上 下
45 / 306
第3章 美月編

第45話「長女の観察眼は怖いぐらい鋭い」

しおりを挟む
守里の家


風紀委員の見回りから帰ってきた守里と美月。



結真: じゃあ、食べましょうか。


「いただきます。」



全員が、食卓の上に並ぶ料理を食べ始める。



蓮花: おいしい!


結真: 笑、蓮花は、毎度おいしいって言ってくれるから、作りがいがあるわ笑


蓮花: そう?笑、なら、これからもたくさん言ってこ~


桜: え、さくも、お姉ちゃんのご飯おいしいって思ってるよ?


結真: 笑、ありがと。


蓮花: 美月お姉ちゃんも、おいしいって思ってるよね?


美月: 笑、もちろん思ってるよ。



妹達からのおいしいという言葉に、若干ニヤける結真。



結真: そっか、嬉しいな笑


守里: …



しかし、全員揃っての夕食中、結真達姉妹がワイワイと話している中で、守里は1人考え込んでいた。


美月は、助けが必要じゃないって言ってたけど…

やっぱ僕には無理だ。

あんなに怯えて震えていた美月を、放っておくことはできない。


アイツについて、もっと情報を集めないと…

あと、美月があんなに怯えている理由が分からない。


アイツは美月と付き合っているって言っていた。

怯えてたってことは、美月を脅して、無理やり付き合わせている可能性もあるな。

もしそれが事実なら…



「お兄ちゃん」



じゃあ、僕がやるべきことは、根川秀人についての情報収集…



「お兄ちゃん!」



そして、美月が怯えている理由、脅しの内容の特定か…


なら、僕はまずどう動けばいい…



「お兄ちゃん!!」


守里: っ!!


蓮花: お兄ちゃん!!!


守里: ど、どうしたの?蓮花。


蓮花: お兄ちゃんこそどうしたの?!ずっと、ぼーーっとして。


守里: い、いや、なんでもないよ。


蓮花: ほんと?


守里: ほんと、ほんと笑


蓮花: なら、良かった!それでさ!お姉ちゃんのご飯、おいしいよね!!


守里: え、そりゃあもちろん、おいしいよ笑


蓮花: だよね~


結真: 笑、料理上手な守里に言って貰えるのは、本当に嬉しいわ。


蓮花: なんかそれだと、蓮花達が料理上手じゃないみたいじゃん!


結真: え?


蓮花: え?


結真: 蓮花、料理できないでしょ笑


蓮花: そ、そんなことないよ!!ね、桜お姉ちゃん!!


桜: …う、うん…


結真: ほんとにそう思ってるの?桜。


桜: え、いや~


結真: ほら、桜も蓮花が料理できるとは思ってないみたいよ笑


蓮花: ム~、桜お姉ちゃんだって料理できないくせに!!


桜: れ、蓮花!今それ言わなくてもいいでしょ!!


蓮花: 下手したら、桜お姉ちゃんの方が料理できないかもね!!


桜: そ、そんなことないもん!蓮花の方が料理できないもん!絶対に!!


蓮花: なにを~


結真: はいはい笑、2人ともどんぐりの背比べは、そこまでにして笑


守里: 2人とも落ち着いて、ね。 


桜 蓮花: はーい。


結真: っていうか、守里もたまには料理作ったら?私よりも上手なんだし。


守里: いやいや、結真姉さんの方が料理上手だよ。


結真: そうかな~笑


美月: お姉ちゃん笑、満更でもないじゃん笑


結真: へへへ笑


守里: 毎日こんなおいしい料理が食べられるなんて、幸せだね。


蓮花: だね!


結真: もう、そんな褒めないでよ笑


桜: お兄ちゃんは、やっぱり、料理ができる人の方が良い?…///


結真: 笑


美月: 笑


守里: 良いって、まぁそりゃあ、料理ができる方が色々と良くない?


桜: そっか…


結真: じゃあ、桜も料理、勉強しないとだね笑


桜: え!


蓮花: 蓮花もお勉強する!!教えて!お姉ちゃん!!


結真: もちろん良いわよ笑。それで桜はどうするの?


桜: …さくもやる!!


結真: 分かったわ笑、美月は? 


