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第4章 白仮面編

第74話「デカい女ヤンキー」

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翌日

放課後


風紀委員室



若月: では、全員揃ったから委員会を始めるぞ。まずは、先月の活動報告だが…



毎月の初めに行われる委員会が始まる。



若月: 校内組は、1人の校則違反者を取り締まり、校外組は、駅で騒いでいた生徒4人を取り締まった。また既に知っている人もいると思うが、1人の生徒が、風紀委員の仕事を妨害したことにより、風紀委員指導が与えられた。これにより、その生徒は退学処分となっている。



この退学処分についても、報告するんだ。


まぁ、ちょっと確認すれば分かる事だし、当たり前か。



若月: ということで、改めて確認するが、仕事中に妨害を受け、警告をしてもなお、相手が妨害を辞めなかった場合は、こちらでしっかりと対処するから、すぐに連絡するか、少なくとも、後の報告を正確にやってくれ。



そう言って、若月は守里を見る。


僕は、この前の件を報告せずに、隠してたからな。


あの時は、結真姉さんが、僕の伝えた状況を正確に、若月さんに伝えてくれたから良かったけど…

それが上手くいってなかったら、あんな風には、いかなかっただろうし。

これからは、気をつけよう。



若月: 分かったな?


「はい!」


若月: うん。次は今月の連絡なんだが、6月は特に行事もないから、特別なものは無い。これまで通り、気を引き締めて、仕事に当たってくれ。


「はい!」


若月: ただ、情報によると、他校では風邪が流行り始めてるみたいでな。風邪による欠席者が増えてるみたいだから、各自、手洗いうがいをしっかりと行うように。



なんか、同じような話を聞いたな。

僕も気をつけないと…



若月: よし、これで、こちらから話すことは終わりなんだが、何か質問のある人はいるか?…



そう言って、若月は教室にいる生徒達を見る。



若月: いない…な。なら、これで委員会は終了だ。今日が見回りの当番の組以外は、解散!


「ありがとうございました!!」



そして、3年生と今日の見回り当番である守里、美月、珠美、新里以外の生徒が、風紀委員室を出ていく。



守里: よし、行こうか。


美月: そうだね。


若月: それで、今日の見回りなんだが、珠美と優太はいつも通り、頑張って来て。


珠美: はい!


新里: はい。



2人が教室を出る。



守里: 僕達は、いつもと違うんですか?


若月: うん、ちょっとね。葵波。



若月が葵波に呼びかける。



葵波: はーい。


美月: なんだろう。


守里: 大変なことじゃないと良いけど…


若月: う~ん、大変ではないと思うけど…まぁ少しずつね…



少しずつ?



葵波: ほら、来なって。



教室の外から、葵波が何かを引っ張って来る。



若月: まだ、駄々をこねてるのか…


守里: ?


葵波: 観念しなさい!!



そうして、扉の向こうに現れたのは…



若月: 梅、早く入ってきな。


梅澤: …うっす。


美月: 梅澤さん?


若月: 気が進まないのは分かるが、一応仕事なんだから。


梅澤: 分かってますけど、なんで私が…


葵波: それは、前にも説明しただろ。なぁ愛衣。


愛衣: だね。梅もさ、もうどうにもならないんだから。それに相手が守里達なだけマシだって。



相手?

ほんとに想像がつかないぞ。


一体何をするんだ…



若月: 梅も来たところで、まずはお互いに自己紹介からしよう。


守里: 自己紹介は良いですけど、何を言えばいいんですか?


葵波: そんなの、名前と好きな物で良いでしょ。なんなら、好きな人言っても良いよ笑


愛衣: あ、それいいね笑、葵波。


若月: 守里からやって。


守里: …はい。森崎守里です。好きな食べ物は、ハンバーグです。よろしくお願いします。


葵波: 定型文にも程があるだろ笑


愛衣: まぁ良いんじゃない?


若月: 次、美月。


美月: はい!白城美月です。好きな動物はフラミンゴです!!あと、好きな人は…


守里: 美月、その先は言わなくて良い。


美月: え?そう?


守里: 言っちゃうと、後々この人達にイジられまくるに違いないから。


葵波: 嫌だな~守里。そんなことするわけないじゃん笑


愛衣: そうだよ笑~守里は、私達のことをなんだと思ってるの?


守里: 見てよ、2人のニヤニヤ顔。


美月: みたいだね。


若月: まぁ美月のそれは、言わなくても分かるからな笑


守里: え?


美月: え~そうですか~?笑


若月: 最後、梅。


梅澤: …"梅澤香蓮うめざわ かれん"です。よろしくお願いします。



下の名前、香蓮って言うのか…

知らなかった。



葵波: 名前だけかよ笑


愛衣: 初めだし、名前言っただけマシでしょ。


若月: だね。


守里: それで、どういう要件なんですか。


若月: 先に決定したことを言うと、これからしばらくの間は、守里と美月のペアに梅を入れることになった。


美月: え?


