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第3章 美月編
第52話「心の解放」
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森田が出て行った後の病室で、守里は結真に状況を伝えるために、連絡を取る。
プルルル
ピ
守里 T: もしも…
結真 T: 守里?!!!!
守里 T: うわっ!!結真姉さん。
結真 T: 今どこにいるの?!!!!
守里 T: ちょ、落ち着いて!
結真 T: ふぅ…1つだけ聞かせて…何も問題はないのね?
守里 T: うん。一応無事だよ。
結真 T: はぁ~よかった。心配してたのよ、全然連絡つかないから、守里と美月に…って、美月知らない?!
守里 T: 美月なら、隣にいるよ。
結真 T: え?美月が隣にいるの?
守里 T: うん。美月も無事?かな。
結真 T: ホッ、そうなのね…良かったわ…「え、お兄ちゃんなの?!!」ちょ、蓮花。
蓮花 T: お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!
守里: っ!!!
あまりの声の大きさに携帯を耳から離す守里。
美月: っ!!
守里 T: れ、蓮花?
蓮花 T: お兄ちゃん!!どこにいるの?!!!蓮花心配してたんだよ!!!
守里 T: ごめんね。それなんだけど、今僕、伊衛能病院にいるんだ。
蓮花 T: え?伊衛能病院?!「病院?!!!!!」
結真 T: 病院ってどういうことなの?!!守里!!!
守里 T: ま、まぁそこら辺もちゃんと説明するから、病院まで来てもらってもいいかな?
結真 T: もちろんよ!!!気になることがありすぎるんだから!!!
蓮花 T: 待っててね!!お兄ちゃん!!!すぐに行くから!!!
桜 T: さくも行くね。
守里 T: うん、待ってるよ。じゃ。
ピ
守里: はぁ…
美月: 大変ね。
守里: さっきの蓮花の大声で起きたのかな、美月。
美月: うん…
守里: それで、大丈夫?
美月: 守里君のおかげで問題ないみたい。
守里: 覚えてるんだ。
美月: 守里君が、あそこに来てくれたところまではね…
守里: そっか………ごめん。
美月: …なんで…
守里: え?
美月: なんで守里君が謝るの?!守里君は何も悪くないじゃない!!全部私のせい!!全部私が弱いから!!
美月が押さえ込んでいた感情が溢れ出す。
守里: …それは違うよ。
美月: 何が!!!中学の時も私が弱いから、いじめられて!!今回も私が弱いから…弱かったから…こんなになっちゃったんだよ?全部、私の自業自得なの!!
守里: 違う…
美月: 違うって…私のせいで守里君までそんなになって…
守里はベッドから降り、美月の真横に立つ。
守里: 違うよ…美月は弱くない。美月は強いんだよ!!
美月: っ!!
守里: 美月は家族に負担をかけないためにって、ずっと、いじめに1人で耐え続けて。それに人が怖くなっても、人を信じられなくなっても、家族に心配をかけないようにって、また学校に通い始めたんでしょ!!!そんな美月が弱いわけない!!!僕なんかよりも強い!!!
美月: そんな…
守里: 今回の件もそうだ、美月は僕達を巻き込まないためにって、ずっと黙ってたんでしょ。あの時も助けは必要ないって言ったんでしょ。
美月: …
守里: 美月は強いんだ!そして、誰よりも優しいんだよ!!!周りのために、家族のために自分を犠牲にするぐらいに!
美月: …
守里の真っ直ぐな言葉に、美月は俯く。
守里: でもね、美月の強さや優しさは、凄いなって思うけど、それで美月が傷つくのは嫌なんだよ。だって、もう美月は…
美月: …
守里: 僕の大切な人なんだ。
美月: え?…
守里: だから、もっと僕を頼ってくれ!僕に美月を守らせてくれ!!僕が絶対に美月を守るから!!!傷つけさせないから!!!
美月: 守里君…
守里は美月を見る。
守里: もう、1人で戦う必要は無いんだよ。無理しないでいいんだよ。安心していいんだよ。
そして、笑いかける。
美月: …グスン…
美月の中で、なにかが壊れた。
美月: ありがとう…
ギュッ
守里: うわっ!
