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絶望。2
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「あぁ、、。」
ボーッと何処か上の空なアランはローゼの話を聞いているのかいないのかわからないが、ただその体に巻き付かれた腕を離す素振りは一切見えず、それに気をよくしたローゼは更に自信の体を絡め、ベタベタと執拗にアランに触れるのである。
私の、、私のアランなのに。
「もー、アランってば、この頃いっつもそんなんなんだから!早く私の事をお嫁さんにして欲しいってあれだけ言ってるのに!アランの馬鹿!」
私の、旦那様なのに、、。
ぷぅっと頬を膨らませ、更には頬を赤らめるローゼは本当に可愛くて、、アランがローゼの元にいってしまうのも理解出来るのだ。
「あぁ、、。」
それでも、たった一言そう言うだけで抵抗一つしないアランに対し、エレナの心はもうどうにかなってしまいそう。
「もー、またそれ!アランの馬鹿!馬鹿馬鹿!」
ポカポカと怒りローゼがアランの体を叩けば、ハッと我に帰ったのかギャンギャンと騒ぐローゼを見た後、その頭を撫でてやるのだ。
「嫌、、嫌よやめて、アラン。」
どうして、ローゼ様にそんなにも優しくするの?
私はこんなにも辛い思いをしてるのに、、。
必死で逃げてきたのに、、。
アランだけを愛してるのに、、。
「ほらほら、二人でイチャイチャベタベタしてんじゃん。」
いつの間に追いつかれたのか、エレナの背後には二人を見ながらニタニタと人の悪い笑みを浮かべるレオンがおり、その腕はエレナの腰へと回されるが、エレナにはもう、拒絶する気持ちも体力すらも残っていないのだ。
「あぁ、、あぁ、、。」と呻き声の様なものを漏らしながら、二人から目を逸らす事も出来ずに見続けるしか出来ない。
「あぁっ、、ごめんローゼ。」
眉を少し下げ、申し訳無さそうに少し微笑みながらローゼを見るのは何故、、?
大切な人を見る様な優しい目で、見てあげるのは何故?
「もう、、でもいいよ許してあげる。代わりに、アランがキスしてくれたら許してあげる。」
ニッコリと可愛く微笑んだローゼは、そっと目を瞑りキスしろと言うのだ。
私の旦那様なのに、、流石にそんなのおかしいと変だと思うはずなのに、、アランはどうしようかと迷ってさえいる。
「あっ、ひゃぁ!おっもしろ。」
ケタケタとエレナの腰を抱きながら喜ぶレオンはエレナをまた連れて行く事はしなかった。
きっと、今この場を見ている方がよっぽど面白いと思ったのだろう、目を爛々と輝かせたレオンは、ボーッと二人を見たまま何も話せずにいるエレナを他所に客間の扉を勢いよく開けたのである。
キィっと言う音で扉が開けば中にいる二人と目が合い、アランは驚愕に目を開き、ローゼは「あら?」っと思わぬ人物の登場に驚いた後、更に自身の体をアランに絡みつけた。
「エレナ、、何で、、。」
目を見開き驚くアランにはローゼが一ミリの隙間もない程抱きついており、こちらも何で?と言ってやりたい気分だ。
ただの幼馴染と言ったくせに、、二人の距離は余りにも近すぎる、、どうしてそんなにくっついてるのかと怒ってやりたい、言ってやりたいと思うのに、声が出なかった。
だって、先にアランが声を張り上げて、怒ってきたのだ。
自分の事は棚に上げて、エレナの腰に回るレオンの手を見て、激昂するのだ。
「うーっ。」と鋭く唸る様な声を出した後、
「エレナ!!私はこんなにも君を愛してるのに、、!」そう叫んだ。
確かに、今のエレナは髪もドレスも乱れていて、腰にはレオンが纏わりついており、レオンと何かあったのでは、、と思われても仕方がないかも知れない。
それでも、エレナはアランの事をずっと考えながら一人で逃げてきたのに。
なのに、、なのにアランはローゼとベタベタベタベタとしてるくせに、エレナを怒るのだ。
「あぁ、、あぁ、あいつ怒ってるよな!?辛がってるし苦しんでるよな、、?やっぱりこれで間違えじゃなかった、この方法で会ってたんだよセレシア!」
エレナの耳元ではレオンがぶつくさ呟いており、最後何を思ったのかエレナの顔を掴んだ後、エレナの唇にキスを落としたのである。
あぁ、、もう、辞めて。
私を巻き込まないで、、一人にして。
「エレナ!!!」
私がしたわけでないのに、、私を怒る
アランの叫び声が聞こえた後、、
ぷつりと何かが途切れる音がした。
ボーッと何処か上の空なアランはローゼの話を聞いているのかいないのかわからないが、ただその体に巻き付かれた腕を離す素振りは一切見えず、それに気をよくしたローゼは更に自信の体を絡め、ベタベタと執拗にアランに触れるのである。
私の、、私のアランなのに。
「もー、アランってば、この頃いっつもそんなんなんだから!早く私の事をお嫁さんにして欲しいってあれだけ言ってるのに!アランの馬鹿!」
私の、旦那様なのに、、。
ぷぅっと頬を膨らませ、更には頬を赤らめるローゼは本当に可愛くて、、アランがローゼの元にいってしまうのも理解出来るのだ。
「あぁ、、。」
それでも、たった一言そう言うだけで抵抗一つしないアランに対し、エレナの心はもうどうにかなってしまいそう。
「もー、またそれ!アランの馬鹿!馬鹿馬鹿!」
ポカポカと怒りローゼがアランの体を叩けば、ハッと我に帰ったのかギャンギャンと騒ぐローゼを見た後、その頭を撫でてやるのだ。
「嫌、、嫌よやめて、アラン。」
どうして、ローゼ様にそんなにも優しくするの?
