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第5章 夏休み編

第135話「頑張れ!飛香ちゃん!!」

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春時: よっ、飛香。


飛香: …



紗耶と一緒に来たゴールデンマーケットのカフェで、春時は偶然、バイト中の飛香と会った。



店員: やっぱり、飛香ちゃんのことだったんだ。


飛香: クソ…何しにきやがった春時。


春時: 笑、何しにって、普通に食事しに来たんだよ。


飛香: …さっさと食べて帰れ。


春時: いや~でも、ゆっくり食べたい気分で~笑


飛香: この…


紗耶: 飛香先輩!こんにちは!


飛香: やんちゃん…こんにちは…


春時: ここで飛香はバイトしてたんだな。って、前のバイト先は?


飛香: …私はずっとここだよ。


紗耶: え?でも、ここって最近できたばっかなんじゃ…


店員: ここは2号店なんだよ。元々飛香ちゃんは、私と一緒に1号店で働いてたんだけど、ここができた時に一緒に移ってきたの。


春時: なるほど。


店員: 2人は、飛香ちゃんのお友達?


飛香: …違います。


春時: 飛香の幼なじみやってます。コイツは俺の妹です。


紗耶: 飛香先輩の後輩です!


店員: あら、そうなの。ってことは、2人も能高?


春時: そうですよ。


店員: なら私の後輩でもあるわね笑


紗耶: え?


店員: 私は能高のOGなんだ。


春時: へぇ~


飛香: もう、仕事しましょうよ。


店員: 別に大丈夫だって、他のお客さんも…


客: ニコッ


店員: あっちの常連さんのおじいちゃんだし。


飛香: はぁ…


春時: 飛香、そんなため息ばっかで大丈夫なのか?ちゃんと働けてる?笑


飛香: 春時に心配されてなくても、問題ないわ。


店員: 飛香ちゃんは、超優秀!


春時: ぜひ、仕事ぶりを聞かせてください笑


店員: 良いわよ~じっくり、飛香ちゃんのこと話しましょうか。他のお客さんが来るまで。


飛香: ちょっ…


紗耶: お願いします!


店員: あ、私は"新井眞衣あらい まい"。飛香ちゃんの先輩。よろしくね。


春時: 新井さんですか。よろしくお願いします。


新井: というか、ちゃんと飛香ちゃんにもお友達がいたんだ。


紗耶: どういうことですか?


新井: だって、お店に全然、お友達連れてこないんだもん。


春時: コイツ、バイト先がどこなのかとか、バイトについて、全く話してくれませんから笑


新井: へぇ~笑、なんでなの?飛香ちゃん。


飛香: 別に理由はないです。


新井: あぁ~お友達にバイトしてる姿を見られるのが、恥ずかしかったのね笑


飛香: そ、そんなわけ…


紗耶: 飛香先輩!可愛いです!


新井: か~わい!


飛香: やめてください。


春時: 笑


飛香: はぁ…はい、できたよ。オムライスとパンケーキ、あとオリジナルコーヒーにいちごミルク。


紗耶: ありがとうございます!


春時: ありがとう。


飛香: 早く食べて。


新井: 良いじゃん。ゆっくり話しながらで笑


飛香: そんなことしてると、向こうの店長からなんか言われるかもですよ。


新井: 大丈夫だって笑。私、ここの店長だし。


飛香: はぁ…


春時: ため息ばっかついてると、幸せが逃げるぞ~


飛香: うるさい。


紗耶: このパンケーキめちゃくちゃ美味しいです!


新井: ありがとう笑


春時: 飛香は、どんな感じですか?


新井: よく働いてくれる良い子だよ。コーヒーに詳しいし、何より可愛いから集客効果もある。


春時: そうですか笑


新井: ちなみに、あのおじいちゃんも飛香ちゃん目当てよ。


春時: え?


客: ニコッ


新井: なんか、お孫さんの小さい頃に似てるらしくてね笑


春時: あぁ笑、飛香は童顔ですから。


飛香: 童顔って言うな!


新井: まぁまぁ笑、飛香ちゃん。


紗耶: その割にスタイル抜群なんですもんね。羨ましいです。


飛香: 何言ってるの、やんちゃんもスタイル良いじゃない。


紗耶: 飛香先輩に比べたら全然…


新井: 笑、どういう言い合い。


飛香: ま、1番は新井さんですけど笑


新井: え~嬉しい!


紗耶: 確かに…新井さん、足長い。


新井: そんな褒められたら照れちゃう笑




しばらくして…



紗耶: ごめん、ちょっと行ってくる。


新井: あ、店長から電話…



紗耶はトイレに、新井は1号店の店長と電話をしに行く。



春時: パク…


飛香: いつまで食ってんのよ。


春時: あと少しだって…


飛香: はぁ…まさか、最初に春時にバレるとは。


春時: よくもまぁ、ここまで隠し通したよな笑


飛香: これまでの私の隠す努力を…


春時: 笑、楽しい?


飛香: …うん。私、コーヒー好きだし、先輩も優しいし。


春時: それなら良かった。


飛香: …


春時: …なぁ飛香。


飛香: なに?


