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第3章 美月編
第55話「会議の末」
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根川秀人の処分を決める検討会議が、生徒会と各委員長によって進められていく。
灰崎: 第2判定を行います。根川秀人への処分予告が妥当であると考える方は手を挙げてください。
第2判定では、天羽と大我以外の全員が手を挙げた。
灰崎: ありがとうございます。再び全員一致とならなかったため、評議・質問に移ります。では、どうぞ。
若月: 正直、第2判定で決まると思っていた。
大我: 笑、もう隠す気は無くなったのか?
若月: なんのことだ。
大我: お前が、この作為を感じる根川の処分に関わってるってことだよ。
若月: 何を言ってるんだか笑
大我: まぁ、若月が関わってるかどうかは別にいい。けど、この作為を感じるってとこに引っかかる。
天羽: それは、同感ですね。
鷲崎: 確かに、それは私も感じてたけど…
大我: コイツには、何があるんだ?
若月: 何があるってどういうことだろうか?
大我: いつまでもとぼけてんじゃねぇ。学校に悪影響をもたらす可能性があるから、お前らが動いたんだろ。
そう言って大我は、生徒会役員と若月を見る。
中谷: …
若月: そうだな…
中谷と若月は、どう伝えれば、誤解なく、自分達に有利になるような展開を作れるかを考える。
そして少しの沈黙が訪れる。
大我: 早く話せ…
天羽: では、先に私が抱いた疑問を解決して貰いましょうか。
大我: …
大我の言葉を天羽が遮る。
麻里: 疑問って?
天羽: 根川さんの担任の先生が、会議の始めからずっと驚いた表情をしていたことです。
直也: マジ?それは気づかなかったわ。
天羽: ええ。それで、その理由を教えて貰いたいんですけど、いいですか?2年5組の担任、"古見真司"先生。
灰崎: 古見先生、どうぞ。
古見: はい。それは、冒頭陳述や、剣崎先生、若月さんの話したことが、私の知っている根川君が、行ったとは考えられないような内容だったからです。
天羽: なるほど、では古見先生にとって、根川さんはどのような生徒なんでしょう?
古見: クラスでも、あまり目立たないというか、話さない生徒ですね。休み時間中も、1人でいることが多いようです。
天羽: ありがとうございます。古見先生。
鷲崎: 確かに、そんな人が飲食店で大声で叫んだり、夜間徘徊をするとは思えないね。
樋口: あ、紅葉分かった!!
突然、樋口が大声をあげる。
影野: ちょっと、紅葉。いきなり大声あげないでよ。
麻里: 耳が潰れるかと思った…
樋口: ごめん、ごめん笑
夏希: それで、何が分かったんですか?
直也: まぁ大体分かるが…
樋口: 根川君が、学校内と学校外で全く態度が違うんだ!!!
影野: うん、それしかないよね。
大我: その学校外での態度ってのが、学校に悪影響を与える可能性があるんだろ。もうそろそろ良いよな、中谷、若月。
中谷と若月は一瞬目を合わせる。
中谷: じゃあ、僕が話す。(この流れならいける。)
そして中谷は、根川秀人の兄が、この辺では有名な悪人だと言うことや、その名前を使って、秀人が暴れ回っていることを告げる。
さすがに根川雄斗が、アンチの構成員ってことは言わなかったか。
まぁでも、アンチっていう組織名ですら、警察にも生徒会にも回ってきてないだろうし。
生徒会としても、得体の知れない組織について、ここで話す必要はないって考えたんだろうな。
大我: それは事実か?
中谷: うん。生徒会がしっかりと確認している。
大我: その確認しているってのは、証拠を掴んでるってことだな。
中谷: もちろん。
大我: その証拠を見せろ。まぁ、冒頭陳述で出さなかったってことは、元々その証拠は、ここで出すつもりはなかったんだろうが、仕方ねぇよな?
