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第15話 友達
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「西崎君。きみ、悪霊に憑りつかれてるよ。祓ってあげる」
その言葉と共に霧雨が手をかざしてくる。
ビックリして固まる俺とは対照的に、レナは過去一で慌てふためいていた。
『助けて海斗! 除霊されちゃう!』
「え、お前より強い霊能力者なの!?」
『上級悪霊くらいなら余裕で倒せるほどの力を感じるわ!』
レナは本人曰く中級悪霊だ。
上級悪霊がどれくらいの強さなのかは分からないけど、順当に考えてレナよりは強いだろう。
その上級悪霊を簡単に倒せるほどの霊能力者となると、レナが太刀打ちできるはずもないのは当然だ。
『お願い! 肉壁になって!』
恐怖からかパニックになったレナが俺の後ろにへばりついてくる。
ちょっと待って肉壁とか物騒なワードが聞こえたんだけど!?
『海斗の雄姿は忘れないわ!』
「俺が死ぬこと前提で話してない!? お前のせいで死んだら化けて出てやるからな!」
『その時は悪霊同士、また友達になりましょ!』
「我が力の根源に命ずる。魔を祓い、天へと導く聖なる奇跡を――」
なんか魔王との戦いで決着をつけるために勇者が放つ必殺技みたいな詠唱が始まったんだけど!?
神聖魔法かなんかの使い手ですか!?
「ストーーーーップ! いったんストップ! 除霊しなくていいから!」
「……しなくていいの?」
いよいよヤバいことになりそうだったから俺が叫びながら制止すると、霧雨は案外すんなりと詠唱を中断してくれた。
人の話をちゃんと聞いてくれるタイプでよかったぁ~ホントに。
俺は頭を整理してから、レナのことを説明した。
波長が合うこと。
悪霊だけど悪いやつではないこと。
除霊してほしくないこと。
レナには成仏してほしいこと。
自分でもなんでこんなに必死なのか分からなかった。
「ふーん。宮乃さんみたいな悪霊を見るのは初めてだよ。時間を奪っちゃって悪かったね」
俺の説明に納得してくれたようで、霧雨は軽く謝ってから去っていった。
『な、なんかよく分からない奴だったわね』
「悪いやつじゃないってことしか分からなかったな」
『不思議ちゃんすぎる』
「ん、同意」
◇◇◇◇
学校でのひと騒動の後。
家に帰る途中も、どうして必死にレナをかばったのか考え続けた。
その結果、一つの結論が導き出される。
その結論に確信を持つため、俺はレナに尋ねた。
「……なあ、レナ。お前が俺を肉壁にしようとした時に、友達がうんたらかんたら言ってただろ?」
『まあ、言ったわね』
そのことを掘り返されるとは思っていなかったのか、レナはプイっと視線を逸らした。
『その……なんだ……お前は俺のこと友達だと認識してるってことでいいのか?』
『……そうよ。察しなさいよ』
レナが恥ずかしそうに言ってくる。
友達……か。
出会ったばかりのころはレナのことなんて嫌いだったのに、その言葉はすとんと腑に落ちた。
なぜだか胸の内が温かくなった気がした。
やっと分かった。レナを必死でかばった理由が。
レナと一緒に過ごす今の日常が楽しいんだ。
「そっか。じゃあ、俺たちは今日から友達だな」
『……もっと前からに決まってるでしょ』
「……それもそうだな」
俺は頬をポリポリ掻きつつ同意する。
レナは相変わらず顔を逸らしたままでこちらを見ようともしないけど……。
その横顔は、ほんのりと朱に染まっていた。
ちょっとだけデレてくれたレナは、なんだかとても可愛かった。
その言葉と共に霧雨が手をかざしてくる。
ビックリして固まる俺とは対照的に、レナは過去一で慌てふためいていた。
『助けて海斗! 除霊されちゃう!』
「え、お前より強い霊能力者なの!?」
『上級悪霊くらいなら余裕で倒せるほどの力を感じるわ!』
レナは本人曰く中級悪霊だ。
上級悪霊がどれくらいの強さなのかは分からないけど、順当に考えてレナよりは強いだろう。
その上級悪霊を簡単に倒せるほどの霊能力者となると、レナが太刀打ちできるはずもないのは当然だ。
『お願い! 肉壁になって!』
恐怖からかパニックになったレナが俺の後ろにへばりついてくる。
ちょっと待って肉壁とか物騒なワードが聞こえたんだけど!?
『海斗の雄姿は忘れないわ!』
「俺が死ぬこと前提で話してない!? お前のせいで死んだら化けて出てやるからな!」
『その時は悪霊同士、また友達になりましょ!』
「我が力の根源に命ずる。魔を祓い、天へと導く聖なる奇跡を――」
なんか魔王との戦いで決着をつけるために勇者が放つ必殺技みたいな詠唱が始まったんだけど!?
神聖魔法かなんかの使い手ですか!?
「ストーーーーップ! いったんストップ! 除霊しなくていいから!」
「……しなくていいの?」
いよいよヤバいことになりそうだったから俺が叫びながら制止すると、霧雨は案外すんなりと詠唱を中断してくれた。
人の話をちゃんと聞いてくれるタイプでよかったぁ~ホントに。
俺は頭を整理してから、レナのことを説明した。
波長が合うこと。
悪霊だけど悪いやつではないこと。
除霊してほしくないこと。
レナには成仏してほしいこと。
自分でもなんでこんなに必死なのか分からなかった。
「ふーん。宮乃さんみたいな悪霊を見るのは初めてだよ。時間を奪っちゃって悪かったね」
俺の説明に納得してくれたようで、霧雨は軽く謝ってから去っていった。
『な、なんかよく分からない奴だったわね』
「悪いやつじゃないってことしか分からなかったな」
『不思議ちゃんすぎる』
「ん、同意」
◇◇◇◇
学校でのひと騒動の後。
家に帰る途中も、どうして必死にレナをかばったのか考え続けた。
その結果、一つの結論が導き出される。
その結論に確信を持つため、俺はレナに尋ねた。
「……なあ、レナ。お前が俺を肉壁にしようとした時に、友達がうんたらかんたら言ってただろ?」
『まあ、言ったわね』
そのことを掘り返されるとは思っていなかったのか、レナはプイっと視線を逸らした。
『その……なんだ……お前は俺のこと友達だと認識してるってことでいいのか?』
『……そうよ。察しなさいよ』
レナが恥ずかしそうに言ってくる。
友達……か。
出会ったばかりのころはレナのことなんて嫌いだったのに、その言葉はすとんと腑に落ちた。
なぜだか胸の内が温かくなった気がした。
やっと分かった。レナを必死でかばった理由が。
レナと一緒に過ごす今の日常が楽しいんだ。
「そっか。じゃあ、俺たちは今日から友達だな」
『……もっと前からに決まってるでしょ』
「……それもそうだな」
俺は頬をポリポリ掻きつつ同意する。
レナは相変わらず顔を逸らしたままでこちらを見ようともしないけど……。
その横顔は、ほんのりと朱に染まっていた。
ちょっとだけデレてくれたレナは、なんだかとても可愛かった。
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