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幼馴染の過去。3
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4人の関係は更に深まり、週に1度のペースで会っていた4人は、自分達の意思で週に2度以上会うようになった頃、、、事件は起きた。
その時、アランとレオンは17歳。
アランの父と母の関係も自身の魅力のお陰ですっかり良くなっており、穏やかな毎日に幸せを感じ始めていた時の事だった。
「ねぇ、恋の叶う木がこの裏の山にあるって侍女が言ってたんだけど、、4人で行かない?」
唐突に言いだしたのは、ローゼだ。
そんな願った所で叶うわけがないだろうと思うアランに反し、ローゼの言葉を聞いてパァッと花開いた様に微笑んだセレシアも「いっ、行きたい!!!」興奮気味に言った。
妹の様な二人にもそんな相手が出来たのか、、と思えば少女二人の成長に嬉しくもどこか寂しい感情になるが、キラキラと目を輝かせる少女二人はよっぽど好きな相手がいるのだろう、瞳は期待で満ち溢れている。
「うわぁ、女子ってそーゆーの好きだよなぁ。ないない、そんなんで叶わないって。」
どこか馬鹿にした様にレオンは答えるがチラチラと目でセレシアを追っており、とても分かりやすい男だと思う。まぁ、とうのセレシアは向けられた視線に気づく気配すらなく、ローゼの髪を手で梳いているが。
3人ともワクワクと目を輝かせており、連れて行ってやりたいのは山々だが、、如何せんアランには心配事があった。
「山は流石にローゼの体調が心配かな。」
山を登るのと街に行くのでは全く持って話が違う。
幼い頃に比べローゼが寝たきりになる事は減ったが、余り体力を使わないよう椅子に欠けている事が多いい。年を追うごとに元気になってるとはいえ、
それでも何かあった時に責任を負えない。
何と言っても、ローゼはこの国の王女であり、王の命でアランはローゼに怪我させぬ様見守ってきた。
何かあった時の事を考えると、簡単にうんとは頷けないでいた。
「お願いアラン!!!どうしても、叶えたい願いがあるの!」
「駄目と言ったら駄目だ。」
セレシアとローゼ二人でウルウル目を潤ませ願われれば、その願いを叶えてやりたいとは思うが、こればかりは叶えてやれない。
「アランの、、馬鹿!」
「ギャハハ!!アラン馬鹿だってさうける。」
ローゼに言われたことのない暴言を受け、少し傷ついたが、やはり何かあった時の事を考えれば、アランは「駄目だ。」と言うほかないのである。
しょんぼりと項垂れてはいるが、「わかったわ、、。」と納得してくれた様で、同じ様にショックを隠せなさそうなセレシアとローゼの頭を撫でてやった。
レオンもどこか不服そうだったので同じ様に頭を撫でてやったが、「やめろ!キモい!そして、セレシアに触るな!」と叫んでいた。
納得してくれたが、少し可哀想だったろうか?
他の願いなら、何とか叶えてやろうとも思えるが、ローゼの体力と体調を考えれば妥当な判断なはずだ。
「他の物で許してもらうか。」
次の日、最近人気なカフェのケーキを朝からアラン自らが並びやっと手に入れた、
喜ぶだろうか、、セレシアとローゼ二人の笑顔を思い浮かべ、、少しレオンが喜ぶ顔も思い浮かべ向かったいつもの庭園に3人の姿はなかった。
来た時、すれ違った使用人達に「いつもの場所にいるはずです。」と言われたが、誰もいないのだ。
嫌な予感はした。
何と言っても昨日の今日。
あれだけ行きたがってたのを簡単に引き下がれるわけがなかったのだ。
「あいつら、、!」
持って来たケーキは走っているうちに何処かで落とした。
山へ行ったことはこの際もう良い。
だからどうか、どうか何事もなく無事でいてくれとの思いで向かったアランの願い虚しく、目に映るのは、少女二人が血だらけで涙を浮かべている姿だった。
「セレシア、、ローゼ、。」
見つけた瞬間、考えるより先に体が動いた。
近くにいたセレシアの元に駆け寄り、その体に治癒の魔法をかけようとするが、
「アラン、、、ローゼをローゼを先に助けて。。」
傷口が痛むのだろう、苦し気に表情を歪めながら、視線だけを泣き叫ぶローゼへと向けるのだ。
「アラン、、アラン痛いよぉ。アラン、、痛い、、」
セレシアの視線の先のローゼを見れば、地面を血に染め痛みにもがいているのが目に入る。
ハッハッとアランの息も荒くなる。
この状況をどうしようかどちらを先に助けるのかを思考を巡らせ考えては見るが、ローゼの方が出血の量は多く、痛さで泣き喚いている。