天羽: これまでの評議で私達全員を納得させられなかった以上、その証拠を提示してもらう他ありません。
中谷: チラッ
七星: …
中谷: 証拠1をお願いします。
倉田: はい。
そう言って、倉田は灰崎の後ろにある箱から、レコーダーを取り出す。
直也: 事前に提出はしてたんだ。
大我: 元からグルなんだから、提出もクソもないだろ。
直也: 確かに笑
中谷: これは、商店街で根川秀人が迷惑行為を重ねいた時の、被害者の方々の証言です。
その言葉に合わせて、倉田がボタンを押し、レコーダーから音声が流れ始める。
そこには、秀人が行ってきた迷惑行為の内容や、それによってどれだけの被害を被ったかといった被害者のリアルな声が、多く乗せられていた。
秀人: …
古見: 根川君…
中谷: まだ他にも証拠はあるけど、必要かな?
大我: …十分だ。
天羽: ですね。納得しました。
秀人: クソッ…
灰崎: 時間ですので、最終判定に移ります。
会話に一段落がついたところで、灰崎が会議を進める。
灰崎: 根川秀人への処分予告が妥当であると考える方は、手を挙げてください。
そして、全員が手を挙げた。
灰崎: 全員が手を挙げたため、根川秀人への処分を決定します。
ふぅ…やっと終わったか。
秀人: …なんで…なんで…なんで!!!!!この僕が!!!
秀人が叫ぶ。
灰崎: 発言は許してませんよ。
秀人: うるせぇ!!!!!たったあんだけのことで!!ただ、ちょっと脅しただけじゃねぇか!!!
守里: っ!!
たったあんだけ?
ちょっと脅しただけ?
カチ
守里: ふざけんじゃねぇよ。お前のせいで、美月がどれだけ怖い思いしたか…
守里から殺気が放たれる。
秀人: ヒッ
櫻宮: っ!!!
大我: ほう…
直也: こりゃすげぇな。
天羽: …
七星: …
守里: もう黙っとけ…
秀人: は、はい…
秀人は顔面蒼白となり、全身が震え、俯く。
守里: …
カチ
会議室に広がっていた殺気が霧散する。
灰崎: ゴホン、では、立会人の校長先生。どうですか?
校長: …も、問題なしです…
灰崎: ありがとうございます。最後に処分言い渡しです。
櫻宮: …根川秀人、あなたを退学処分とする。
席から立ち上がった櫻宮が、根川秀人へ、会議の末、決定した処分を言い渡し…
秀人: …
灰崎: これで、検討会議を終了します。
こうして、会議が終わった。
校長: で、では私はこれで…
灰崎の言葉で、校長がそそくさと会議室を出て行く。
灰崎: あんなに急いで、校長先生はどうしたんでしょう笑
七星: まぁ、そんなこと言わんといてええやん。
灰崎: 副会長は随分と不機嫌そうですね。
七星: 別に…
灰崎: そうですか…
倉田: ふぅ…やっと終わりましたか。まゆちゃん、記録できましたか?
会議室から外に出る扉のそばに立っていた倉田が、灰崎の隣で議事録を作っていた鹿川に話しかける。
鹿川: も、もちろんだよ!!桃ちゃん!!
倉田: 本当ですか…って、なんですか?この落書きは?
鹿川: べ、別に良いじゃん!仕事はちゃんとやったんだから!!
倉田: はぁ…全く…
七星: じゃ、そろそろ行こうか。
そう言って、七星が秀人に近づく。
秀人: …
七星: ほら、行くで。
七星が無理やり、秀人を立ち上がらせる。
大我: どこに連れて行くんだ?
七星: ん?警察や。
古見: は?警察ってどういうことですか?
七星: 古見先生。もうコイツはうちの生徒じゃないんやから、先生には関係ないよな。
古見: た、確かに、そうですけど…
大我: それでも、説明はしろ。
他の委員長達も、七星を見る。
七星: どうする?麗華。
櫻宮: 良いんじゃない?
七星: なら、説明したるわ。生徒会と風紀委員は、コイツを豚箱?に入れるために、わざわざ、この検討会議をやったんや。
鷲崎: 根川秀人を警察に連れてくために、退学させたと…
天羽: 学校に在籍している生徒が逮捕されたとなれば、この学校に少なからず悪影響が出ますからね。それを防ぐために、退学させたということですね。
七星: せや。さすが絢音ちゃんやな。
大我: にしても急すぎだ。3日間連続で指導なんて、これまでになかっただろ笑
七星: まぁまぁ笑。どうしてもやらなアカンかったんや。
直也: 警察に連れていくって言っても、なんの罪でだ?
