、でも、ちゃんと話さないと…

いつも通り…いつも通り…



守里 飛香: あのさ!



被っちゃった!



飛香: あ、ごめん…先いいよ。


守里: うん。飛香、大丈夫?


飛香: え?


守里: なんかいつもと違うし、若干顔も赤い気がするし、体調悪いんじゃないかなって思って…



もう、なにやってんの?!私…

守里に心配させちゃって…


今更、緊張しちゃったら、せっかくのチャンスが勿体ないでしょ!



飛香: 笑、なんでもないよ。


守里: ほんと?


飛香: うん。お昼ご飯何食べよっかなって、考えてただけ。


守里: 笑、気が早すぎじゃない?まだ、9時前だよ。


飛香: いや、朝、あんまり食べてこなかったからさ。


守里: じゃあ、お昼、早めに食べよっか。


飛香: うん。今から行く水族館には、レストランがあるらしくて、そこの料理が美味しそうだったんだ。


守里: へぇ~楽しみ。


飛香: 私も笑



ここで、絶対にリードするんだ。


いつも通りに、私らしく…

だよね!


◆◆◆◆◆


昨日の夜


飛香の部屋



飛香: 明日、どうすれば…



守里を誘えたは良いものの…

私、こういうの全然分からない…


だ、誰か、こういうの得意な人…


守里に連絡した後、若干キャラ崩壊を起こしていた飛香は、誰かしら相談相手が欲しいと考え、必死に携帯の連絡先を漁る。


って、まず私、そこまで登録してる人、多くないじゃん!


う~ん…

誰が1番適任か…


まぁ、日向子とか祐希、やんちゃん、珠美は、色んな意味で論外として…


春時も嫌だ。


あとは、かっきーにさぁちゃん…でも、年下に相談するのは…


う~ん…


あ、コイツなら…



飛香 M: ねぇ、ちょっと相談があるんだけど。



10時過ぎてるけど、まぁ、起きてるでしょ。


飛香がメッセージを送ってすぐ…


ピロン



飛香: さっすが、返信早い。


東野 M: 相談?飛香が連絡してくるの珍しいね。



飛香が相談相手に選んだのは、東野であった。



飛香 M: ちょっと、色々あって。


東野 M: で、相談って?


あ、待って、どう相談しよう…

具体的に私の話をするのもアレだし…



飛香 M: 例えばなんだけど、澪奈が異性とお出かけするなら、どんな服装で行く?



こんな感じなら、大丈夫なはず…



東野 M: あぁ、飛香、守里君とデートするの?



は?!!!

で、デートじゃないし!


ってか、なんでそんな…



東野 M: よく誘えたね笑、頑張ったじゃん。



と、とにかく返信しないと…



飛香 M: そんなじゃないし。


東野 M: ふ~ん笑。それで誘えたは良いものの、どうすれば分からないから、私に連絡してきたって感じか。



めちゃくちゃ当たってる!

澪奈ってこんな頭良かったっけ?


私よりも、絶対賢い。



東野 M: 飛香っぽいわ笑



クソ…誤魔化しようがないじゃないか…

もう普通に相談しよ…



飛香 M: うん。


東野 M: 笑、認めたね。



な、ちょっとムカつく。



飛香 M: 良いから、質問に答えてよ。


東野 M: はいはい笑。デートの服装か。飛香は普段、黒多めで、クール系の服装が多いじゃん。


飛香 M: うん。


東野 M: だったら、いつもと違う、明るめのガーリーな服装とかどう?



ガーリーな服か…


飛香はクローゼットを開く。


確か、前に日向子と買い物行った時に…

あ、あった。



東野 M: 飛香、持ってる?


飛香 M: うん。トップス1着だけ持ってた。


東野 M: それに合わせる感じで、他の服とかアクセサリーは、選んでみたら?そういうセンスは飛香、抜群だし。


飛香 M: 分かった。


東野 M: 他に何かある?



その後も、色々と相談して…



東野 M: やっぱり、飛香、可愛いね。


飛香 M: なに言ってんの。


東野 M: いや~にしても、私に相談してくれるなんて、嬉しいな。


飛香 M: 私の持ってる連絡先の中で、唯一相談できそうなのが、澪奈しかいなかっただけ。


東野 M: 笑、それでもだよ。


飛香 M: 相談したいことはこれぐらいかな。


東野 M: そう?まだまだ聞いてあげるけど。


飛香 M: うん、あとは実際行ってみてから、考える。


東野 M: 飛香にそれができる?笑


飛香 M: は?できるよ。


東野 M: この調子じゃ、どうせ緊張して、何も考えられなくなるって。



う~ん、確かに一理ある…



飛香 M: どうすればいい?


東野 M: 笑、最初からちゃんと聞いときなさい。


飛香 M: ごめんって、それでどうすれば良いの?


東野 M: 飛香の場合は、いつも通りやってれば良いのよ。


飛香 M: いや、いつも通りって、違うでしょ。


東野 M: 違くない。絶対その方が良い。


飛香 M: なんで?


東野 M: そっちの方が変に空回りしないだろうし、飛香も気が楽でしょ。


飛香 M: うん。


東野 M: だから、初めてのデートなんだったら、基本はいつも通りな感じで、守里君と過ごせばいいから。


飛香 M: 本当に、いつも通りで良いんだね。


東野 M: そう。



いつも通りか…



東野 M: でも、一つだけ意識して。


飛香 M: ?


東野 M: いつもより、少しだけ素直になるの。


飛香 M: 素直に?


