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第1章 出会い編
第1話「捨てるところだった手紙」
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薄暗い部屋の中でうずくまる。
体が震えて立ち上がることも、言葉を発することもできない。
??1: 次はお前だな。
とうとう僕の番が来てしまったようだ。
僕に銃口が向く。
目の前の男が引き金を引いた。
??2: 守里ーーーー!!!
闇の中に響き渡る銃声。
突然目の前を何かが塞ぎ、それが下に落ちる。
咄嗟にそれを抱える。
視界を下に向けると、その何かは僕の大切な家族だった。
守里: え…ね、姉ちゃん、、、
自分の手に付く赤い血。
??1: 順番が狂っちまったな、まぁどっちにしろ死ぬんだから関係ねぇかw
思考が止まる。
??1: じゃあな、恨むなら…
男が何を言っているのかも頭に入ってこない。
男が再び銃口を向けてくる。
視界の端で倒れている人と、自分の手に抱えられている人。
そして目の前に広がる赤い液体。
守里: よくも、、、俺の大切な人を!!!!
バキ
そこで僕の(俺の)意識は途絶えた…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
カーテンの隙間から部屋に光が差し込む。
ベッドの上にその光が当たる。
守里: ん…うん~もう朝か。
ベッドから体を起こし、枕元に置いてある携帯を取る。
守里: 10時か、結構寝たな。お腹も空いたし朝ご飯食べよ。
そう言って部屋を出て階段を下り、キッチンへ行き冷蔵庫を開ける。
守里: 何食べよう…うん、あんまり食材もないんだよね。今日買いに行こうかな。
冷蔵庫を閉めつつ、リビングの方へ。
守里: お、いいの発見!!
ダイニングテーブルに置いてあった食パンに気づき、手に取る。
守里: そういえば、昨日の夜に食べて、そのまま机に置いてたんだったな。
食パンをトースターに入れて、焼き上がるのを待つ。
明日が始業式か、もう俺も高2なんだな。
去年は可もなく不可もなくって感じだったけど、今年はどうだろう。
楽しく過ごせれば良いな。
未来に期待を膨らませつつ、去年の思い出を振り返る。
チン
パンの焼き上がりを教えてくれる音が、広いリビングに響く。
守里: お、できたか。
焼き上がった食パンにかじり付きつつ、テレビをつける。
ピ
「では、食べていきたいと思いまーす!!ん、これ!相当美味いよ!!ぜひスタジオにいるゲストさんも食べて見てくださいよ!!」
ピ
「いやー凄いですね、金山社長の腕には驚かされますよ!たった数年でここまで会社を大きくするとは、、これからが楽しみですね。では次のニュースです。」
ピ
「どうも!!まずはこのお店…」
ピ
「最近、ここも治安が悪くなってきてねぇ、昨日もあそこの、えーとなんて言ったっけな。あ、そうそうあそこの三角公園で騒ぎがあったのよ。でね、、」
ピ
「次は野球の話題です!…」
ピ
「明日の天気は晴れ、、」
守里: 良いの無いな~、やっぱテレビはいいや。
ピ
そう言って黙々と食べ始める。
ピンポーン
食べ終わったところでインターホンが鳴った。
守里: ん?なんだろ。はーい!
「宅配便でーす!」
守里: 宅配便か、なんか頼んでたっけ?
玄関に向かい、扉を開ける。
ガチャ
業者1: どうも~
守里: あ、いつもお世話になってます。お疲れ様です。
外に立っていたのは、いつも守里の家に荷物を届けてくれる配達業者だった。
彼らは1人暮しをしている僕に気を遣ってなのか、よく話しかけてくれる、気の良い人達だ。
業者2: お届けものっす。
守里: はい、ありがとうございます。なんか随分と大きい荷物ですね。
業者2: そうっすね。重いので気をつけて下さい。
守里は荷物を受け取る。
守里: …確かに重いですね。
受け取った荷物を玄関に置き、伝票を受け取って、サインをする。
業者1: 春休みも今日までですか。
守里: そうなんですよね、もうちょっと休みたかったです笑
業者1: まぁ学生ですから。学校で青春していきましょ!
