王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】

霙アルカ。

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最終章

アスランend

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ソヨソヨと心地の良い風に包まれ、私は眠りについていた。

お気に入りの東家は昔と比べ何故か綺麗になっていた。
なんでも、お父様とお母様が私がいない間に、私がいつ帰ってきてもいいようにと建て直してくれたらしい。

二人はレオンに連れられて帰ってきた私を見て涙を零しながら、「こんな事なら、行かせなければよかった。」「私が愛される方が幸せなんて言った物だから。」と後悔していた。

「2人のせいじゃないよ。」と言うのが私は精一杯だった。

レオンは記憶が13歳からない私に対し、「これから2人で思い出を作ろう?」と言ってくれたが、私はそれを断った。

だって、今でも、彼が私の心の中にいるのだ。

忘れたくても忘れられない。  

あんなに最低な人なのに。まだ、、、私の心は彼を好きだと言っていて、嫌いになんてなれない。

半年程した後、私の耳に王が投獄され、その愛人とその娘が処刑されたと聞いた。

愛人の娘の名前は、、メアリと言うらしい。

聞き覚えのある名前だ。

「あぁ、、僕も好きだよメアリ。」

彼が呼んでいた名前だ。

その少女が処刑された。

「アース。。。」

もしかしたら、あの子を抱いていた理由があったのかもしれない。

私には言えない、理由が何か、、、何かあったのかもしれない。
何もないかもしれなくても、少し残された希望に縋った。

それに、、もし理由がなくても、王もいなくなった彼は、、きっと一人ぼっちに違いない。
彼はとっても寂しがり屋なんだもの、、私が側にいてあげないといけないのだ。
私は家の誰にも告げず馬車に乗ると、王宮へと足を運んだ。

王宮に入るのは流石に無理かと思ったが、どういうわけか護衛は私の登場に驚いた後、すぐにその門を開けてくれた。

広い王宮の中、彼1人を探すのは難しいかもしれないが、私の足は決まった場所へと向かう。

王宮の一室、、普段は舞踏会を開いた時に使用される客室の一室であり、そこへ向かう途中の扉は全てボロボロに破壊されているのにも関わらず、私の目の前にある扉だけは綺麗なままだった。

中の音を聞こうと、扉に耳を当てれば「ルディ、、、ひっ、、ルーナ。」と嗚咽を漏らしながら泣いている、声が聞こえる。

あぁ、、、彼が私の為に泣いているのだ。
そう思うと胸がギュッと締め付けられる。

ドアを開けて中を見ると、ベッドの上に丸まって泣いている男がいた。

190ほどある身長なのに、丸まって泣いている彼の姿だけ見れば、中々に滑稽である。

だけど、その姿を愛おしいと思ってしまう私はきっと彼と同じくらい異常なのだろう。

「ルディ、、、ルディ、、ルーナ。」

私の名前を呼び続ける彼は、何も食べていないのか、最後にあった時より、大分と痩せた気がする。

「ルディ、、ごめんよ。僕が悪いんだ。君だけを愛してるんだ。許しておくれ。。」

丸まったまま謝り続ける彼を見て、ルディリアナの頬は緩む。

「嫌よ。」

微笑んだまま答えれば、彼は顔を上げ、そして目の前にいるルディリアナを見て目をぱちくりとさせた。

「あっ、、、あっ、、、。僕はついに幻覚まで、、、。あぁ、それでもいい、ルディ、ルディ。」

ベッドからルディリアナの元に駆け寄ろうとするが、アスランはルディリアナの元に来る前にベッドの上から落ちた。

それでもめげずに体をずりずりと引きずりながら、ルディリアナの元にくるのだ。

そして、やっとルディリアナの元に着いたかと思えば、ルディリアナの足を抱きしめ「あぁ、ルディ、ルディ。ルディの匂いだ。あぁ、」とうわ言のように話し出す。

「アース、離しなさい。」

「やだ、、、やだやだ。離したらまた、どこか行っちゃうんだ。僕を置いて、ごめんよルディ。嫌いにならないで。」

「離さないと嫌いになるわよ?」といえば、アースは足をそっと離した。

そして、しゃがんで頭を撫でてあげれば、アースは目を丸くし驚いている。

「ルディ、、、本物、、?」

次第に目に涙を溜め、ルディリアナの頬をペタペタと触った。

「えぇ。」と返せば、アースは顔をぐしゃぐしゃにし、子供みたいにワンワンと泣き出したのだ。

いい大人が、子供みたいに泣いて、、、と思うのに、ルディリアナはそんなアースを愛しいと思った。

だから、その体を抱きしめ、「愛してるわ。」と言えば、アースは「あぁ、ルディ!!僕も、、僕も愛してる!」と声高らかに言い返してくれるのだった。

------数年後

2人の間には男の子と女の子が産まれていた。

名前はルーナとアース。
2人の愛称から取った名前だった。

両親は最初こそ、娘に酷い思いをさせたくせに!と怒ってはいたが、アスランを見て幸せそうに笑うルディリアナを見て2人の結婚を許してくれた。

子供が生まれた今では、「ちょっと重いくらいの愛がいいのよねぇ。」とお母様は言っており、お父様もバラを持ってお母様を追いかけ回していたと言う話を聞いて思わず笑ってしまった。

「ルディ。僕はきっと、、一生君を離してあげれないと思う。それでも、、君は僕を嫌いにならないかい?」

王としてはとても優秀なのに、アスランは今でもルディリアナの前では捨てられる子供みたいにルディリアナの愛を欲する。

「まぁ、何を言ってるの?アスラン。監禁までされて好きなのよ?一生好きでいるって誓うわ。」と言ってあげれば、「あぁ!!!僕のルディ!!!愛してる!」とルディリアナを強く強く抱きしめた。

そして、そのままベッドへ運び、ルディリアナを手籠にする。

「ちょっ、、、アスラン!!まだ昼よ!」

外を指差せばまだ外は明るく、外からは子供達の遊び声すら聞こえるのに関わらず、「大丈夫、大丈夫。鍵かけたから。子供達は母さんが見てくれてるし。」って、そう言う問題じゃないのだ。

「あぁ、可愛い、可愛いね。ルディ。」

ルディの唇に何度もキスを落とし、そのキスは次第に深くなっていく。

「んっ、、、んん、、。やめ。あっ、アスラン。」

「もっと、もっと呼んでルディ。愛してるって言って。」

「いや、、外、、声聞こえ、んっむ、、。」

声が聞こえるのが嫌で嫌々と首を振れば、「、、嫌いになる?」と悲しげに言われてしまう。

青い瞳が悲しげにウルウルと揺れており、ルディリアナは観念する事にした。

「、、、大好きよ。アスラン。」

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