20 / 31
第20話 サプライズ
しおりを挟む
天月が遊びに来てから一週間後。
窓から差し込む暖かな日差しを受けてゆっくりと瞼を持ち上げると、俺の寝顔を覗き込むようにレナが浮かんでいた。
その表情が若干こわばっていることに気づかず、俺は声をかける。
「……はよ。なんで俺の寝室にいるの?」
レナは軽く咳払いしてから「ついてきなさい」と短く告げて、俺の腕をとった。
レナの女の子らしい柔らかい感触とともに、ふわりとした甘い匂いが鼻孔をくすぐる。
寝起きなのもあって脳の処理が追いつかない。
驚いて固まっているうちに、レナにリビングに連れてかれた。
『ん』
リビングに着くなり微妙に視線を逸らしたレナから紙袋を渡されて、俺の脳内は「?」でいっぱいになる。
寝起きで頭が完全に働いてないから、余計に混乱するばかりだ。
「……何これ?」
『ん』
渡されるものに心当たりがないから聞いてみるものの、レナは自分で開けて確認しなさいとでもいうかのようにそっぽを向いたまま。
これ以上問いただしても答えてくれる気配がなかったので、俺はしぶしぶ袋を開ける。
中にはピンクと水色のリボンで可愛らしくラッピングされた二つの箱が入っていた。
「なんだこれ?」
『開けてみなさい』
レナに促されて、器用にリボンをほどく。
まずはピンクのリボンでラッピングされていた箱を開けると。
――今、ものすごく気になっていたゲームのパッケージが顔をのぞかせた。
「レナ、これって……」
『……誕プレよ誕プレ。今日、誕生日でしょ』
脳みそが飛び起きてフル稼働するのと同時に、自分の顔が紅潮していくのが分かった。
レナのほうを見れば彼女も頬が一目でわかるほど赤くなっていたので、恥ずかしいのはお互い様みたいだ。
「……俺がこのゲームやりたいって言ってたこと覚えてくれてたのか。ありがとな」
『……私が海斗の誕生日を祝うのは、私の誕生日の時に倍返ししてもらうためよ! 私の誕生日は八月七日だからね! 忘れたら許さないんだから!』
「はいはい、分かってるから大丈夫だって」
クッションを抱きかかえて顔の下半分を隠しながら、念押しするように睨みつけてくるレナ。
その姿がなんだか可愛らしくて、気づいたら目を奪われていた。
『……何よ? ジロジロ見て』
「ミテナイヨ? そ、それより、こっちもレナのプレゼントなのか?」
恥ずかしかったから話を逸らす。
『そっちは美沙っちが選んだやつよ。先輩、お誕生日おめでとうございますだってさ』
「そっか。今度、バイトの時にお礼しないとなぁ」
ここにはいない後輩に感謝しながら、水色のリボンでラッピングされた箱も開ける。
中には、最近出たばかりの新しいラブコメ小説が二冊と、いくつかのお菓子が入っていた。
「いやー、どちらも俺の趣味をよくわかっていらっしゃる」
嬉しすぎて、思わず感想を漏らす。
サプライズが成功したからだろう。
頬を緩めながらプレゼントを眺める俺を見たレナは小さくはにかむように口角を持ち上げたが、クッションで隠されたそれに俺が気付くことはなかった。
「ホントにありがとな」
しばらくプレゼントを眺め続けてから、改めてお礼を伝えると。
先ほどからずっとモジモジしていたレナが意を決したように口を開いた。
『……誕生日ケーキ作ってあげるわ。だからケーキの作り方を教えなさい!』
窓から差し込む暖かな日差しを受けてゆっくりと瞼を持ち上げると、俺の寝顔を覗き込むようにレナが浮かんでいた。
その表情が若干こわばっていることに気づかず、俺は声をかける。
「……はよ。なんで俺の寝室にいるの?」
レナは軽く咳払いしてから「ついてきなさい」と短く告げて、俺の腕をとった。
レナの女の子らしい柔らかい感触とともに、ふわりとした甘い匂いが鼻孔をくすぐる。
寝起きなのもあって脳の処理が追いつかない。
驚いて固まっているうちに、レナにリビングに連れてかれた。
『ん』
リビングに着くなり微妙に視線を逸らしたレナから紙袋を渡されて、俺の脳内は「?」でいっぱいになる。
寝起きで頭が完全に働いてないから、余計に混乱するばかりだ。
「……何これ?」
『ん』
渡されるものに心当たりがないから聞いてみるものの、レナは自分で開けて確認しなさいとでもいうかのようにそっぽを向いたまま。
これ以上問いただしても答えてくれる気配がなかったので、俺はしぶしぶ袋を開ける。
中にはピンクと水色のリボンで可愛らしくラッピングされた二つの箱が入っていた。
「なんだこれ?」
『開けてみなさい』
レナに促されて、器用にリボンをほどく。
まずはピンクのリボンでラッピングされていた箱を開けると。
――今、ものすごく気になっていたゲームのパッケージが顔をのぞかせた。
「レナ、これって……」
『……誕プレよ誕プレ。今日、誕生日でしょ』
脳みそが飛び起きてフル稼働するのと同時に、自分の顔が紅潮していくのが分かった。
レナのほうを見れば彼女も頬が一目でわかるほど赤くなっていたので、恥ずかしいのはお互い様みたいだ。
「……俺がこのゲームやりたいって言ってたこと覚えてくれてたのか。ありがとな」
『……私が海斗の誕生日を祝うのは、私の誕生日の時に倍返ししてもらうためよ! 私の誕生日は八月七日だからね! 忘れたら許さないんだから!』
「はいはい、分かってるから大丈夫だって」
クッションを抱きかかえて顔の下半分を隠しながら、念押しするように睨みつけてくるレナ。
その姿がなんだか可愛らしくて、気づいたら目を奪われていた。
『……何よ? ジロジロ見て』
「ミテナイヨ? そ、それより、こっちもレナのプレゼントなのか?」
恥ずかしかったから話を逸らす。
『そっちは美沙っちが選んだやつよ。先輩、お誕生日おめでとうございますだってさ』
「そっか。今度、バイトの時にお礼しないとなぁ」
ここにはいない後輩に感謝しながら、水色のリボンでラッピングされた箱も開ける。
中には、最近出たばかりの新しいラブコメ小説が二冊と、いくつかのお菓子が入っていた。
「いやー、どちらも俺の趣味をよくわかっていらっしゃる」
嬉しすぎて、思わず感想を漏らす。
サプライズが成功したからだろう。
頬を緩めながらプレゼントを眺める俺を見たレナは小さくはにかむように口角を持ち上げたが、クッションで隠されたそれに俺が気付くことはなかった。
「ホントにありがとな」
しばらくプレゼントを眺め続けてから、改めてお礼を伝えると。
先ほどからずっとモジモジしていたレナが意を決したように口を開いた。
『……誕生日ケーキ作ってあげるわ。だからケーキの作り方を教えなさい!』
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる