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第4章 白仮面編

第82話「進展のない1週間」

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白仮面を捕まえられなかった守里達は、警察の力を借りるために、日向子を風紀委員室に呼んだ。


ガラガラ



日向子: 失礼します!!連れてきました!!


若月: 日向子、ありがとう。


豊永: 失礼するよ。


櫻宮: わざわざ来て頂いて、ありがとうございます。


豊永: いえ、私もあの薬について知りたかったですから。


守里: あれ?今日、角田さんは…


豊永: あぁ…角田なら…


日向子: パパのお手伝いだってさ!!


豊永: うん。南雲から色々と頼まれていてね。今頃、仕事に追われてるんじゃないかな笑


守里: そうですか。


豊永: それで、話を聞いてもいいですか?


櫻宮: はい、まず…



櫻宮がこれまでに起こったことについて話す。



豊永: …なるほど。その西条美咲さんには、後からお話を伺うとして。中々大きい山のようですね。


若月: はい。邪魔をしてきた人達の様子からして、組織的な行為だと感じました。


豊永: 組織的というと…


若月: 最近、各地で暴力事件を起こしている組織がいるじゃないですか。


豊永: …はい。


若月: ソイツらじゃないかと思うんです。


豊永: そうですか。それが確かかどうかは、実際に捜査してみないと分かりませんが、確かだった場合は、私の仕事になります。


櫻宮: というと?


豊永: あぁ、言ってませんでしたね。私は組織犯罪対策課の者です。


若月: そうなんですか。


櫻宮: なるほど。とすれば、日向子のお父さんや角田さんも?


豊永: はい。それで、他の風邪で欠席している生徒は調べたんですか?


愛衣: もちろんです。結果としては、全員、薬なんて知らないと言ってましたが、本当かどうかは…


豊永: 分かりました。私達の方から当たってみます。


若月: お願いします。


豊永: では早速、持ち帰って動きますから。



そう言って豊永は立ち上がる。



豊永: あ、あと、今回は誰も怪我しなかったから良かったですが、危ないですので、これ以上は私達に任せて、いつも通りの学校生活を過ごして下さいね。



ガラガラ



葵波: だってよ笑


若月: 笑、いつも通りか…なら、変わらないな。


愛衣: うん笑


櫻宮: 私達も、私達で風邪で欠席してる生徒に、再度当たってみよう。


若月: それが良いね。


櫻宮: 次は、風紀委員じゃなくて、生徒会が聞きに行こうか。そっちの方が話してくれるでしょ。ね?なぁちゃん。


七星 …


櫻宮: おーい!なぁちゃん、聞いてる?


七星: …うん?あぁごめん、ボーッとしてた。


櫻宮: もう!これから忙しくなるんだからさ笑


七星: せやな笑。よっしゃ警察に負けんよう、頑張っていくで!!


日向子: ですね!!!


守里: いや、日向子がそんなに気合入れても仕方がないだろ笑


日向子: え?!なんでよ!!


守里: だって、日向子は別に動くことなくない?


日向子: え~


若月: そういう守里もないけどね。もう十分動いてもらったから。あとは私達に任せて。


守里: え?


葵波: そうだぞ~って力を借りることもあるかもだけど。


愛衣: 梅もだからね。


梅澤: …


櫻宮: うん。これからは3年が中心で動くよ。


七星: ってことで、2年生諸君は行った行った!!



風紀委員室の外へと、七星が守里達3人を追い出す。



七星: 家に帰ってゆっくりしとき。うちらがパッパと解決するから。



そう言って、風紀委員室の扉を閉めた。



日向子: なんか、追い出されちゃったね。


守里: うん…


梅澤: チッ…


守里: 香蓮…櫻宮さん達にも考えがあるんだよ。だから頼られるその時まで、待っとこう。


梅澤: …あぁ。もちろんだ。



そうして、守里達は家に帰った。


◇◇◇◇◇◇◇


1週間後…


豊永に事情を話した後、すぐに警察の捜査が開始された。

そして、伊衛能高校の風邪による欠席者を、警察と生徒会それぞれが調べたところ、4人が薬を使っていることが分かった。


しかし、西条の時と同じように、取引現場を待ち伏せしたが、白仮面が現れることはなかった。


また、これまでに白仮面が現れた所も含め、伊衛能高校や伊衛能第三高校の近くを警察が隈無く捜索したが、白仮面は見つからなかった。


よって、この一週間、警察も生徒会も白仮面を捕まえることはできなかったのであった。




守里の家


ガチャ



守里: ただいま。


蓮花: おかえり!!!お兄ちゃん!!


ギュッ


守里: うん。ただいま、蓮花。


蓮花: お兄ちゃん、バイトどうだった?


守里: いつも通り、お客さんがあんまり来なかったかな。


蓮花: そっか!!そういえば、奈々未さんにこの前の動画見せれたの?


守里: いや笑、まだだよ。今は機会を伺ってるところなんだ笑


蓮花: 笑、すっごい悪い顔してるよ、お兄ちゃん笑


守里: そう?笑、でも楽しみだな~


蓮花: そんなに、奈々未さんがビビるところを見たいの?


守里: もちろんだよ笑、だってあの奈々未さんが、びっくりして叫ぶところとか、絶対面白いじゃん笑


蓮花: ふ~ん。


守里: よし、リビングに行こう!


蓮花: うん!



ガチャ



守里: ただいま。


結真: おかえり、守里。


桜: おかえり、お兄ちゃん。


結真: 今、美月がお風呂入ってる。


守里: 分かった。



守里は荷物を置いて、ソファに座る。



守里: はぁ…


桜: お兄ちゃん、最近疲れてるよねボソッ


蓮花: 確かにボソッ



守里の後ろ姿を見ながら、桜と蓮花が呟く。



桜: どうしたんだろうボソッ


蓮花: 聞いてみる?ボソッ


結真: どうしたの、2人とも?