春時: なんか、久しぶりに2人きりで話せるから言うけど…


飛香: うん。


春時: 早く動かないと、守里、とられるぞ。


飛香: な…


春時: これまでは飛香の他に、守里を狙う人がいなかったから、ゆっくりとアピールすれば良かったかもだけど…


飛香: …


春時: 紗耶も珠美も高校生になって、守里へ確実に家族とは別の愛情を向けている美月が来て。のんびりしてると本当に…


飛香: …分かってるよ。


春時: …祐希も日向子もどう思ってるかは分からないけど、もしものことを考えたら、この2人ほどの強敵はいないだろうし…それに他の人も…


飛香: だから、分かってるって!


春時: …そうか…だったら良い。


飛香: …


春時: 小学生の頃から飛香を見てるから、ここで他の人に持ってかれるのは、俺も嫌なんだよ。だから…


飛香: うん。


春時: この夏休みは重要だぞ。


飛香: …


春時: ここで1歩リードしないと。


飛香: …分かった。頑張ってみる。


春時: 笑、頑張れよ、飛香。


飛香: 私を応援して良いの?やんちゃんもでしょ?笑


春時: そりゃあ妹だからな。紗耶が1番だよ。でも、飛香も応援してる。ずっと。


飛香: ふ~ん笑、ありがと。


紗耶: おまたせ~


新井: はぁ…



ここで、席を立ってた2人が戻ってくる。



飛香: 新井さん、どうしたんですか?


新井: いや、なんか今日帰りに、寄ってくれって。


飛香: あぁ、頑張ってください。


新井: はぁ…


紗耶: 兄貴、食べ終わった?


春時: パク…おう、今食べ終わった。


飛香: よし、じゃあさっさと帰ってください。


春時: 笑、はいはい。


紗耶: おいしかったです。


新井: ほら、飛香ちゃん、お会計。


飛香: はい。


紗耶: 行こ。


春時: おう。


飛香: 2300円になります。


春時: え~っと、はい。


飛香: ちょうどお預かりします。ありがとうございました。またのご来店お待ちしておりません。ニコッ


新井: また来てね~


紗耶: また、今度です!


春時: 頑張れよボソッ…じゃあな。


飛香: (分かってる…)



こうして、春時と紗耶はジコチューカフェを出て、隣のパン屋でパンを買い、3階でゲームソフトを買い、ゴルマを後にした。


◈◈◈◈


その日の夜


飛香の家



飛香: はぁ…



自分のベッドの上で1人、携帯とにらめっこをしている飛香。


自分でも分かってたけど、今日、春時に改めて言われちゃった…


ライバルが増え過ぎてる…

しかも強敵ばっかり。


美月は家族ってのを生かして、スキンシップが異常だし。

まぁこの前、対抗して私も頑張ってみたけど…


やんちゃんも、頑張ってアピールしてる。


珠美は、守里もかなり気掛けてるし、何より守里と同じカフェでバイトをしてるから…


あとは、七星先輩。

春時は気づいてないかもだけど、守里は確実に、七星先輩を意識してる。

守里自身が、それを好意だと気づいているかは分からないけど。


私も早く動かなければ…

でも…


恥ずかしい…


なんか、これまで幼なじみとして一緒に過ごしてきたのに、急にこう、2人きりのお出かけに誘ったりするのは…



飛香: あぁ~もう!


ボスン



飛香は悩みに悩み、携帯を手放して枕に顔を押し付けてしまう。


どうしよう…

今日はもう…


ピロン


飛香が一歩踏み出すのを諦めようとした寸前に、携帯にメッセージが届く。



飛香: 誰だろ…



メッセージを確認する飛香。



春時 M: そっかそっか、飛香は諦めちゃうのか。


飛香: クソ!



心を読まれたみたいで、すっごい悔しいんですけど!

春時のくせに!!


いいよ、やってやるよ!!



飛香: フンッ!



そのままの勢いで、飛香は携帯を操作し、守里にメッセージを送る。



飛香 M: 明日、空いてる?



と、送り終わった後で…



飛香: あ…やっちゃった。



ど、どどどど、どうしよう~


勢いで送っちゃった!

まだ心の準備が…


ピロン


慌てて飛香がベッドから立ち上がった瞬間、守里からの返信が来る。



守里 M: 空いてるけど、どうした?


飛香: …



ふぅ…もう逃げられない…

落ち着くんだ、山室飛香。


勝負に出ろ。


飛香は覚悟を決める。



飛香 M: 明日、水族館行かない?中間の時のお願いごと使う。


守里 M: なるほど。良いよ、行こう。


飛香 M: じゃあ、9時に駅前集合。


守里 M: 了解。


飛香: …



携帯をベッドに放り投げる。



飛香: …っ!!やった!!!!!!



そして大声で叫び、ガッツポーズをする。



「どうしたの?飛香!いきなり大声出して!」



下の階から母親の声が聞こえる。



飛香: あ、いや、なんでもない!


「夜なんだから、あんまり大声はダメだよ~」


飛香: はーい!…///


ボスン



再びベッドに倒れ込む飛香。


やった!守里を誘えた!!

良くやったぞ、私!!


これで、明日…


明日?


明日、守里と…

2人きりで水族館?!!!!


ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待って!


私、何いきなり、そんな…

ハードルの高いことを…


いや、もう誘っちゃったんだから、覚悟を決めろ、山室飛香。


で、でも…

明日、なんの服を着ていけば…

明日、守里となんて話したら…

それに、守里に…


好きだって伝える?…





ああああああああぁぁぁ…


悩みすぎて、若干キャラ崩壊してしまった飛香であった。




to be continued


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