梅澤: …


守里: それは…なんでですか?


若月: この2ヶ月で気づいたかどうかは分からないが、梅は1人で、校外の見回りをやってるんだよ。


美月: そうなんですか?!


若月: うん。まぁ、梅を無理やり風紀委員に入れてるせいでもあるんだけど…



やっぱりそんな感じだったか。


2年生だけ人数が奇数だし、何より梅澤さん、委員会の時、3年生のいるところに座ってたからな。



若月: 去年までのこともあって、誰もペアを組みたがらないからさ。


美月: 去年までのことってなんですか?


葵波: あぁ、美月は転校してきたから知らないのかな?


愛衣: でも、この辺に住んでたなら、知ってるんじゃないかな、「梅刺奴欺ウラヌス


美月: それは、知ってますよ。身長が2mあるだとか、某国民的ヒーローにツラ貸せと言ったとか、色々と噂がある伝説のヤンキーじゃないですか。


若月: うん。それがコイツ。


美月: え?マジですか?


若月: マジ。な、梅。


梅澤: …はい。


葵波: 梅はずっと暴れ回ってて、去年何回かやり合った結果、葵波達が勝ったから、風紀委員に入らせたんだ。


守里: へぇ。


愛衣: それで、さすがにいつまでも、1人でやらせるわけにはいかないってことで、守里と美月と一緒に行動してもらおうってことになったの。


守里: はぁ…


若月: 守里達なら、上手くやれるでしょ。


葵波: 梅の初めてのお友達になってくれそうだし。


美月: お友達ですか…


若月: そうそう。ってことで、よろしく。


守里: 事情は分かりましたけど…梅澤さんは大丈夫?僕達で。


梅澤: …


葵波: 聞かれてるよ、梅。答えな。


梅澤: …問題ないです。



梅澤さんは、葵波さん達に相当絞られたのか、葵波さん達の言うことは聞くって感じかな…


でも、仕事はちゃんとこなしてるみたいだし、聞いてた噂とかイメージとは違う。



守里: なら、了解です。美月も良いよね?


美月: もちろん。


若月: じゃあ、早速見回りいってらっしゃい。


守里: はい。美月、梅澤さん行こう。


美月: うん。失礼します。


梅澤: …失礼します。


葵波: 頑張れよ~



ガラガラ



愛衣: 仲良くできるかね、梅は。


若月: まぁ大丈夫じゃない?良い子だし。何より、守里がいるから。


葵波: まぁそうだね。1ヶ月後には、めちゃくちゃ仲良くなってるでしょ笑


愛衣: かもね笑


◇◇◇


校外



美月: ってか、梅澤さん、2mまでとはいかないけど、身長大きいね。


守里: 何cmあるの?


梅澤: …17よ…いや、170cm…です…


美月: 身長高いの憧れるな~


守里: 梅澤さん、僕達同級生なんだから、敬語じゃなくて良いよ。


梅澤: 分かった…


美月: う~ん。


守里: どうしたの?美月。


美月: いや~未だに、梅澤さんが、あの梅刺奴欺だってことが信じられなくてさ。


守里: まぁそうだよね。


美月: うん。こんなにスタイル抜群の美人さんが、まさか伝説のヤンキーだなんて。


梅澤: …///


守里: 梅澤さんって、好きな食べ物とかある?


梅澤: …牛タン。


美月: 牛タン美味しいよね!!


守里: 他には?


梅澤: …う~ん…マヨネーズ。


美月: マヨネーズ?


守里: 結真姉さんと一緒だ。


梅澤: !!…


守里: その通り名って言うのかな、それは自分でつけたの?


梅澤: いや、私がつけたわけじゃないよ。


美月: 誰かにつけてもらったんだ。


梅澤: うん。



ということは、勝手につけられてたわけじゃないんだな。



守里: その梅刺奴欺っていう名前は、気に入ってるの?


梅澤: うん!



相当気に入ってるみたい…



美月: 梅澤さんは、苦手なものとかある?


梅澤: ないかな…


美月: 絶叫系は?


梅澤: 大丈夫。



だろうね。



美月: 虫は?


梅澤: 潰せる。



急に物理的?!



美月: お化け。


梅澤: …………大丈夫。



うん。

絶対大丈夫じゃないね。


もしかして、手で触れられないものがダメなのかな。


ならお化け屋敷は大丈夫なのか?



美月: へぇ~すごいね~


梅澤: …


美月: じゃあさ…



と、梅澤への質問を続けつつ、見回りをしていると…



美月: ん?


守里: 美月、どうした?


美月: なんか、めっちゃ周りをキョロキョロしながら歩いてる子がいる。


守里: え?どこ?


美月: ほら、あそこ。私達と同い年ぐらいの子がいるでしょ。


守里: あの子?…って、あれは…



美月が指す方を見た守里。



守里: 西条さん?




to be continued

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