上 下
100 / 305
第4章 白仮面編

第100話「白仮面捕獲作戦Final Last」

しおりを挟む
ギフトモール地下駐車場


東側



白仮面β: クソッ…なんなんだよ、お前…


若月: あ?



東側の戦場では、白仮面βがボロボロになって、地面に膝をついていた。



白仮面β: この俺が…こんな…


若月: ったく、憂さ晴らしになるかと思ってれば、全然大したことがない。


白仮面β: チッ…


若月: 鍛え方が足りん。


白仮面β: うるせぇ!!!!!



白仮面βが若月に向かって跳び、足を突き出す。



若月: だから、お前はバカかって。



その足を若月は簡単にいなす。



白仮面β: クッ


若月: 一直線に来てどうする。


ドンッ



若月のカウンターの蹴り上げが、白仮面βの腹に決まる。



白仮面β: グハッ


若月: 勢いだけだな。私が全力を出す必要、なかったんじゃないか?


白仮面β: 女の癖に…


若月: …


ドスッ!!!!



若月の横蹴りが白仮面βの胸に入り、白仮面βが吹き飛ばされる。



若月: 女の癖に、ってなんだよ。女は喧嘩が強いとおかしいのか?喧嘩が強かったらダメなのか?


白仮面β: …


若月: 答えろ。


ドンッ



若月は倒れる白仮面βに、足を振り下ろす。



白仮面β: グッ…知らねぇよ。


若月: 喧嘩の強い弱いに性別は関係ない…ただ、お前が倒れ、私がこうやって足を乗せてる事実の上で、私の方がお前よりも強いってだけだ。


白仮面β: …



白仮面βが若月を睨みつける。



若月: そんな睨みつけても何も変わらない。体を動かさないと。



そう言って、若月は白仮面βを足で転がす。



若月: ほら、動いてみろ。


白仮面β: …お前を倒して、地面に頭を擦り付けさせてやる…



白仮面βが立ち上がり、構える。



若月: まだ目が死んでなくて嬉しいよ。私の憂さ晴らしに、まだまだ付き合ってくれ。


白仮面β: オラ!!



白仮面βが高速の蹴りを、若月に撃ち込むが…



若月: 良いスピードだ。



簡単にその蹴りを避ける。



白仮面β: クソがーーー!!!!


ビュンビュン



回し蹴り、後ろ回し蹴り、飛び回し蹴り、後ろ回し踵落とし、前蹴りと蹴り技を連続で放つが…



若月: その蹴り技は敵ながら見事。



難なく全て避ける。



若月: だが、なんだろう…軽いな。


ドスンッ!!!



蹴り技の途切れ目で、若月の横蹴りが白仮面βの腹に入る。



白仮面β: ガハッ



そして、白仮面βの体はくの字となりつつ、吹き飛ぶ。



若月: ちなみにだが、お前が強くあろうとする理由はなんだ?



地面に倒れる白仮面βに、遠くから問いかける。



白仮面β: …グッ…理由なんかねぇよ…


若月: 理由がない…成り行きということか…


白仮面β: だったらなんだ!!理由がないといけねぇのかよ!!!



限界の体から力を振り絞って、白仮面βは叫ぶ。



若月: いや、さっき私が言った性別と同じように、理由の有無は強さに関係ないかもしれない。


白仮面β: …


若月: ただ…今の感じだと、関係あるのかもな笑


白仮面β: あ?…


若月: 私はな、危なっかしい相棒を守るために、強くあろうとしているんだ。


白仮面β: …だからなんだよ…


若月: 少なくとも、お前と私の違いは、この強くあろうとする理由の有無だ。そして現状、私の方がお前より圧倒的に強い。


白仮面β: …


若月: お前も、その理由を見つければ、もっと強くなれるんじゃないか?


白仮面β: うるせぇ…センコーみたいに言ってんじゃねぇよ…


若月: そうか笑



倒れたままの白仮面βに近づく。



若月: ま、刑務所でゆっくりと考えるんだな。


ドスン



若月が白仮面βの腹に拳を振り下ろす。



白仮面β: グハッ…


若月: さて…警察の皆さん。コイツをよろしくお願いします。


警察2: は、はい。


警察4: よし、手錠かけるぞ。


警察9: お、おう。



一部始終を見ていた警察達が、慌てて白仮面βの所に向かう。



葵波: あれ?もう終わった?


愛衣: アイツ伸びてんじゃん。


若月: そっちも無事終わったんだな。


愛衣: もちろん。


葵波: 楽勝よ笑


若月: そうか笑、東側は見た感じ終わったみたいだから…


愛衣: 南側も適当に倒しながら来たから、ほとんど残ってないよ。


若月: なら、あとは北と西側か。


葵波: よし!行こう!!


愛衣: うん!!


若月: 笑、元気が良いな。



そうして3人は残る戦場に向かった。





ギフトモール内



上位: もう動けねぇのか…なら通らせてもらう。



そう言って、上位は1歩踏み出す。



梅澤: (クソッ…動けねぇ…もう、どうしようもないのか…)


守里: …


上位: あ?まだやるのか?



守里が立ち上がる。



梅澤: (っ!!!守里…)


守里: 俺が止める。


上位: っ!!!


梅澤: っ!!



守里がそう言った瞬間に、ものすごいオーラが、体から放たれる。



上位: (コイツ…なんていうプレッシャーだ…)


梅澤: (守里…?)


上位: …そうかよ!!!



再び上位が守里に突っ込み、拳を放つ。



守里: 甘めぇよ。


パシッ


ドスン!!!