美月が守里に抱きつく。
守里: …よく頑張ったね…ナデナデ
美月の泣き声が病室に響く。
その間、守里は美月を暖かく受け止め続けた。
◇◇◇
ガラガラ
結真: 守里!!
守里: シーー
結真: え?
守里は自分の隣にあるベッドの上を指さす。
守里: ちょっと疲れて寝ちゃったから、静かにね。
うっすらと笑顔を浮かべて、気持ちよさそうに眠る美月を見て、結真も笑顔になる。
結真: 笑、分かった。
守里: 桜と蓮花は?
結真: さすがに夜遅いし、連れてこなかった。2人とも駄々こねて、お留守番させるの大変だったのよ笑
守里: そっか笑
結真: それで、色々と説明して貰おうかしら。まぁ美月がこんな笑顔で寝てるんなら、良いことを聞けそうだけど。
守里: 笑、そうだね。まず結果から言うと、美月を守ることができたかな。
結真: そう…なのね…良かった。
結真はこの一言を聞き、心の底から安堵した。
そして守里は、結真に今日あったことを説明した。
美月が誘拐されたこと。
秀人の美月への脅迫内容。
秀人と雄斗の目的。
美月を助け出したこと。
結真: なるほどね…
守里: うん。でも根川秀人は取り逃したから、あとは任せてもいい?
結真: もちろん、任せて。
そう言って結真は電話をかける。
プルルル
ピ
結真 T: もしもし?
?? T: 結真どうした?
結真 T: 根川秀人の確保を頼んでいい?
?? T: ってことは、守里君は上手くやったのか。
結真 T: え?うん、まぁそうみたいよ。
?? T: 分かった。こっちで捕まえとくから。
結真 T: よろしくね。次は私達が頑張る番だよ。
?? T: そうだね。じゃ。
結真 T: じゃあね。
ピ
結真: これで、根川秀人は大丈夫だと思う。
守里: 電話の相手は誰だったの?
結真: 奈々未。
守里: あぁ…
結真: ななみんが苦手みたいね笑
守里: だってあの人、心を読んでくるんだよ。
結真: ななみんは人をよく見てるから笑、でも頼りになる。
守里: だよね…
結真: それで、守里。1番大事なことを話してないみたいだけど…
守里: え?大体のことは話したと思うんだけどな…
結真: どうやって美月を助け出したのかってことよ。守里が話したことからして、結構危険な状況だったんでしょ?
守里: ま、まぁそうだね。
結真: まさか1人で美月を助け出したとは、言わないだろうからねぇ…
そう言って結真は守里の目を見る。
どうしよ。
上手いこと、説明では省けたって思ったんだけど…
防衛団のことは、話すわけにはいかないしな。
かと言って、僕1人でっていうのも無理があるだろうし…
答えないっていうのも、許してくれなさそう。
うーん、協力者ってので押し通すのはどうだ?
いいかも…
守里: 協力者に手伝って貰ったんだ。
結真: 協力者?
守里: う、うん。美月が攫われた後、すぐに合流してね。一緒に助けに行ったんだ。
結真: へぇ。
守里: それで、その協力者が、根川雄斗とか、その他の奴らも倒してくれて、美月を無事助けることができたの。
結真: ふーん、じゃあ、その協力者ってのは誰なのかしら?
守里: そ、それは、向こうが黙っといてくれって言ってね、教えられないんだよ。
結真: …
守里: …
これで押し通せるか?
結真: ま、分かったわ。今はそれで納得してあげる笑
守里: そ、そっか…
はぁ…良かった。
今のところは大丈夫そうだ…
でも、また誤魔化し方を考えとかないと…
いっその事、結真姉さんには、防衛団のこと話してもいいと思うけどな…
結真: それで、今後のことなんだけど…
守里: 結構予定変わっちゃったと思うんだけど、大丈夫そう?
結真: 笑、大丈夫よ。もう証拠は集まってるから。
守里: 証拠といえば、根川秀人の携帯を拾ってる。
結真: なら、それ、私に渡してくれる?
