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第3章 美月編

第49話「誘拐」

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放課後


カフェBINGO!



守里: 店長、抹茶パフェと三色団子お願いします!


店長: はーい。


奈々未: 珠美ちゃん、これよろしく。


珠美: 了解です!!!



昼休みに、生徒会から根川の情報をもらった守里は、その後、特に動くことなく、学校を終えバイトに来ていた。



守里: 奈々未さん、今日は珍しくお客さんが来ますね。


奈々未: そうね、ちょっとは知られるようになったのかしら?


守里: かもしれないです笑


奈々未: 嬉しいのか嬉しくないのか分からないわ笑


守里: 確かに…


店長: いや、嬉しいことだからね。はい、森崎君。抹茶パフェと三色団子。よろしく。


守里: はい。



守里はテーブルに持っていく。



守里: ご注文の抹茶パフェと三色団子です。ごゆっくりどうぞ。


珠美: 店長!!どら焼きと緑茶お願いします!!


店長: は~い。



ガチャ



奈々未: いらっしゃいませ。何名様ですか?


「2人です。」


奈々未: お好きな席へどうぞ。


店長: 中村さん、よろしく!


珠美: はーい!!


守里: 珠美転けんなよ。


珠美: もう!先輩!!珠美はそんなドジしないです!!


店長: とか言いながら、一昨日転んでたけどね笑。何も壊さなかったけど。


守里: やっぱりですか。


店長: そういえば、その日は珍しく、橘さんが転びかけたみたいなんだ。


守里: え?笑


店長: 森崎君、顔が笑ってるよ。


守里: おっとっと危ない。それで、本当ですか?


店長: うん、実際に見たわけじゃないんだけど、橘さんが「転びそうになって」って言ってたんだ。


守里: へぇ…



奈々未さんをイジれそうな情報ゲット!!



守里: ありがとうございます!!店長。


店長: いえ…い…え…いや、なんでもない。


守里: 店長?


奈々未: 守里君。


守里: え?


奈々未: そんなので私をイジろうとするなんて、ひどいな~


守里: ま、まさか、そんなことするわけ、ないじゃないですか!!


奈々未: …ふーん。それで、最近の悩みは解決できそうなの?


守里: え?


奈々未: 笑、何?バレてないとでも思ってたの?



嘘でしょ…

結真姉さん、日向子達に続いて、奈々未さんにも気づかれてたの…



奈々未: そうだよ。



僕って顔とか態度に出やすいのかな…



奈々未: うん。凄い分かりやすい笑



そっか…



守里: ってか、ナチュラルに心を読むのやめてください!!


奈々未: だから、読んでないって。で、質問の答えは?


守里: はぁ…解決できそうかと言われると、分からないですが、確実に解決に近づいてはいると思います。それに絶対に解決させますから。


奈々未: そう。それなら良いのよ。頑張ってね。


守里: ?…はい。




そして時間が経ち…


17時頃



店長: 森崎君、お皿洗っといて~


守里: 分かりました。


奈々未: 一旦落ち着いたわね。珠美ちゃん、お店の前の掃除に行ってくれる?


珠美: はい!!!



ガチャ


奈々未に言われて、鼻歌を歌いながら、店の前の道を箒で掃く珠美。



珠美: フフフフフンフフーン笑フフフフフンフフーン笑フフフンフンフフーンってあれ?



人通りのある中、1人、立ち止まり、じっと携帯を眺めている人物を見つける。



珠美: あれって、美月先輩じゃ?


美月: …



昨日、秀人に言われた集合場所まで来た美月は、秀人が来るのを待っていた。



美月: (もう17時は回ってるんだけどな…)


珠美: 何やってるんだろう、話しかけてみようかな?



と、珠美が美月に近づこうとしたところで…


ブルルルル


黒い車が、美月の目の前に止まる。

すると車のドアが開き…



美月: え?


秀人: やぁ美月ちゃん、ごめんね。


美月: キャッ…ムー



秀人の後ろから出てきた男に美月は口を塞がれ、車の中に無理やり連れ込まれる。



珠美: え?


秀人: ちょっと大人しくしといてね。出発しろ。



秀人も車に乗り込み、その車が動き出す。



珠美: え…ど、ど、どういうこと?



あまりの速さに、珠美は何が起こったのか、いまいち把握出来ていなかった。



珠美: 今のって、美月先輩もしかして連れ去られた?ってヤバいじゃん!!!



状況を理解した珠美は、掃除道具を放り出し、大急ぎで店内に戻る。


ガチャ!!



奈々未: ちょっと珠美ちゃんどうしたの?


珠美: 守里先輩!!!!大ピンチかもしれません!!!


奈々未: え?


