4 / 14
第4話 イチゴ狩り
しおりを挟む
「葛葉ちゃん、準備はOK?」
「おっけー!」
今日は超久しぶりの休日だ。
ちょっと前までの私なら一日中寝てただろうけど、今は葛葉ちゃんがいるからね。
家で何もせず過ごすより、葛葉ちゃんにいろいろな体験をさせてあげたい。
というわけで、これから一緒にお出かけするところです。
行先はイチゴ農園。
もう五月だけど、調べたらそこそこ近くの農園でイチゴ狩りできるようだったから、葛葉ちゃんと一緒に楽しもうというわけである。
「葛葉ちゃんは助手席に座ってね」
「はーい」
助手席に葛葉ちゃんを座らせ、シートベルトで固定する。
初めて車に乗る葛葉ちゃんは、終始興奮した様子だった。
キョロキョロといろんなところを楽しげに眺めている。
「それじゃあ、出発進行!」
「しんこー!」
葛葉ちゃんが元気よく合図を出してくれたところで、私は車を動かす。
「すごいすごーい! うごいてるよ、なるせお姉ちゃん!」
いちご農園に到着するまで、葛葉ちゃんはずっと楽しそうにはしゃいでいた。
てぇてぇ。
「ふぅ、到着~」
「いっちごがり~いっちごがり~」
「たくさん採れるといいね」
私は葛葉ちゃんの手を引いて歩く。
ぷにぷにで柔らかいですありがとうございます。
「いよいよだね、イチゴ狩り」
「わくわく!」
いろいろな説明を聞いてから、私たちは農園に入る。
ワクワクが止まらない私たちを迎えたのは、赤く実ったおいしそうなイチゴたちだった。
「さーて、どれから採ろうかな」
「葛葉、いっぱいイチゴさん集める!」
葛葉ちゃんはそう宣言すると、イチゴのもとにとたとたと走っていく。
「んしょ、んしょ。……やっ!」
それから、私の元に戻ってきた。
手に握ったイチゴを嬉しそうな表情で見せてくる。
「イチゴさんとったぁ!」
「イチゴ採るの上手だね、葛葉ちゃん。おいしそうだね」
「でしょでしょ~。あとでいっしょに食べようね!」
「うん、そのためにもいっぱい集めないとね」
「だね! 葛葉、おいしそうなのいっぱいあつめる!」
葛葉ちゃんは元気よく返事すると、再びイチゴのもとにとたとた走る。
はしゃいでる葛葉ちゃんを見て、来てよかったなと実感する。
葛葉ちゃんの笑顔を見れただけで、私は満足だった。
「なるせお姉ちゃんもいっしょにあつめよーよ!」
「……うん、今行くよ」
私はクスリと笑ってから、葛葉ちゃんのもとに向かった。
隣で一緒に採取していく。
「わあ! みて、なるせお姉ちゃん。このイチゴさんすっごく大きいよ!」
そう言って葛葉ちゃんが見せてきたのは、通常サイズの倍ほどもある巨大なイチゴだった。
「すっご! 葛葉ちゃん、プロのイチゴハンターじゃん!」
「えへへ、これはなるせお姉ちゃんにぷれぜんとするね!」
「ありがとね。すごく嬉しいよ」
めっちゃ健気でいい子だ……!
てぇてぇ……。てぇてぇよ……っ!
それから数十分後。
私たちはカゴにどっさり入るほどのイチゴを集めることができた。
「ふ~、こんなもんかな」
「もうイチゴさん食べる?」
「うん、採れたて新鮮なうちに食べよっか。好きなの取っていいからね」
私がそう言うと、葛葉ちゃんはイチゴたちをじっと眺める。
いろいろと物色した後、葛葉ちゃんはカゴの中からイチゴを取り出した。
「はい、これ。なるせお姉ちゃんにあげる」
そう言って葛葉ちゃんが渡してきたのは、最初のほうに葛葉ちゃんがとった巨大イチゴだった。
「たべてたべて~」
葛葉ちゃんが健気すぎる……ッ!
