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閑章2

第112話「学年1位の実態」

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図書館の学習スペースで、テスト勉強をする守里と祐希。

そして、偶然そこにやって来た川嶋も、近くで勉強をしていた。



守里: チラッ


祐希: カキカキ



集中力が結構続いてる。

前に勉強見た時には、最大でも30分ぐらいしか、集中力持ってなかったのに、今日は少なくとも1時間は途切れてない。


祐希も成長してるんだな。


この調子で頑張れば、祐希の成績は伸びること間違いなしだ。



祐希: …


守里: ん?どうした祐希。分からないところでもある?



祐希の手が止まったのを見て、守里が聞く。



祐希: うん。ここが分からない。


守里: あぁ、この問題か。これはね…




数分後…



祐希: う~ん…


守里: 説明が難しいな……あ。


祐希: ごめんね、祐希が馬鹿で。


守里: いやいや、祐希も成長してるよ。それで提案なんだけどさ。


祐希: ?


守里: 志帆に聞いてみない?


祐希: 確かに良いアイデアかも…


守里: 早速、聞きに行こう。


祐希: 分かった。



そう言って祐希は教科書を持って、席を立つ。


そして、トコトコと川嶋が座る席に近づく。



祐希: あ、あの…


川嶋: カキカキ…


祐希: ねぇ。


川嶋: カキカキ…



祐希の呼びかけに気づいていないのか、川嶋はひたすらにペンを動かす。


凄い集中力…

これが、学年1位の勉強なのか…



祐希: 守里~



祐希が守里を見て、助けを求める。



守里: 近くで名前呼んでみて。


祐希: 志帆!


川嶋: うわっ!どうしたの?祐希。



驚いた川嶋は、ペンを手から離し、祐希の方を見る。



祐希: やっと気づいてくれた。祐希、無視されてるのかと思って。


川嶋: ごめん、小さい時から、深く集中すると周りの情報が入ってきにくくなっちゃうみたいで。


祐希: そうなんだ。


川嶋: それで、なにか用?


祐希:あのさ、この問題を教えて欲しくて。



祐希は教科書を川嶋に見せる。



川嶋: あぁ、この問題か。ちょっと難しいよね。


祐希: よく分からなくて。


川嶋: 守里君は分からなかったの?


守里: え、う、うん。


川嶋: へぇ…守里君も一緒にやる?


守里: じゃあ、一緒に聞いとく。


川嶋: 笑、そう。


祐希: お願いします。


川嶋: 笑、これはね…




数分後…



祐希: あぁ!なるほど!!


川嶋: 分かった?祐希。


祐希: うん!ありがとう志帆!凄い分かりやすかった。



やっぱ、学年1位は伊達じゃない…

説明が分かりやす過ぎる…



川嶋: 笑、それなら良かった。もし守里君の説明でも分からなかったら、また聞きに来て良いからね。


祐希: そうする。



僕も、こんな感じでできるように頑張らないと。



守里: さすがだね。


川嶋: 笑、ありがと。守里君も頑張って。


守里: 志帆を越えられるように頑張る。


川嶋: 絶対に負けないから笑


守里: 笑


祐希: ゆ、祐希も負けない!!




3時間後…



守里: よし、今日はここまでにしよう。


祐希: はぁ~やっと終わった~



祐希は机にペンを放り出し、椅子に全体重をかけ、寄りかかる。



守里: 祐希、頑張ったな笑


祐希: フフ~ン、でしょ。



守里にドヤ顔を向ける祐希。



守里: それがなかったら、成長したって言おうと思ってたんだけど。


祐希: ムー、祐希も少しずつ成長してるもん!


守里: だね笑


祐希: ねぇ守里、頑張ったから頭撫でてよ。


守里: もう17歳でしょ。


祐希: 歳は関係ない!ほら!!



祐希は無理やり、守里の手に自分の頭を擦り付ける。



守里: はぁ、分かった。


ナデナデ


祐希: やっぱ祐希、これ好き~


守里: 昔からそうだよな。


祐希: 守里の手が大きいから安心する。


守里: それは祐希が小さいからでしょ笑


祐希: なんだと~



そんな2人の様子を、川嶋は集中を解いて見る。



川嶋: (いや何、あの2人、付き合ってるの?)


守里: 明日もカフェで勉強だからな。


祐希: 分かってるって。


川嶋: あ、あのさ…



我慢ができなかった川嶋は、祐希の頭を撫で続ける守里と、幸せそうな表情を浮かべる祐希に話しかける。



川嶋: 2人って付き合ってるの?