守里: うん、明日渡すね。
結真: じゃあ、根川秀人を捕まえ次第、動きましょうか。
守里: よろしく。
結真: でも、1つだけ懸念点があるんだ。
守里: なに?
結真: 根川秀人の両親よ。
守里: あぁ、なるほど。
結真: 調べた感じ、父は秀人と雄斗の悪行に気づいてないし、母に至っては、2人からかなり酷い扱いを受けてたみたいなの。
守里: …そうか。
結真: だから、事情の説明もしないとだし、色々とね。
守里: じゃあ、それは僕の方に任せてよ。こっちで何とかしとくから。
結真: …また例の協力者さんに頼むのかしら?
守里: 笑、まぁね。両親の方は上手くやっとくから、秀人の方は頼んだよ。
結真: うん。
その後…
結真: よし、桜と蓮花を家で待たせたままだから、帰るね。
守里: 明日には退院できるっぽい。
結真: なら、朝に迎えに来る。
守里: うん。じゃあね。
結真: じゃあね。
ガラガラ
守里: よし、今のうちに森田さんに電話しとこ。
守里は、森田に明日の朝、根川秀人の携帯を持ってきて欲しいことと、根川の両親への対応をお願いした。
そして、守里はベッドに入る。
今日は疲れたな。
こんな大変で長かった1日は始めてだよ。
でも美月を守れて良かった。
にしても、あの美月を助けた時の感じは、なんだったんだろ。
自分の中で、何かが外れて、体の中から何かが溢れてきた感じ…
初めての感覚だったはずなんだけど、どこか懐かしい感じがしたんだよな。
まぁいいか、寝よ。
ってか、僕もう既に、結構寝たっぽいけど寝れるかな?
と守里は考えていたが、その後すぐに、深い眠りについた。
◇◇◇◇◇
翌日
早朝
守里: おはようございます。森田さん。
森田: おはようございます、坊ちゃん。もう動いても平気ですか?
守里: 昨日から別に痛みはなかったんで、動けましたよ笑
森田: そうですか、さすがですね笑
守里: それで、例のものなんですけど…
森田: はい、こちらです。
そう言って、森田は鞄から箱を取り出す。
森田: 一応、組織に繋がるものがないか確認した後、元の状態に戻しておきましたから。問題ないと思います。
守里: ありがとうございます。それで、何か見つかりましたか?
森田: 携帯からは特に見つかりませんでしたが、捕まえた奴らは、良い情報を吐いてくれましたよ。
守里: 笑、そうですか。
森田: あと、根川秀人の両親についてなんですけど、防衛団の方で色々とやっておきました。
守里: 具体的には?
森田: はい、両親には既に事情を説明しました。それで事が済んだ後には、母は地方にいる父の元へ引っ越す手筈になっています。
守里: もちろん、引っ越し金は…
森田: 防衛団が出します。加えて、いくらか渡しています。
守里: それなら大丈夫そうですね。色々とありがとうございます。
森田: いえ、坊ちゃんの頼みですし、言わば、我々の敵の被害者ですから。
守里: 確かに、そうなりますね。
森田: そういえば、敵組織の名前が判明しましたよ。
守里: 今回吐かせた情報ですか。
森田: はい。
守里: それで、その名前は?
森田: 「アンチ」というそうです。
守里: アンチですか…最近暴力事件を起こしてるのも、そのアンチってことで良いんですよね。
森田: まぁアンチというか、アンチの構成員とうちの団員が戦ってるところを、たまたま目撃されたって感じです。
守里: なるほど、だから警察が来る頃には、いなくなってたんですか。
森田: こちらも向こうも、警察に捕まるわけにはいきませんから。
守里: でも、防衛団は警察と協力関係にあるんでしょ?だったら、問題ないんじゃ?
森田: 確かにそうですけど、防衛団の存在は世間一般には知られていませんからね。知られるわけにもいかないですし、捕まっちゃうと色々と面倒なんですよ。
守里: なるほど…
森田: それが分かってるから、警察も別にうちの団員を追うことはないんです。
守里: へぇ…
森田: と、話しすぎましたね。そろそろ結真さんも着く頃でしょうから、私はこの辺で。
守里: ええ、本当にありがとうございました。
森田: いえいえ、ではまた。
そう言って森田は去っていった。
to be continued
プルルル
ピ
守里 T: もしも…
結真 T: 守里?!!!!