業者2: そっか~もう高2になるんすよね。あの坊っち…
パシッ
業者2: 痛っ!!
話している途中でいきなり業者がもう1人の頭を叩いた。
業者1: バカ!ダメだろ!!
守里: え、えーと…大丈夫ですか?
業者1: いや、あの…こいつの頭に虫が止まっていたもんですから笑
業者2: そ、そうなんすよ。もう兄貴ったら力が強くて笑
守里: へーそうだったんですか。あ、はいこれ!サイン書き終わりましたよ。
守里は業者1に伝票を渡す。
業者1: では失礼します。明日から頑張って下さいね。
業者2: 頑張って下さいっす!!
守里: はい!頑張ります。そちらも頑張って下さいね。
そう言って業者二人は門を出て行った。
ガチャ
守里: ほんと愉快な人達だ笑、多分僕がこの家に引っ越してきてからずっとだもんな。
ん?今更だけど、ずっと同じ業者の人が配達し続けるってことはあるのか?
と、一瞬考えたが、守里はまぁいいかとすぐに切り替えた。
守里: さっ、この大きな箱の中身を確認してみますかねっと…え、何これ?
箱の中には大量の生活用品と食料が入っていた。
守里: なんでこんなのが…あとこれ送ってきたの誰よ。
疑問に思いつつ、荷物を倉庫や冷蔵庫にしまっていく。
空っぽになった箱の底に1枚の紙があった。
その紙に気づいた守里は、それを拾ってゴミ箱の方へ。
守里: ふ~ん…ん?あ、これ手紙か。どれどれ…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
守里へ
明日、14時にギフトモールの地下駐車場の46番に来い。
久しぶりに会おう。
それに伝えたいことがある。
父より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
守里: え、父さん?!!絶対に行かないとだな。にしてもホント久しぶり…1年ぐらいか?
中3までは父さんと2人で暮らしてたけど、今は父さんとは、離れて暮らしている。
父さんは昔から家を空けることが多かったから、一人暮らしは問題なかったんだけど、いきなり引っ越しすることになって、父さんとも連絡が取れなくて、中々大変だったんだよな。
今何やってるんだろう?
明日会えるのが楽しみだ。
いや、にしても、もうちょっと分かりやすくできなかったのかな笑
配達されたダンボールの中によく入ってる、あんまり持ってても意味無いような紙かと思って、普通に捨てるところだったよ。
気づいて良かった~
ま、食料が沢山届いて、買い物に行く必要もなくなったし…
守里: よし、新学期の準備でもするか!
父との再会を心待ちにしながら、新年度の準備をして、その日は終わった。
◇◇◇◇◇
翌朝
朝日が登り、鶏の鳴き声が響きそうな頃…
守里の家の前で、制服姿の女性が仁王立ちしていた。
??: おーーーーい!!!守里!!!学校行くよーーー!!!!
大きな声が辺りに響き渡る。
??: (もう、まだ寝てるのか。起こしに行こ!!!)勝手に家に入っちゃうからねーーー!!!
??はカバンから鍵を取り出し、玄関の扉を開ける。
ガチャ
??: おっじゃましまーーーす!!
ドタドタ
足音を鳴らしながら階段を登り、沢山ある部屋のうちの守里の部屋に一直線に向かう。
ガチャ!!
ドアノブを壊すような勢いで、守里の部屋の扉を開ける。
??: (まだ寝てるのか…なら笑)オリャーー!!!
??は飛び上がり守里の寝ているベッドにダイブした。
守里: グハッ!!!
??: おい!!守里起きろーー!!
守里の上に飛び乗った??は守里の肩を掴み、めちゃくちゃに揺らす。
守里: 分かった、起きるから!!まず退いてくれ!日向子!!
日向子: はーい!
