ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
上 下
11 / 340
第1章 出会い編

第11話「蓮花の思い」

しおりを挟む
ガチャ



守里: ただいま!


桜: ただいま。


結真: あら、おかえり!


守里: 色々と問題なかった?


結真: うん!ただ、足りないものとかあるから、今週末に買い物に行こうかなって思ってる。


守里: 分かった。


結真: じゃあ2人とも荷物置いて、手洗っておいで。


守里 桜: はーい。



2人は手を洗い、リラックスタイムへ。



結真: 桜はお友達できた?


桜: うん!できたよ!


結真: 良かったね、大事にしなよ。


桜: もちろん!


守里: そういえば美月さんは?


結真: 30分前ぐらいには帰ってきて、今は部屋にいると思う。


守里: そうなんだ、終礼終わったら、すぐに学校を出ちゃったみたいで。


結真: まぁ、あの子はそんな感じだと思うから、今のところは。



今のところはって…



守里: じゃあ蓮花さんも部屋?


結真: いや、それがまだ帰ってきてないのよ。


桜: え?でも能中は今日、昼までなんじゃ…


結真: そのはずなんだけどね。私も早く帰ってくるんじゃないかなって思ってたんだけど、友達とでも遊んでるんじゃない?


守里: そうかもね。まぁ少ししたら帰ってくるか。


桜: …




そして時間が経ち、夜9時…


守里達は夕食を済ませ、守里がお風呂に入ろうとしていた頃。



守里: まだ蓮花さん帰ってこないのか…


結真: さすがに、遅すぎだね。


守里: もしかしたら、道に迷ってるのかも。


桜: いや…


結真: 電話かけてみようか。



プルルルル 



蓮花に電話をかけるが…



結真: つながらない。 


守里: なんか事故にでも巻き込まれたんじゃ…


桜: もしかして…


守里: 探しに行かないと!!


結真: 待って!闇雲に探しても!


守里: でも、居場所の手がかりがないなら、走り回って見つけるしかないよ!


桜: じゃあ、さくも行く!


守里: それはダメ!!もう暗いから危ないし、土地勘のある僕が行くのが1番良い。絶対、蓮花さんを連れて帰ってくるから、待ってて。



そう言って、守里は家を飛び出して行った。



結真: 蓮花、どこに行ったんだろ…


桜: ねぇお姉ちゃん、蓮花はもしかしたらこの家に居たくないのかもね…


結真: 確かにあの子は、あの時のトラウマが未だに強く残ってるから、守里をまだ受け入れられてないし…


桜: 蓮花…


◇◇◇


家の外に出た守里は、そのまま走り、人通りの多い通りまで出る。


蓮花さん、どこにいるんだろ…

歩きのはずだから、そこまで離れたところには行ってないと思うんだけどな…

もし、何か事件に巻き込まれていたら…



あ、あの人達に力を借りれないかな…


守里は、日村からもらった携帯を取り出し、電話をかける。


ブーブー


ピ



森田 T: どうしたんですか、坊ちゃん。


守里 T: 森田さん、いきなりで申し訳ないんですが、人を探してもらっていいですか?


森田 T: 人探しですね。もちろん了解です。それで、どなたを?


守里 T: 蓮花さんです。


森田 T: …蓮花さんというと、団長の奥様の1番下の娘さんですよね?


守里 T: はい。


森田 T: 近くの防衛団員と協力して必ず見つけます。


守里 T: よろしくお願いします。見つけたら、すぐに僕に知らせてください。


森田 T: はい!お任せください。



ピ



ポツポツ



守里: あ…



ザー


森田との電話を終えたタイミングで、雨が降り出した。



守里: クソ、こんな時に…でも探さないと。



一旦、蓮花さんを探しつつ、能中に向かおう。

どうか無事でいてくれ…



守里は再び走り出した。


◇◇◇


能中前



守里: ハアハア、いない。



家からここまでにはいないか…


伊衛能高校と自宅の中間ぐらいにある、伊衛能中学校の正門前まで来た守里は、未だに蓮花を見つけられていなかった。


もうちょっと遠くまで探そう。


ブーブー


守里が再び走り出そうとしたところで、守里の携帯が音を鳴らした。


◈◈◈◈


雨の降る中一人の少女が橋の下で佇んでいる。


はぁ…


あのお家に帰りたくない…



守里君はあいつらとは違うって分かってるのに…

どうしても受け入れられない…

あの時の光景がフラッシュバックしちゃう…



もう嫌だ…

今の自分が嫌い…



昔に戻りたい…

また家族みんなで暮らしてた頃に戻りたい…



蓮花: うぅ…



蓮花の目に涙が溜まる。



お母さん。

お父さん。

結真お姉ちゃん。

美月お姉ちゃん。

桜お姉ちゃん。



蓮花どうしよう…



「蓮花さん!!」



蓮花: え?…



蓮花が後ろを振り向くと、びしょ濡れで、息を切らした守里が立っていた。


◈◈◈


守里: 大丈夫?怪我してない?



そう言って守里が、蓮花に近づく。



蓮花: あ、いや…大丈夫ですから!



