ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第3章 美月編

第48話「生徒会への懇願」

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生徒会室


根川秀人についての情報を集めるため、生徒会室までやって来た守里。


コンコン



「はーい。どうぞ~」


守里: 失礼します。



ガチャ



櫻宮: なんの用ですか?…って守里か。


七星: 守里?


守里: どうも。


中谷: この前の打ち上げぶりだね。


守里: ですね。



生徒会室には、櫻宮と七星、中谷がいた。



七星: どうしたん?一緒にお昼ご飯食べに来たの?笑


守里: 別にそういうわけではないですよ笑


中谷: でも、こんな時間に来たんだから、まだ食べてはないんでしょ?


守里: はい、そうです。


七星: お昼ご飯持ってきたらええのに。


守里: すぐに済ませるつもりだったので。


櫻宮: それで何の用なの?


七星: なな達は、なんも頼んでなかったと思うんやけど。


守里: はい。今回は仕事じゃないです。


中谷: 私用?


守里: そうです。


櫻宮: 笑、私用で生徒会室に来るなんて、役員か委員長達、それと守里ぐらいしかいなさそうだね笑


中谷: 確かに笑


七星: 守里なら問題あらへんけどな。


櫻宮: 私達に聞きたいことでもあるの?


守里: その通りです。


七星: 聞きたいことって何なん?


守里: 根川秀人っていう生徒についてです。


七星: へぇ…


櫻宮: その子って2年5組だよね?


守里: はい、そうです。


中谷: それなら、僕達よりも、同じクラスの人に聞いた方が良いんじゃない?


守里: もう既に聞いてきました。


中谷: なら、それこそ、僕達に聞きに来る必要はなかったんじゃない?同じクラスの人の方が、僕達よりも、知ってることは多いでしょ。


櫻宮: 奏雄、多分守里が聞きたいことは、そんな事じゃないよ。


七星: 同じクラスの人が知り得ないような、根川秀人のパーソナルな部分やろ?


守里: そうです。


七星: ってことで、守里がここに聞きに来るのは妥当ってことや。


中谷: 確かに、生徒会は生徒の個人情報を取り扱ってるし、色んな情報が集まるけど…


櫻宮: まぁ根川君は学校では、あんまり喋らず目立たない子みたいだからね。同じクラスの人が知ってることは少ないと思うし。


守里: やっぱりよく知ってますね。


櫻宮: そりゃあ生徒会長だもん。生徒のことは全部把握してるよ。


守里: なら、根川について知ってることを教えて下さい。


櫻宮: それは、学校の人が知らないようなことを、だよね?


守里: はい。


櫻宮: それなら、教えられないな。


守里: …


櫻宮: 賢い守里なら分かるでしょ。


守里: …はい。でも、それでもお願いします!!



守里は頭を下げる。



中谷: 守里君…


櫻宮: 学校の人が知らない情報となると、さっき七星が言ったように、かなりパーソナルなことになる。そんな個人情報を一生徒に、しかも本人の許可もなく、本人の知らないところで生徒会が話すわけにはいかない。


七星: そんなことをすれば、生徒会の信用はただ崩れやからな~たとえ守里でも、そう易々と話すわけにもいかんのよ。



櫻宮さん達が、僕に情報を渡してくれないことは、分かっていた。


櫻宮さんもなぁちゃんも、普段はああだけど、芯はしっかりしていて、責任感も強い。

だから、生徒会長・副会長を務めている以上、生徒会もしくは、学校が不利になるようなことは絶対にしない。


でも…



守里: お願いします!



再び守里は頼み込む。



櫻宮: そう言っても、ダメなものはダメなの。


中谷: 守里君、これはどうしようもないって。諦めた方がいい。まだ他にも手はあるでしょ?


七星: …


守里: どうか!お願いします!!


櫻宮: 聞きわけが悪いな…強制退去させるわよ。


中谷: 麗華?!


櫻宮: もう、そうするしかないでしょ。守里が諦めてくれないなら。ここでずっと頭下げられるのも迷惑だし。


中谷: 確かにそうだけど……守里君、強制退去させられる前に、自分から出ていかないと!



強制退去というのは、生徒会や先生陣が生徒に与えられる制裁の1つである。

制裁もしくは指導を受けた生徒は罰点が付き、毎朝の清掃や、生徒会選挙への出席禁止、大学推薦を受ける権利の剥奪といった様々な制約を受けることとなる。

また、罰点をもらった生徒は、処分予告が出された場合、会議での検討の上、停学処分、最悪、退学処分となる可能性がある。



守里: それでも、僕は教えてくれるまで、ここを動きません!お願いします!!!


櫻宮: はぁ…


七星: …顔を上げや、守里。


中谷: なぁちゃん?



七星の言う通り顔を上げる守里。



櫻宮: 七星。


七星: 麗華、ななに任せて。


櫻宮: …任せる。



櫻宮が、七星の言葉を聞いて引き下がる。



七星: 守里、それは絶対に必要なことなんか?守里が制裁を受けてまでも、せなあかんことなんか?


守里: はい。


七星: なんの為に必要なんや。


守里: 家族を、大切な人を守るためです。


七星: そうか…



七星は守里の目を見る。



七星: はぁ…守里には敵わんな~


中谷: え?


七星: 教えたるわ、根川秀人についての情報を。


守里: ありがとうございます!