私はこんなにも辛い思いをしてるのに、、。
必死で逃げてきたのに、、。
アランだけを愛してるのに、、。
「ほらほら、二人でイチャイチャベタベタしてんじゃん。」
いつの間に追いつかれたのか、エレナの背後には二人を見ながらニタニタと人の悪い笑みを浮かべるレオンがおり、その腕はエレナの腰へと回されるが、エレナにはもう、拒絶する気持ちも体力すらも残っていないのだ。
「あぁ、、あぁ、、。」と呻き声の様なものを漏らしながら、二人から目を逸らす事も出来ずに見続けるしか出来ない。
「あぁっ、、ごめんローゼ。」
眉を少し下げ、申し訳無さそうに少し微笑みながらローゼを見るのは何故、、?
大切な人を見る様な優しい目で、見てあげるのは何故?
「もう、、でもいいよ許してあげる。代わりに、アランがキスしてくれたら許してあげる。」
ニッコリと可愛く微笑んだローゼは、そっと目を瞑りキスしろと言うのだ。
私の旦那様なのに、、流石にそんなのおかしいと変だと思うはずなのに、、アランはどうしようかと迷ってさえいる。
「あっ、ひゃぁ!おっもしろ。」
ケタケタとエレナの腰を抱きながら喜ぶレオンはエレナをまた連れて行く事はしなかった。
きっと、今この場を見ている方がよっぽど面白いと思ったのだろう、目を爛々と輝かせたレオンは、ボーッと二人を見たまま何も話せずにいるエレナを他所に客間の扉を勢いよく開けたのである。
キィっと言う音で扉が開けば中にいる二人と目が合い、アランは驚愕に目を開き、ローゼは「あら?」っと思わぬ人物の登場に驚いた後、更に自身の体をアランに絡みつけた。
「エレナ、、何で、、。」
目を見開き驚くアランにはローゼが一ミリの隙間もない程抱きついており、こちらも何で?と言ってやりたい気分だ。
ただの幼馴染と言ったくせに、、二人の距離は余りにも近すぎる、、どうしてそんなにくっついてるのかと怒ってやりたい、言ってやりたいと思うのに、声が出なかった。
だって、先にアランが声を張り上げて、怒ってきたのだ。
自分の事は棚に上げて、エレナの腰に回るレオンの手を見て、激昂するのだ。
「うーっ。」と鋭く唸る様な声を出した後、
「エレナ!!私はこんなにも君を愛してるのに、、!」そう叫んだ。
確かに、今のエレナは髪もドレスも乱れていて、腰にはレオンが纏わりついており、レオンと何かあったのでは、、と思われても仕方がないかも知れない。
それでも、エレナはアランの事をずっと考えながら一人で逃げてきたのに。
なのに、、なのにアランはローゼとベタベタベタベタとしてるくせに、エレナを怒るのだ。
「あぁ、、あぁ、あいつ怒ってるよな!?辛がってるし苦しんでるよな、、?やっぱりこれで間違えじゃなかった、この方法で会ってたんだよセレシア!」
エレナの耳元ではレオンがぶつくさ呟いており、最後何を思ったのかエレナの顔を掴んだ後、エレナの唇にキスを落としたのである。
あぁ、、もう、辞めて。
私を巻き込まないで、、一人にして。
「エレナ!!!」
私がしたわけでないのに、、私を怒る
アランの叫び声が聞こえた後、、
ぷつりと何かが途切れる音がした。
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