しかし蓮花は俯いて、守里から遠ざかってしまう。



守里: え…


蓮花: ご、ごめんなさい…大丈夫だから、大丈夫だから。


守里: いやあの…


蓮花: 守里君はなんも悪くないから、蓮花は大丈夫だから…


蓮花は、ただ大丈夫だからと呟く。


守里: 落ち着いて、蓮花さん。一旦家に帰ろう。こんな雨の中じゃ風邪ひいちゃう。


蓮花: いや!!もう放っておいてください!蓮花は大丈夫ですから!


守里: 放っておけるわけないよ。


蓮花: いいから、もう蓮花に構わないで下さい。


守里: そんなの無理に決まってるじゃないか!!



守里が叫ぶ。



蓮花: …


守里: そうやって泣いてる蓮花さんを放っておけるわけないじゃないか!


蓮花: 放っておいてよ!!



蓮花も守里に対抗するように叫ぶ。



守里: 家族が泣いてるのに、それを見て見ぬふりすることはできないだろ!!


蓮花: 家族って…まだ一日じゃない!!そんなのほぼ他人でしょ!!!


守里: 他人なわけあるか!家族にいつからなんて関係ない!!もう僕達は家族なんだよ!!


蓮花: 家族…


守里: 蓮花さんがまだ、僕のことを家族だと認めてないことは分かってる。でも、僕からしたら蓮花さんは、僕の大切な家族なんだよ!!


蓮花: …



蓮花は守里の言葉を聞き…



守里: お姉ちゃん達も心配してるから、家に帰ろう…蓮花さん。



雨音が響く中、少しづつ、蓮花の気持ちが口からあふれてくる。



蓮花: 昔に戻りたい…


守里: え?…


蓮花: お母さんとお父さんとお姉ちゃん達、みんなで暮らしてたあの頃に戻りたいの…


守里: 蓮花さん…


蓮花: 分かってるよ…もう戻れないって。でも、ふと考えちゃうんだ。あの頃に戻れたら、こんなに悩まなくてもいいから。


守里: …


蓮花: 蓮花も守里君を家族って認めてないわけじゃないの…でもどうしてもアイツらが…


守里: アイツらって…いや大丈夫、ツラいだろうから言わなくても…


蓮花: いや、言う。



蓮花は、自分の心に刻まれているトラウマについて話し始めた。



蓮花: 蓮花達がここに来るよりずっと前にね、急にお父さんが家に帰って来なくなっちゃって、そしたら家に、たくさん男の人達が来るようになったの。



かおりさんの話の中にもあったな。



蓮花: 最初は家の周りを取り囲んで、叫びながら扉や壁をずっと叩いてきただけだったんだけど、しばらくしたらずっと蓮花達に付きまとうようになって…グスン…怖くて…



蓮花の瞳に、再び涙が溜まる。



蓮花: それがトラウマになっちゃって、男の人を見るとどうしても…


守里: …


蓮花: 男の人達が家に来なくなった後、お母さんとお姉ちゃん達で暮らしてても、やっぱりどうしてもまた、アイツらが来るんじゃないかって不安で…



そうだったのか…

かおりさんからも聞いたけど、蓮花さん達家族には、こんな過去があったんだ。



でも…



守里: もう大丈夫だから、ソイツらが蓮花ちゃん達に近づくことは絶対にないよ。


蓮花: なんでそんなことが分かるの?


守里: それは…



白城家を襲っていた奴らは、防衛団が全員捕縛していて、白城姉妹の引越しについても、防衛団の裏からのサポートにより、敵組織への情報漏洩の可能性もほとんどないみたい。

それに僕の家は、森田さんと矢口さんに守られてるから、その敵組織が蓮花さん達、白城姉妹に接触することはないと思う。

でも、ここで防衛団の話をするわけには行かない…



守里: …僕が絶対に守るから。


蓮花: 守里君…


守里: 家族は絶対に傷つけさせないから、大丈夫だよ、蓮花さん。



暖かく力強い守里の想いを受け、蓮花の心の扉が開き始める。



蓮花: …


守里: まだすぐには無理かもだけど、なんかあったら頼って。僕は蓮花さんのお兄ちゃんなんだから。


蓮花: …あ、ありがとうニコッ


守里: っ!!



守里は初めて蓮花の笑顔を見る。


そして、蓮花の気持ちにひと段落が着いたところで、雨が止んだ。



守里: あ、雨止んだ。


蓮花: そうだね。


守里: もう大丈夫?


蓮花: うん、なんか守里君に話したら落ち着いたよ。


守里: そっか良かった。


蓮花:(守里君なら…)


守里: もう家に帰れる?


蓮花: う、うん!帰ろ!!


守里: 結真お姉ちゃん達も心配してるだろうから、早く帰らないとだね。



そう言って、守里は蓮花に手を差し出す。



蓮花: うん!!



守里と蓮花は手を繋いで家へと歩き出した。




森田: いやー良かった、坊っちゃん。


矢口: 妹さんと仲良くなれて良かった。


森田: 俺らも探し回ったかいがあったな。


矢口: あぁ。



遠くで守里達を見守っていたこの2人も、安堵していた。





to be continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...