アランは既に治癒の魔法を使えるが、、死んでしまった者を生き返らせる事は出来ない。
だから、、先にローゼを助けた。
仕方ないんだ。それが正しい判断だと思ったんだ。
その時、アランとレオンは17歳。
アランの父と母の関係も自身の魅力のお陰ですっかり良くなっており、穏やかな毎日に幸せを感じ始めていた時の事だった。
「ねぇ、恋の叶う木がこの裏の山にあるって侍女が言ってたんだけど、、4人で行かない?」
唐突に言いだしたのは、ローゼだ。
そんな願った所で叶うわけがないだろうと思うアランに反し、ローゼの言葉を聞いてパァッと花開いた様に微笑んだセレシアも「いっ、行きたい!!!」興奮気味に言った。
妹の様な二人にもそんな相手が出来たのか、、と思えば少女二人の成長に嬉しくもどこか寂しい感情になるが、キラキラと目を輝かせる少女二人はよっぽど好きな相手がいるのだろう、瞳は期待で満ち溢れている。
「うわぁ、女子ってそーゆーの好きだよなぁ。ないない、そんなんで叶わないって。」
どこか馬鹿にした様にレオンは答えるがチラチラと目でセレシアを追っており、とても分かりやすい男だと思う。まぁ、とうのセレシアは向けられた視線に気づく気配すらなく、ローゼの髪を手で梳いているが。
3人ともワクワクと目を輝かせており、連れて行ってやりたいのは山々だが、、如何せんアランには心配事があった。
「山は流石にローゼの体調が心配かな。」
山を登るのと街に行くのでは全く持って話が違う。
幼い頃に比べローゼが寝たきりになる事は減ったが、余り体力を使わないよう椅子に欠けている事が多いい。年を追うごとに元気になってるとはいえ、
それでも何かあった時に責任を負えない。
何と言っても、ローゼはこの国の王女であり、王の命でアランはローゼに怪我させぬ様見守ってきた。
何かあった時の事を考えると、簡単にうんとは頷けないでいた。
「お願いアラン!!!どうしても、叶えたい願いがあるの!」
「駄目と言ったら駄目だ。」
セレシアとローゼ二人でウルウル目を潤ませ願われれば、その願いを叶えてやりたいとは思うが、こればかりは叶えてやれない。
「アランの、、馬鹿!」
「ギャハハ!!アラン馬鹿だってさうける。」
ローゼに言われたことのない暴言を受け、少し傷ついたが、やはり何かあった時の事を考えれば、アランは「駄目だ。」と言うほかないのである。
しょんぼりと項垂れてはいるが、「わかったわ、、。」と納得してくれた様で、同じ様にショックを隠せなさそうなセレシアとローゼの頭を撫でてやった。
レオンもどこか不服そうだったので同じ様に頭を撫でてやったが、「やめろ!キモい!そして、セレシアに触るな!」と叫んでいた。
納得してくれたが、少し可哀想だったろうか?
他の願いなら、何とか叶えてやろうとも思えるが、ローゼの体力と体調を考えれば妥当な判断なはずだ。
「他の物で許してもらうか。」
次の日、最近人気なカフェのケーキを朝からアラン自らが並びやっと手に入れた、
喜ぶだろうか、、セレシアとローゼ二人の笑顔を思い浮かべ、、少しレオンが喜ぶ顔も思い浮かべ向かったいつもの庭園に3人の姿はなかった。
来た時、すれ違った使用人達に「いつもの場所にいるはずです。」と言われたが、誰もいないのだ。
嫌な予感はした。
何と言っても昨日の今日。
あれだけ行きたがってたのを簡単に引き下がれるわけがなかったのだ。
「あいつら、、!」
持って来たケーキは走っているうちに何処かで落とした。
山へ行ったことはこの際もう良い。
だからどうか、どうか何事もなく無事でいてくれとの思いで向かったアランの願い虚しく、目に映るのは、少女二人が血だらけで涙を浮かべている姿だった。
「セレシア、、ローゼ、。」
見つけた瞬間、考えるより先に体が動いた。
近くにいたセレシアの元に駆け寄り、その体に治癒の魔法をかけようとするが、
「アラン、、、ローゼをローゼを先に助けて。。」
傷口が痛むのだろう、苦し気に表情を歪めながら、視線だけを泣き叫ぶローゼへと向けるのだ。
「アラン、、アラン痛いよぉ。アラン、、痛い、、」
セレシアの視線の先のローゼを見れば、地面を血に染め痛みにもがいているのが目に入る。
ハッハッとアランの息も荒くなる。
この状況をどうしようかどちらを先に助けるのかを思考を巡らせ考えては見るが、ローゼの方が出血の量は多く、痛さで泣き喚いている。
アランは既に治癒の魔法を使えるが、、死んでしまった者を生き返らせる事は出来ない。
だから、、先にローゼを助けた。
仕方ないんだ。それが正しい判断だと思ったんだ。
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