守里: もう朝からなんだよ、まぁまぁ痛かったぞ。
日向子: それはごめんって、でも起きない守里が悪いんだからね!!せっかく幼なじみが、一緒に学校行こって誘いに来てるんだから。
守里: いや、幼なじみでも、勝手に家に入ってくるやつはいないだろ。
日向子: それは私達が特別だからってことで許してよ笑
守里: …
こいつは"南雲日向子"。
話にも出ている通り、僕の小さい頃からの幼なじみで、性格を一言で表すと「天真爛漫」って感じだ。
とにかく元気で明るくて、ずっと僕の隣にいる。
困っている人がいたら、助けずにはいられないような正義感の強い良いやつ。
でも、いかんせんバカだし、力の加減がわかってないんだよな。
僕が引っ越してからは、周りに他の家がないから問題ないんだけど、あいつのバカでかい声は中学の頃、地域住民から鶏の鳴き声扱いされてたぐらいだ。
日向子: ほら守里!さっさと朝ご飯食べて、学校に行こ!!
守里: はいはい、すぐに準備するから先に下に行ってて。
日向子: はーい!!
日向子はすぐに部屋から出て行き、階段を降りていった。
守里: ふぅ…朝から疲れるな笑
クローゼットを開け、制服を取りだし着替える。
守里: よし、行くか。
学ランとカバンを持って階段を下りる。
リビングに入ると日向子はキッチンに立っていた。
日向子: お、守里やっと来たか。この私が守里のためにチーズトーストを作ってあげたぞ!ほら早く食べろ!!!
守里: 笑、分かったから。ありがとな、日向子。
日向子: いえいえ。
まっこんな関係だ。
日向子と喋りつつ、朝食を食べ終え、その他諸々の準備を終え、玄関に向かう。
日向子: よし!!出発だーー!!!
守里: あんまり大声で騒ぐなよ。
日向子: はーい!!
守里: いってきます。
そう言って守里は日向子と共に家を出た。
日向子: そういえば守里!
守里: なに?
日向子: 昨日のわんちゃん特集見た?
守里: いや見てないよ。
日向子:めちゃくちゃ面白かったんだよね。特に子犬ちゃんたちが競走してるやつ。
守里: へぇー、ホント日向子は犬が好きだよな。
日向子: あ!いい事思いついた!!!行くぞ守里!!
守里: え?!
日向子: 学校まで競走だ!!!、負けた方は明日のお昼ご飯奢りだよ!!よーいドン!!!!!
そう言って日向子は走り出した。
守里: おいおい、嘘だろ!!
守里は呆れながらも日向子に遅れて走り出した
くっそ!あいつめちゃくちゃ足速いんだよな。
"伊衛能高校"前
守里: やっと背中を捉えたぞーー!!!日向子!!
日向子: 負けないぞー!!守里!!!
二人は猛ダッシュしていた。
よしあともうちょっとでゴールだ!!!
お、あの後ろ姿は!!
道の先に1人で本を読みながら、とぼとぼ歩く小さな背中が見える。
守里: おはよーー!!飛香ーー!!!!
日向子:あ!ホントだ!!あっしゅんおはよー!!!!またねー!!!!!
2人は友達に挨拶をしつつ、全力でその横を走り過ぎる。
飛香: え…うん…おはよ。
いくぞ!!!ラストスパートだ!!
守里: うぉーーーーー!!!!
日向子: 負けるか!!!!
そのままの勢いで2人は校門を通り過ぎる。
「やったーーーー!!!」
勝負に勝ったのは…
日向子: 勝ったーー!!守里、明日のお昼奢ってね笑!!
守里: くそーーー負けた!!
あー疲れた、朝からこんなことするもんじゃないわ。
しかも負けたし。
守里: ふぅ…
日向子: ほらっ!!早くクラス割り見に行こうよ!!
守里: 日向子がいきなり競争を始めるから、こうなってんだろ。
日向子: そんなこと言うなら、わざわざ勝負に乗ってこなかったらいいじゃん!!
