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旦那様の溺愛が凄い。2
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結婚してから、エレナはアランの重すぎる愛を痛い程に感じてきた。
ある時はエレナが星が綺麗と言っただけで、煌びやかな宝石のついた天体望遠鏡を買ってきたかと思えば、「これで毎日好きな時に好きな星が一緒に見れるな。」と言われ。
「何が好きだ?」と聞かれたエレナは、昔飼っていたポムを思い出し「犬が好きです。」と答えたのだが、それを聞いたアランが次の日犬を飼いに行こうと言った為それを全力で止める事になった。
ある日、アランが着ていた服がとてもアランに似合っており、「とっても似合ってます。」と褒めたら、「そうか!」と喜んだ次の日から「そろそろ違う服が見たいです。」とエレナが言うまでの数日間、同じ服を着ていた。
他にもまだまだ、アランがエレナを好きすぎると感じる部分は沢山あるのだが、その重すぎる愛にエレナは少し困っていた。
困っている理由は沢山ある。
今だって、無駄遣い(アランにとっては必要な出費でも。)をどれだけ注意しても辞めてくれない。
エレナの気持ちをちっとも分かってくれない。
自分の気持ちばかり押し付けて、それをエレナが喜んでくれると信じて疑わない。
このままでは、、
「私は、嫌いになってしまいそう。」
ぽつりと呟いた心の声は、声に出して言ってしまっており、ハッと口元を抑えた時には遅かった。
聞こえてしまっただろうか、、と恐る恐るアランを見れば、青い瞳を揺らし、顔を引き攣らせたアランと目が合った。
「、、私はこんなにも好きなのにか?」
今にも吸い込まれそうな青い瞳は、薄らと浮かんだ涙によりゆらゆらと揺れている。
とても綺麗で、何もかも見透かされてしまいそうな瞳から逃れたく、顔を逸らすが、頬を片手で掴まれ、逃れる事は許されない。
「あっ、、違うの。今のは、その言葉のあやで。。」
「なら、私を好きって言って。」
いつもよりワントーン低い声は、聞いただけで怒っているのがわかるほどに冷たい。
顔を掴まれたまま、青い瞳から逃げようと視線を彷徨わせるが、「エレナ。」と冷たい声で名前を呼ばれれば、エレナはその瞳から逃れられない。
透けるように青い瞳とジッと目が合うが、その目からは怒りも悲しみも喜びも、何も感じられない。
ただジッとエレナを見つめるのだ。
、、あぁ、駄目。きてしまう。
アランの目を見てると、おかしくなってしまうのに。なのに、アランの瞳に吸い込まれるように見つめられれば、もうエレナはアランの瞳から逃れる事は出来ない。
暫く見つめ合ううち、エレナはニコニコと嬉しそうに笑い出した。
頬を強くアランに掴まれているにも関わらず、ニコニコニコニコと幸せそうにアランを見上げ、微笑むのだ。
その笑顔を見たアランは、同じようにニコッと微笑んだ。その笑みを見て嬉しくなったエレナはアランの体に飛びついたかと思えば
「好き好き!旦那様!世界一好きぃ!」と、屋敷中に響き渡るほど大きな声でそう叫ぶのである。
「プレゼント嬉しいか?」
アランが問えば、エレナはコクコクと力一杯頷いた。
「旦那様がくれる物なんでも嬉しい!ねっ、キスして!旦那様!早く早くキスして!」
女性から求めるのはあまり良くないと聞いた事があるが、そんなのどうでもよかった。
ただ早く、その形の良い唇に触れ合いたくて、アランの背中に腕を回し、顔を上にあげて、んーっとねだれば、アランの形の良い唇が自分の唇に当たった。
ふにっと一度だけ、一瞬だけアランの唇が当たったのだが、そんなので足りるわけがなく
「たりない、、もっと。ねっ、アランもっと。」と虚な目でエレナはアランを求める。
なのに、「、、私が嫌いなのだろう?嫌いな相手とのキスは嫌だろ。」とそっけなく返された。
エレナは目に涙をいっぱい溜めイヤイヤと首を振り、「違うもん!好きだもん!アラン好き!」と子供のように駄々を捏ね、ギュゥギュゥと力一杯アランの体を抱きしめるのだ。
「あぁ、可愛いな。私の妻は。」
目に涙を溜め駄々を捏ねるエレナの頬をアランがそっと撫でてやる。
アランの大きな手に触れられるだけで、エレナの胸は満たされ、アランが好きだと言う気持ちでいっぱいになるのだ。
そして、アランが好きだと言う気持ちでいっぱいになれば、今度は不安な気持ちに押し潰されそうになる。
アランはもしかしたら私の事を好きでは無いのかも。
アランが他の女性の元に行ってしまうかも。
アランが私を嫌いになるかも。と不安が押し寄せる。
「アラン好きって言って。エレナの事を好きって!ねぇ、好きって言ってよぅ。」
グズグズと涙を溢しながらアランに縋る。
いつもならばアランがその言葉を求める側であるが、今は逆であった。
