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第3章 美月編

第43話「放課後デート」

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約2週間後


日が暮れ始めた頃…



秀人: ねぇ美月ちゃん。さっきのカフェのパンケーキ、美味しかったね。


美月: うん。


秀人: デュフフ、美月ちゃんと、あそこのパンケーキを食べられて幸せだよ。前から一緒に行きたかったんだ~


美月: うん。



美月は、彼氏である根川秀人と放課後デートをしていた。



秀人: そろそろ、美月ちゃんも慣れてきたかな。もう4回目のデートだもんね。どう?


美月: うん…


秀人: そっかそっか。それなら良かった。デュフフ



美月は俯いたまま、秀人と街を歩く。



秀人: 美月ちゃんの好物って何?今度一緒に、食べに行きたくてさ。


美月: …お寿司かな。


秀人: へぇ、好きなネタは?


美月: …えんがわの炙り。


秀人: …へ、へぇ、美味しいよね、えんがわの炙り。(好みが渋い…)



その後も、秀人は美月に質問をし、会話を続けようとするが、美月はあまり喋らない。



秀人: ねぇ、次はあそこのカフェに入らない?



そう言って秀人は、美月の手を握ろうとするが…



美月: っ!!嫌!!!


パシン



美月はその手を振り払う。



秀人: …


美月: そ、その違うの…ごめんなさい!!


秀人: デュフフ、別に良いよ。行こ。



秀人はカフェへと向かう。


美月は、秀人が何もしてこないことに困惑しつつも、秀人の後について行く。


ガチャ



「いらっしゃいませ!!何名様ですか?!!」


秀人: 2人です。


「では、お好きなお席にどうぞ!」



店員が、窓側の席に座った2人に、メニュー表を渡す。



「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください!!」


秀人: はい。


美月: …



秀人は受け取ったメニュー表を開く。



秀人: お、このドーナツ美味しそうだな。美月ちゃんも食べる?



そう言って、秀人は美月に、メニュー表に載っているドーナツの写真を見せる。



美月: 根川君が食べたいなら…


秀人: デュフフ、そっか。なら頼もうかな。あと、飲み物は何がいい?


美月: お茶がいい。


秀人: それなら、緑茶を頼むね。



そして、秀人は店員を呼び、注文をする。



秀人: このドーナツの盛り合わせと、緑茶。それとブラックコーヒーをお願いします。


「はい。では少々お待ちください!!」


秀人: あの店員さん元気があって良いね。


美月: うん。



美月は俯いたまま、会話を続ける。



秀人: もうそろそろ良い時間だから、ここ出たら解散にしようか。


美月: …



美月が外を見ると、もう日が暮れて、街灯に灯りがついていた。



美月: 分かった。



美月は内心ホッとする。



秀人: それで、次のデートなんだけどさ、夜に集まらない?


美月: え…


秀人: いや、これまでのデートは全部、放課後からで、7時ぐらいには解散してたじゃん。だからさ、そろそろ良いんじゃないかな?って。


美月: …


秀人: ねぇ美月ちゃん。良いよね?



秀人の声がどんどん大きくなる。


美月は、秀人の押しに萎縮してしまう。



美月: …


秀人: もう僕達も、17歳なんだよ。夜遊びなんて別に構わないさ。他にも色々とやりたいこともあるし。デュフフフフフ


美月: …


秀人: まぁ、美月ちゃんに拒否権はないんだけどねニタ~


美月: ブルブル



美月は下を向き、顔から色が抜け、体が震え始める。



秀人: 良いよね!!みつ…


バンッ!!!



秀人達の座るテーブルに、勢いよく手が置かれる。



秀人: っ!!な、なんだ!


「すみません。転びそうになってしまって。」


秀人: は、はぁ?


「あ、ご注文のドーナツの盛り合わせと、緑茶とブラックコーヒーです。」



そう言って、店員はテーブルの上に品を置く。



「先程は失礼致しました。ですが、他のお客さんもいらっしゃるので、あまり大きな声で話さないようにお願いします。では。」



店員は秀人達のテーブルから離れる。



秀人: クソ、なんだったんだ、あの店員。美月ちゃん、なんかごめんね。


美月: …い、いや…


秀人: デートの話は置いといて、食べようか。お腹も空いたし。



そうして、秀人は食べ始め、美月も少しずつながら食べる。




20分後…



秀人: 食べ終わったね…


美月: うん。


秀人: そ、そろそろ、出ようか。


美月: うん。



結局食べている間は会話もせず、食べ終わって、2人は店を出る。



秀人: 次のデートは、また今度考えよう。


美月: …そうだね。


秀人: じゃ、またね。


美月: うん。



そうして2人は別れ、帰路に着いた。


◆◆◆


??: さっきの様子だと……うん、まぁ私が動く必要はないか。あの子が成長する良い機会でしょ。既に気づいてるみたいだし。



テーブルを片付けながら呟く。



??: 頑張ってね。守里君。まぁでも…



??は携帯を取り出す。



??: 念の為、手は打っとこうかな。


◇◇◇


守里の家


ガチャ



美月: ただいま。


結真: おかえり、美月。


桜: お姉ちゃんおかえり。


守里: …おかえり、美月。


結真: 晩ご飯どうする?


