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どうやらオタトリオ達は無魔法……つまり無属性魔法を利用する気だ。
何故無魔法なのか?それは相談した時にこんな事があったからだ。
俺は今まで無魔法を余り使って来なかった。というよりも、使い道が分からなかった。
魔法系スキルを入手した時に、その魔法スキルの熟練度に応じて使える魔法が、呪文と共に頭に浮かんでくるのだが、無魔法については呪文も無く使えるような、簡単な魔法がただ一つあるのみだった。
見えない力で物を動かす、念動力とか呼ばれるものだ。
わざわざ話す事もない。そう思って無魔法についてオタトリオ達に相談する事が今までなかったが、今回の酒作りの為に、使える魔法を全て話す内に無魔法の説明に入った時、念動力の話を聞いたオタトリオ達が目を剥いた。
オタトリオ達が興奮しながら話すのを聞くと、どうやら無魔法は単に物を動かすだけではなく、力・エネルギーそのものを操作できるのではないか?
そういった考察を聞かされた。
それの何が凄いんだと聞いたら呆れた目を向けられた。
コイツら次の訓練で厳しくしてやろうか?
だが、話を聞くとなるほど。オタトリオが興奮するのも理解できた。
……まぁ訓練は厳しくするけどな。
火が着く。風が吹く。水が流れる。石や岩ができる。
世界に起きる現象の全てには何らかのエネルギーが必要になる。
つまり、エネルギーそのものを操作する無魔法というのは、全ての属性魔法の基礎にして奥義。
極めればそれ一つで何でも万能にこなせる可能性の塊だとか。
考察が正しいのか、幾つか無魔法で実験してみた。
無魔法で空気中の水分を集め水を作り出し、熱エネルギーと酸素を操り火を起こす事に成功した。
しかも驚くことに、同じ規模の現象を属性魔法で起こすより、無魔法を使った方が遥かに魔力消費が少ない。
恐らく存在すると思われる風魔法も、まだ未取得であるが無魔法で代用し、気圧を発生させ気流を生み出し、風を吹かせる事に成功した。
水を氷に変えることなども無魔法によってできる事が分かった。
ちなみに水魔法には氷系の魔法はない。液体と固体の違いだろうか?別の魔法として存在している可能性がある。
以上の事から無魔法を基礎として、属性魔法はそれぞれの現象に対しての知識が無い者でも発動出来るように、簡略化されたものではないか?といった結論に結びついた。
……今まで無魔法の事忘れてて、正直すまんかった。
ただ二点程問題はある。
そもそも現象への知識がなければ無魔法を有効活用できない事と、発動するのに思考を巡らせるために少し疲れる事だ。
しかしこれについても直ぐに案は出た。
一つ目については、オタトリオ達が希望者に、知識を教える教室を余暇で開く。
二つ目については、属性魔法を使用する時に部分的に無魔法を併用する事で、消費魔力を抑え、威力をブーストする補助的な使い方をする方法だ。
これなら属性魔法の簡略化があるので楽になる。
そして真に驚くべきはこの後。
「兄貴~、無魔法スキル取得できた~」
「は?」
なんとオタトリオの一人のユウが、小石を無魔法を使って浮かせてみせたのだ。
一人黙っていると思ったら、どうやら独自に魔力をエネルギーに変える方法を編み出したらしい。
オタクとは一体……。
俺が驚愕していると、ユウからコツを聞いたソウとダイが、速攻で無魔法を取得していた。
どうも今までも寝る前などに、火魔法や水魔法を使えないか訓練していたらしい。
それらは成功しなかったのだが、今日の話しで基礎の無魔法ならできるのでは?と思い、やってみたらできたと。
……三人の嬉しそうな顔を見ていると、突っ込む気が失せてきた。
だがこれからが大変だぞ?
魔法スキルが自力で取得出来た以上、間違いなくお前達の教室は大人気になるからな。
俺も時間のあるときに教わってみよう。
オタトリオ達から知識を学び、それを無魔法で代用していれば、風魔法や氷魔法に他の属性魔法も自力で取得できそうだからな。
そして話しは戻るが酒造りだ。
何故酒造りで無魔法なのか?
酒造りには醸造、つまり発酵を利用する必要があるが、発酵には微生物による何らかの作用が必要になる。
そこで、本来微生物が作用することで発生する発酵エネルギーを、無魔法で代用できないか?という試みだ。
早速試してみよう。
蜂蜜は女性陣に食べ尽くされてもう無いが、林檎、バナナ、桃、ヤシの実、甘い樹液で作る。
結果、酒と呼べる物はできたが、何か違う。
不味い訳では無いが、漠然とした違和感があるような、そんな感じだ。
だがそれも仕方ないのかもしれない。俺は微生物が発酵にどの様に作用しているのか、詳しいところを知らないからだ。
寧ろ酒の出来るイメージだけでこれだけの物が作れたのが凄いんだよなぁ。
無魔法万歳!