上位: グハッ!!!



上位の拳を受け止めた守里が、カウンターを決める。



守里: 吹っ飛べ!!!



そして、硬直した上位の顔面を守里が殴り飛ばす。



上位: チッ…お前、ほんとに今さっきまでの奴かよ。全然別人じゃねぇか。


守里: 俺は俺だ。


梅澤: (あれは…守里なのか?…)


上位: そうか…まぁなんにせよ、俺はお前を倒す。


守里: 絶対に通さねぇ。


上位: オラッ!!



上位が瞬時に接近し、前蹴りの態勢に入る。



守里: フンッ



繰り出された蹴りを守里は下に弾き落とす。



上位: …



すぐさま上位は、少し下がった守里の頭目掛けて拳を振るう。



ビュン



それを守里は体を反らして避け、やり返しとばかりに、守里も上位の顔面目掛けて、拳を突き出す。



上位: …


バシッ



その拳を上位は払い、半歩分後ろに下がるが…



守里: …


上位: っ!!!



守里はそれを見るや、体を捻って手を地面につき、その回転の勢いで、後ろ回し蹴りを放つ。


守里がいきなり視界から消えたことに動揺した上位は、急に視界の下方から現れた足に反応できず、顎に踵をモロに食らってしまう。



上位: ブヘッ


守里: これで決める!!


上位: やられてたまるか!!!



上位は、持ってかれそうになった意識を気合で留める。


上位: オリャーーー!!!!!!


守里: ハァ!!!


バコン!!!



守里に向かって伸びてきた上位の拳を、守里はギリギリで避けつつ、上位の顔面に拳をぶつける。



守里: 俺の大切なもんに手を出すんじゃねぇ!!!


ブンッ!!


ドスン!!!



守里はその拳を振り切り、上位は地面に叩きつけられる。


そして上位は、地面に背中を着け、動かなくなった。



守里: ハァハァ…さすがにキツい…


梅澤: 終わったのか…


守里: っ!!香蓮!!大丈夫なのか?!


梅澤: 笑、あぁ。なんとかな。


守里: 良かった…


梅澤: ってか、お前、守里で合ってる?


守里: もちろん。俺は森崎守里だよ。


梅澤: ふーん…一人称が僕から俺に変わってるし、ソイツにも自分から攻撃したみたいだけど。


守里: まぁ色々あんだ。


梅澤: はぁ…そんなにできるんなら、初めからやれっての笑


守里: すまん…


梅澤: 笑、いいよ。なにか事情があったんだろ。それに私も良い経験ができたし。


守里: 次は、こうならないよう頑張るから。


梅澤: 次って笑、こういうのが起こらないようにするのが、風紀委員の役目なんじゃないか?笑


守里: 確かに笑。じゃあこうなる前に止められるよう、努力するよ。


梅澤: だったら、私も同じだ。こんな不甲斐ない姿にならないよう、若月さん達に稽古つけてもらお。


守里: そうか。あの3人の扱きはキツイだろうけど、頑張れ笑


梅澤: あぁ。お前に負けないようにな笑


守里: おう…あ、すぐに病院に連れて行くから。


梅澤: なっ、私だけ…


守里: 良いから、結構ダメージ入ってるんだろ。無理すんな。



そう言って守里は、ポケットからインカムを取り出す。



守里: 森田さん?


森田: 坊ちゃん?!!!今まで何してたんですか?!


守里: すまん、モールに入ったら、すぐに例の上位アンチと交戦したから、連絡する余裕が無かった。


森田: (敬語じゃない…ということは…)そうですか…


守里: 急で悪いが、こっちに車を回してくれ、今すぐに病院に運んで欲しい奴がいる。


森田: 了解しました。地下駐車場の方もあらかた終わったみたいなので、私が行きます。


守里: 分かった。



インカムを切る。



梅澤: 誰?


守里: 香蓮も知ってる防衛団の人だよ。


梅澤: っ!!!


守里: 少し話すか?今から迎えに来るが。


梅澤: いや、良い。


守里: そうか。


梅澤: こんな状態じゃダメだ。もっと…




カチ




ここで、守里の意識が一瞬途切れる。



梅澤: …守里?


守里: はっ…どうしたの?香蓮。


梅澤: いや、急に黙り込んだから。


守里: 大丈夫だよ。


梅澤: そう…


守里: もうちょっとで迎えが来るはずだから。


梅澤: (雰囲気が変わった…というか元の守里に戻った?)


森田: 坊ちゃん!!


守里: あ、森田さん。


森田: ご無事…ではなさそうですね笑


守里: なんとか倒すことは出来ましたけど。


森田: コイツが例の…



森田は地面に倒れている上位を見る。



森田: さすが坊ちゃんです。


守里: いや、僕1人の力じゃないですよ。


森田: そうですか。それで、この子が?


守里: はい。よろしくお願いします。


森田: 分かりました。ですが、坊ちゃんも一緒にですよ。


守里: え?また病院ですか…


森田: 無茶したんですから、当たり前です。


守里: 駐車場の方は?


森田: ついさっき、矢口の方から、完全に終息したという報告を受けました。


梅澤: ホッ…


守里: そ、そうですか…


森田: さっ、行きますよ。そちらのお嬢さんも。


梅澤: は、はい。


守里: …分かりました。



守里と梅澤は車に乗り、森田と共に伊衛能病院へと向かった。


こうして、守里達と白仮面達との争いが終わった。




to be continued

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

処理中です...