守里: いや無視したら、日向子めんどくさくなるでしょ。
日向子: なんだって~~!!
守里: この前なんか勝負を無視したら、永遠に後ろから脇腹小突いてきたじゃないか。
日向子: もう忘れました~
守里: あの時結構、辛かったんだからな。
日向子: そんなに言うならまたやってあげよう!!
守里: やらないで!!
そうやって言い合いを続けていると…
飛香: いつまで騒いでんの。新学期初日からみっともないよ笑
守里: 飛香か…
日向子: でもだってね、守里がね、日向子のことめんどくさいとか言うんだもん。
飛香: 笑、それは同感。
日向子: あっしゅんまでそんなこと言うのーー!!もう知らない!!!
飛香: まぁまぁ冗談だから、ね、守里もそうでしょ。
飛香から否と言わせないようなオーラのこもった視線が向けられる。
守里: え、うん、そうだよ。冗談だよ。日向子。
日向子: そっか笑、冗談か、なら良かった。ほら2人とも早くクラス割り見に行こ!!!
流石だな飛香、日向子の扱い方が完璧だ。
飛香: 分かったから。守里も行くよ。
守里: うん。
この子は"山室飛香"。
僕達は小学生の時に友達になって、そこから中高と同じ学校に通っている。
日向子とは真反対の性格で、クールで頼れる存在って感じかな。
守里: えーっとクラス割りが張り出されてるところはどこだ?
飛香: あそこに人だかりができてるから、そこにあるんじゃない?
守里: そうっぽいね。行こうか。
日向子: みんな同じクラスになれるかなーーウキウキ
守里: それだと色々と楽だからいいんだけどな。
飛香: まぁそうだね。
守里: にしても人が多いな、もうちょっと早めに来れば良かったか。
日向子: だから私は早く学校行こって言ってたんだよ、守里!
飛香: いや絶対そんなこと考えてなかったでしょ笑
日向子: うっ、バレたか…
守里: 俺が二人の分も見てくるよ、待ってて。
日向子 飛香: よろしく!
守里: えーっとどこかな…まずは女子の方から…
掲示板に貼ってある、クラス割りの大きな紙を、女子の方から、順に見ていく守里。
おっ!日向子の発見、1組か。
それに飛香の名前もあるな。
じゃあ、あとは僕のなんだけど。
苗字的に後ろの方にあるかな。
守里: よしよし、あった、あった。って僕も1組か。みんな同じクラスだな。
日向子:あ!守里が戻ってきたよ。
飛香: 守里、結果は?
守里: みんな同じクラスだったよ。
日向子: やったね飛香!
飛香: うん笑、そうだね。
守里: じゃ、教室行こ。
日向子: お先に行きまーす!!!
日向子は校舎の方に駆け出して行った。
守里: 流石、日向子だよな笑
飛香: だね。でもあの子クラス聞かずに行ったけど笑
守里: どうせすぐ戻ってくるよ笑、ほら…
日向子: 守里!!!私たちのクラスどこ!!!
飛香: みんなで行くよ、日向子!
日向子: はーい!!
守里: 去年は1階だったけど、今年は2階か。移動教室の時は楽だけど。行き帰りはちょっと面倒くさいかな。
飛香: だね。もう階段は疲れるよ。
守里: なにおばさん臭いこと言ってんの笑
飛香: ギロッ
守里: いやっ怖!
飛香: そうやって余計なことをすぐ口にするから、彼女が出来ないんだよ守里は!
日向子: そうだ!そうだ!
守里: うるさい笑、そんなこと言われても、勝手に口から出ちゃうからしょうがないだろ。
飛香: 治しなさいよ、その癖。将来変なことに巻き込まれるよ。
守里: 飛香が言ったら、実際に起こりそうだから、やめて。
日向子: もういいから、早く教室に行こ!!
飛香: ふん!