守里: え?


祐希: っ!!


川嶋: あ、違った?


守里: うん。付き合ってないよ。でもなんで?


川嶋: そうなんだ…いや、そんな雰囲気が出てたからさ。


守里: ?


川嶋: (どうしてあなたが疑問符を浮かべたような表情をするのよ…)


祐希: …


川嶋: その…頭撫でたりするのは…


守里: あぁ、これは昔から、祐希がやってってお願いしてくるから、しょうがなく。


祐希: うん。そういうこと。


川嶋: そ、そうなんだ…


守里: ってか祐希、もう撫でるの止めても良いよね?


祐希: 仕方ないな~ヨイショ



椅子から立ち上がる祐希。



祐希: 守里は昔から、祐希の下僕だから!エッヘン


守里: 下僕じゃないよ。


ペチ


祐希: イタッ


守里: 調子に乗らない。


川嶋: (あ、これは付き合ってるとかじゃなくて、どちらかと言うと、親子の関係だ…)


守里: 志帆はまだ勉強していくの?



自分のふとした疑問に、自分なりの結論を導き出せ、1人納得した川嶋に、守里は尋ねる。



川嶋: うん。もうちょっとね。


守里: そっか。じゃあお先に。頑張って。


祐希: 頑張れ!!志帆!!


川嶋: うん笑、また明日。



こうして守里と祐希は学習スペースを出て行った。



川嶋: (やっぱり守里君の周りは面白いな~生徒会の方々に、南雲さん達。あと後輩とも仲が良さそうだし。私もあんな感じで人と接せれば…)


◇◇◇


図書館前



祐希: なんか、志帆ってイメージと違った。


守里: だよね笑。僕も最初はびっくりしたよ。


祐希: もうちょっとクール系なのかと思ってたけど、普通に女子って感じ笑


守里: 学校ではあんまり喋らないから。


祐希: う~ん、学校でも、あんな感じでいたら良いのに。


守里: そうだね笑。志帆は学校のみんなからしたら、近づきずらいって思われてるみたいだし。


祐希: そうなの?


守里: うん。話聞いてる感じね。


祐希: へぇ、祐希知らなかった。


守里: それは祐希がずっと寝てるから笑


祐希: 笑


守里: 学校でも、祐希が志帆と話してれば、学校での志帆のイメージも変わるんじゃないかな。


祐希: そう?


守里: 笑、絶対。それに祐希も志帆と話したいでしょ?


祐希: うん!志帆と話すの楽しい!


守里: 笑、祐希の様子見てて分かったよ。


祐希: よし、学校で志帆と話す!


守里: だったら、学校でも起きとかないと。


祐希: が、頑張る…


守里: 笑、まずは朝から寝ないようにしよう。


祐希: はい!


守里: これで志帆がみんなと仲良くできるようになったら、生徒会に入れるかもね。


祐希: 確かに。


守里: 志帆にも頑張って欲しいな。


祐希: 祐希も!


守里: 笑、じゃあ帰ろっか。


祐希: うん。


◇◇◇


神田家前



守里: もう、ここまでで良いでしょ。


祐希: ありがとう!守里。



そう言って祐希は、守里の背中から降りる。



守里: ったく、疲れた~


祐希: 良い乗り心地だったよ笑、守里。


守里: 駅前から背負わせるとは…


祐希: 全然楽勝だったでしょ?


守里: まぁね、祐希は小さいから笑


祐希: あん?



ガチャ



七星: 何、家の前でゴチャゴチャやってんねん。



家の玄関から七星が顔を出す。



守里: あ、なぁちゃん。


祐希: ただいま。


七星: おかえり、祐希。守里もおつかれ。


守里: 無事、祐希を送り届けたよ。


七星: 笑、ありがとな。それで勉強はどうだったん?


祐希: まぁ、よくできた。


七星: ほんまか?



七星は守里を見る。



守里: 今日の祐希は、集中力もすごくて、結構進んだ。


七星: ほぉ~


祐希: ほらね!


七星: まだまだ。ななに追いつけるよう頑張ってや笑


祐希: 分かってる!


守里: じゃあ、僕は帰るね。


七星: え~ご飯食べてったらええのに。


守里: ごめん。結真姉さん達が、晩ご飯作って待ってるから。


七星: 笑、せやな。守里も1人じゃなくなったもんな。


守里: うん笑、またね。


七星: バイバイ。


祐希: じゃあね。



こうして守里は家に帰った。




to be continued
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