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第4章 白仮面編

第78話「取引の流れ」

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風紀委員室


ガラガラ



日向子: 失礼します!!


守里 美月 西条: 失礼します。


若月: 来たな、西条。


西条: はい、色々と手間をかけさせてしまい、すみませんでした。


若月: 笑、別に良いさ。それが私達の仕事だから。


櫻宮: いや~にしても、早めに来てくれて助かったよ。生徒会もちょっと忙しくてさ。


守里: とか言いつつ、櫻宮さんは来てるんですね。


櫻宮: まぁまぁ笑、この件については、生徒会も話を聞いとかないとだし。仕事もなぁちゃん達に任せてきたから、問題なし!


守里: 七星さんも大変だ。


日向子: 七星先輩なら大丈夫だよ!!


櫻宮: だよね!日向子!


日向子: はい!


守里: 今日は葵波さん達は、いないんですか?


若月: あぁ。今は守里と美月の代わりに、校外の見回りをやってもらってる。


美月: え?でもそれだと、何かあった時に駆けつけにくいんじゃ…


若月: それは問題ない。葵波、愛衣、梅はいつもの見回りコース、他の3年には、2つのコースに近い場所を回ってもらってるから、何かあってもすぐに現着できる。


美月: そうなんですね。


若月:じゃあ、早速、初めから説明してもらってもいいか?西条。


西条: はい。まず、私が初めて、白い仮面の男と取引したのは、先週の土曜日のお昼頃です。第三高校の同級生に、この薬のことを教えてもらって…


◆◆◆◆◆


先週の金曜日



西条: え、それ本当?


友達: うん。私も使ってるし、実際に効果があったんだよ!


西条: 効果って…


友達: 好きだった先輩と付き合うことができたんだ~


西条: この前言ってた先輩?


友達: うん!なんか、この薬を使い始めてから、ちょっと風邪気味にはなったんだけど、すごい先輩が見てくれるようになって、思い切って告白したら、なんと成功したの!!


西条: へ、へぇ…


友達: 美咲は、あの二高のバスケ部の先輩のこと、好きなんでしょ?


西条: …うん。


友達: だったら、使うべきだよ!!実際に私が実験台として、成功してるんだから、大丈夫だって!!


西条: う~ん…


友達: 明日、買える日だからさ、一緒に行こ!!


西条: それって、勝手に行って、すぐに買えるものなの?


友達: 多分!だって、白い仮面の人、たくさん薬持ってたし。


西条: いくら?


友達: 高校生だと3000円。ちなみに中学生だと1000円。


西条: え?それはどのくらいの量で?


友達: 1日1錠で、5日分だよ!!


西条: …(どう考えたって、怪しいよな…)


友達: 良いじゃん!!1回行ってみようよ!


西条: でも…


友達: このままだと、あの先輩と付き合えないかもよ!!


西条: …そ、それは…


友達: 薬使えば、付き合えるかもね。


西条: …


友達: それに、1回お試しでやったら、良いじゃん!効果無かったら、それ以降、買いにいかなきゃ良いだけだし。


西条: お金だけ?


友達: うん。名前とかそんなのも言わなくて良いし、お金を渡せば、薬をくれるから。ほんとそれだけ。


西条: (こっちの個人情報を渡さなくて良いなら、1回だけ試すのもアリか…)


友達: ね、行こ!


西条: …分かった。行く。


友達: よし!なら、明日は…12時半ぐらいに、三角公園に集合ね。


西条: うん。


友達: ちゃんと、3000円持ってくるんだよ!


西条: 分かったって。


◇◇◇


翌日


三角公園



友達: あ、もう着いてたんだ。


西条: うん。



待ち合わせの時間に、少し遅れて友達が合流する。



友達: じゃあ、行こっか。って言っても、時間は13時だから、そんな急がなくても良いんだけどね。


西条: その時間ピッタリに行かないといけないの?


友達: そういうわけじゃないと思うけど、なんか早く来過ぎないでくれっては言われたよ。それに、取引が終わったら、すぐに帰るようにっても。


西条: へぇ。


友達: 取引の場所はすぐ近くだから、ゆっくり行こ。



携帯のマップを見ながら言う。



西条: 分かった。



そうして、西条達は公園を出て、目的地へ。



西条: もうそろそろ13時だけど、まだつかないの?


友達: もうちょっとだよ。そこ曲がったら目的地の空き地。


西条: そっか…


友達: うん、まだ来てないね。


西条: その例の人が来るまで待ち?


友達: まぁね。でも時間ちょうどに来るから、そろそろ…



すると、西条達が通って来た道とは、別の道から白い仮面をつけた人が現れる。



友達: どうも~今日はお友達を連れてきました!この子も大丈夫ですか?


