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運命の番を探してます。
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「っで!!だから、あの男の事は諦めるって??ルーチェ!!貴方の愛はそんなもんなの!!?」
王城の一室、侯爵令嬢のルーチェスタが住む部屋よりも更に広い部屋の中で、ルーチェスタを見下ろしそう言う少女が一人。
少女は愛らしい大きな瞳を吊り上げ、眉間に皺を寄せ、両の手を腰に当てたまま、ルーチェスタを見下ろしている。
この国では珍しい銀まじりの白い髪に、大きな瑠璃色の瞳を持つ少女は、ルーチェスタと同じ19歳であり、テオの妹でルーチェスタの親友でもある、エフィナ・ラングドルである。
エフィナは第一王女であるにも関わらず、言葉遣いも何処か少し荒々しい。
そんなエフィナに驚きながらも初めて出会った頃は、エフィナに敬語を使い敬意を持って接していたのだが、「細かい事は嫌いよ。同じ年なんだから適当でいいじゃない。」と言うエフィナの言葉もあり、ルーチェスタの母とエフィナの母が異母姉妹である事も相まって、ルーチェスタはエフィナと本当の姉妹の様に育ってきた。
テオが兄であれば、エフィナはルーチェスタにとって姉の様な存在であり、何かあれば直ぐにエフィナに相談をするのだ。
今日もそう、テオお兄様の事はきっぱりと諦める、とエフィナに言いにきたのだが、エフィナはルーチェスタの言葉を聞き、フルフルと震えながら怒っている。
「でっ、でもエフィナ、よく考えてよ。私は痣を持ってないもの。お兄様達は運命の番を探してるの。もし、見つからなくたって、妹の様に接してる私の事を愛せると思う??」
「馬鹿ね、ルーチェ。貴方はとってもお馬鹿さんだわ!あの人はね、ルーチェが思っている以上にルーチェを好きよ。私が断言してあげる。」
フンスと鼻息を荒げ得意げに言い放つエフィナだが、ルーチェスタはどこからそんな自身が湧いて来るのかと不思議に思った。
確かにルーチェスタの事をテオは好きでいてくれているかもしれないが、それは妹としてである。
それ以上の感情がそこに含まれていない事など、ルーチェスタはよく分かっているのだ。
「、、でも、、。」
ルーチェスタが不安げに俯けば、俯いたルーチェスタの顔をエフィナが抑え顔を上げさせた。
エフィナと目が合えば、エフィナはルーチェスタを見て優しく微笑み言うのだ。
「お兄様は、私の誕生日を忘れてたけどルーチェの誕生日は忘れた事ないじゃない。」
確かに、ここ数年の誕生日、テオがプレゼントを用意したのはルーチェスタにだけであった。
両の手では収まりきらない程大きな花束を持ったテオが朝一番に侯爵邸にやってきたかと思えば、「僕の可愛いルーチェ。生まれてきてくれてありがとう。」と祝いに来てくれた事がある。
だが、、、「それは、、先に誕生日の来るテオお兄様に私がプレゼントを渡したからよ。
お兄様って、律儀だから、、あげたから返してくれただけだと思うわ。」
「いいえ!それだけじゃないわ。ルーチェが子供の頃森で迷子になった時、誰もルーチェを見つけられなかったのに、あいつだけは直ぐにルーチェを見つけてきたわ!」
エフィナに言われ、確かにそんな事もあったな、、とルーチェスタは懐かしく思った。
侯爵家の敷地内の森で迷子になり、歩き疲れて眠ってしまった私を見つけてくれたのはテオお兄様だった。
「ルーチェ!!ルーチェ、大丈夫僕がいるよ。僕のお姫様、泣かないで。」と寝起きで現状把握ができず泣きじゃくる私を抱き締めてくれたのをよく覚えている。
昔の事を思い出し、思わず笑みを浮かべてしまっていたみたいで、微笑むルーチェスタを見てエフィナはため息を一ついた。
王城の一室、侯爵令嬢のルーチェスタが住む部屋よりも更に広い部屋の中で、ルーチェスタを見下ろしそう言う少女が一人。
少女は愛らしい大きな瞳を吊り上げ、眉間に皺を寄せ、両の手を腰に当てたまま、ルーチェスタを見下ろしている。
この国では珍しい銀まじりの白い髪に、大きな瑠璃色の瞳を持つ少女は、ルーチェスタと同じ19歳であり、テオの妹でルーチェスタの親友でもある、エフィナ・ラングドルである。
エフィナは第一王女であるにも関わらず、言葉遣いも何処か少し荒々しい。
そんなエフィナに驚きながらも初めて出会った頃は、エフィナに敬語を使い敬意を持って接していたのだが、「細かい事は嫌いよ。同じ年なんだから適当でいいじゃない。」と言うエフィナの言葉もあり、ルーチェスタの母とエフィナの母が異母姉妹である事も相まって、ルーチェスタはエフィナと本当の姉妹の様に育ってきた。
テオが兄であれば、エフィナはルーチェスタにとって姉の様な存在であり、何かあれば直ぐにエフィナに相談をするのだ。
今日もそう、テオお兄様の事はきっぱりと諦める、とエフィナに言いにきたのだが、エフィナはルーチェスタの言葉を聞き、フルフルと震えながら怒っている。
「でっ、でもエフィナ、よく考えてよ。私は痣を持ってないもの。お兄様達は運命の番を探してるの。もし、見つからなくたって、妹の様に接してる私の事を愛せると思う??」
「馬鹿ね、ルーチェ。貴方はとってもお馬鹿さんだわ!あの人はね、ルーチェが思っている以上にルーチェを好きよ。私が断言してあげる。」
フンスと鼻息を荒げ得意げに言い放つエフィナだが、ルーチェスタはどこからそんな自身が湧いて来るのかと不思議に思った。
確かにルーチェスタの事をテオは好きでいてくれているかもしれないが、それは妹としてである。
それ以上の感情がそこに含まれていない事など、ルーチェスタはよく分かっているのだ。
「、、でも、、。」
ルーチェスタが不安げに俯けば、俯いたルーチェスタの顔をエフィナが抑え顔を上げさせた。
エフィナと目が合えば、エフィナはルーチェスタを見て優しく微笑み言うのだ。
「お兄様は、私の誕生日を忘れてたけどルーチェの誕生日は忘れた事ないじゃない。」
確かに、ここ数年の誕生日、テオがプレゼントを用意したのはルーチェスタにだけであった。
両の手では収まりきらない程大きな花束を持ったテオが朝一番に侯爵邸にやってきたかと思えば、「僕の可愛いルーチェ。生まれてきてくれてありがとう。」と祝いに来てくれた事がある。
だが、、、「それは、、先に誕生日の来るテオお兄様に私がプレゼントを渡したからよ。
お兄様って、律儀だから、、あげたから返してくれただけだと思うわ。」
「いいえ!それだけじゃないわ。ルーチェが子供の頃森で迷子になった時、誰もルーチェを見つけられなかったのに、あいつだけは直ぐにルーチェを見つけてきたわ!」
エフィナに言われ、確かにそんな事もあったな、、とルーチェスタは懐かしく思った。
侯爵家の敷地内の森で迷子になり、歩き疲れて眠ってしまった私を見つけてくれたのはテオお兄様だった。
「ルーチェ!!ルーチェ、大丈夫僕がいるよ。僕のお姫様、泣かないで。」と寝起きで現状把握ができず泣きじゃくる私を抱き締めてくれたのをよく覚えている。
昔の事を思い出し、思わず笑みを浮かべてしまっていたみたいで、微笑むルーチェスタを見てエフィナはため息を一ついた。
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