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第19話 内緒の買い物(レナ視点)
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美沙が海斗の家に遊びに来た翌日。
一人で家を出てきたレナは、最寄り駅で美沙と合流していた。
「レナちゃん、お待たせしました」
『私も来たばっかりだから大丈夫よ』
「じゃあ、行きましょうか」
『ん、出発!』
二人はそのまま駅に向かう。
向かう先は、レナと海斗がゴールデンウィークの時に出掛けたあのショッピングモールだ。
相変わらず乗客の少ない電車に乗り込んで席に座るなり、美沙がいたずらっぽい笑みを浮かべながら口を開いた。
「レナちゃんはいい子ですねぇ。先輩に誕生日プレゼントを買ってあげるなんて」
この前、学生証を海斗に手渡した時。
そこに書かれている誕生日を見て、レナは海斗の誕生日が近いことを知ったのである。
それで誕生日プレゼントを買おうと思い至り、こうして海斗に内緒で買い物に来たというわけだ。
『べ、別に日頃のお礼を込めて買ってあげるだけだからね! ……それに、友達なんだから誕プレをあげるのはおかしなことじゃないでしょ!』
「そのちょっとだけ素直になれないところがレナちゃんらしくていいと思いますよ」
『むー』
少しだけ顔を赤らめながら頬を膨らませているレナ。
その頭を美沙が撫でると、レナはすんなりと機嫌を直した。
その後も他愛のない会話を続けること一時間。
電車を降りた二人は、駅を出てショッピングモールに向かう。
その道中で、美沙が尋ねた。
「何を買うんですか?」
『んー、問題はそれなのよね……。美沙っちは何がいいと思う?』
「それで私を呼んだんですね」
『そういうことよ。……道案内してほしかったってのもあるけど』
「ん~……」
美沙は少し考えてから口を開いた。
「先輩ならラブコメ小説買ってあげたら喜びそうですけどね」
『それはそう』
ラブコメ大好きな海斗なら、間違いなく喜ぶだろう。
だが、誕生日プレゼントとして贈るものとしては違う気がする。
かといって、レナが詳しいファッション系統のアイテムをあげても、海斗が使いこなせるはずもない。
そんなわけで、レナは非常に悩んでいた。
「ちょっと検索してみましょうか。こういう時こそグ〇グル先生の出番ですからね」
いろいろと検索すること数分。
「財布とか人気みたいですよ」
『わりと最近買ったばっかのいい財布使ってるわ』
「でしたらハンカチは? オシャレで実用的なやつが人気だそうですよ」
『海斗って女子力高いから、たくさんハンカチ持ってるわ』
「では、ペンケースは?」
『海斗が今使ってるやつが、限定デザインのやつでお気に入りなんだって』
「ではでは、ショルダーバッグはどうでしょうか?」
『すでに持ってるし、海斗ってそもそもインドア派だし』
「むむむ。服なんかはどうでしょうか?」
『この前、一緒にここに来た時にいっぱい買ったわ』
「……」
『……』
いよいよ何を買えばいいのか分からなくなった二人は沈黙する。
「……もういっそのことゲームソフトや小説とかでいいんじゃないですかね?」
『……それもそうね』
一周回って最初の結論に戻ってきた二人はゲーム関連を販売している店に入って、海斗がCMを見て欲しいと言っていた新作ソフトをかごに入れる。
『あ……』
何か大事なことにでも気づいたのか、レナが涙目になりながら美沙にすがった。
『どうしよう、私お金持ってない……』
「……あー、レナちゃんって幽霊ですもんね。私のおごりでいいですよ」
『ホントに!? ありがと! この恩は絶対に返すから!』
「それなら、誕生日プレゼントを渡した時のことを後で詳しく教えてくださいね」
『……美沙っち最初からそれが目的だったってわけ?』
「まさか。そんなわけないですよ~」