守里 T: うわっ!!結真姉さん。
結真 T: 今どこにいるの?!!!!
守里 T: ちょ、落ち着いて!
結真 T: ふぅ…1つだけ聞かせて…何も問題はないのね?
守里 T: うん。一応無事だよ。
結真 T: はぁ~よかった。心配してたのよ、全然連絡つかないから、守里と美月に…って、美月知らない?!
守里 T: 美月なら、隣にいるよ。
結真 T: え?美月が隣にいるの?
守里 T: うん。美月も無事?かな。
結真 T: ホッ、そうなのね…良かったわ…「え、お兄ちゃんなの?!!」ちょ、蓮花。
蓮花 T: お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!
守里: っ!!!
あまりの声の大きさに携帯を耳から離す守里。
美月: っ!!
守里 T: れ、蓮花?
蓮花 T: お兄ちゃん!!どこにいるの?!!!蓮花心配してたんだよ!!!
守里 T: ごめんね。それなんだけど、今僕、伊衛能病院にいるんだ。
蓮花 T: え?伊衛能病院?!「病院?!!!!!」
結真 T: 病院ってどういうことなの?!!守里!!!
守里 T: ま、まぁそこら辺もちゃんと説明するから、病院まで来てもらってもいいかな?
結真 T: もちろんよ!!!気になることがありすぎるんだから!!!
蓮花 T: 待っててね!!お兄ちゃん!!!すぐに行くから!!!
桜 T: さくも行くね。
守里 T: うん、待ってるよ。じゃ。
ピ
守里: はぁ…
美月: 大変ね。
守里: さっきの蓮花の大声で起きたのかな、美月。
美月: うん…
守里: それで、大丈夫?
美月: 守里君のおかげで問題ないみたい。
守里: 覚えてるんだ。
美月: 守里君が、あそこに来てくれたところまではね…
守里: そっか………ごめん。
美月: …なんで…
守里: え?
美月: なんで守里君が謝るの?!守里君は何も悪くないじゃない!!全部私のせい!!全部私が弱いから!!
美月が押さえ込んでいた感情が溢れ出す。
守里: …それは違うよ。
美月: 何が!!!中学の時も私が弱いから、いじめられて!!今回も私が弱いから…弱かったから…こんなになっちゃったんだよ?全部、私の自業自得なの!!
守里: 違う…
美月: 違うって…私のせいで守里君までそんなになって…
守里はベッドから降り、美月の真横に立つ。
守里: 違うよ…美月は弱くない。美月は強いんだよ!!
美月: っ!!
守里: 美月は家族に負担をかけないためにって、ずっと、いじめに1人で耐え続けて。それに人が怖くなっても、人を信じられなくなっても、家族に心配をかけないようにって、また学校に通い始めたんでしょ!!!そんな美月が弱いわけない!!!僕なんかよりも強い!!!
美月: そんな…
守里: 今回の件もそうだ、美月は僕達を巻き込まないためにって、ずっと黙ってたんでしょ。あの時も助けは必要ないって言ったんでしょ。
美月: …
守里: 美月は強いんだ!そして、誰よりも優しいんだよ!!!周りのために、家族のために自分を犠牲にするぐらいに!
美月: …
守里の真っ直ぐな言葉に、美月は俯く。
守里: でもね、美月の強さや優しさは、凄いなって思うけど、それで美月が傷つくのは嫌なんだよ。だって、もう美月は…
美月: …
守里: 僕の大切な人なんだ。
美月: え?…
守里: だから、もっと僕を頼ってくれ!僕に美月を守らせてくれ!!僕が絶対に美月を守るから!!!傷つけさせないから!!!
美月: 守里君…
守里は美月を見る。
守里: もう、1人で戦う必要は無いんだよ。無理しないでいいんだよ。安心していいんだよ。
そして、笑いかける。
美月: …グスン…
美月の中で、なにかが壊れた。
美月: ありがとう…
ギュッ
守里: うわっ!