七星: まぁそりゃあ、色々。あれ以外の証拠もたくさんあんで笑
麻里: 用意周到だね。
樋口: さすが七星達!
夏希: 生徒会だけで動いたにしては、あのレコーダーの音声を集めるってだけでも、仕事が早すぎる。協力者でもいたのかな?
七星: うん、めっちゃ強い協力者がいたんや。ってことで、コイツ連れてくから、じゃ。
そう言って、七星は秀人を連れて、会議室を出て行った。
若月: 守里、お疲れ様。
七星が出て行ったのを見て、若月が座っている守里に話しかける。
守里: …
若月: おい、守里?
守里: …
若月: 守里、大丈夫か?!
何も答えない守里の肩を揺らす。
守里: はっ!!若月さん?!
若月: どうしたんだ?守里、ぼーーっとして。
守里: い、いや、なんでもないです。
やっべ、意識飛んでた。
根川にキレた後の記憶がないわ。
若月: そうか、ならいいんだが。
守里: ってか、若月さん、先に伝えといて下さいよ。いきなり検討会議で証人やることになるなんて、びっくりしたんですからね!
若月: それは、すまん。でもちゃんと喋れてたじゃないか。大我の怖い顔にビビらずに。
守里: そうですか?
大我: おいおい、誰が怖い顔だって?
若月: いやいや、なんでもないよ。大我。
大我: にしても、守里。今さっきのは凄かったな笑
守里: え?
直也: いや、ほんとそれな。ちょっとビビったわ笑
若月: 守里、根川を睨みつけて、色々言ってたでしょ。その時のことだよ。
守里: あー、あの時ですね。でも僕も無我夢中だったので…
大我: そうか。(守里への評価を上げとかないとだな。)
と、話していたところで…
灰崎: 皆さん、そろそろ昼休みも終わりですよ。教室に戻りましょう。
大我: だとよ。じゃ、またな、守里。
直也: じゃあね。
各委員長達が退室していく。
守里: 僕もそろそろ…
櫻宮: あ、守里。
守里: なんですか?櫻宮さん。
櫻宮: お姉さんとバイトの先輩さんに、よろしく言っといて。
守里: 笑、分かりました。では。
守里も会議室を出て、教室に戻った。
◈◈◈
櫻宮: はぁ…疲れた~
倉田: お疲れ様です。会長。
櫻宮: 今回はマジで疲れたわ。
鹿川: 体育祭の時よりもですか?
櫻宮: うん。
灰崎: まぁ、あのお2人から頼まれましたからね。
櫻宮: プレッシャーが凄かった…
倉田: 私もその話を聞いた時は驚きました。
鹿川: 桃ちゃんは、びっくりして固まってたもんね。
倉田: ///うるさいです、まゆちゃん。
櫻宮: 私達の仕事はこれで終わりだから、しばらくはゆっくり過ごしたいな。
灰崎: そんなこと言ったら、多分無理ですよ。
櫻宮: かもね笑
守里、君は…
◈◈◈
校門前
七星: そろそろ来るはずやねんけど…
秀人: …
七星: にしても、残念やったな。
秀人: …
七星: これから、あんたは豚箱行きやで笑
秀人: ま、まだ分からないだろ…
七星: いや、確定や。
秀人: …
七星: まぁ敵に回しちゃアカンやつを、あんたは敵に回したんよ。
秀人: …
ブルルル
七星: あ、来た。
ガチャ
奈々未: やっほー
七星: 奈々未さん。
奈々未: 無事、計画通りかな?
七星: はい。後は任せました。
奈々未: うん。まぁ実際にやるのは私じゃないんだけどね笑
七星: ですね。
奈々未: よし、君。乗って。
秀人: …
七星: あ、コイツ、さっき守里に怒られて、ビビり続けてます。
奈々未: あらそうなの笑
七星: ほら、はよ行け。
七星が秀人を車の中に押し込む。
奈々未: じゃ、またね。
七星: はい、また。
ガチャ
そうして、奈々未が乗る車は去っていった。
七星: 余計なことを…
車の中に見える秀人を睨みつけて、七星はそう呟いた。
to be continued
灰崎: 第2判定を行います。根川秀人への処分予告が妥当であると考える方は手を挙げてください。
第2判定では、天羽と大我以外の全員が手を挙げた。
灰崎: ありがとうございます。再び全員一致とならなかったため、評議・質問に移ります。では、どうぞ。
若月: 正直、第2判定で決まると思っていた。
大我: 笑、もう隠す気は無くなったのか?