ちょっと嬉しすぎて涙出てきたわ。
「おいしそうだね。では、いただきまーす」
葛葉ちゃんから受け取ったイチゴを口の中に運ぶ。
一口噛めば、甘酸っぱい果汁が口の中にあふれてきた。
「どう?」
「すっごくおいしいよ。ありがとね、私にくれて」
「えへへ、どういたしまして。じゃあ、葛葉もイチゴさんもらうね」
「好きなだけ食べていいからね」
「はーい。あむ」
イチゴを口に運ぶ葛葉ちゃん。
お気に召したようで、ほっぺを押さえながら目を細めてもぐもぐする。
「ん~、おいし~。つぎは……これにしよっと!」
次に葛葉ちゃんが選んだのは、比較的小ぶりなサイズのイチゴだった。
「あむっ。……っ!」
イチゴをもぐもぐしていた葛葉ちゃんが、急に顔をしかめる。
酸っぱいイチゴに当たっちゃったのだろう。
プルプル震えてる葛葉ちゃんてぇてぇ。
「大丈夫?」
「ちゅっぱい……!」
「あはは、残念だったね」
「むぅ」
口をとがらせてしまった葛葉ちゃんの頭を撫でてあげたら、葛葉ちゃんはすぐに笑顔になった。
うん、チョロ可愛いね。
そんな感じでイチゴ狩りを終えた私たちは帰路につく。
もちろん戦利品のイチゴたちを抱えて。
「葛葉ちゃん、イチゴ狩りは楽しかった?」
「すごくたのしかった! またなるせお姉ちゃんとあそびに行きたいな」
「ふふっ、私もすごく楽しかったよ。お盆になったら三日ぐらい休みがあると思うから、遠くに旅行するのもいいかもね」
「りょこー!? なにそれたのしそう!」
行きと同様、帰りの車内でもはしゃいでいた葛葉ちゃんだったが、疲れが出てきたのかすぐに眠ってしまった。
「よかった。いい思い出になったみたいだね」
静かになった車内で、私はぽつりと呟く。
初めてのお出かけは、大成功に終わった。
「おっけー!」
今日は超久しぶりの休日だ。
ちょっと前までの私なら一日中寝てただろうけど、今は葛葉ちゃんがいるからね。
家で何もせず過ごすより、葛葉ちゃんにいろいろな体験をさせてあげたい。
というわけで、これから一緒にお出かけするところです。
行先はイチゴ農園。
もう五月だけど、調べたらそこそこ近くの農園でイチゴ狩りできるようだったから、葛葉ちゃんと一緒に楽しもうというわけである。
「葛葉ちゃんは助手席に座ってね」
「はーい」
助手席に葛葉ちゃんを座らせ、シートベルトで固定する。
初めて車に乗る葛葉ちゃんは、終始興奮した様子だった。
キョロキョロといろんなところを楽しげに眺めている。
「それじゃあ、出発進行!」
「しんこー!」
葛葉ちゃんが元気よく合図を出してくれたところで、私は車を動かす。
「すごいすごーい! うごいてるよ、なるせお姉ちゃん!」
いちご農園に到着するまで、葛葉ちゃんはずっと楽しそうにはしゃいでいた。
てぇてぇ。
「ふぅ、到着~」
「いっちごがり~いっちごがり~」
「たくさん採れるといいね」
私は葛葉ちゃんの手を引いて歩く。
ぷにぷにで柔らかいですありがとうございます。
「いよいよだね、イチゴ狩り」
「わくわく!」
いろいろな説明を聞いてから、私たちは農園に入る。
ワクワクが止まらない私たちを迎えたのは、赤く実ったおいしそうなイチゴたちだった。
「さーて、どれから採ろうかな」
「葛葉、いっぱいイチゴさん集める!」
葛葉ちゃんはそう宣言すると、イチゴのもとにとたとたと走っていく。
「んしょ、んしょ。……やっ!」
それから、私の元に戻ってきた。
手に握ったイチゴを嬉しそうな表情で見せてくる。
「イチゴさんとったぁ!」
「イチゴ採るの上手だね、葛葉ちゃん。おいしそうだね」
「でしょでしょ~。あとでいっしょに食べようね!」
「うん、そのためにもいっぱい集めないとね」
「だね! 葛葉、おいしそうなのいっぱいあつめる!」
葛葉ちゃんは元気よく返事すると、再びイチゴのもとにとたとた走る。
はしゃいでる葛葉ちゃんを見て、来てよかったなと実感する。
葛葉ちゃんの笑顔を見れただけで、私は満足だった。
「なるせお姉ちゃんもいっしょにあつめよーよ!」
「……うん、今行くよ」
私はクスリと笑ってから、葛葉ちゃんのもとに向かった。
隣で一緒に採取していく。
「わあ! みて、なるせお姉ちゃん。このイチゴさんすっごく大きいよ!」
そう言って葛葉ちゃんが見せてきたのは、通常サイズの倍ほどもある巨大なイチゴだった。
「すっご! 葛葉ちゃん、プロのイチゴハンターじゃん!」
「えへへ、これはなるせお姉ちゃんにぷれぜんとするね!」
「ありがとね。すごく嬉しいよ」
めっちゃ健気でいい子だ……!
