ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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閑章2

第111話「慌ただしい神田家の朝」

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翌日


図書館前



守里: うん…分かってた…



朝10時頃、人通りの多い道を前にして、守里は携帯を見ながら立っていた。



守里: 祐希…一体いつになったら連絡がつくんだ!!



守里は9時頃から、祐希にメッセージを送り続けていたが、一向に既読がつかず、待ち合わせ時間の10時になっても、既読がつくことはなかった。


やっぱり、家まで迎えに行けば良かったか…


はぁ…

しょうがない、あの人に頼もう。


守里は電話をかける。


プルルル


ピ



守里 T: もしもし。なぁちゃん?


七星 T: そやで~どうしたん?こんな休日に。


守里 T: あのさ、祐希起きてる?


七星 T: え?祐希?、まだリビングには降りてきてないで。多分、寝てる。


守里 T: お願いなんだけど、祐希を起こしてくれない?


七星 T: それはかまわんけど、なんか祐希と予定あるん?


守里 T: うん。今日、図書館で一緒に勉強する約束なんだ。


七星 T: あぁ、テスト前恒例のやつか。


守里 T: そうそう。


七星 T: いつもありがとうな。祐希の面倒見てもろうて。


守里 T: 友達なんだから当然だって笑


七星 T: そうか笑。じゃあ祐希起こして、さっさと行かせるから、先に図書館で勉強しとくなり、近くのお店に入っとくなりしとき。


守里 T: 分かった。ありがとう、なぁちゃん。


七星 T: 笑、どういたしまして。あ、電話は繋っぱでよろしくな。


守里 T: え?


七星 T: 守里からも直接急かした方が、祐希も急ぐやろうし、ななも話したいから。


守里 T: う、うん。


七星 T: あ、もちろん、ななはその勉強会にはお邪魔せえへんから、途中で祐希の携帯にかけ直してや。


守里 T: OK。


七星 T: ってことで、祐希の部屋に突撃や!!



うん…電話しっぱなしじゃ、図書館にも入れないし、お店にも入れないよな。


近くに座れるところがあれば…

あ、あった。


守里はベンチを見つけ、そこに座りつつ、電話を続ける。



七星 T: 守里。祐希、確実に寝てるわ笑


守里 T: へぇ。


七星 T: 失礼しまーす!!



ガチャ



七星 T: 相変わらず、ダイナミックな寝相やな。


守里 T: 昔から変わらないよね。


七星 T: せやな。そういえば、昔、ななと祐希と守里と日向子でお泊まり会した時、祐希に轢かれとったよな?笑


守里 T: あぁ…そういえば、そんなこともあった…



守里は小学生なりたての頃の記憶を思い出す。


祐希は寝相がほんとに悪いんだよな。

少なくともベッドの幅が3mぐらいないと、ベッドから落ちるぐらいに。



七星 T: なぁ守里笑。祐希の寝相見て欲しいから、テレビ電話にしてええか?


守里 T: いや、さすがにそれは祐希に悪いよ。


七星 T: 笑、確かにせやな。じゃあ起こすで。



電話の向こうで、七星が祐希を起こす声が聞こえる。



七星 T: 祐希!はよ起きいや!!


祐希 T: う、う~ん…まだ、焼き芋焼けてない…zzz



焼き芋の夢を見てるに違いない笑



七星 T: そんなアホなこと言わんと、さっさと起きんかい!!


パシン


守里 T: おっと…



電話の向こうから、眠気覚ましの平手打ちの音が聞こえる。


あれ、結構痛いんだよな笑



祐希 T: ひゃ!!焼き芋!!!


七星 T: やっと目覚ましたか。


祐希 T: あれ?お姉ちゃん?焼き芋は?


七星 T: 何、寝ぼけたこと言ってんねん。ほら、朝の挨拶しいや。



七星は携帯を祐希の方に向ける。



祐希 T: ?


守里 T: おはよう。祐希。


祐希 T: その声は…守里?


守里 T: うん。そうだよ。よく寝れたかな?