守里: どうしたの?珠美。


珠美: 美月先輩が!!!


守里: っ!!!美月がどうした!!


奈々未: 2人とも!お客さんいるんだから、とにかく裏に行きなさい!!


守里: そ、そうですね。失礼します。珠美も早く!!


珠美: は、はい!!



珠美を連れて更衣室に入った守里。



守里: それで美月がどうしたんだ。珠美。


珠美: そ、それが、美月先輩が連れ去られたみたいなんです!


守里: はぁ?ちょっ、もっと詳しく話してくれ!



そうして珠美は、美月が連れ去られた状況を守里に詳しく話す。



珠美: って感じです。


守里: クソ!遅かったか!!それで珠美!車のナンバーは分かるか?!


珠美: はい!ナンバーはーーーーです!!


守里: 分かった!!ありがとな!珠美!!



すぐさま更衣室を出る。



守里: すいません、店長!!抜けます!!


店長: はーい。


奈々未: 守里君!


守里: ?


奈々未: しっかり。


守里: はい!



そして守里は、カフェを出て、携帯を取り出す。


ブーブー

ピ



守里 T: 森田さん!!


森田 T: 坊ちゃん、どうされましたか?


守里 T: 緊急事態です。美月が攫われました!


森田 T: っ!マジっすか!!


守里 T: はい!今、バイトの後輩が、美月が黒い車で攫われたところを見たそうです!


森田 T: その車のナンバーは?


守里 T: ーーーーです!!


森田 T: すぐに捜索させます!坊ちゃんはバイトを出たところですよね?!


守里 T: はい!


森田 T: なら、そこに行くんで、合流しましょう!


守里 T: 了解です!



ピ


さすがに想定が甘かったか…


根川雄斗の情報を得た時点で、こういう状況になる可能性を考えるべきだった。

もし、秀人1人で美月を脅すことを計画したんじゃなく、雄斗の助言があった、もしくは、雄斗自身が指示を出していた場合、ただ付き合う為だけに脅しを使うわけが無い。

それに既に体育祭、つまり秀人が計画を開始した時から、2週間が経ってる。


もう状況が大きく動いてもおかしくない。


ってことは、多分、秀人の目的は、美月を誘拐した上で美月に何かすることだったんだ。


なら、美月に危害が加えられる前に、美月を助けないと!


守里が、焦りつつも、自身のやるべき事を、再確認したところで…


ブルルルル



森田: 坊ちゃん!乗ってください!!


守里: 森田さん!!



ガチャ



守里: それで、状況は。


矢口: 今のところ見つかってないっす。捜索しているんですが、上手いこと避けられてるみたいっす。


守里: そうですか…


森田: 見つかった瞬間、すぐに向かいますから。


守里: お願いします。


森田: 今の内に、情報の共有と整理をしましょうか。



そうして、守里達は情報を共有し始める。



矢口: なるほどっすね。確かに有り得そうです。


森田: 根川雄斗は、敵組織の中でもよく暴れてる方ですからね。


守里: 2人も知ってた感じですか。


森田: はい、たまにうちの奴らと接触してます。


矢口: あいつは逃げ足が早くて、中々捕まらないんすよ。それに中位ですから。


守里: 中位?


森田: あぁ、敵組織はどうやら、下位、中位、上位で構成員が分かれてるみたいなんです。


守里: へぇ…


矢口: 基準は喧嘩の強さだったり、賢さだったり様々みたいっすよ。


守里: ってことは、根川雄斗は中々に厄介ってことですか。


森田: そうです。


矢口: にしても、まだ分からないことがあるっす。


守里: 美月への脅迫内容と、根川秀人、雄斗の目的ですね。


森田: まぁ、あとは、美月さんが連れ去られた場所ですけど……っ!見つけたみたいです!!


守里: え?!


森田: 今、連絡が来ました!例の、美月さんを連れ去った黒い車を見つけたそうです!


守里: 場所は!


森田: 町外れにある工場群跡地です!


守里: 美月は発見したんですか?!


森田: いえ、車は乗り捨ててあったらしく、今、団員が捜索しています。


守里: 相手にバレないようにしないとですね。


矢口: はい。じゃあ俺達も行くっすよ!!


守里: 大急ぎでお願いします!!


矢口: もちろんっす!



こうして守里達は、美月達のいる場所へと向かった。


◇◇◇


工場群跡地


バタン



守里: ここですか。


森田: まだ美月さんは、発見できてないみたいです。


矢口: 結構広いっすからね。


守里: じゃあ、僕達も探しましょう。


森田: ですね。北側と東側はもう団員が向かってるんで、西側に行きましょう。


守里: 分かりました。



守里は焦りたくなる気持ちを抑え、慎重に捜索を開始した。




to be continued
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