東野 M: 自分が思ったことを、ちゃんと表情とか言葉に出すようにしてってこと。


飛香 M: 分かった。


東野 M: 飛香は普段、自分の気持ちを他人に隠そうとするでしょ。



まぁ、確かに…



東野 M: だから、基本はいつも通りな感じで良いけど!自分の思ったことは素直に表情に出して、言葉に出してみて。そうすれば、絶対に大丈夫!


飛香 M: 頑張ってみる。


東野 M: 笑、応援してるよ。


飛香 M: ありがとう。



その後、スタンプのやり取りをして、飛香は携帯を手放した。



飛香: いつも通り…あと素直にか…


◆◆◆◆◆


水族館前



守里: おっきい…


飛香: 笑、そうだね。大きい。


守里: 入ろっか。


飛香: うん。



2人は水族館に入館した。



守里: えーっと、ルート的には…



守里は入口で取ったルーズリーフを眺める。



飛香: 順路、こっちだって。


守里: うん。最初は…


飛香: まぁまぁ、良いから、行ってみよ!


守里: 笑、そうだね。



飛香は先に進み、守里は手に持っていたルーズリーフをカバンに入れ、飛香について行く。



飛香: 見て、ニ○だよ。


守里: クマノミね笑


飛香: ここは、熱帯魚かな。


守里: っぽいね。ほら、ここに書いてある。


飛香: 本当にイソギンチャクと共生してんだ。


守里: 熱帯魚って、カラフルで見てて楽しい。


飛香: それ。


守里: 隣はタツノオトシゴか。


飛香: 熱帯魚の隣にタツノオトシゴ…


守里: 暖かい海シリーズなんじゃない?


飛香: なるほど。


守里: タツノオトシゴの尻尾に指を巻かれると、なんか幸運になるみたいなこと、聞いたことある。


飛香: へぇ~どこ情報?


守里: 覚えてない。


飛香: 笑、そっか。あ、ネコザメだ。


守里: ネコザメ…(日村おじさんに、似てるか?)


飛香: なんでネコザメなんだろう…顔が猫に似てるから?


飛香 守里: …



2人はじっと眺める。



飛香 守里: いや、そんなことないでしょ…笑


守里: 揃っちゃったね笑


飛香: 全く同じ感想笑


◇◇◇


守里: 一気に暗くなったな。


飛香: 笑、後ろから刺されないように。


守里: そんな縁起でもない冗談やめてよ笑


飛香: ごめんごめん笑


守里: あ、クラゲだ!


飛香: 映える…


守里: へぇ~ほぼ透明なのに…不思議。


飛香: 確かに…綺麗。


守里: クラゲってさ、毒持ってて危ないみたいなイメージしかなかったけど。


飛香: うん。


守里: 良いよね笑


飛香: どういう感想?まぁでも分かるわ。


守里: 笑、ほぼ同じにしか見えないのに、これもこれも種類が違うんだ~


飛香: 素人目には全く分からない。


守里: ふ~ん…ん?あれって…


飛香: ?


守里: イカが光ってる!


飛香: イカ?


守里: うん!ほら、見てよ。


飛香: ほんとだ…イカが光ってる。


守里: イカって光るんだ…イカは好きだけど知らなかったな…


飛香: それは食べるのがでしょ笑


守里: うん笑。でもイカ好きとして、これを知れてよかったよ。


飛香: 左様でございますか笑


守里: 光るシリーズはここまでっぽい。


飛香: だね。


守里: と次は、カニか。


飛香: あぁ~早く1月にならないかな。


守里: え?なんで?


飛香: なんか食べたくなって。カニを。


守里: 笑、水族館でカニを見ながら言うことじゃないよ。


飛香: 笑


◇◇◇


守里: 小さい魚の水槽か。


飛香: なんか美術館みたい笑


守里: こう、長い通路の両サイドに展示物が並べられてる感じね笑


飛香: うん笑


守里: それを狙ってなのか分からないけど、説明のところ額縁みたいなのに入ってるし笑


飛香: まんまとスタッフさんの思惑に引っかかってたのか…


守里: 飛香、残念笑


飛香: もう…


守里: 笑、待ってって。



飛香はトコトコと通路を進んでいき、開けた空間の前で立ち止まる。



飛香: …


守里: どうしたんだ?…おぉ…



暗い通路の先には、きらびやかな海の風景があった。



飛香: きれい…



一面に広がる水槽に近づいていく飛香。



守里: ほんと…すごい…



そして、ガラスの壁に手を付けながら、食い入るように風景を見る。



飛香: …



その1歩後ろから、守里も水槽を眺める。



守里: …



飛香の真ん丸で大きな目には、綺麗な海の風景が反射していた。



飛香: うわぁ…



そんな様子の飛香に、自然と目が引かれた守里。



守里: …笑



守里も飛香の隣まで歩みを進める。



飛香: 見て見て守里!あの魚!


守里: 笑、どれ?


飛香: あれだよあれ!


守里: どこだって笑



守里は、一生懸命、水槽の中の魚に指を指す、隣の飛香を見る。



飛香: だから、アレ!綺麗だよ!


守里: っ!!…


飛香: ねぇってば、見てる?


守里: …う、うん…


飛香: ほんと?笑


守里: 笑、ごめん、分かんない。


飛香: ほら、あそこの岩陰にいる!


守里: えーっと、あぁ!あの青いヤツか!


飛香: そうそう!


守里: 確かに綺麗だな。


飛香: 他にも、魚いっぱい…


守里: 笑


飛香: なに?


守里: いや笑


飛香: なによ!


守里: 子供っぽいなって思って笑


飛香: な///子供っぽいって言うな!


守里: ごめんごめん笑


飛香: もう行くよ!


守里: はーい笑




to be continued


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