美月: 私はいいかな、もうある程度できるし。


結真: あれ?そうだっけ?


美月: う、うん。


蓮花: 蓮花、美月お姉ちゃんのご飯、食べたことないかも。


美月: そ、そりゃあ、お姉ちゃんがいたからね。私が料理する必要なかったし…


結真: それだと美月が料理できるか、分からないわね笑


美月: …


結真: 本当にできるのかしら?笑


美月: まぁとにかく!私は大丈夫だから!!ごちそうさま!!



そう言って美月は食器を片付けて、そそくさとリビングを出て行った。



結真: あらあら笑


蓮花: お姉ちゃんのご飯も食べてみたいな~


桜: お勉強頑張ろ!


守里: …



守里の視線は、自然とリビングを出て行く美月に注がれていた。



結真: …




しばらくして…



桜: おやすみ~


守里: おやすみ、桜。


結真: おやすみ。



蓮花は既に自分の部屋へと行き、桜もリビングを出て部屋に行った。



守里: 僕も歯磨きして、早く寝ようかな。


結真: あ、ちょっと守里。話したいことがあるんだけど。


守里: ん?何?


結真: 歯磨き終わったら、そこに座って。


守里: うん、分かった。



そして、守里は洗面台へ向かう。


結真姉さん、なんの話なんだろ。

なんか悪いことしたっけ?


守里は、結真が話したいことについて考えながら、歯磨きを終わらせる。



守里: 歯磨き終わったけど…



リビングに戻ると、結真が真剣な表情で、守里が座る予定の席の真正面に座っていた。



結真: じゃあ、ここに座って。


守里: う、うん。



守里はこれまでに見た事のないような、結真の空気に、若干押されていた。



守里: そ、それで何?



席に座りながら聞く。



結真: 単刀直入に聞くわ。


守里: …


結真: 美月に何かあったの?


守里: え?


結真: 何か、私の知らないところで、何かあったんだよね。


守里: …


結真: 私にも教えて。


守里: …なんでそう思うの?


結真: さすがに分かるわよ。体育祭の日から、守里の様子がちょっとおかしいんだもん。


美月じゃなくて、僕を見て、か…


結真: ぼーーっとしてる時も多いし、それに美月に視線がいってる。あと、体育祭の日の夜、美月と何か話していたでしょ?


守里: 聞いてたんだ。


結真: いや、話の内容は分からなかったけど、美月が声を張り上げているのは分かった。


守里: そっか…


結真: その様子じゃ、私の指摘はあってたようね。


守里: …


結真: お願い、私に言って。美月に何があったのか。


守里: …


結真: お願いだから!もうあんなことにはなりたくないの!!



結真が懇願する。


あんなこと?



守里: あんなことって何なの?


結真: あ、いや…


守里: 過去に何かあったの?


結真: はぁ…口滑らせちゃったな。ちょっと感情的になり過ぎちゃった。


守里: それは、美月に関わること?



もし、この結真姉さんが言ってる「あんなこと」っていうのが、美月の過去に関することだったら、今回の件について何か分かるかもしれない。



結真: …ええ、そうよ。


守里: それ、教えて。


結真: ダメ。



さすがに虫が良すぎるか…



結真: 私の一存じゃ話せないわ。美月のプライベートに深く関わることだから。たとえ、家族の守里であってもね。


守里: う~ん…



どうする…


美月に直接聞くか…


いや、距離を取りたがられてる今の状況で、美月が話してくれるとは思えない。



結真: でも、守里が話してくれるなら、私も教えるわ。


守里: え、なんで…


結真: 美月を守るためだもん。私がそれを話すことで、美月を守れるのであれば、私は迷わず話す。


守里: 美月を守るため…


結真: だから、話して。私も美月を守りたいの。家族として…



そりゃあそうか。


家族になりたての僕でさえ、美月を守りたい、救いたいって思ってるんだ。

実の姉妹である結真姉さんが、同じように思わない道理はない。



結真: それに、守里1人で抱え込まないでよ。私達は家族なんだから。


守里: そう、だよね…分かった。話すよ。


結真: ありがとう。


こうして、守里が結真に、美月に最近起こったこと、そして自身の考えを話し始める。




to be continued


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...