祐希 T: え?まぁ、お腹いっぱい笑



何を言ってるんだ、こやつは…



七星 T: 祐希、この状況をどう見る?


祐希 T: どう見るって…お姉ちゃんが、祐希を、起こしに来て、何故かお姉ちゃんの携帯から守里の声が聞こえる。


守里 T: 今日は、なんの日?


祐希 T: なんの日って…誰かの誕生日じゃないよね?


守里 T: うん。少なくとも僕らの周りで、今日が誕生日の人はいないよ。


祐希 T: じゃあ…


守里 T: 何曜日?


祐希 T: 何曜日って、日曜日…はっ!!!


七星 T: 気づいたみたいやな笑


守里 T: 集合時間は?


祐希 T: …10時です。


守里 T: 今、何時?


祐希 T: 10時15分です。


守里 T: …待っとくから。


祐希 T: い、急いで準備します!!!



祐希はベッドから飛び起きる。



七星 T: ななも手伝ったるからな笑


祐希 T: ありがとうございます!!



そうして、祐希はリビングにダッシュで向かう。



七星 T: っちゅうことで、もうちょっと待っとき。


守里 T: うん。お願いね、なぁちゃん。


七星 T: はーい。



その後、電話の向こうから響く、騒がしい声と物音を聞きつつ、守里は祐希の到着を待つ。




30分後…



祐希 T: 守里、どこ~


守里 T: 図書館の入口近くのベンチにいる。


祐希 T: ベンチ?


守里 T: そう。


祐希 T: う~ん…あ!!「いた!!!」


守里: やっと来た、祐希。



ピ



守里: 待ってたよ。


祐希: あ、あの、その…


守里: …


祐希: ごめんなさい!!


守里: 笑、もう慣れっこだから。でも、今度こそ気をつけるんだよ。


祐希: はい!


守里: なぁちゃんにも、ちゃんとありがとう言ってきた?


祐希: もちろん。


守里: そっか。じゃあ、早速行こう。


祐希: うん。



そうして、2人は図書館の中に入り、学習スペースの席に着く。



守里: よし、始めようか。


祐希: うん。って誰もいないね。


守里: まぁ、この辺でここ利用する学生は、能高生だけっぽいから。


祐希: へぇ。


守里: まだ、テスト2週間前だし、利用する人は、ほとんどいないんでしょ。


祐希: なるほど。


守里: 持ってきた教科書は?


祐希: 守里に言われた通り、数学と英語と…



祐希はカバンから教科書を取り出しながら言う。



祐希: 化学と、あと生物!


守里: OK、午前中は英語をやろう。それで、外でお昼食べて、午後から残りの教科やろうか。


祐希: 分かった。お願いします、守里先生。


守里: はいはい。



勉強会が始まる。



祐希: ねぇ、守里。この単語、どういう意味?


守里: ん?どれ。


祐希: これ。



ノートに書いた単語を指さしながら、祐希は聞く。



守里: あぁ、それは「実は」とか「本当は」って意味。


祐希: へぇ。じゃあこれは?



別の単語を指さす。



守里: 「独占」


祐希: これは?


守里: 「3重」


祐希: これ。


守里: 「幽霊」


祐希: それ。


守里: 「反して」


祐希: ん。


守里: 「優しい」


祐希: …


守里: 「意味のある偶然の一致」


祐希: なんか辞書みたい笑


守里: ちゃんと覚えないとだよ。


祐希: 分かってるって笑。ちなみに、単語じゃなくてもいける?


守里: …僕が知ってるのであれば。


祐希: これ。


守里: 「大声で歌う」


祐希: ほい。


守里: 「幸運を祈る」


祐希: はい!


守里: 「絶対と絶対言うな」


祐希: よいしょ!


守里: 「言いにくい」


祐希: はっ!


守里: 「荒野の世界」


祐希: あっと!


守里: 「新しい1日」


祐希: さすがだね笑


守里: ってなんか、この言葉達、祐希が分かってないとマズイような気がする。


祐希: え?なんで?