美月: うーん、大丈夫かな。さっき食べたから。


結真: 分かった。


美月: 今、お風呂は?


結真: 蓮花が入ってるよ。


桜: でも、蓮花が入ってしばらく経つから、もうそろそろ出てくると思う。


美月: そっか。



美月はソファに座る。



結真: 美月、最近遅い日が多いよね。


美月: …うん。友達と遊んでるの。


結真: え、お友達?!それなら良かった。


美月: 笑、お姉ちゃん心配しすぎ笑


結真: でも、遅くなりすぎないでね。


美月: 分かってるって笑


桜: やっとお姉ちゃんにも、友達ができたんだ。


美月: ちょっと桜。それどういう意味?笑


桜: いや、お姉ちゃん、これまで友達作ろうとしてなかったからさ。


美月: …


結真: まぁ良いじゃない。その友達、大事にするんだよ。美月。


美月: もちろん。


守里: …


蓮花: お風呂上がったよ~って美月お姉ちゃん、おかえり!


美月: ただいま、蓮花。


結真: あら、蓮花、お風呂上がったのね。じゃあ美月、入ってきたら?


美月: うん、そうする。



そう言って美月はお風呂へ。



守里: …


結真: 守里、どうしたの?ずっと黙って。


守里: ん?あぁ、いや、なんでもないよ。


結真: そう?


守里: うん。


結真: 疲れてるんじゃないの?早めに休んだら?


守里: …そうだね。じゃあもう部屋に行くよ。


蓮花: えーーー、お兄ちゃん、もう部屋に行っちゃうの?


守里: ごめんね。


蓮花: まだまだ、お兄ちゃんとお話したかった~


守里: じゃあ、僕の部屋で話す?


蓮花: え、良いの?!!


守里: うん、良いよ。でも少しだけだけど…


蓮花: やったーーー!!!ちょっと待ってて!!すぐ準備するから!!



蓮花は洗面台へ走る。



桜: …


結真: 笑、桜。


桜: な、なに?


結真: 蓮花が羨ましいんでしょ笑


桜: ……うん。


結真: 笑、そっか。ねぇ守里、桜も一緒じゃダメかな?


守里: もちろん大丈夫だよ笑


結真: 良かったね笑、桜。


桜: う、うん///


蓮花: お待たせ!!!お兄ちゃん!!!


守里: 早かったね、蓮花。


蓮花: お兄ちゃんと、たくさんお話したかったから!!


守里: そっか、じゃあ行こうか。ほら、桜も。



そう言って守里は、桜の手を引っ張る。



桜: ///


蓮花: えーー、桜お姉ちゃんズルい!!蓮花も!!!


守里: 笑、分かったから。



空いている手を、蓮花の手と繋ぐ。



蓮花: やった!!


守里: おやすみ、結真姉さん。


蓮花: おやすみ!!!


桜: おやすみ。


結真: 笑、おやすみ。



3人は守里の部屋に行った。



結真: ほんと、仲良いんだから笑



結真は1人になったリビングで呟いた。


◆◆◆


秀人の自室



秀人: 今日も美月ちゃん、可愛かったな。



秀人はベッドに寝転んで、今日のデートを思い出していた。



秀人: にしても、もうちょっとで、いけそうだったんだけど…変な邪魔が入っちゃった。やっぱ強引にいかないといけないかな。



秀人は携帯を取り出す。



秀人: 約束もあるし、僕にも好都合だし。よし、やっちゃうか。



プルルルルル


ピ



?? T: もしもし、どうした秀人?


秀人 T: そろそろ、例のアレ実行できると思う。


?? T: 笑、やっとか。


秀人 T: うん。


?? T: 時間かけやがって。


秀人 T: 結果、上手くいきそうなんだから、良いじゃん。


?? T: あ?俺がやってんだから、当たり前だろ。


秀人 T: …そうだね。


?? T: じゃあ、明後日にやるから。


秀人 T: 急だね。


?? T: お前がトロトロしてたからだろ。こっちは1ヶ月前から始めてんだよ。


秀人 T: 分かった。美月ちゃんを誘導しとく。


?? T: ちゃんとやれよ。


秀人 T: うん。もちろんだよ、兄貴。



ピ



秀人: ふぅ…早速動かないとな。



秀人は携帯を置き、立ち上がる。



秀人: デュフフフフフ、あぁやっと、美月ちゃんが僕の物になるのか。



その時の秀人の顔は、酷く醜いものだった。




to be continued


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