守里: ごめんって飛香、気をつけるから。
飛香: はいはい。
上履きに履き替え、階段を登って教室に向かった。
to be continued
体が震えて立ち上がることも、言葉を発することもできない。
??1: 次はお前だな。
とうとう僕の番が来てしまったようだ。
僕に銃口が向く。
目の前の男が引き金を引いた。
??2: 守里ーーーー!!!
闇の中に響き渡る銃声。
突然目の前を何かが塞ぎ、それが下に落ちる。
咄嗟にそれを抱える。
視界を下に向けると、その何かは僕の大切な家族だった。
守里: え…ね、姉ちゃん、、、
自分の手に付く赤い血。
??1: 順番が狂っちまったな、まぁどっちにしろ死ぬんだから関係ねぇかw
思考が止まる。
??1: じゃあな、恨むなら…
男が何を言っているのかも頭に入ってこない。
男が再び銃口を向けてくる。
視界の端で倒れている人と、自分の手に抱えられている人。
そして目の前に広がる赤い液体。
守里: よくも、、、俺の大切な人を!!!!
バキ
そこで僕の(俺の)意識は途絶えた…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
カーテンの隙間から部屋に光が差し込む。
ベッドの上にその光が当たる。
守里: ん…うん~もう朝か。
ベッドから体を起こし、枕元に置いてある携帯を取る。
守里: 10時か、結構寝たな。お腹も空いたし朝ご飯食べよ。
そう言って部屋を出て階段を下り、キッチンへ行き冷蔵庫を開ける。
守里: 何食べよう…うん、あんまり食材もないんだよね。今日買いに行こうかな。
冷蔵庫を閉めつつ、リビングの方へ。
守里: お、いいの発見!!
ダイニングテーブルに置いてあった食パンに気づき、手に取る。
守里: そういえば、昨日の夜に食べて、そのまま机に置いてたんだったな。
食パンをトースターに入れて、焼き上がるのを待つ。
明日が始業式か、もう俺も高2なんだな。
去年は可もなく不可もなくって感じだったけど、今年はどうだろう。
楽しく過ごせれば良いな。
未来に期待を膨らませつつ、去年の思い出を振り返る。
チン
パンの焼き上がりを教えてくれる音が、広いリビングに響く。
守里: お、できたか。
焼き上がった食パンにかじり付きつつ、テレビをつける。
ピ
「では、食べていきたいと思いまーす!!ん、これ!相当美味いよ!!ぜひスタジオにいるゲストさんも食べて見てくださいよ!!」
ピ
「いやー凄いですね、金山社長の腕には驚かされますよ!たった数年でここまで会社を大きくするとは、、これからが楽しみですね。では次のニュースです。」
ピ
「どうも!!まずはこのお店…」
ピ
「最近、ここも治安が悪くなってきてねぇ、昨日もあそこの、えーとなんて言ったっけな。あ、そうそうあそこの三角公園で騒ぎがあったのよ。でね、、」
ピ
「次は野球の話題です!…」
ピ
「明日の天気は晴れ、、」
守里: 良いの無いな~、やっぱテレビはいいや。
ピ
そう言って黙々と食べ始める。
ピンポーン
食べ終わったところでインターホンが鳴った。
守里: ん?なんだろ。はーい!
「宅配便でーす!」
守里: 宅配便か、なんか頼んでたっけ?
玄関に向かい、扉を開ける。
ガチャ
業者1: どうも~
守里: あ、いつもお世話になってます。お疲れ様です。
外に立っていたのは、いつも守里の家に荷物を届けてくれる配達業者だった。
彼らは1人暮しをしている僕に気を遣ってなのか、よく話しかけてくれる、気の良い人達だ。
業者2: お届けものっす。
守里: はい、ありがとうございます。なんか随分と大きい荷物ですね。
業者2: そうっすね。重いので気をつけて下さい。
守里は荷物を受け取る。
守里: …確かに重いですね。
受け取った荷物を玄関に置き、伝票を受け取って、サインをする。
業者1: 春休みも今日までですか。
守里: そうなんですよね、もうちょっと休みたかったです笑
業者1: まぁ学生ですから。学校で青春していきましょ!
