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「そろそろ君達の魂がこの世界に馴染みつつあるようだ。君達の質問に答えられる時間は残り少ない。他に何か聞きたい事はないかね?」
俺はもう聞きたい事はないが、他の人達は無いのだろうか?今聞きたい事を聞いておかないと後悔すると思うんだが…。
「質問してよいですかのぅ?」
飛行機で近くに座っていた老夫婦の爺さんの方だな。
「うむ。なんだろうか?」
「儂等が乗る飛行機が墜落しそうになっていたところで、ここに保護して頂けたという認識なのですが、ではこの白い空間から出た時には、いったい儂等は何処に出るんですかのぅ?」
確かにそれは大事だ。ここを出たらまた地上から遥か上空でしたじゃ、結局は直ぐに死んでしまう。
「答えよう。あの時君達を乗せた飛行機は海の上を飛んでいたのだが、君達をこの空間に引き込む際、一番近い陸地の地上へと出るように設定しておいた。その事で予想以上に我々の力を消費する事になったが、君達の安全には代えられん。
ただ、その場所は人の生活圏から離れた場所になっている。初期位置周辺にはそれほど脅威度の高い魔物はいないが、向かう方向によっては強い魔物がいるので気をつけて欲しい。一番近い街のある方角が分かるように、目印を出しておくので参考にするといい。」
おお。そこまでして貰っていたのか…。感謝しかないな。
「他には無いかね?」
「ぼ、僕も質問いいですか?」
「うむ。なんだろうか?」
「この世界の情勢を聞いておきたいです!住んでいる種族とか、戦争している国々があるのかとか、後は言語問題と、僕達がきた地球との違いも教えて欲しいです」
学生の中の一人が前に出て来て質問をした。しっかりしてそうなイケメン君だな。なかなか頼もしい。
もう聞くことはないと思っていたが。まだまだ重要な事が残っていたな。
俺の頭が狩猟関係に振り切ってるのは自覚しているが、ここは異世界だ。油断なく行かないとな。
美味い肉の話に浮かれてないで切り替えよう。
「全て答えよう。まず種族だが、君達の世界のファンタジー小説に出てくるような存在の大体は、この世界で実在している。君達のようなヒト種にはじまり、獣人、エルフ、ドワーフ、ドラゴニアン、魔族等だな。言っておくが、魔族とは魔法族の略であって魔物との関係性は無い。二つ目の質問にも通じるが、種族間や国同士の争い等も無い。何故なら先程少し話に出たが、この世界は魔物がいる上に、昨今では特にその数が増えすぎている傾向があるのだ。故に人間同士で争う余裕が無い、逆にどの種族間でも協力関係にある為に非常に仲が良い。勿論個人単位での悪人は存在するが、魔物という人類共通の敵が存在する為に、人間同士による争いは君達の世界より遥かに少ないのだ」
なるほど。大きな苦難の前に人は団結できると言うし、戦争等の面倒事が無いのはいいな。
ただ魔物がいる分圧倒的にこの世界の方が危険だから、皆素直に喜べないだろうが。
「次に言語についてだが、全ての人類は同じ言語で統一されている。世界の力によって、生まれつき魂に言語スキルとして紐付けされているのだ。スキルとは言ったが、これはステータスには載らないほどに、この世界の人間にとって当たり前の特性だが。
君達の魂がこの世界に馴染み切ると自然と身に付くもの故に、街に行き現地の人間と言葉が通じない等の問題は起きない。」
地球の僻地で狩猟中に、現地の部族と出会ってボディランゲージで親交を深めた事があったが、ここでは最初から言葉が通じるのか。便利だな。
「最後に地球との差異だが、この世界の今君達のいる惑星はアストラスタと言う名である。太陽との位置、月やその他惑星の配置や自転公転速度など、君達の世界の地球とその周辺とほとんど差異が無い故、年月日や時間の数え方も地球と同じである。魔物以外では生息している動植物も大きな違いは無い。
それと貨幣についても説明しておくが、言語と同じでこれも統一されていて、1エクス、2エクスと数える。紙幣という発想がまだ産まれてない故、全て硬貨となる。硬貨は価値の低い順から賤貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、聖銀貨、神鋼貨と価値が上がっていき、分かりやすく10進数で位上げされる様、大きさや含有率で厳しく調整されている。