親友の腹黒さに驚きながらも、ニヤニヤした笑みを浮かべた美沙に尋問される未来が脳裏によぎる。
絶対にからかわれるんだろうなぁと思ったが、それでもレナは頷くしかなかった。
一人で家を出てきたレナは、最寄り駅で美沙と合流していた。
「レナちゃん、お待たせしました」
『私も来たばっかりだから大丈夫よ』
「じゃあ、行きましょうか」
『ん、出発!』
二人はそのまま駅に向かう。
向かう先は、レナと海斗がゴールデンウィークの時に出掛けたあのショッピングモールだ。
相変わらず乗客の少ない電車に乗り込んで席に座るなり、美沙がいたずらっぽい笑みを浮かべながら口を開いた。
「レナちゃんはいい子ですねぇ。先輩に誕生日プレゼントを買ってあげるなんて」
この前、学生証を海斗に手渡した時。
そこに書かれている誕生日を見て、レナは海斗の誕生日が近いことを知ったのである。
それで誕生日プレゼントを買おうと思い至り、こうして海斗に内緒で買い物に来たというわけだ。
『べ、別に日頃のお礼を込めて買ってあげるだけだからね! ……それに、友達なんだから誕プレをあげるのはおかしなことじゃないでしょ!』
「そのちょっとだけ素直になれないところがレナちゃんらしくていいと思いますよ」
『むー』
少しだけ顔を赤らめながら頬を膨らませているレナ。
その頭を美沙が撫でると、レナはすんなりと機嫌を直した。
その後も他愛のない会話を続けること一時間。
電車を降りた二人は、駅を出てショッピングモールに向かう。
その道中で、美沙が尋ねた。
「何を買うんですか?」
『んー、問題はそれなのよね……。美沙っちは何がいいと思う?』
「それで私を呼んだんですね」
『そういうことよ。……道案内してほしかったってのもあるけど』
「ん~……」
美沙は少し考えてから口を開いた。
「先輩ならラブコメ小説買ってあげたら喜びそうですけどね」
『それはそう』
ラブコメ大好きな海斗なら、間違いなく喜ぶだろう。
だが、誕生日プレゼントとして贈るものとしては違う気がする。
かといって、レナが詳しいファッション系統のアイテムをあげても、海斗が使いこなせるはずもない。
そんなわけで、レナは非常に悩んでいた。
「ちょっと検索してみましょうか。こういう時こそグ〇グル先生の出番ですからね」
いろいろと検索すること数分。
「財布とか人気みたいですよ」
『わりと最近買ったばっかのいい財布使ってるわ』
「でしたらハンカチは? オシャレで実用的なやつが人気だそうですよ」
『海斗って女子力高いから、たくさんハンカチ持ってるわ』
「では、ペンケースは?」
『海斗が今使ってるやつが、限定デザインのやつでお気に入りなんだって』
「ではでは、ショルダーバッグはどうでしょうか?」
『すでに持ってるし、海斗ってそもそもインドア派だし』
「むむむ。服なんかはどうでしょうか?」
『この前、一緒にここに来た時にいっぱい買ったわ』
「……」
『……』
いよいよ何を買えばいいのか分からなくなった二人は沈黙する。
「……もういっそのことゲームソフトや小説とかでいいんじゃないですかね?」
『……それもそうね』
一周回って最初の結論に戻ってきた二人はゲーム関連を販売している店に入って、海斗がCMを見て欲しいと言っていた新作ソフトをかごに入れる。
『あ……』
何か大事なことにでも気づいたのか、レナが涙目になりながら美沙にすがった。
『どうしよう、私お金持ってない……』
「……あー、レナちゃんって幽霊ですもんね。私のおごりでいいですよ」
『ホントに!? ありがと! この恩は絶対に返すから!』
「それなら、誕生日プレゼントを渡した時のことを後で詳しく教えてくださいね」
『……美沙っち最初からそれが目的だったってわけ?』
「まさか。そんなわけないですよ~」
親友の腹黒さに驚きながらも、ニヤニヤした笑みを浮かべた美沙に尋問される未来が脳裏によぎる。
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