白仮面: はい。


西条: よ、よろしくお願いします。


白仮面: では、注意事項を…まず、1日1錠は必ず守って下さい。そして、この薬のことをあまり周りに話さないこと。ただ、仲の良い友達1人になら問題ないです。あと、薬を飲んだら、風邪のような症状が出ると思いますが、それは誰にでも起こることなので安心して下さい。かまわず薬を飲むことをおすすめします。


友達: はい!


白仮面: あなたも理解していますね。


西条: はい…


白仮面: 次に、次回の取引についてお話しますので、まずはあなたの方から。



そう言って、白仮面は友達を指す。



友達: 了解です。



そして、2人で西条に聞こえないように話し始める。


少しして…



白仮面: 次は、あなたの番です。


西条: は、はい。


白仮面: 次回の取引は、水曜日の17時。場所はここです。



そう言って、白仮面は携帯に表示されたマップを見せる。



白仮面: 写真で撮ってください。


西条: はい。



西条は言われた通りに、マップを写真で撮る。



白仮面: 取引時間よりも早く来過ぎないようにして下さい。あと、取引後はすぐに帰るように。分かりましたね。


西条: 分かりました。


白仮面: では、取引に移ります。お金を…


友達: はい!


西条も、友達と同じように3000円を取り出し、白仮面に渡す。


白仮面: ちょうど頂きます。



そうして、白仮面は受け取ったお金を懐に入れ、代わりに薬を2袋取り出す。



白仮面: どうぞ。


友達: ありがとうございます!


白仮面: あなたも。


西条: は、はい。ありがとうございます…


白仮面: では、これで……あなた、1回試してみてください。必ず効果はありますから。



白仮面は西条を見ながらそう言い、立ち去った。



西条: …


友達: もう見えなくなった…ほら、行かないと。


西条: うん。


◆◆◆◆◆


西条: その後、家に帰ってから、その薬を飲んだんです。


若月: それで、どうだったんだ?


西条: その日は特に何も無くて、次の日、その先輩と会う機会があったんですけど、確かに薬を飲む前よりも、私を見てくれるようになった気はしました。


櫻宮: ふ~ん…


若月: その時、副作用は?


西条: 若干出ていたと思います。体が少し熱かった気がしますし。


守里: …


日向子: その先輩とはどうなったの?!


西条: それ以降会えてないよ。まぁ別の高校だから。連絡先は交換してるけど…


美月: そうなんだ。


西条: その翌日からは知っての通り、風邪の症状がちょっと酷くなったから、学校を休んで、水曜日までは家から出てない。


守里: で、白仮面に言われた通りに、水曜日に取引に向かったところ、僕達と偶然会ったって感じか。


西条: うん。


若月: なるほどな、説明ありがとう。


西条: いえ。


櫻宮: ちなみになんだけど、途中で誰かに相談しようとか思わなかったの?


西条: 初めは、そう思ってたんですけど、薬を使い始めてからは、全くでした。


若月: そうか…


櫻宮: 次は、その白仮面の特徴について、話して欲しいんだけど。その前に、例のモテ薬を渡して貰える?


西条: はい。



西条は持っていた薬を櫻宮に渡す。



櫻宮: これが…


守里: 薬の分析ってどうやってするんですか?


若月: 能大の研究所に頼もうって思ってるよ。


守里: それって、時間かかりません?


若月: まぁそうだが…それ以外に方法が無いからな。


守里: そっか…


日向子: なら、パパに頼んでみましょうか?


若月: え?


日向子: パパに頼めば、すぐに色々やってくれるはずです!!


櫻宮: 日向子のお父さんって確か…


守里: 警察ですよ。


美月: え、そうなの?


日向子: うん!ほら、警察にあるじゃん、かそ、かそう…仮装パーティー!!


守里: 科捜研な。


日向子: そうそう!科捜研!!パパに頼めば、そこですぐに調べてもらえるはずです。


守里: 確かにそうかもな。


若月: うーん…


櫻宮: まぁ良いんじゃない?でも、こっちの事情は話さずにいける?まだ、警察にこの事を話すのは…


日向子: 問題なしです!


守里: 日向子のお父さんは、かなり日向子に甘いですから。僕も大丈夫だと思いますよ。


若月: なら、頼んでもいいか?


日向子: 了解です!!



そう言って、日向子は携帯を取り出し電話をかける。



美月: 私、初耳なんだけど。


守里: そういえば言ってなかったか。


美月: ほんと、びっくり…


守里: 笑、まぁ予想つかないよね。でも、日向子のあの正義感はお父さん譲りだよ。



プルルルル


ピ



日向子: もしもしパパ!!!




to be continued
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