文明の発展度合いについては、魔法に比べて科学の発展が遅れている故、地球で言うところの中世辺りの印象を与えるだろうが、魔法独自の発展により魔道具などが発明されている。一部には科学製品より高い性能の物や、地球では実現出来ていない効果の物が存在する故、君達には少々チグハグに感じられるだろうな」
ふーむ。街に行って見ないとわからない事も在るだろうが、ここまでの話を聞く限りでは、そこまで大きな混乱は無く馴染めそうだな。今のところ、この世界で生きていく上での障害は魔物だけに思える。
その魔物が唯一にして最大の問題なんだけどな。
「食文化については正直地球に比べ大分遅れている。なまじ魔物由来の食材が優秀だった為に、調理法等が発展しなかったのだ。料理や科学による知識チートと言うものがあるようだが、我々も、恐らくは世界そのものも、文化の侵略だ何だと気にする事は無い故、大いに資金繰り等に活用してほしい。
それとここを出て落ち着いたら、自分のステータスをそれぞれ確認してみるといい。口に出さずにステータスと念じるだけでよい。目の前に自分にしか見えないウィンドウが出現する筈だ。そのウィンドウで現在の能力値や取得しているスキル等が確認できる。地球でどのように過ごしてきたかによって、それぞれ違いが出ているだろうが。まぁ極一部を除いて、それほどの差異はないだろう」
一瞬、神が此方を見たように感じたんだが、気のせいか?
チートを貰えないと聞いて落ち込んでいた一部学生達だが、知識チートの下りからまた興奮しだした。なんだか楽しい事になりそうだな?
「そろそろ時間がきたようだな…。突然このような事態となり、まだ心の定まらない者もいるだろうが、それでも強く生きて欲しく思う。君達のこれからに幸多からん事を」
この神様ともこれでお別れか…。最後までどんな顔なのか認識する事はできなかったが、今は何となく切なげに笑っているように感じた。
色々と、ありがとうございました。
「では、さらばだ!」
神がそう言い終わるのと同時に、俺達は光に包まれた。
俺はもう聞きたい事はないが、他の人達は無いのだろうか?今聞きたい事を聞いておかないと後悔すると思うんだが…。
「質問してよいですかのぅ?」
飛行機で近くに座っていた老夫婦の爺さんの方だな。
「うむ。なんだろうか?」
「儂等が乗る飛行機が墜落しそうになっていたところで、ここに保護して頂けたという認識なのですが、ではこの白い空間から出た時には、いったい儂等は何処に出るんですかのぅ?」
確かにそれは大事だ。ここを出たらまた地上から遥か上空でしたじゃ、結局は直ぐに死んでしまう。
「答えよう。あの時君達を乗せた飛行機は海の上を飛んでいたのだが、君達をこの空間に引き込む際、一番近い陸地の地上へと出るように設定しておいた。その事で予想以上に我々の力を消費する事になったが、君達の安全には代えられん。
ただ、その場所は人の生活圏から離れた場所になっている。初期位置周辺にはそれほど脅威度の高い魔物はいないが、向かう方向によっては強い魔物がいるので気をつけて欲しい。一番近い街のある方角が分かるように、目印を出しておくので参考にするといい。」
おお。そこまでして貰っていたのか…。感謝しかないな。
「他には無いかね?」
「ぼ、僕も質問いいですか?」
「うむ。なんだろうか?」
「この世界の情勢を聞いておきたいです!住んでいる種族とか、戦争している国々があるのかとか、後は言語問題と、僕達がきた地球との違いも教えて欲しいです」
学生の中の一人が前に出て来て質問をした。しっかりしてそうなイケメン君だな。なかなか頼もしい。
もう聞くことはないと思っていたが。まだまだ重要な事が残っていたな。
俺の頭が狩猟関係に振り切ってるのは自覚しているが、ここは異世界だ。油断なく行かないとな。
美味い肉の話に浮かれてないで切り替えよう。