業者2: そっか~もう高2になるんすよね。あの坊っち…
パシッ
業者2: 痛っ!!
話している途中でいきなり業者がもう1人の頭を叩いた。
業者1: バカ!ダメだろ!!
守里: え、えーと…大丈夫ですか?
業者1: いや、あの…こいつの頭に虫が止まっていたもんですから笑
業者2: そ、そうなんすよ。もう兄貴ったら力が強くて笑
守里: へーそうだったんですか。あ、はいこれ!サイン書き終わりましたよ。
守里は業者1に伝票を渡す。
業者1: では失礼します。明日から頑張って下さいね。
業者2: 頑張って下さいっす!!
守里: はい!頑張ります。そちらも頑張って下さいね。
そう言って業者二人は門を出て行った。
ガチャ
守里: ほんと愉快な人達だ笑、多分僕がこの家に引っ越してきてからずっとだもんな。
ん?今更だけど、ずっと同じ業者の人が配達し続けるってことはあるのか?
と、一瞬考えたが、守里はまぁいいかとすぐに切り替えた。
守里: さっ、この大きな箱の中身を確認してみますかねっと…え、何これ?
箱の中には大量の生活用品と食料が入っていた。
守里: なんでこんなのが…あとこれ送ってきたの誰よ。
疑問に思いつつ、荷物を倉庫や冷蔵庫にしまっていく。
空っぽになった箱の底に1枚の紙があった。
その紙に気づいた守里は、それを拾ってゴミ箱の方へ。
守里: ふ~ん…ん?あ、これ手紙か。どれどれ…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
守里へ
明日、14時にギフトモールの地下駐車場の46番に来い。
久しぶりに会おう。
それに伝えたいことがある。
父より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
守里: え、父さん?!!絶対に行かないとだな。にしてもホント久しぶり…1年ぐらいか?
中3までは父さんと2人で暮らしてたけど、今は父さんとは、離れて暮らしている。
父さんは昔から家を空けることが多かったから、一人暮らしは問題なかったんだけど、いきなり引っ越しすることになって、父さんとも連絡が取れなくて、中々大変だったんだよな。
今何やってるんだろう?
明日会えるのが楽しみだ。
いや、にしても、もうちょっと分かりやすくできなかったのかな笑
配達されたダンボールの中によく入ってる、あんまり持ってても意味無いような紙かと思って、普通に捨てるところだったよ。
気づいて良かった~
ま、食料が沢山届いて、買い物に行く必要もなくなったし…
守里: よし、新学期の準備でもするか!
父との再会を心待ちにしながら、新年度の準備をして、その日は終わった。
◇◇◇◇◇
翌朝
朝日が登り、鶏の鳴き声が響きそうな頃…
守里の家の前で、制服姿の女性が仁王立ちしていた。
??: おーーーーい!!!守里!!!学校行くよーーー!!!!
大きな声が辺りに響き渡る。
??: (もう、まだ寝てるのか。起こしに行こ!!!)勝手に家に入っちゃうからねーーー!!!
??はカバンから鍵を取り出し、玄関の扉を開ける。
ガチャ
??: おっじゃましまーーーす!!
ドタドタ
足音を鳴らしながら階段を登り、沢山ある部屋のうちの守里の部屋に一直線に向かう。
ガチャ!!
ドアノブを壊すような勢いで、守里の部屋の扉を開ける。
??: (まだ寝てるのか…なら笑)オリャーー!!!
??は飛び上がり守里の寝ているベッドにダイブした。
守里: グハッ!!!
??: おい!!守里起きろーー!!
守里の上に飛び乗った??は守里の肩を掴み、めちゃくちゃに揺らす。
守里: 分かった、起きるから!!まず退いてくれ!日向子!!
日向子: はーい!
