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第4章 白仮面編

第90話「バレる秘密」

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放課後の風紀委員室で、若月達に、白仮面を捕まえたことと、その経緯を話した守里。



守里: それで、話を戻しますけど。


若月: まだ何かあるのか?


櫻宮: 下手なこと言うと、また美月火山が噴火するよ笑


美月: ジーー


守里: だ、大丈夫だと思います。


若月: で、何なんだ?


守里: 例の集会がいつどこで行われるか、なんですけど、その情報を得られるかもしれない場所が1つあります。


櫻宮: え?どこ。


守里: 三高です。


美月: っ!!…


若月: 確かに、西条を薬に誘ったのは、三高の奴だったが…


守里: 正確には、三高の生徒の江口誠です。


若月: ほう…


櫻宮: 誰?


守里: 鴨田良介君に薬の購入を勧めた人物です。


櫻宮: でも、それだけだったら、被害者の可能性が高いし、白仮面の情報なんて持ってないと思うけど。


守里: 問題は、良介君に薬を勧めた日付です。それが、白仮面が薬の取引をし始めた日と、全く同じなんです。


若月: ということは、鴨田君は白仮面の第1の被害者の可能性が高く、その江口は白仮面の仲間の可能性が高いと?


守里: はい。


櫻宮: なるほどね~


若月: じゃあ、三高に乗り込まないとだな。


守里: え?何もそこまでしなくても…


若月: いや、直接学校に行った方が簡単で、確実でしょ。


櫻宮: まぁ良いんじゃない?話を聞くだけ、ならね。


若月: 分かってるって。だから今回は血の気の多いやつらは連れてかないよ。葵波とか愛衣とか。あと…



若月は壁に背をつけ、腕を組んで話を黙って聞いていた梅澤を見る。



梅澤: 私は行きますから。


若月: え?


櫻宮: …大人しくできる?


梅澤: はい。


若月: はぁ…最近は変わってきたから、別に大丈夫か。頼んだよ、梅。


梅澤: もちろんです。


櫻宮: じゃあ、梅ちゃんは決定で、あとは若月も決定ね。それと、守里も。


若月: うん。


守里: はい。


櫻宮: あとは…美月、行ける?


美月: …


守里: 美月?


美月: …行けます。


櫻宮: 無理はしなくて良いからね。


美月: 大丈夫です。


守里: …あっ…



そういえば、美月をいじめてた奴らは、三高だったか。

だから、美月は…



守里: 美月、本当に大丈夫なんだね?


美月: うん…


守里: そうか…



美月の意思は固そうだ。

立ち向かおうとしてるんだな。



若月: 今のところ、4人だが…


櫻宮: それぐらいで良いんじゃない?何も殴り込みに行くわけじゃないし。学校の方から連絡は通すし。


若月: まぁそうだな。


守里: …いや、あと2人ぐらい巻き込んじゃいましょう。


若月: 2人?どういうこと?



守里は扉の方に向かう。



守里: おそらく、ずっと聞き耳を立ててた、この2人ですよ。



ガラガラ!!


扉を勢いよく開けると…



「うわっ」


「ヤバい!」



教室に2人が倒れ込む。



若月: 珠美と優太じゃないか。


珠美: もう!守里先輩ヒドイですよ!!


守里: いや、聞き耳立ててた方が悪いから笑


新里: すみません!!聞くつもりは無かったんですが、見回りの報告に来たら、先輩方が話し込んでたので、後にしようと僕は思ったんですけど、珠美が…


珠美: 最近、ずっと珠美達に隠し事してるから、どうしても聞きたくて!!


若月: はぁ…


櫻宮: よし、珠美と新里君も行こう。


珠美: ほんとですか?!やった!!


新里: マジすか…


守里: うん。一緒に頑張ろう笑


珠美: はい!!!!


新里: はい。


若月: 1年生を連れて行くのか…


櫻宮: 気が進まない?でも、結構話を聞いちゃったみたいだし、このまま隠し続けると、珠美は何するか分からないよ。


若月: …まぁ、そうだな。私も梅もいるし、なんとかなるか。


珠美: 絶対に邪魔になるようなことはしませんから!!


新里: 役に立って見せます!!


若月: 分かった。三高にはこの6人で行く。学校の都合にもよるが、来週の月曜日の昼に訪問しようと思ってるから、そのつもりで頼んだぞ。


梅澤: うっす!


美月: はい!


珠美: はい!!!


守里: 了解です。


新里: 分かりました。


櫻宮: なら、私は早速、職員室に行ってこようかな。


若月: 私も行くよ。みんな、今日はこれで解散。



そうして、櫻宮と若月が風紀委員室を出て行く。



珠美: 他の学校に乗り込むなんて、ワクワクしますね!!


新里: いや、話を聞きに行くだけだから。


梅澤: …でも、三高はかなり治安が悪いから、やり合う展開になるかもしれないぞ。


新里: それはよく聞きますけど、実際のところ、どんな感じなんですか?