若月: なんのことだ。
大我: お前が、この作為を感じる根川の処分に関わってるってことだよ。
若月: 何を言ってるんだか笑
大我: まぁ、若月が関わってるかどうかは別にいい。けど、この作為を感じるってとこに引っかかる。
天羽: それは、同感ですね。
鷲崎: 確かに、それは私も感じてたけど…
大我: コイツには、何があるんだ?
若月: 何があるってどういうことだろうか?
大我: いつまでもとぼけてんじゃねぇ。学校に悪影響をもたらす可能性があるから、お前らが動いたんだろ。
そう言って大我は、生徒会役員と若月を見る。
中谷: …
若月: そうだな…
中谷と若月は、どう伝えれば、誤解なく、自分達に有利になるような展開を作れるかを考える。
そして少しの沈黙が訪れる。
大我: 早く話せ…
天羽: では、先に私が抱いた疑問を解決して貰いましょうか。
大我: …
大我の言葉を天羽が遮る。
麻里: 疑問って?
天羽: 根川さんの担任の先生が、会議の始めからずっと驚いた表情をしていたことです。
直也: マジ?それは気づかなかったわ。
天羽: ええ。それで、その理由を教えて貰いたいんですけど、いいですか?2年5組の担任、"古見真司"先生。
灰崎: 古見先生、どうぞ。
古見: はい。それは、冒頭陳述や、剣崎先生、若月さんの話したことが、私の知っている根川君が、行ったとは考えられないような内容だったからです。
天羽: なるほど、では古見先生にとって、根川さんはどのような生徒なんでしょう?
古見: クラスでも、あまり目立たないというか、話さない生徒ですね。休み時間中も、1人でいることが多いようです。
天羽: ありがとうございます。古見先生。
鷲崎: 確かに、そんな人が飲食店で大声で叫んだり、夜間徘徊をするとは思えないね。
樋口: あ、紅葉分かった!!
突然、樋口が大声をあげる。
影野: ちょっと、紅葉。いきなり大声あげないでよ。
麻里: 耳が潰れるかと思った…
樋口: ごめん、ごめん笑
夏希: それで、何が分かったんですか?
直也: まぁ大体分かるが…
樋口: 根川君が、学校内と学校外で全く態度が違うんだ!!!
影野: うん、それしかないよね。
大我: その学校外での態度ってのが、学校に悪影響を与える可能性があるんだろ。もうそろそろ良いよな、中谷、若月。
中谷と若月は一瞬目を合わせる。
中谷: じゃあ、僕が話す。(この流れならいける。)
そして中谷は、根川秀人の兄が、この辺では有名な悪人だと言うことや、その名前を使って、秀人が暴れ回っていることを告げる。
さすがに根川雄斗が、アンチの構成員ってことは言わなかったか。
まぁでも、アンチっていう組織名ですら、警察にも生徒会にも回ってきてないだろうし。
生徒会としても、得体の知れない組織について、ここで話す必要はないって考えたんだろうな。
大我: それは事実か?
中谷: うん。生徒会がしっかりと確認している。
大我: その確認しているってのは、証拠を掴んでるってことだな。
中谷: もちろん。
大我: その証拠を見せろ。まぁ、冒頭陳述で出さなかったってことは、元々その証拠は、ここで出すつもりはなかったんだろうが、仕方ねぇよな?