グズグズと泣きながらアランに愛を求めるエレナを見ながら、アランは恍惚に笑みを浮かべるのだった。
ある時はエレナが星が綺麗と言っただけで、煌びやかな宝石のついた天体望遠鏡を買ってきたかと思えば、「これで毎日好きな時に好きな星が一緒に見れるな。」と言われ。
「何が好きだ?」と聞かれたエレナは、昔飼っていたポムを思い出し「犬が好きです。」と答えたのだが、それを聞いたアランが次の日犬を飼いに行こうと言った為それを全力で止める事になった。
ある日、アランが着ていた服がとてもアランに似合っており、「とっても似合ってます。」と褒めたら、「そうか!」と喜んだ次の日から「そろそろ違う服が見たいです。」とエレナが言うまでの数日間、同じ服を着ていた。
他にもまだまだ、アランがエレナを好きすぎると感じる部分は沢山あるのだが、その重すぎる愛にエレナは少し困っていた。
困っている理由は沢山ある。
今だって、無駄遣い(アランにとっては必要な出費でも。)をどれだけ注意しても辞めてくれない。
エレナの気持ちをちっとも分かってくれない。
自分の気持ちばかり押し付けて、それをエレナが喜んでくれると信じて疑わない。
このままでは、、
「私は、嫌いになってしまいそう。」
ぽつりと呟いた心の声は、声に出して言ってしまっており、ハッと口元を抑えた時には遅かった。
聞こえてしまっただろうか、、と恐る恐るアランを見れば、青い瞳を揺らし、顔を引き攣らせたアランと目が合った。
「、、私はこんなにも好きなのにか?」
今にも吸い込まれそうな青い瞳は、薄らと浮かんだ涙によりゆらゆらと揺れている。
とても綺麗で、何もかも見透かされてしまいそうな瞳から逃れたく、顔を逸らすが、頬を片手で掴まれ、逃れる事は許されない。
「あっ、、違うの。今のは、その言葉のあやで。。」
「なら、私を好きって言って。」
いつもよりワントーン低い声は、聞いただけで怒っているのがわかるほどに冷たい。
顔を掴まれたまま、青い瞳から逃げようと視線を彷徨わせるが、「エレナ。」と冷たい声で名前を呼ばれれば、エレナはその瞳から逃れられない。
透けるように青い瞳とジッと目が合うが、その目からは怒りも悲しみも喜びも、何も感じられない。
ただジッとエレナを見つめるのだ。
、、あぁ、駄目。きてしまう。
アランの目を見てると、おかしくなってしまうのに。なのに、アランの瞳に吸い込まれるように見つめられれば、もうエレナはアランの瞳から逃れる事は出来ない。
暫く見つめ合ううち、エレナはニコニコと嬉しそうに笑い出した。
頬を強くアランに掴まれているにも関わらず、ニコニコニコニコと幸せそうにアランを見上げ、微笑むのだ。
その笑顔を見たアランは、同じようにニコッと微笑んだ。その笑みを見て嬉しくなったエレナはアランの体に飛びついたかと思えば
「好き好き!旦那様!世界一好きぃ!」と、屋敷中に響き渡るほど大きな声でそう叫ぶのである。
「プレゼント嬉しいか?」
アランが問えば、エレナはコクコクと力一杯頷いた。
「旦那様がくれる物なんでも嬉しい!ねっ、キスして!旦那様!早く早くキスして!」
女性から求めるのはあまり良くないと聞いた事があるが、そんなのどうでもよかった。
ただ早く、その形の良い唇に触れ合いたくて、アランの背中に腕を回し、顔を上にあげて、んーっとねだれば、アランの形の良い唇が自分の唇に当たった。
ふにっと一度だけ、一瞬だけアランの唇が当たったのだが、そんなので足りるわけがなく
「たりない、、もっと。ねっ、アランもっと。」と虚な目でエレナはアランを求める。
なのに、「、、私が嫌いなのだろう?嫌いな相手とのキスは嫌だろ。」とそっけなく返された。
エレナは目に涙をいっぱい溜めイヤイヤと首を振り、「違うもん!好きだもん!アラン好き!」と子供のように駄々を捏ね、ギュゥギュゥと力一杯アランの体を抱きしめるのだ。
「あぁ、可愛いな。私の妻は。」
目に涙を溜め駄々を捏ねるエレナの頬をアランがそっと撫でてやる。
アランの大きな手に触れられるだけで、エレナの胸は満たされ、アランが好きだと言う気持ちでいっぱいになるのだ。
そして、アランが好きだと言う気持ちでいっぱいになれば、今度は不安な気持ちに押し潰されそうになる。
アランはもしかしたら私の事を好きでは無いのかも。
アランが他の女性の元に行ってしまうかも。
アランが私を嫌いになるかも。と不安が押し寄せる。
「アラン好きって言って。エレナの事を好きって!ねぇ、好きって言ってよぅ。」
グズグズと涙を溢しながらアランに縋る。
いつもならばアランがその言葉を求める側であるが、今は逆であった。
グズグズと泣きながらアランに愛を求めるエレナを見ながら、アランは恍惚に笑みを浮かべるのだった。
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