「全て答えよう。まず種族だが、君達の世界のファンタジー小説に出てくるような存在の大体は、この世界で実在している。君達のようなヒト種にはじまり、獣人、エルフ、ドワーフ、ドラゴニアン、魔族等だな。言っておくが、魔族とは魔法族の略であって魔物との関係性は無い。二つ目の質問にも通じるが、種族間や国同士の争い等も無い。何故なら先程少し話に出たが、この世界は魔物がいる上に、昨今では特にその数が増えすぎている傾向があるのだ。故に人間同士で争う余裕が無い、逆にどの種族間でも協力関係にある為に非常に仲が良い。勿論個人単位での悪人は存在するが、魔物という人類共通の敵が存在する為に、人間同士による争いは君達の世界より遥かに少ないのだ」
なるほど。大きな苦難の前に人は団結できると言うし、戦争等の面倒事が無いのはいいな。
ただ魔物がいる分圧倒的にこの世界の方が危険だから、皆素直に喜べないだろうが。
「次に言語についてだが、全ての人類は同じ言語で統一されている。世界の力によって、生まれつき魂に言語スキルとして紐付けされているのだ。スキルとは言ったが、これはステータスには載らないほどに、この世界の人間にとって当たり前の特性だが。
君達の魂がこの世界に馴染み切ると自然と身に付くもの故に、街に行き現地の人間と言葉が通じない等の問題は起きない。」
地球の僻地で狩猟中に、現地の部族と出会ってボディランゲージで親交を深めた事があったが、ここでは最初から言葉が通じるのか。便利だな。
「最後に地球との差異だが、この世界の今君達のいる惑星はアストラスタと言う名である。太陽との位置、月やその他惑星の配置や自転公転速度など、君達の世界の地球とその周辺とほとんど差異が無い故、年月日や時間の数え方も地球と同じである。魔物以外では生息している動植物も大きな違いは無い。
それと貨幣についても説明しておくが、言語と同じでこれも統一されていて、1エクス、2エクスと数える。紙幣という発想がまだ産まれてない故、全て硬貨となる。硬貨は価値の低い順から賤貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、聖銀貨、神鋼貨と価値が上がっていき、分かりやすく10進数で位上げされる様、大きさや含有率で厳しく調整されている。
文明の発展度合いについては、魔法に比べて科学の発展が遅れている故、地球で言うところの中世辺りの印象を与えるだろうが、魔法独自の発展により魔道具などが発明されている。一部には科学製品より高い性能の物や、地球では実現出来ていない効果の物が存在する故、君達には少々チグハグに感じられるだろうな」
ふーむ。街に行って見ないとわからない事も在るだろうが、ここまでの話を聞く限りでは、そこまで大きな混乱は無く馴染めそうだな。今のところ、この世界で生きていく上での障害は魔物だけに思える。
その魔物が唯一にして最大の問題なんだけどな。
「食文化については正直地球に比べ大分遅れている。なまじ魔物由来の食材が優秀だった為に、調理法等が発展しなかったのだ。料理や科学による知識チートと言うものがあるようだが、我々も、恐らくは世界そのものも、文化の侵略だ何だと気にする事は無い故、大いに資金繰り等に活用してほしい。
それとここを出て落ち着いたら、自分のステータスをそれぞれ確認してみるといい。口に出さずにステータスと念じるだけでよい。目の前に自分にしか見えないウィンドウが出現する筈だ。そのウィンドウで現在の能力値や取得しているスキル等が確認できる。地球でどのように過ごしてきたかによって、それぞれ違いが出ているだろうが。まぁ極一部を除いて、それほどの差異はないだろう」
一瞬、神が此方を見たように感じたんだが、気のせいか?
チートを貰えないと聞いて落ち込んでいた一部学生達だが、知識チートの下りからまた興奮しだした。なんだか楽しい事になりそうだな?
「そろそろ時間がきたようだな…。突然このような事態となり、まだ心の定まらない者もいるだろうが、それでも強く生きて欲しく思う。君達のこれからに幸多からん事を」
この神様ともこれでお別れか…。最後までどんな顔なのか認識する事はできなかったが、今は何となく切なげに笑っているように感じた。
色々と、ありがとうございました。
「では、さらばだ!」
神がそう言い終わるのと同時に、俺達は光に包まれた。
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