中谷: ちょっとなぁちゃん!何言ってるの?


七星: 何言ってるって、情報を話すって言ってんねや。


中谷: は?それはダメだって…


櫻宮: 奏雄、私は七星に任せたの。その七星が許可を出したんなら、問題ないわ。それに、責任は全部、七星が負うんでしょ?


七星: もちろんや。ありがとうな、麗華。


中谷: はぁ、麗華が言うなら、僕も何も言わないよ。


七星: 奏雄もありがとな。ほら、守里もお礼言っとき。


守里: 皆さんありがとうございます。


中谷: 悪用はダメだよ。


櫻宮: 私達にも少なからず責任が来るんだから、ちゃんと目的を達成してよね。


守里: はい!


七星: じゃ、話すで。まず根川の家族構成なんやけど、奏雄。


中谷: はいはい、えーっと…



中谷がパソコンに向かう。



中谷: 父、母、兄、根川秀人本人の4人家族。父は単身赴任で地方に住んでいて、母、兄、根川秀人の3人でここの近くに住んでるみたい。


七星: せや。でもな、兄は遊び歩いていて、実質母との2人暮らしみたいやで。家の住所は別にええやろ?


守里: はい、大丈夫です。


七星: うん。それでなんやけど、前々から生徒会は根川秀人に注目してたんよ。


守里: え、なんでですか?


櫻宮: 問題は根川秀人の兄、"根川雄斗ねかわ ゆうと"。


守里: 根川の兄ですか…


七星: そうや、兄は遊び歩いてるって言ったやろ。でな、どうやら色々とやらかしてるみたいなんや。


櫻宮: しかもそれだけじゃなくて、最近の暴力事件にも関わってるみたいなの。


守里: 例のここら辺で起こってるやつですか。


櫻宮: うん、若から聞いてると思うけど、その事件はある組織が起こしてる。


守里: はい、聞きました。


七星: で、どうやら根川雄斗はその組織のメンバーみたいなんよ。


守里: …なるほど、だから生徒会も注目してたんですね、その弟の根川秀人に。


七星: そういうことや。


櫻宮: ただでさえ情報がほとんどない組織のメンバーの家族だからね。結構目を光らせてた。


中谷: その結果、さらに根川秀人本人にも問題があることが分かったんだ。


守里: 根川秀人にもですか…


七星: 学校内では根暗な陰キャを演じてるみたいやけど、学校外では兄の名前を使って色々とやってるみたいなんや。


櫻宮: 根川雄斗の名前は、ここら辺のチンピラの中では有名らしくてね。幅をきかせてるみたい。


守里: へぇ…



だから、学校での根川の評価と、僕が実際に会った時の印象が違ったのか。



七星: と、こんぐらいやな、生徒会が掴んでる根川秀人の情報は。どや、守里の求めてたもんやったか?


守里: はい、十分です。ありがとうございました。


七星: 笑、ちゃんと大事なもんは守るんやで。


守里: もちろんです。本気で守ります。


七星: …そっか。楽しみにしとくわ、結果を。


守里: では、失礼します。



ガチャ


◆◆◆


中谷: 僕達も動く?


七星: いや、ええやろ。 


中谷: なんで?できるだけ、守里君の手助けをした方が…


七星: 守里が本気でって言ったんや。なな達はなんもせんでええよ。


櫻宮: そうだね。私達は待っとこう。守里の報告を。


中谷: まぁ2人がそう言うなら。



コンコンコン



櫻宮: ん?守里がなんか聞き忘れたことでもあったかな。はーい。



ガチャ



剣崎: 失礼するよ。


七星: 剣崎先生やないですか。


櫻宮: 先生はなんの用ですか?


剣崎: いや、私が、用があるわけじゃないんだけどね。



そう言って剣崎は扉の方を見る。



剣崎: 1人、ここに入れたい人がいるんだけど…いいかな?


中谷: 外にいるんですか?


剣崎: うん。待ってる。


櫻宮: 別に構わないですよ。


剣崎: じゃあ、入ってきて!



そう剣崎が扉の向こうに言う。



「失礼します。」



ガチャ



櫻宮: っ!!


七星: 久しぶりですね。


中谷: え、あなたは…


??: 久しぶりになるのかな?私は体育祭の時に見てるんだけど。


七星: まぁ私達は見てませんから、久しぶりでいいんやないですか?


??: そうだね。


櫻宮: それで、今日はどんな御用ですか?


??: ちょっと協力してもらいたいことがあって。


櫻宮: 協力ですか…


七星: 今日はそういうのが多いな~


??: 笑、偶然じゃない?


中谷: それはないでしょう。


七星: どうせ先輩も根川絡みでしょ。


??: そうだよ。それで協力してくれるの?


櫻宮: もちろん、協力しますよ。元生徒会長、御三家の頼みですから。


??: あら、懐かしい呼び名ね笑。


七星: さっき弟さんに話したことは、伝えた方が良いですか?


??: うん…ピロン…いや、大丈夫。今、連絡が来たわ。


櫻宮: さすが、仕事が早いですね笑


??: 自慢の弟よ。


中谷: ぜひ生徒会に入れたいです。


??: 本人が望むんなら、勧誘でもなんでもしたら良いわ。


櫻宮: それで、協力というのは具体的には何をすればいいんですか?


??: うん、それはね…



こうしてそれぞれが動き始めた。





to be continued

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