美月が守里に抱きつく。
守里: …よく頑張ったね…ナデナデ
美月の泣き声が病室に響く。
その間、守里は美月を暖かく受け止め続けた。
◇◇◇
ガラガラ
結真: 守里!!
守里: シーー
結真: え?
守里は自分の隣にあるベッドの上を指さす。
守里: ちょっと疲れて寝ちゃったから、静かにね。
うっすらと笑顔を浮かべて、気持ちよさそうに眠る美月を見て、結真も笑顔になる。
結真: 笑、分かった。
守里: 桜と蓮花は?
結真: さすがに夜遅いし、連れてこなかった。2人とも駄々こねて、お留守番させるの大変だったのよ笑
守里: そっか笑
結真: それで、色々と説明して貰おうかしら。まぁ美月がこんな笑顔で寝てるんなら、良いことを聞けそうだけど。
守里: 笑、そうだね。まず結果から言うと、美月を守ることができたかな。
結真: そう…なのね…良かった。
結真はこの一言を聞き、心の底から安堵した。
そして守里は、結真に今日あったことを説明した。
美月が誘拐されたこと。
秀人の美月への脅迫内容。
秀人と雄斗の目的。
美月を助け出したこと。
結真: なるほどね…
守里: うん。でも根川秀人は取り逃したから、あとは任せてもいい?
結真: もちろん、任せて。
そう言って結真は電話をかける。
プルルル
ピ
結真 T: もしもし?
?? T: 結真どうした?
結真 T: 根川秀人の確保を頼んでいい?
?? T: ってことは、守里君は上手くやったのか。
結真 T: え?うん、まぁそうみたいよ。
?? T: 分かった。こっちで捕まえとくから。
結真 T: よろしくね。次は私達が頑張る番だよ。
?? T: そうだね。じゃ。
結真 T: じゃあね。
ピ
結真: これで、根川秀人は大丈夫だと思う。
守里: 電話の相手は誰だったの?
結真: 奈々未。
守里: あぁ…
結真: ななみんが苦手みたいね笑
守里: だってあの人、心を読んでくるんだよ。
結真: ななみんは人をよく見てるから笑、でも頼りになる。
守里: だよね…
結真: それで、守里。1番大事なことを話してないみたいだけど…
守里: え?大体のことは話したと思うんだけどな…
結真: どうやって美月を助け出したのかってことよ。守里が話したことからして、結構危険な状況だったんでしょ?
守里: ま、まぁそうだね。
結真: まさか1人で美月を助け出したとは、言わないだろうからねぇ…
そう言って結真は守里の目を見る。
どうしよ。
上手いこと、説明では省けたって思ったんだけど…
防衛団のことは、話すわけにはいかないしな。
かと言って、僕1人でっていうのも無理があるだろうし…
答えないっていうのも、許してくれなさそう。
うーん、協力者ってので押し通すのはどうだ?
いいかも…
守里: 協力者に手伝って貰ったんだ。
結真: 協力者?
守里: う、うん。美月が攫われた後、すぐに合流してね。一緒に助けに行ったんだ。
結真: へぇ。
守里: それで、その協力者が、根川雄斗とか、その他の奴らも倒してくれて、美月を無事助けることができたの。
結真: ふーん、じゃあ、その協力者ってのは誰なのかしら?
守里: そ、それは、向こうが黙っといてくれって言ってね、教えられないんだよ。
結真: …
守里: …
これで押し通せるか?
結真: ま、分かったわ。今はそれで納得してあげる笑
守里: そ、そっか…
はぁ…良かった。
今のところは大丈夫そうだ…
でも、また誤魔化し方を考えとかないと…
いっその事、結真姉さんには、防衛団のこと話してもいいと思うけどな…
結真: それで、今後のことなんだけど…
守里: 結構予定変わっちゃったと思うんだけど、大丈夫そう?
結真: 笑、大丈夫よ。もう証拠は集まってるから。
守里: 証拠といえば、根川秀人の携帯を拾ってる。
結真: なら、それ、私に渡してくれる?
守里: うん、明日渡すね。
結真: じゃあ、根川秀人を捕まえ次第、動きましょうか。
守里: よろしく。
結真: でも、1つだけ懸念点があるんだ。
守里: なに?