蓮花: いや、なんかお兄ちゃん、最近疲れてるよねってボソッ


桜: ため息多いし、考え事してることが多いかなってボソッ


結真: 言われてみれば…よし…



結真は守里に近づく。



結真: ねぇ守里。


守里: なに?結真姉さん。


結真: 最近なにかあった?


守里: え?いや…別に…


結真: ほんと?


守里: …まぁちょっとね。


桜: なんか、最近お兄ちゃんの元気がないからさ。


蓮花: そうだよ!!


守里: ごめん、心配させちゃって。


結真: それで何かあったの?


守里: うん。ちょっと厄介なことが、ここら辺で起こっててね。その犯人が未だに捕まらないんだ。


結真: 厄介なこと?


守里: そこら辺は、言わないよう口止めされてるから言えないんだけど、とにかく警察も生徒会も動いてて、1週間経っても、まだ捕まえられないんだよ。


結真: へぇ。


桜: 危ないの?


守里: …危なくは…う~ん…微妙かな。普通に生活していれば、巻き込まれることはないと思う。


結真: それで、なんで守里が元気ないのよ。


守里: いや、その犯人を捕まえられそうな機会があったんだけど、僕が取り逃しちゃってね。


結真: …責任感じてるんだ。


守里: うん。僕があの時に捕まえられてたら、もう済んでた話なのに…


桜: …


蓮花: お兄ちゃん…


美月: 閃光弾?使われたんでしょ。しょうがないよ。



お風呂から上がってきた美月が言う。



結真: え、閃光弾?


守里: 確かにそうだけど…


蓮花: ゲームじゃん…


桜: 大丈夫だったの?


守里: まぁ、ちょっと離れたところに着弾したし、すぐに目を防げたから、僕は大丈夫だったよ。でも…


美月: 守里は全力を尽くしたんでしょ?ならいつまでも、その結果を後悔して落ち込んでちゃダメだって。


結真: うん。美月の言う通り。ちゃんと警察も動いて、麗華や七星、若月達も頑張ってるんでしょ。だったら、信じて待っとけば良いの!


蓮花: お兄ちゃん!!元気だして!!


桜: このみたらし団子あげるからさ。


守里: 笑、そうだね。前を向いて、先輩達を信じるべきか。


結真: って、桜は本当にみたらし団子をあげるの?


桜: う、うん…お兄ちゃんの…ため…なら…


美月: めちゃくちゃ躊躇ってんじゃん笑


守里: 別に大丈夫だよ笑、桜が食べな。


桜: じゃあ、お言葉に甘えて!!モグモグ


結真: 食べ過ぎると太るよ。


桜: っ!!!…モグモグ…


蓮花: 蓮花もお菓子食べよ!!


結真: チョコレート1つだけね。


蓮花: ギクッ、わ、分かってるよ笑…


美月: そういえば、芋けんぴの袋が2つ無くなってたな~


結真: …


美月: 芋けんぴって、結構カロリーが…


結真: 美月、お黙り…


美月: お姉ちゃん、最近ちょっと、ふ…


結真: 美月。



結真から黒めのオーラが溢れ出る。



美月: は、歯磨きしてこよ。



美月が急いでリビングを去る。



結真: 全く…にしても、閃光弾とは…かなりヤバめの奴らが出てきたんじゃないの?


守里: うん。若月さんは、最近暴力事件を起こしている組織じゃないかって言ってる。


結真: 組織か…


守里: 一応、結真姉さんも気をつけてね。桜や蓮花も。


桜: うん。モグモグ


蓮花: 分かった!!パク


結真: 具体的には何に気をつけたら良いの?


守里: 薬の勧誘とか、まぁあとは、人気の無い所に立ち寄らないとか、できるだけ1人で行動するのを避ける、とかかな。


結真: 薬ねぇ…大学では基本、友達と一緒にいるから大丈夫。


守里: 奈々未さん?


結真: うん、他にもいるけど。


守里: なら、問題ないか。


結真: 桜や蓮花も友達いるし、大丈夫かな?


桜: かっきーやさぁちゃん達と一緒にいる!モグモグ


蓮花: 蓮花も、彩芽と玲衣といる!!パク


結真: 蓮花、それ2個目じゃない?


蓮花: い、いや、違うよ…


結真: あと、あんまり夜更かししないようにね。


蓮花: 分かってるって!!


結真: 夜更かししたら風邪引く可能性も高くなるんだから。まだ、風邪流行ってるんでしょ?



風邪…!!!



蓮花: うん。まだ流行ってる。


桜: この前言ってた、蓮花に告った人は、まだ休んでるの?いや、さすがにもう復活してるか…モグモグ


結真: 桜、何本目?


桜: に、2本目…モグモグ


蓮花: えーっとね…まだ休みかな…



副作用で、風邪みたいな症状が出る腹痛薬…



結真: え?そうなの?もう3週間ぐらい経つんじゃないの?


蓮花: うん、多分。


桜: 相当、蓮花に振られたのがショックだったのかな?笑


蓮花: そんなことないって笑



ありえるよな…



結真: 2人とも、もう食べるのダメね。



そう言って結真は、桜が持っていたみたらし団子の箱と、蓮花が持っていたチョコレートの袋を取り上げる。



桜: …ケチ…


蓮花: え~


守里: ねぇ、蓮花。


蓮花: なに?お兄ちゃん!


守里: 僕、その蓮花に告った人に会ってみたいんだけど。




to be continued
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