守里: 分からない。


祐希: まぁ、いいや!ありがとう、守里。


守里: うん。


祐希: 今日は眠くないから、集中できる。


守里: そっか、寝坊して良かったね笑


祐希: いや、そういう意味じゃないから、そんな怖い顔しないで…


守里: 怖い顔?そんなのしてないよ。ニコ


祐希: ほら、怖いって。


守里: 笑、まぁいいから、早く進めな。


祐希: は~い。




1時間後…



祐希: グー



祐希のお腹の音が、部屋に響く。



守里: もう12時か。


祐希: お腹空いた~


守里: だね。お昼食べに行こう。


祐希: うん。



2人は勉強道具をしまって、席を立つ。



守里: 結局、誰も来なかったな。


祐希: 今日は祐希達だけなんじゃない?


守里: かもね。


祐希: どこに食べに行くの?


守里: 祐希はどこがいい?


祐希: ん~餃子食べたい!


守里: なら、中華料理屋か。駅前にあるかな。


祐希: よし、レッツゴー。



2人は図書館を出て、駅前で見つけた中華料理屋に入り、そこで、壮絶な餃子の取り合いをしつつ、お腹をいっぱいにする。


そして再び、図書館の学習スペースに戻ってくると…



祐希: あれ?誰かの荷物がある。


守里: そうだね。



午前中に守里達が座っていたところに、カバンが置いてあった。



守里: 別の席でやろう。


祐希: うん。



2人は席を移動して、勉強会を再開する。



祐希: 次は、数学?


守里: そう。教科書のこのページから。



そう言って、守里は教科書を開いて祐希に見せる。



祐希: 分かった。



ガチャ



??: あれ?


守里: え?



学習スペースに入ってきた人物を見て、守里は驚く。



守里: 川嶋さん?


川嶋: 守里君…それと…


祐希: あ!委員長だ!


川嶋: だから、委員長じゃなくて、学級委員ね。


祐希: え~別にいいじゃん。


川嶋: 役職名が学級委員なんだから。


祐希: それは分かってるけど。


守里: そのカバン、川嶋さんのだったんだ。


川嶋: うん。って、川嶋さん?


守里: ?


川嶋: 私、この前、下の名前で呼んでって言ったよね。


守里: あ、そうだった…



話す機会がなくて、完全に忘れてた…



守里: し、志帆。


川嶋: なに?笑、守里君。


守里: まさか、こんなところで居合わせるとは…


川嶋: それはこっちのセリフだよ。今まであんまり来たことないでしょ。これまで見たことなかったし。


守里: う、うん。何回かしか来たことない。


祐希: 祐希は一回もない。


川嶋: 神田さんは、そうでしょうね笑


祐希: 守里のことは下の名前で呼んでるんだから、祐希のことも名前で呼んで。


川嶋: 笑、分かった。


守里: 志帆はよく来るの?


川嶋: うん。テスト前は特にね。


守里: へぇ、さすが。


祐希: 天才。


川嶋: 天才とかやめて笑。生徒会の皆さんに比べたら、私なんてミジンコのような…ゴニョゴニョ



川嶋の早口ネガティブ発言が始まる。



守里: ちょ、そんなことないから。とにかく落ち着いて。


川嶋: ふぅ…ふぅ…そうね。でも本当にそうなの。私なんて、祐希のお姉さんとかに比べたら、全然大したことない。あの方達は、めちゃくちゃ凄いんだから。


祐希: …祐希も分かってるよボソッ


守里: まだまだこれからなんだから。いつか追いつけるかもでしょ。


川嶋: うん。私もいつか追いつけたらって思って、頑張ってる。


守里: そうなんだ。


川嶋: そのために毎日必死。


守里: へぇ。


祐希: 守里、勉強しよ。



祐希が守里の服の裾を引っ張る。



守里: え?わ、分かった。


川嶋: 邪魔してごめんね。お互いに頑張りましょ。


守里: うん。


祐希: …



そうして、守里達と川嶋は、別の席で勉強を始めるのだった。




to be continued


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