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第3章 美月編

第53話「真・美月」

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病院の人目に付きにくい場所で、根川秀人の携帯を森田から受け取った守里。



守里: よし、病室に戻ろう。もう美月は起きてるかな?



ガラガラ



守里: 美月?起きてる?


美月: zzzz


守里: いや、全然寝てたわ笑



まぁそりゃそうか…

ずっと気を張って、頑張ってたんだもんな。


でも、そろそろ起こさないと。



守里: 美月、起きて。



守里は美月のそばに寄る。



美月: …んー…


守里: もう、結真姉さんが来ちゃうよ。起きて、美月!


美月: しゅ、守里君?


守里: そうだよ。おはよ、美月。ニコッ


美月: /////おはよう、守里君。


守里: よく寝れた?


美月: う、うん。


守里: 多分、あとちょっとで結真姉さんが来るから。


美月: そっか。


守里: それでどう?気分は。もう落ち着いた?


美月: え?…



美月は昨日、守里に抱きつき、泣き疲れて寝てしまったことを思い出す。



美月: ////あ、いや、大丈夫だよ。守里君こそ、その、迷惑じゃなかった?


守里: ん?何が?


美月: その…私が抱きついて泣いちゃったこと…


守里: 笑、迷惑なんかじゃないよ。それよりも、僕で大丈夫だったかなって。


美月: …大丈夫に決まってんじゃん。だって守里君にとって私は…大切な人なんでしょ?笑。だったら、私にとっても守里君は大切な人だから。


守里: そっか。良かった笑



なんか変な感じがするけど…



美月: 笑、あのさ、今度から守里君のこと呼び捨てで呼んでもいいかな?


守里: え?もちろん良いよ。


美月: やった!改めてよろしくね、守里。


守里: ?うん。よろしく美月。


ギュッ



再び、美月は守里に抱きつく。



守里: え?ちょっと美月?!!


美月: 良いじゃん!大切な人なんだから!!!


守里: えーー



コンコン


結真姉さんか?



守里: 美月、結真姉さん来たから、離れてよ!


美月: いーやだーー!どうぞーーー!!


守里: ちょっと、美月!!



ガラガラ



結真: おはようって、2人とも何やってるの?


守里: いや、その、なんというか…


美月: 何って、抱きついてるのよ!守里に!!


蓮花: あ!!美月お姉ちゃんずるい!!!



扉から顔を覗かせた蓮花が走り出し、守里に飛びつく。



ギュッ


守里: れ、蓮花まで~


桜: …


守里: 結真姉さん助けて~


結真: はぁ…美月、蓮花、2人とも守里から離れなさい。


美月 蓮花: はーい。



美月と蓮花が、守里から離れる。



守里: 助かったよ、結真姉さん。


結真: もう、どういうことなの?


美月: …大切な家族なんだから、別に良いでしょ?蓮花も毎日のように抱きついてるんだし。


結真: 美月……笑、なら許すわ。


守里: え?


美月: やった!!お姉ちゃんの許可も得たし、これから守里とたくさんイチャイチャしよ!!


守里: イチャイチャって…


結真: 笑、家族としてのスキンシップね。


美月: 分かってるって!ね、良いよね?!守里!!


守里: …うん。



もういいや、なんか疲れた…


にしても、本当の美月はこんな感じだったのか…

末っ子の蓮花と同じタイプ。



蓮花: なら、蓮花もスキンシップいっぱいする!!


桜: …さくもするもん…


結真: もちろん私もだけど笑


守里: えーーーーーーーー


結真: じゃあ、時間もないし、学校まで送ってくから、乗って。


守里 美月 桜 蓮花: はーい。



こうして、守里と美月は退院し、自宅へと戻った。


ちなみに、根川秀人の携帯は、美月と桜、蓮花が楽しく話している間に、守里の手から結真に渡された。


そして、ギリギリだが、学校に間に合いそうだったため、登校することとなった。


◇◇◇


守里の家



蓮花: 学校休みたかったな~1日中、お兄ちゃんと過ごせると思ったのに~


美月: 何言ってるの?たとえ学校を休んでも、守里を蓮花の独り占めにさせるわけないじゃない!


蓮花: ムー!!


結真: もういいから、早く乗って。間に合わなくなるよ。


守里: そうだよ、2人とも。学校行こ。


美月 蓮花: はーい!


桜: (さくだって…)


守里: 何してるの?桜。桜も早く。



そう言って、守里は桜の方に手を伸ばす。



桜: うん!



桜は守里の手を握り、車の中へ。



結真: 全員乗ったね?じゃあ、しゅっぱーーつ!!


美月 蓮花: いぇーい!!!




その後、蓮花を能中前で降ろし、能高へと向かう。



美月: いつもあんな感じなの?



