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閑章2

第107話「眠り姫の担当は大変」

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防衛団本部



景信: とうとうか…


かおり: 美月の話したいことってなんだったの?



美月との電話を終えた景信は、椅子に座り、天井を見上げた。



景信: 守里の記憶が一部戻ったらしい。


かおり: え?それって…


景信: あぁ。俺達の予想通りだ。


かおり: つまり…


景信: っとその前に…



景信は携帯で電話をかける。



景信: あ、もしもし日村さん?携帯会社の履歴を消して欲しいんだけど…そうそう、念の為ね…じゃ、よろしく…はーい。


かおり: これでOKね。


景信: おう。アンチから辿られることはないだろう。


かおり: うん。それで…


景信: 守里の記憶の封印が解かれ始めてる。


かおり: 恵さんと、まいまいちゃんの…


景信: 森田の報告にもあった通り、守里は自分で使ったみたいだから。


かおり: 自分で繰り返し使用することで、記憶の封印が解けるってことか…


景信: それで確定だろう。


かおり: 守里君は、自分の力については知らないんだよね?


景信: あぁ。教えてない。でも、そろそろ教えてやらないとだな。


かおり: お互いに都合が良さげなのは、夏休みの中盤か。


景信: ま、そうなる。


かおり: 笑、さ、仕事に戻らないと。


景信: だな。そろそろ、アイツ来るし。


かおり: それなら。ちょうど…



ガチャ



??: 失礼します。


景信: おっす~こうちゃん。


??: はぁ…団長、こうちゃんって呼ばないで下さいよ。良い歳なんですから。


景信: 分かってるって笑。作戦部統括の"河野智貴こうの ともき"!!


河野: なら、そう呼んで下さい。


かおり: 早速、会議始めましょう!こうちゃん!!


河野: 奥様まで…


かおり: あ~今、こうちゃん、奥様って呼んだ~そう呼ばないでって言ったのに~


景信: だよな笑。こうちゃんがそう呼ぶなら、俺達もこうちゃんって呼ぶよな笑


河野: …失礼しました。情報部統括。


かおり: う~ん、固いな~かおりさんって呼んでも良いのよ笑


河野: さすがにそれは…


かおり: 別に良いじゃない!


河野: しかし…


景信: 勘弁してやれ、かおり。間をとって、白城さんで良いでしょ。


かおり: 笑、ごめんね。こうちゃん。


河野: …構いませんよ。白城さん。


景信: お、観念したな笑、こうちゃん呼び。


河野: 話が進みませんから。


かおり: よ~し、じゃあ会議を始めよう!!


景信: おう。


河野: では、先に伊衛能の外の話からしましょう。


景信: 頼む。


河野: 現在、伊衛能へのアンチ構成員の流入を防ぐために、伊衛能の外のアンチの拠点を捜索し、発見次第、その拠点を潰して回っています。


景信: あぁ。日村からの報告で聞いてる。1つデカい拠点を潰せたんだろ。


河野: はい。上位構成員がいる拠点で、中位と下位は捕獲できたものの、上位は取り逃してしまいました。


かおり: 攻めに向かわせた団員が少なかったから、仕方なかったね。


景信: もう少し、情報収集を強化しないと…その時も、もっと詳しい情報があれば、敵の規模に合わせた行動ができただろうからな。


かおり: そこは、私に任せといて。下の子が育ってきて、上の子を動かせるようになったから。


河野: よろしくお願いします。


景信: この前捕獲した上位構成員からの情報で、判明した関西方面の拠点はどうなってる?


河野: そちらの方も調査を進めています。


かおり: うちで1番優秀な子を向かわせてるわ。


景信: 情報は…


河野: まだ、上がってきてないです。


かおり: アンチの下位は見るんだけど、拠点までは追えてないらしい。


景信: そこの拠点も大きそうだ。


河野: おそらく幹部級がいると思われます。


景信: やっぱりそうだよな。


かおり: 報告がないと確定はしないけど、実際にいた場合には、どれだけの戦力を当てれば良いのかしら。


景信: …まず、1級じゃないと太刀打ちできないだろう。


河野: この前の拠点襲撃時にいた上位は、自分で戦闘専門だと言っていたらしく、ソイツが、うちの戦闘部の1級と同程度だったと、現場にいた団員が言っています。


景信: 森田レベルということか…


かおり: なら、幹部級は…


景信: それ以上の実力者じゃないと、勝てないな。


河野: 森田以上となると…


景信: 少ない。だったら、幹部級との一騎打ちは避けるべきだ。


河野: ですね。それを前提において、作戦を立てていくことにしましょう。


かおり: はい。


河野: それでは、伊衛能の話に移りましょう。


景信: おう。



その後も、景信達の会議は続いた。


◇◇◇◇◇


翌日


教室



守里: やっぱり、もう始めないとマズイよな。


飛香: うん。私も一応、昨日の夜に連絡しといたんだけど…


守里: 無視されたんでしょ笑、その顔は。


飛香: そう。その後も返信なし。それに、朝から全く、私と顔を合わせようとしない。


守里: それで、日向子は飛香に怯えてたのか笑


飛香: 無理矢理やるしかない…


守里: 飛香もスイッチ入ったね笑。よし、僕も祐希と話しとこ。


飛香: あの子、今寝てるよ。


守里: ほんとだ、どうしよう…


飛香: 耳元で囁き続けてみたら?笑


守里: え?