守里: もう朝からなんだよ、まぁまぁ痛かったぞ。
日向子: それはごめんって、でも起きない守里が悪いんだからね!!せっかく幼なじみが、一緒に学校行こって誘いに来てるんだから。
守里: いや、幼なじみでも、勝手に家に入ってくるやつはいないだろ。
日向子: それは私達が特別だからってことで許してよ笑
守里: …
こいつは"南雲日向子"。
話にも出ている通り、僕の小さい頃からの幼なじみで、性格を一言で表すと「天真爛漫」って感じだ。
とにかく元気で明るくて、ずっと僕の隣にいる。
困っている人がいたら、助けずにはいられないような正義感の強い良いやつ。
でも、いかんせんバカだし、力の加減がわかってないんだよな。
僕が引っ越してからは、周りに他の家がないから問題ないんだけど、あいつのバカでかい声は中学の頃、地域住民から鶏の鳴き声扱いされてたぐらいだ。
日向子: ほら守里!さっさと朝ご飯食べて、学校に行こ!!
守里: はいはい、すぐに準備するから先に下に行ってて。
日向子: はーい!!
日向子はすぐに部屋から出て行き、階段を降りていった。
守里: ふぅ…朝から疲れるな笑
クローゼットを開け、制服を取りだし着替える。
守里: よし、行くか。
学ランとカバンを持って階段を下りる。
リビングに入ると日向子はキッチンに立っていた。
日向子: お、守里やっと来たか。この私が守里のためにチーズトーストを作ってあげたぞ!ほら早く食べろ!!!
守里: 笑、分かったから。ありがとな、日向子。
日向子: いえいえ。
まっこんな関係だ。
日向子と喋りつつ、朝食を食べ終え、その他諸々の準備を終え、玄関に向かう。
日向子: よし!!出発だーー!!!
守里: あんまり大声で騒ぐなよ。
日向子: はーい!!
守里: いってきます。
そう言って守里は日向子と共に家を出た。
日向子: そういえば守里!
守里: なに?
日向子: 昨日のわんちゃん特集見た?
守里: いや見てないよ。
日向子:めちゃくちゃ面白かったんだよね。特に子犬ちゃんたちが競走してるやつ。
守里: へぇー、ホント日向子は犬が好きだよな。
日向子: あ!いい事思いついた!!!行くぞ守里!!
守里: え?!
日向子: 学校まで競走だ!!!、負けた方は明日のお昼ご飯奢りだよ!!よーいドン!!!!!
そう言って日向子は走り出した。
守里: おいおい、嘘だろ!!
守里は呆れながらも日向子に遅れて走り出した
くっそ!あいつめちゃくちゃ足速いんだよな。
"伊衛能高校"前
守里: やっと背中を捉えたぞーー!!!日向子!!
日向子: 負けないぞー!!守里!!!
二人は猛ダッシュしていた。
よしあともうちょっとでゴールだ!!!
お、あの後ろ姿は!!
道の先に1人で本を読みながら、とぼとぼ歩く小さな背中が見える。
守里: おはよーー!!飛香ーー!!!!
日向子:あ!ホントだ!!あっしゅんおはよー!!!!またねー!!!!!
2人は友達に挨拶をしつつ、全力でその横を走り過ぎる。
飛香: え…うん…おはよ。
いくぞ!!!ラストスパートだ!!
守里: うぉーーーーー!!!!
日向子: 負けるか!!!!
そのままの勢いで2人は校門を通り過ぎる。
「やったーーーー!!!」
勝負に勝ったのは…
日向子: 勝ったーー!!守里、明日のお昼奢ってね笑!!
守里: くそーーー負けた!!
あー疲れた、朝からこんなことするもんじゃないわ。
しかも負けたし。
守里: ふぅ…
日向子: ほらっ!!早くクラス割り見に行こうよ!!
守里: 日向子がいきなり競争を始めるから、こうなってんだろ。
日向子: そんなこと言うなら、わざわざ勝負に乗ってこなかったらいいじゃん!!