結真: 根川秀人の両親よ。
守里: あぁ、なるほど。
結真: 調べた感じ、父は秀人と雄斗の悪行に気づいてないし、母に至っては、2人からかなり酷い扱いを受けてたみたいなの。
守里: …そうか。
結真: だから、事情の説明もしないとだし、色々とね。
守里: じゃあ、それは僕の方に任せてよ。こっちで何とかしとくから。
結真: …また例の協力者さんに頼むのかしら?
守里: 笑、まぁね。両親の方は上手くやっとくから、秀人の方は頼んだよ。
結真: うん。
その後…
結真: よし、桜と蓮花を家で待たせたままだから、帰るね。
守里: 明日には退院できるっぽい。
結真: なら、朝に迎えに来る。
守里: うん。じゃあね。
結真: じゃあね。
ガラガラ
守里: よし、今のうちに森田さんに電話しとこ。
守里は、森田に明日の朝、根川秀人の携帯を持ってきて欲しいことと、根川の両親への対応をお願いした。
そして、守里はベッドに入る。
今日は疲れたな。
こんな大変で長かった1日は始めてだよ。
でも美月を守れて良かった。
にしても、あの美月を助けた時の感じは、なんだったんだろ。
自分の中で、何かが外れて、体の中から何かが溢れてきた感じ…
初めての感覚だったはずなんだけど、どこか懐かしい感じがしたんだよな。
まぁいいか、寝よ。
ってか、僕もう既に、結構寝たっぽいけど寝れるかな?
と守里は考えていたが、その後すぐに、深い眠りについた。
◇◇◇◇◇
翌日
早朝
守里: おはようございます。森田さん。
森田: おはようございます、坊ちゃん。もう動いても平気ですか?
守里: 昨日から別に痛みはなかったんで、動けましたよ笑
森田: そうですか、さすがですね笑
守里: それで、例のものなんですけど…
森田: はい、こちらです。
そう言って、森田は鞄から箱を取り出す。
森田: 一応、組織に繋がるものがないか確認した後、元の状態に戻しておきましたから。問題ないと思います。
守里: ありがとうございます。それで、何か見つかりましたか?
森田: 携帯からは特に見つかりませんでしたが、捕まえた奴らは、良い情報を吐いてくれましたよ。
守里: 笑、そうですか。
森田: あと、根川秀人の両親についてなんですけど、防衛団の方で色々とやっておきました。
守里: 具体的には?
森田: はい、両親には既に事情を説明しました。それで事が済んだ後には、母は地方にいる父の元へ引っ越す手筈になっています。
守里: もちろん、引っ越し金は…
森田: 防衛団が出します。加えて、いくらか渡しています。
守里: それなら大丈夫そうですね。色々とありがとうございます。
森田: いえ、坊ちゃんの頼みですし、言わば、我々の敵の被害者ですから。
守里: 確かに、そうなりますね。
森田: そういえば、敵組織の名前が判明しましたよ。
守里: 今回吐かせた情報ですか。
森田: はい。
守里: それで、その名前は?
森田: 「アンチ」というそうです。
守里: アンチですか…最近暴力事件を起こしてるのも、そのアンチってことで良いんですよね。
森田: まぁアンチというか、アンチの構成員とうちの団員が戦ってるところを、たまたま目撃されたって感じです。
守里: なるほど、だから警察が来る頃には、いなくなってたんですか。
森田: こちらも向こうも、警察に捕まるわけにはいきませんから。
守里: でも、防衛団は警察と協力関係にあるんでしょ?だったら、問題ないんじゃ?
森田: 確かにそうですけど、防衛団の存在は世間一般には知られていませんからね。知られるわけにもいかないですし、捕まっちゃうと色々と面倒なんですよ。
守里: なるほど…
森田: それが分かってるから、警察も別にうちの団員を追うことはないんです。
守里: へぇ…
森田: と、話しすぎましたね。そろそろ結真さんも着く頃でしょうから、私はこの辺で。
守里: ええ、本当にありがとうございました。
森田: いえいえ、ではまた。
そう言って森田は去っていった。
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2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
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この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
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