美月は、先程の、蓮花が守里と離れたくないと駄々をこねる様子を思い出しながら言う。



守里: いや、いつも以上だった。


桜: 多分、お姉ちゃんがお兄ちゃんにくっつくようになったからじゃない?


美月: ふ~ん。


結真: 守里はこれから大変ね笑


守里: なんで?


結真: 蓮花に加えて、美月まで甘えてくるようになったからよ笑


桜: …さくも甘えるもん。


美月: 守里、大変?



美月が大きな目を見開いて聞いてくる。



守里: 全然大変じゃないよ笑。こんなに可愛い妹達に甘えてもらえるんだからね笑


桜: ///(可愛い…)


美月: もう、守里大好き!!


結真: 笑、まったく笑


守里: でも、学校では抱きつくとかやめて欲しいかな。


美月: そのぐらい弁えてるよ笑、2人だけの時にね。


桜: ってことは、お姉ちゃんは学校でもお姉ちゃんってことで良いの?


美月: もちろん、OK。一緒に学校行こ。


桜: やった!



桜も蓮花も、お姉ちゃんのことが大好きなんだな。



守里: じゃあ、もう美月が家族だってことは言っても良いんだね。


美月: うん…


桜: ならさ、お姉ちゃんも、お昼ご飯一緒に食べようよ。


守里: そうだね。どう?美月。


美月: 食べる、食べる!


結真: そろそろ学校だよ。



そして守里達は学校についた。


◇◇◇


教室


ガラガラ



守里: おはよう。


美月: おはよう!


「!!!!」



美月が元気よく挨拶したことに、クラス中が驚く。



春時: おはよう、遅かったな、守里。で、色々と聞きたいんだが。


守里: うん。あと、日向子、ごめんな。急に1人で行かせちゃって。


日向子: もう!ほんとだよ、守里!


美月: ごめんね、日向子ちゃん。


日向子: 全然良いよ!美月ちゃん!!!


飛香: 美月ちゃん?そんな仲良かったっけ?


日向子: うん。毎朝話してるしね。


美月: だね。


春時: 毎朝話してるってどういうことだよ。


日向子: これって、もう言っていい感じ?


守里: うん。ごめんな、これまで黙っといてもらって。


美月: 良いよ、日向子ちゃん。


日向子: やった!!なんとね、美月ちゃんもね!守里の家族なんだ!!!


「え!!!!」



再びクラス中が驚く。



飛香: は?


春時: まじかよ。


守里: うん、マジ。


美月: ってことで、改めてよろしくね!



こうして、美月にとって、これまでとは違った学校が始まった。


◇◇◇◇


昼休み



守里: じゃあ、昼ご飯食べに行くか。


春時: おう!ってか、まさか美月さんまで、守里の家族だなんてな。


飛香: ほんと、なんで黙ってたの?


守里: まぁ色々とあって。


飛香: 昨日までの守里の悩みに関係してたのね。それが解決したから、美月さんも表立って家族だって言うようになったのかな。


守里: そういうこと。


日向子: 私はずっと知ってたけどね!!


春時: そんなことで威張るなよ笑


日向子: エッヘン!!


美月: 笑、みんなと一緒にいると楽しいな~


飛香: それは良かった。


春時: 俺も美月さんと友達になれて嬉しいぜ!!


飛香: だね。


日向子: 私はずっと友達だけどね!!


春時: だから威張るなよ笑


美月: え、私、友達でいいの?


飛香: もちろんでしょ笑


春時: 一緒にいてお互いに楽しいんなら、もう友達だって!


日向子: 美月ちゃんは私達の友達だ!!!


美月: …ありがとう!


守里: 笑



良かったな、美月。

日向子達なら、安心できる。



美月: よっし!みんな私のことは呼び捨てで呼んでいいからね!!友達だから!!


飛香: 分かったよ笑、美月。


春時: よろしく、美月。


日向子: 美月ちゃん!!!!


守里: ほら、みんな、早く中庭に…



ピンポンパポン



「2年1組森崎守里君、至急生徒会室に来てください。繰り返します…」


守里: 嘘だろ…


春時: …頑張ってこい、守里。


飛香: みんなで食べとくね!


美月: え~~守里と一緒に食べたかった!!


守里: しょうがないよ、美月。日向子、頼んだぞ。


日向子: はいはーい!美月ちゃん!!一緒に行こ!!


美月: 分かった。またね!守里!!!


日向子: 守里、頑張ってね!!!


守里: うん、みんなまた…



そうして、守里以外は購買へと向かった。



守里: はぁ…行くか。


これから何が起こるのかという不安を抱え、ため息をつきつつ、守里は生徒会室に向かって歩き始めた。




to be continued


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