天羽: これまでの評議で私達全員を納得させられなかった以上、その証拠を提示してもらう他ありません。
中谷: チラッ
七星: …
中谷: 証拠1をお願いします。
倉田: はい。
そう言って、倉田は灰崎の後ろにある箱から、レコーダーを取り出す。
直也: 事前に提出はしてたんだ。
大我: 元からグルなんだから、提出もクソもないだろ。
直也: 確かに笑
中谷: これは、商店街で根川秀人が迷惑行為を重ねいた時の、被害者の方々の証言です。
その言葉に合わせて、倉田がボタンを押し、レコーダーから音声が流れ始める。
そこには、秀人が行ってきた迷惑行為の内容や、それによってどれだけの被害を被ったかといった被害者のリアルな声が、多く乗せられていた。
秀人: …
古見: 根川君…
中谷: まだ他にも証拠はあるけど、必要かな?
大我: …十分だ。
天羽: ですね。納得しました。
秀人: クソッ…
灰崎: 時間ですので、最終判定に移ります。
会話に一段落がついたところで、灰崎が会議を進める。
灰崎: 根川秀人への処分予告が妥当であると考える方は、手を挙げてください。
そして、全員が手を挙げた。
灰崎: 全員が手を挙げたため、根川秀人への処分を決定します。
ふぅ…やっと終わったか。
秀人: …なんで…なんで…なんで!!!!!この僕が!!!
秀人が叫ぶ。
灰崎: 発言は許してませんよ。
秀人: うるせぇ!!!!!たったあんだけのことで!!ただ、ちょっと脅しただけじゃねぇか!!!
守里: っ!!
たったあんだけ?
ちょっと脅しただけ?
カチ
守里: ふざけんじゃねぇよ。お前のせいで、美月がどれだけ怖い思いしたか…
守里から殺気が放たれる。
秀人: ヒッ
櫻宮: っ!!!
大我: ほう…
直也: こりゃすげぇな。
天羽: …
七星: …
守里: もう黙っとけ…
秀人: は、はい…
秀人は顔面蒼白となり、全身が震え、俯く。
守里: …
カチ
会議室に広がっていた殺気が霧散する。
灰崎: ゴホン、では、立会人の校長先生。どうですか?
校長: …も、問題なしです…
灰崎: ありがとうございます。最後に処分言い渡しです。
櫻宮: …根川秀人、あなたを退学処分とする。
席から立ち上がった櫻宮が、根川秀人へ、会議の末、決定した処分を言い渡し…
秀人: …
灰崎: これで、検討会議を終了します。
こうして、会議が終わった。
校長: で、では私はこれで…
灰崎の言葉で、校長がそそくさと会議室を出て行く。
灰崎: あんなに急いで、校長先生はどうしたんでしょう笑
七星: まぁ、そんなこと言わんといてええやん。
灰崎: 副会長は随分と不機嫌そうですね。
七星: 別に…
灰崎: そうですか…
倉田: ふぅ…やっと終わりましたか。まゆちゃん、記録できましたか?
会議室から外に出る扉のそばに立っていた倉田が、灰崎の隣で議事録を作っていた鹿川に話しかける。
鹿川: も、もちろんだよ!!桃ちゃん!!
倉田: 本当ですか…って、なんですか?この落書きは?
鹿川: べ、別に良いじゃん!仕事はちゃんとやったんだから!!
倉田: はぁ…全く…
七星: じゃ、そろそろ行こうか。
そう言って、七星が秀人に近づく。
秀人: …
七星: ほら、行くで。
七星が無理やり、秀人を立ち上がらせる。
大我: どこに連れて行くんだ?
七星: ん?警察や。
古見: は?警察ってどういうことですか?
七星: 古見先生。もうコイツはうちの生徒じゃないんやから、先生には関係ないよな。
古見: た、確かに、そうですけど…
大我: それでも、説明はしろ。
他の委員長達も、七星を見る。
七星: どうする?麗華。
櫻宮: 良いんじゃない?
七星: なら、説明したるわ。生徒会と風紀委員は、コイツを豚箱?に入れるために、わざわざ、この検討会議をやったんや。
鷲崎: 根川秀人を警察に連れてくために、退学させたと…
天羽: 学校に在籍している生徒が逮捕されたとなれば、この学校に少なからず悪影響が出ますからね。それを防ぐために、退学させたということですね。
七星: せや。さすが絢音ちゃんやな。
大我: にしても急すぎだ。3日間連続で指導なんて、これまでになかっただろ笑
七星: まぁまぁ笑。どうしてもやらなアカンかったんや。
直也: 警察に連れていくって言っても、なんの罪でだ?