守里: いや無視したら、日向子めんどくさくなるでしょ。
日向子: なんだって~~!!
守里: この前なんか勝負を無視したら、永遠に後ろから脇腹小突いてきたじゃないか。
日向子: もう忘れました~
守里: あの時結構、辛かったんだからな。
日向子: そんなに言うならまたやってあげよう!!
守里: やらないで!!
そうやって言い合いを続けていると…
飛香: いつまで騒いでんの。新学期初日からみっともないよ笑
守里: 飛香か…
日向子: でもだってね、守里がね、日向子のことめんどくさいとか言うんだもん。
飛香: 笑、それは同感。
日向子: あっしゅんまでそんなこと言うのーー!!もう知らない!!!
飛香: まぁまぁ冗談だから、ね、守里もそうでしょ。
飛香から否と言わせないようなオーラのこもった視線が向けられる。
守里: え、うん、そうだよ。冗談だよ。日向子。
日向子: そっか笑、冗談か、なら良かった。ほら2人とも早くクラス割り見に行こ!!!
流石だな飛香、日向子の扱い方が完璧だ。
飛香: 分かったから。守里も行くよ。
守里: うん。
この子は"山室飛香"。
僕達は小学生の時に友達になって、そこから中高と同じ学校に通っている。
日向子とは真反対の性格で、クールで頼れる存在って感じかな。
守里: えーっとクラス割りが張り出されてるところはどこだ?
飛香: あそこに人だかりができてるから、そこにあるんじゃない?
守里: そうっぽいね。行こうか。
日向子: みんな同じクラスになれるかなーーウキウキ
守里: それだと色々と楽だからいいんだけどな。
飛香: まぁそうだね。
守里: にしても人が多いな、もうちょっと早めに来れば良かったか。
日向子: だから私は早く学校行こって言ってたんだよ、守里!
飛香: いや絶対そんなこと考えてなかったでしょ笑
日向子: うっ、バレたか…
守里: 俺が二人の分も見てくるよ、待ってて。
日向子 飛香: よろしく!
守里: えーっとどこかな…まずは女子の方から…
掲示板に貼ってある、クラス割りの大きな紙を、女子の方から、順に見ていく守里。
おっ!日向子の発見、1組か。
それに飛香の名前もあるな。
じゃあ、あとは僕のなんだけど。
苗字的に後ろの方にあるかな。
守里: よしよし、あった、あった。って僕も1組か。みんな同じクラスだな。
日向子:あ!守里が戻ってきたよ。
飛香: 守里、結果は?
守里: みんな同じクラスだったよ。
日向子: やったね飛香!
飛香: うん笑、そうだね。
守里: じゃ、教室行こ。
日向子: お先に行きまーす!!!
日向子は校舎の方に駆け出して行った。
守里: 流石、日向子だよな笑
飛香: だね。でもあの子クラス聞かずに行ったけど笑
守里: どうせすぐ戻ってくるよ笑、ほら…
日向子: 守里!!!私たちのクラスどこ!!!
飛香: みんなで行くよ、日向子!
日向子: はーい!!
守里: 去年は1階だったけど、今年は2階か。移動教室の時は楽だけど。行き帰りはちょっと面倒くさいかな。
飛香: だね。もう階段は疲れるよ。
守里: なにおばさん臭いこと言ってんの笑
飛香: ギロッ
守里: いやっ怖!
飛香: そうやって余計なことをすぐ口にするから、彼女が出来ないんだよ守里は!
日向子: そうだ!そうだ!
守里: うるさい笑、そんなこと言われても、勝手に口から出ちゃうからしょうがないだろ。
飛香: 治しなさいよ、その癖。将来変なことに巻き込まれるよ。
守里: 飛香が言ったら、実際に起こりそうだから、やめて。
日向子: もういいから、早く教室に行こ!!
飛香: ふん!
守里: ごめんって飛香、気をつけるから。
飛香: はいはい。
上履きに履き替え、階段を登って教室に向かった。
to be continued
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