守里: う~ん…全校生徒の内、3分の1がヤンチャって感じかな。


珠美: あぁ!!梅澤先輩みたいな人がいっぱいいるってことですね!!!!


新里: っ!!!!ちょっ、珠美!!


守里: 笑


梅澤: …まぁ、あながち間違ってねぇよ。昔はよく三高の奴らとやり合ってたからな。


珠美: やっぱ、梅澤先輩って強いんですね!!!頼もしいです!!


梅澤: ///チッ、そんなんじゃねぇよ。



褒められると照れる香蓮は、真っ直ぐ人を褒める珠美には、弱いだろうな笑



梅澤: それに、私はそんな強くねぇ。


守里: ?



まだ、アンチ達に負けたことを引き摺ってるのか?



珠美: いえ、少なくとも珠美達よりは強いんですから、頼もしいことには違いないです!!!ね、優太!!


新里: は、はい。すごく頼もしいです!!


梅澤: そ、そうかよ。ならあんまチョロチョロすんじゃねぇぞ。


珠美: はい!!


美月: …


守里: ねぇ、美月。今から櫻宮さんと若月さんに、行けないって言っても良いんだよ。


美月: …大丈夫。私はもう伊衛能高校の2年、風紀委員で、守里の家族なんだから。


守里: やっぱり、美月はすごいな。勇気ある1歩をちゃんと踏み出してる。


美月: 笑、何言ってるの?それは、守里もでしょ。


守里: …いや、僕は…


梅澤: おい、守里。



守里の言葉を梅澤が遮る。



梅澤: ちょっと、ついてこい。


守里: え?



そう言って、梅澤が風紀委員室を出て行く。



美月: ほら、守里。呼ばれてるよ!


新里: 行かないと、何されるか分かんないですよ!


珠美: 守里先輩!ファイティン!!


守里: う、うん。



背中を押され、守里は梅澤の後を追った。




特別教室校舎屋上



梅澤: ここなら、誰も来ないだろう。


守里: それで、何なの?



守里と梅澤は、昼に守里が来た場所へとやって来る。



梅澤: 単刀直入に聞く。お前と防衛団の関係はなんだ?


守里: …



え、なんで、香蓮が防衛団のことを?


守里は驚きの感情を、なんとか顔に出さずに抑え込む。


いや、そんなことよりも、とにかく誤魔化さないと。


防衛団の存在が、香蓮に知られたことは、もうどうしようもない。


だけど、僕と防衛団に関わりがあることを知られるのはマズい。

香蓮が他の誰かに喋るとは思ってないけど、こういうのは、知ってる人が少なければ少ないほど良いから…



守里: 防衛団?なんのこと?


梅澤: …まず、私はお前に謝らないといけない。


守里: ?


梅澤: この前の見回りの時に、勝手に携帯を見て、お前が白仮面を捕まえに行くのについて行ってた。


守里: っ!!!



ということは、僕が森田さん達と一緒にいるのを見られてたのか。



梅澤: そこで、敵が守里と一緒にいた人達のことを、防衛団と言っていたのを聞いたんだ。すまなかった。


守里: …



これは、誤魔化しようがないか…


香蓮1人になら、言っても大丈夫なはず。

元々、ずっと誰にもバレずに、隠し通せるとは思ってなかったからな…

しっかりと口止めをすれば、なんとかなる。


守里が覚悟を決め、話そうとした瞬間…



梅澤: …いいや。やっぱ、答えなくていい。



守里の表情を、じっと見ていた梅澤がそう言う。



守里: え?


梅澤: 誰にでも秘密はあるからな。私もこのことは黙っとく。


守里: …ありがとう。


梅澤: 笑、1つ言うと、私は防衛団に大きな恩があるんだよ。だから、いつか、その恩を防衛団に返せたらと思っているんだ。


守里: …


梅澤: まっ、その恩については、秘密だけどな。じゃ、今度頑張ろうぜ。



そう言って、梅澤は屋上を去る。



守里: はぁ~緊張した…



屋上を囲む柵に手をかける。


まさか、つけられてたとは。

集中してて、全く気づかなかった。


でも、あの言い方だと、あの現場を見るよりも前に、防衛団のことは知ってたみたいだ。

恩があるとも言ってたし。


香蓮と一緒になって、もう2週間ぐらい経つけど、あんまり香蓮の昔のことは知らないな…

好きな食べ物とか、大食いなこととか、意外と照れ屋ってことは、分かったけど。

過去のことは、話したくなさそうだし、僕らもわざわざ聞かないから…

それが、僕が踏み込んでいいところなのかは、分からないし…


でも、もっと仲良くなりたいよな。

いつまで、一緒に見回りするかは分からないけど、僕も一緒にやってて楽しいし、美月も楽しそうだし。

ちょっとずつ、近づいていければ良いか。



守里: まぁでも…



柵から手を離し、扉の方を向く。



守里: まずは、この件を片付けてからだ。




to be continued


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