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9 出産
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夏になった。
花の間でリアナのお産が始まっていた。
旦那様は部屋の中に入れず、扉の前でせわしなく歩き回っている。
部屋の中からリアナの苦しげな声が聞こえるたび、旦那様は心配そうに扉にすがりつく。
「ええい、まだか、まだなのか!?あんなにリアナが苦しがっているではないか」
「まあまあ、落ち着いて。どうぞ私たちにお任せくだされ」
年配の侍女のばあやが少し愉快そうに旦那様をさとした。
おぎゃあおぎゃあ──
産声が鳴り響いた。
風のような速さで旦那様が部屋に飛び込んできた。
「旦那様…っ」
リアナはベッドの上から、ぐったりとしつつも幸福に満ち溢れた表情で旦那様を見た。
リアナのすぐ横におくるみに包まれた玉のような赤子がいる。
「おおお…っ」
「もしよろしかったら、抱いてあげてくれませんか?」
リアナの申し出に旦那様はこわごわと赤子を受け取る。
「女の子です」
赤子は小さな寝息を立てて眠っている。
「なんと愛らしい…っ!」
赤子を見つめる旦那様の目にはこぼれ落ちそうなほど涙がたまっていた。
その涙の訳をここにいる私だけが知らなかった。
花の間でリアナのお産が始まっていた。
旦那様は部屋の中に入れず、扉の前でせわしなく歩き回っている。
部屋の中からリアナの苦しげな声が聞こえるたび、旦那様は心配そうに扉にすがりつく。
「ええい、まだか、まだなのか!?あんなにリアナが苦しがっているではないか」
「まあまあ、落ち着いて。どうぞ私たちにお任せくだされ」
年配の侍女のばあやが少し愉快そうに旦那様をさとした。
おぎゃあおぎゃあ──
産声が鳴り響いた。
風のような速さで旦那様が部屋に飛び込んできた。
「旦那様…っ」
リアナはベッドの上から、ぐったりとしつつも幸福に満ち溢れた表情で旦那様を見た。
リアナのすぐ横におくるみに包まれた玉のような赤子がいる。
「おおお…っ」
「もしよろしかったら、抱いてあげてくれませんか?」
リアナの申し出に旦那様はこわごわと赤子を受け取る。
「女の子です」
赤子は小さな寝息を立てて眠っている。
「なんと愛らしい…っ!」
赤子を見つめる旦那様の目にはこぼれ落ちそうなほど涙がたまっていた。
その涙の訳をここにいる私だけが知らなかった。
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