七星: まぁそりゃあ、色々。あれ以外の証拠もたくさんあんで笑
麻里: 用意周到だね。
樋口: さすが七星達!
夏希: 生徒会だけで動いたにしては、あのレコーダーの音声を集めるってだけでも、仕事が早すぎる。協力者でもいたのかな?
七星: うん、めっちゃ強い協力者がいたんや。ってことで、コイツ連れてくから、じゃ。
そう言って、七星は秀人を連れて、会議室を出て行った。
若月: 守里、お疲れ様。
七星が出て行ったのを見て、若月が座っている守里に話しかける。
守里: …
若月: おい、守里?
守里: …
若月: 守里、大丈夫か?!
何も答えない守里の肩を揺らす。
守里: はっ!!若月さん?!
若月: どうしたんだ?守里、ぼーーっとして。
守里: い、いや、なんでもないです。
やっべ、意識飛んでた。
根川にキレた後の記憶がないわ。
若月: そうか、ならいいんだが。
守里: ってか、若月さん、先に伝えといて下さいよ。いきなり検討会議で証人やることになるなんて、びっくりしたんですからね!
若月: それは、すまん。でもちゃんと喋れてたじゃないか。大我の怖い顔にビビらずに。
守里: そうですか?
大我: おいおい、誰が怖い顔だって?
若月: いやいや、なんでもないよ。大我。
大我: にしても、守里。今さっきのは凄かったな笑
守里: え?
直也: いや、ほんとそれな。ちょっとビビったわ笑
若月: 守里、根川を睨みつけて、色々言ってたでしょ。その時のことだよ。
守里: あー、あの時ですね。でも僕も無我夢中だったので…
大我: そうか。(守里への評価を上げとかないとだな。)
と、話していたところで…
灰崎: 皆さん、そろそろ昼休みも終わりですよ。教室に戻りましょう。
大我: だとよ。じゃ、またな、守里。
直也: じゃあね。
各委員長達が退室していく。
守里: 僕もそろそろ…
櫻宮: あ、守里。
守里: なんですか?櫻宮さん。
櫻宮: お姉さんとバイトの先輩さんに、よろしく言っといて。
守里: 笑、分かりました。では。
守里も会議室を出て、教室に戻った。
◈◈◈
櫻宮: はぁ…疲れた~
倉田: お疲れ様です。会長。
櫻宮: 今回はマジで疲れたわ。
鹿川: 体育祭の時よりもですか?
櫻宮: うん。
灰崎: まぁ、あのお2人から頼まれましたからね。
櫻宮: プレッシャーが凄かった…
倉田: 私もその話を聞いた時は驚きました。
鹿川: 桃ちゃんは、びっくりして固まってたもんね。
倉田: ///うるさいです、まゆちゃん。
櫻宮: 私達の仕事はこれで終わりだから、しばらくはゆっくり過ごしたいな。
灰崎: そんなこと言ったら、多分無理ですよ。
櫻宮: かもね笑
守里、君は…
◈◈◈
校門前
七星: そろそろ来るはずやねんけど…
秀人: …
七星: にしても、残念やったな。
秀人: …
七星: これから、あんたは豚箱行きやで笑
秀人: ま、まだ分からないだろ…
七星: いや、確定や。
秀人: …
七星: まぁ敵に回しちゃアカンやつを、あんたは敵に回したんよ。
秀人: …
ブルルル
七星: あ、来た。
ガチャ
奈々未: やっほー
七星: 奈々未さん。
奈々未: 無事、計画通りかな?
七星: はい。後は任せました。
奈々未: うん。まぁ実際にやるのは私じゃないんだけどね笑
七星: ですね。
奈々未: よし、君。乗って。
秀人: …
七星: あ、コイツ、さっき守里に怒られて、ビビり続けてます。
奈々未: あらそうなの笑
七星: ほら、はよ行け。
七星が秀人を車の中に押し込む。
奈々未: じゃ、またね。
七星: はい、また。
ガチャ
そうして、奈々未が乗る車は去っていった。
七星: 余計なことを…
車の中に見える秀人を睨みつけて、七星はそう呟いた。
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勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
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