飛香: 多分、起きるだろうから笑


守里: まぁ、やってみるよ。



守里は祐希の席に向かう。



祐希: zzzzzz



ほんと、よく寝てんな…



守里: おーい、祐希、起きて…



耳元で囁く。



祐希: う、う~ん…zzzzz


守里: 祐希、起きて~


祐希: まだ焼肉食べたい…zzzz



どんな夢見てんだ笑



守里: ほら、もう時間だから…お店出ないと…


祐希: でも…食べたい…zzz


守里: あ、こんなところに最高級のお肉が…


祐希: なに~食べる~zz


守里: 祐希寝てるからな…僕一人で…


祐希: 起きる…起きるから…z


守里: いただきまーす…


祐希: 祐希も!!!


守里: よし、起きたね。


祐希: 守里!!最高級のお肉は!!


守里: そんなのないよ。


祐希: え?嘘ついたな~!!


守里: ごめんって笑。祐希に用があって。


祐希: …いつか、最高級のお肉、もらうから。


守里: 分かった、分かった笑


祐希: それで、用ってなんなの?


守里: 再来週にさ、期末あるじゃん。


祐希: …え?なんて?


守里: 期末があるじゃん!再来週に。


祐希: うん?祐希、全然聞こえない。


守里: だから、期末があるでしょって。


祐希: だから、聞こえないって。


守里: もう、これから一生助けないよ。


祐希: 申し訳ございません…お助け下さい。


守里: はいはい笑。それで、再来週に期末があるから、今日ぐらいから勉強始めようと思うんだけど。


祐希: 今回の祐希担当は、守里なの?


守里: うん。じゃんけんで負けた。


祐希: 負けた方が祐希なのは、なんでよ!


守里: それは、春時に聞いて笑


祐希: よっしゃ、今から聞いて来る!


守里: ストップ。先に僕の話を聞いて。


祐希: 分かった!


守里: それで、今日は、僕のバイト先のカフェで勉強しよう。


祐希: やった!!


守里: お金はある?


祐希: あるある!


守里: なら、良かった。



奈々未さんから、色々言われる可能性があるから…



祐希: じゃあ、これから守里がバイトの日は、そこのカフェにいて良いんだね!


守里: うん。僕がバイトの日はそうして、風紀委員の仕事の時は、ごめんだけど、面倒見れないからお休み。


祐希: はーい!


守里: 週末は、予定が合えば、一緒に勉強したいんだけど…


祐希: 後でメールで送っとく!


守里: 笑、OK。じゃあ、そういうことでよろしくね。


祐希: うん!!…zzzzz


守里: いや、春時に聞きに行かないんかい…



祐希はすぐに寝てしまった。


◇◇◇◇


放課後



守里: 祐希、起きて。勉強するぞ。


祐希: …は~い…



終礼が終わった後すぐに寝た祐希を、守里は起こす。



祐希: まだ、眠いよ~


守里: もう…祐希はどのぐらい寝れば、眠くなくなるんだ。


祐希: どうだろ…分かんない…


守里: 確か、最長睡眠時間は、中3の夏休みでの40時間だったよね?


祐希: そうだよ、未だに塗り替えられてない記録。



祐希は誇らしげに体を起こし、ドヤ顔をする。



守里: はぁ…誇ることじゃない。


祐希: よ~し、守里のバイト先に行くんでしょ?


守里: うん。祐希は勉強をしにね。


祐希: 分かってるって!


守里: ほら、行くよ。


祐希: はーい!



祐希はカバンを持って、守里の真後ろへ。



守里: なんで後ろに…


祐希: 守里なら分かってるでしょ。


守里: …いや、分からない。


祐希: 笑、分かってるくせに。トー


守里: 嫌だって!



守里の背中に飛びつこうとした祐希を、守里は避ける。



祐希: まだまだ、祐希は諦めない!


守里: だから、無理だって。自分の足で歩いてよ!



祐希は何度もチャレンジする。



祐希: 諦めたら、そこで試合終了だから…


守里: いや、それ意味分かって使ってる?


祐希: 全然!この前お姉ちゃんが言ってたから、使ってみただけ!


守里: やっぱりか!


祐希: オリャ!


守里: 捕まってたまるか!



祐希は守里におんぶしてもらおうとし、守里は祐希を避けつつ、カフェに向かうのだった。




to be continued





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