大人組で酒が好きな者に試飲してもらったが、大変喜ばれた。
だが俺と同じように少し違和感があったようで、暫くは俺や無魔法を取得した者が作るが、普通の作り方でも酒を仕込む事となりそうだ。
……今日は特別のつもりだったんだが、何故か酒造りが拠点を挙げての仕事の一つになりそうな件。
何故無魔法なのか?それは相談した時にこんな事があったからだ。
俺は今まで無魔法を余り使って来なかった。というよりも、使い道が分からなかった。
魔法系スキルを入手した時に、その魔法スキルの熟練度に応じて使える魔法が、呪文と共に頭に浮かんでくるのだが、無魔法については呪文も無く使えるような、簡単な魔法がただ一つあるのみだった。
見えない力で物を動かす、念動力とか呼ばれるものだ。
わざわざ話す事もない。そう思って無魔法についてオタトリオ達に相談する事が今までなかったが、今回の酒作りの為に、使える魔法を全て話す内に無魔法の説明に入った時、念動力の話を聞いたオタトリオ達が目を剥いた。
オタトリオ達が興奮しながら話すのを聞くと、どうやら無魔法は単に物を動かすだけではなく、力・エネルギーそのものを操作できるのではないか?
そういった考察を聞かされた。
それの何が凄いんだと聞いたら呆れた目を向けられた。
コイツら次の訓練で厳しくしてやろうか?
だが、話を聞くとなるほど。オタトリオが興奮するのも理解できた。
……まぁ訓練は厳しくするけどな。
火が着く。風が吹く。水が流れる。石や岩ができる。
世界に起きる現象の全てには何らかのエネルギーが必要になる。
つまり、エネルギーそのものを操作する無魔法というのは、全ての属性魔法の基礎にして奥義。
極めればそれ一つで何でも万能にこなせる可能性の塊だとか。
考察が正しいのか、幾つか無魔法で実験してみた。
無魔法で空気中の水分を集め水を作り出し、熱エネルギーと酸素を操り火を起こす事に成功した。
しかも驚くことに、同じ規模の現象を属性魔法で起こすより、無魔法を使った方が遥かに魔力消費が少ない。
恐らく存在すると思われる風魔法も、まだ未取得であるが無魔法で代用し、気圧を発生させ気流を生み出し、風を吹かせる事に成功した。
水を氷に変えることなども無魔法によってできる事が分かった。
ちなみに水魔法には氷系の魔法はない。液体と固体の違いだろうか?別の魔法として存在している可能性がある。
以上の事から無魔法を基礎として、属性魔法はそれぞれの現象に対しての知識が無い者でも発動出来るように、簡略化されたものではないか?といった結論に結びついた。
……今まで無魔法の事忘れてて、正直すまんかった。
ただ二点程問題はある。
そもそも現象への知識がなければ無魔法を有効活用できない事と、発動するのに思考を巡らせるために少し疲れる事だ。
しかしこれについても直ぐに案は出た。
一つ目については、オタトリオ達が希望者に、知識を教える教室を余暇で開く。
二つ目については、属性魔法を使用する時に部分的に無魔法を併用する事で、消費魔力を抑え、威力をブーストする補助的な使い方をする方法だ。
これなら属性魔法の簡略化があるので楽になる。
そして真に驚くべきはこの後。
「兄貴~、無魔法スキル取得できた~」
「は?」
なんとオタトリオの一人のユウが、小石を無魔法を使って浮かせてみせたのだ。
一人黙っていると思ったら、どうやら独自に魔力をエネルギーに変える方法を編み出したらしい。
オタクとは一体……。
俺が驚愕していると、ユウからコツを聞いたソウとダイが、速攻で無魔法を取得していた。
どうも今までも寝る前などに、火魔法や水魔法を使えないか訓練していたらしい。
それらは成功しなかったのだが、今日の話しで基礎の無魔法ならできるのでは?と思い、やってみたらできたと。
……三人の嬉しそうな顔を見ていると、突っ込む気が失せてきた。
だがこれからが大変だぞ?
魔法スキルが自力で取得出来た以上、間違いなくお前達の教室は大人気になるからな。
俺も時間のあるときに教わってみよう。
オタトリオ達から知識を学び、それを無魔法で代用していれば、風魔法や氷魔法に他の属性魔法も自力で取得できそうだからな。
そして話しは戻るが酒造りだ。
何故酒造りで無魔法なのか?
酒造りには醸造、つまり発酵を利用する必要があるが、発酵には微生物による何らかの作用が必要になる。
そこで、本来微生物が作用することで発生する発酵エネルギーを、無魔法で代用できないか?という試みだ。
早速試してみよう。
蜂蜜は女性陣に食べ尽くされてもう無いが、林檎、バナナ、桃、ヤシの実、甘い樹液で作る。
結果、酒と呼べる物はできたが、何か違う。
不味い訳では無いが、漠然とした違和感があるような、そんな感じだ。
だがそれも仕方ないのかもしれない。俺は微生物が発酵にどの様に作用しているのか、詳しいところを知らないからだ。
寧ろ酒の出来るイメージだけでこれだけの物が作れたのが凄いんだよなぁ。
無魔法万歳!
大人組で酒が好きな者に試飲してもらったが、大変喜ばれた。
だが俺と同じように少し違和感があったようで、暫くは俺や無魔法を取得した者が作るが、普通の作り方でも酒を仕込む事となりそうだ。
……今日は特別のつもりだったんだが、何故か酒造りが拠点を挙げての仕事の一つになりそうな件。
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