てぇてぇ……。てぇてぇよ……っ!
それから数十分後。
私たちはカゴにどっさり入るほどのイチゴを集めることができた。
「ふ~、こんなもんかな」
「もうイチゴさん食べる?」
「うん、採れたて新鮮なうちに食べよっか。好きなの取っていいからね」
私がそう言うと、葛葉ちゃんはイチゴたちをじっと眺める。
いろいろと物色した後、葛葉ちゃんはカゴの中からイチゴを取り出した。
「はい、これ。なるせお姉ちゃんにあげる」
そう言って葛葉ちゃんが渡してきたのは、最初のほうに葛葉ちゃんがとった巨大イチゴだった。
「たべてたべて~」
葛葉ちゃんが健気すぎる……ッ!
ちょっと嬉しすぎて涙出てきたわ。
「おいしそうだね。では、いただきまーす」
葛葉ちゃんから受け取ったイチゴを口の中に運ぶ。
一口噛めば、甘酸っぱい果汁が口の中にあふれてきた。
「どう?」
「すっごくおいしいよ。ありがとね、私にくれて」
「えへへ、どういたしまして。じゃあ、葛葉もイチゴさんもらうね」
「好きなだけ食べていいからね」
「はーい。あむ」
イチゴを口に運ぶ葛葉ちゃん。
お気に召したようで、ほっぺを押さえながら目を細めてもぐもぐする。
「ん~、おいし~。つぎは……これにしよっと!」
次に葛葉ちゃんが選んだのは、比較的小ぶりなサイズのイチゴだった。
「あむっ。……っ!」
イチゴをもぐもぐしていた葛葉ちゃんが、急に顔をしかめる。
酸っぱいイチゴに当たっちゃったのだろう。
プルプル震えてる葛葉ちゃんてぇてぇ。
「大丈夫?」
「ちゅっぱい……!」
「あはは、残念だったね」
「むぅ」
口をとがらせてしまった葛葉ちゃんの頭を撫でてあげたら、葛葉ちゃんはすぐに笑顔になった。
うん、チョロ可愛いね。
そんな感じでイチゴ狩りを終えた私たちは帰路につく。
もちろん戦利品のイチゴたちを抱えて。
「葛葉ちゃん、イチゴ狩りは楽しかった?」
「すごくたのしかった! またなるせお姉ちゃんとあそびに行きたいな」
「ふふっ、私もすごく楽しかったよ。お盆になったら三日ぐらい休みがあると思うから、遠くに旅行するのもいいかもね」
「りょこー!? なにそれたのしそう!」
行きと同様、帰りの車内でもはしゃいでいた葛葉ちゃんだったが、疲れが出てきたのかすぐに眠ってしまった。
「よかった。いい思い出になったみたいだね」
静かになった車内で、私はぽつりと呟く。
初めてのお出かけは、大成功に終わった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる