40 / 40
最終章
アスランend
しおりを挟む
ソヨソヨと心地の良い風に包まれ、私は眠りについていた。
お気に入りの東家は昔と比べ何故か綺麗になっていた。
なんでも、お父様とお母様が私がいない間に、私がいつ帰ってきてもいいようにと建て直してくれたらしい。
二人はレオンに連れられて帰ってきた私を見て涙を零しながら、「こんな事なら、行かせなければよかった。」「私が愛される方が幸せなんて言った物だから。」と後悔していた。
「2人のせいじゃないよ。」と言うのが私は精一杯だった。
レオンは記憶が13歳からない私に対し、「これから2人で思い出を作ろう?」と言ってくれたが、私はそれを断った。
だって、今でも、彼が私の心の中にいるのだ。
忘れたくても忘れられない。
あんなに最低な人なのに。まだ、、、私の心は彼を好きだと言っていて、嫌いになんてなれない。
半年程した後、私の耳に王が投獄され、その愛人とその娘が処刑されたと聞いた。
愛人の娘の名前は、、メアリと言うらしい。
聞き覚えのある名前だ。
「あぁ、、僕も好きだよメアリ。」
彼が呼んでいた名前だ。
その少女が処刑された。
「アース。。。」
もしかしたら、あの子を抱いていた理由があったのかもしれない。
私には言えない、理由が何か、、、何かあったのかもしれない。
何もないかもしれなくても、少し残された希望に縋った。
それに、、もし理由がなくても、王もいなくなった彼は、、きっと一人ぼっちに違いない。
彼はとっても寂しがり屋なんだもの、、私が側にいてあげないといけないのだ。
私は家の誰にも告げず馬車に乗ると、王宮へと足を運んだ。
王宮に入るのは流石に無理かと思ったが、どういうわけか護衛は私の登場に驚いた後、すぐにその門を開けてくれた。
広い王宮の中、彼1人を探すのは難しいかもしれないが、私の足は決まった場所へと向かう。
王宮の一室、、普段は舞踏会を開いた時に使用される客室の一室であり、そこへ向かう途中の扉は全てボロボロに破壊されているのにも関わらず、私の目の前にある扉だけは綺麗なままだった。
中の音を聞こうと、扉に耳を当てれば「ルディ、、、ひっ、、ルーナ。」と嗚咽を漏らしながら泣いている、声が聞こえる。
あぁ、、、彼が私の為に泣いているのだ。
そう思うと胸がギュッと締め付けられる。
ドアを開けて中を見ると、ベッドの上に丸まって泣いている男がいた。
190ほどある身長なのに、丸まって泣いている彼の姿だけ見れば、中々に滑稽である。
だけど、その姿を愛おしいと思ってしまう私はきっと彼と同じくらい異常なのだろう。
「ルディ、、、ルディ、、ルーナ。」
私の名前を呼び続ける彼は、何も食べていないのか、最後にあった時より、大分と痩せた気がする。
「ルディ、、ごめんよ。僕が悪いんだ。君だけを愛してるんだ。許しておくれ。。」
丸まったまま謝り続ける彼を見て、ルディリアナの頬は緩む。
「嫌よ。」
微笑んだまま答えれば、彼は顔を上げ、そして目の前にいるルディリアナを見て目をぱちくりとさせた。
「あっ、、、あっ、、、。僕はついに幻覚まで、、、。あぁ、それでもいい、ルディ、ルディ。」
ベッドからルディリアナの元に駆け寄ろうとするが、アスランはルディリアナの元に来る前にベッドの上から落ちた。
それでもめげずに体をずりずりと引きずりながら、ルディリアナの元にくるのだ。
そして、やっとルディリアナの元に着いたかと思えば、ルディリアナの足を抱きしめ「あぁ、ルディ、ルディ。ルディの匂いだ。あぁ、」とうわ言のように話し出す。
「アース、離しなさい。」
「やだ、、、やだやだ。離したらまた、どこか行っちゃうんだ。僕を置いて、ごめんよルディ。嫌いにならないで。」
「離さないと嫌いになるわよ?」といえば、アースは足をそっと離した。
そして、しゃがんで頭を撫でてあげれば、アースは目を丸くし驚いている。
「ルディ、、、本物、、?」
次第に目に涙を溜め、ルディリアナの頬をペタペタと触った。
「えぇ。」と返せば、アースは顔をぐしゃぐしゃにし、子供みたいにワンワンと泣き出したのだ。
いい大人が、子供みたいに泣いて、、、と思うのに、ルディリアナはそんなアースを愛しいと思った。
だから、その体を抱きしめ、「愛してるわ。」と言えば、アースは「あぁ、ルディ!!僕も、、僕も愛してる!」と声高らかに言い返してくれるのだった。
------数年後
2人の間には男の子と女の子が産まれていた。
名前はルーナとアース。
2人の愛称から取った名前だった。
両親は最初こそ、娘に酷い思いをさせたくせに!と怒ってはいたが、アスランを見て幸せそうに笑うルディリアナを見て2人の結婚を許してくれた。
子供が生まれた今では、「ちょっと重いくらいの愛がいいのよねぇ。」とお母様は言っており、お父様もバラを持ってお母様を追いかけ回していたと言う話を聞いて思わず笑ってしまった。
「ルディ。僕はきっと、、一生君を離してあげれないと思う。それでも、、君は僕を嫌いにならないかい?」
王としてはとても優秀なのに、アスランは今でもルディリアナの前では捨てられる子供みたいにルディリアナの愛を欲する。
「まぁ、何を言ってるの?アスラン。監禁までされて好きなのよ?一生好きでいるって誓うわ。」と言ってあげれば、「あぁ!!!僕のルディ!!!愛してる!」とルディリアナを強く強く抱きしめた。
そして、そのままベッドへ運び、ルディリアナを手籠にする。
「ちょっ、、、アスラン!!まだ昼よ!」
外を指差せばまだ外は明るく、外からは子供達の遊び声すら聞こえるのに関わらず、「大丈夫、大丈夫。鍵かけたから。子供達は母さんが見てくれてるし。」って、そう言う問題じゃないのだ。
「あぁ、可愛い、可愛いね。ルディ。」
ルディの唇に何度もキスを落とし、そのキスは次第に深くなっていく。
「んっ、、、んん、、。やめ。あっ、アスラン。」
「もっと、もっと呼んでルディ。愛してるって言って。」
「いや、、外、、声聞こえ、んっむ、、。」
声が聞こえるのが嫌で嫌々と首を振れば、「、、嫌いになる?」と悲しげに言われてしまう。
青い瞳が悲しげにウルウルと揺れており、ルディリアナは観念する事にした。
「、、、大好きよ。アスラン。」
お気に入りの東家は昔と比べ何故か綺麗になっていた。
なんでも、お父様とお母様が私がいない間に、私がいつ帰ってきてもいいようにと建て直してくれたらしい。
二人はレオンに連れられて帰ってきた私を見て涙を零しながら、「こんな事なら、行かせなければよかった。」「私が愛される方が幸せなんて言った物だから。」と後悔していた。
「2人のせいじゃないよ。」と言うのが私は精一杯だった。
レオンは記憶が13歳からない私に対し、「これから2人で思い出を作ろう?」と言ってくれたが、私はそれを断った。
だって、今でも、彼が私の心の中にいるのだ。
忘れたくても忘れられない。
あんなに最低な人なのに。まだ、、、私の心は彼を好きだと言っていて、嫌いになんてなれない。
半年程した後、私の耳に王が投獄され、その愛人とその娘が処刑されたと聞いた。
愛人の娘の名前は、、メアリと言うらしい。
聞き覚えのある名前だ。
「あぁ、、僕も好きだよメアリ。」
彼が呼んでいた名前だ。
その少女が処刑された。
「アース。。。」
もしかしたら、あの子を抱いていた理由があったのかもしれない。
私には言えない、理由が何か、、、何かあったのかもしれない。
何もないかもしれなくても、少し残された希望に縋った。
それに、、もし理由がなくても、王もいなくなった彼は、、きっと一人ぼっちに違いない。
彼はとっても寂しがり屋なんだもの、、私が側にいてあげないといけないのだ。
私は家の誰にも告げず馬車に乗ると、王宮へと足を運んだ。
王宮に入るのは流石に無理かと思ったが、どういうわけか護衛は私の登場に驚いた後、すぐにその門を開けてくれた。
広い王宮の中、彼1人を探すのは難しいかもしれないが、私の足は決まった場所へと向かう。
王宮の一室、、普段は舞踏会を開いた時に使用される客室の一室であり、そこへ向かう途中の扉は全てボロボロに破壊されているのにも関わらず、私の目の前にある扉だけは綺麗なままだった。
中の音を聞こうと、扉に耳を当てれば「ルディ、、、ひっ、、ルーナ。」と嗚咽を漏らしながら泣いている、声が聞こえる。
あぁ、、、彼が私の為に泣いているのだ。
そう思うと胸がギュッと締め付けられる。
ドアを開けて中を見ると、ベッドの上に丸まって泣いている男がいた。
190ほどある身長なのに、丸まって泣いている彼の姿だけ見れば、中々に滑稽である。
だけど、その姿を愛おしいと思ってしまう私はきっと彼と同じくらい異常なのだろう。
「ルディ、、、ルディ、、ルーナ。」
私の名前を呼び続ける彼は、何も食べていないのか、最後にあった時より、大分と痩せた気がする。
「ルディ、、ごめんよ。僕が悪いんだ。君だけを愛してるんだ。許しておくれ。。」
丸まったまま謝り続ける彼を見て、ルディリアナの頬は緩む。
「嫌よ。」
微笑んだまま答えれば、彼は顔を上げ、そして目の前にいるルディリアナを見て目をぱちくりとさせた。
「あっ、、、あっ、、、。僕はついに幻覚まで、、、。あぁ、それでもいい、ルディ、ルディ。」
ベッドからルディリアナの元に駆け寄ろうとするが、アスランはルディリアナの元に来る前にベッドの上から落ちた。
それでもめげずに体をずりずりと引きずりながら、ルディリアナの元にくるのだ。
そして、やっとルディリアナの元に着いたかと思えば、ルディリアナの足を抱きしめ「あぁ、ルディ、ルディ。ルディの匂いだ。あぁ、」とうわ言のように話し出す。
「アース、離しなさい。」
「やだ、、、やだやだ。離したらまた、どこか行っちゃうんだ。僕を置いて、ごめんよルディ。嫌いにならないで。」
「離さないと嫌いになるわよ?」といえば、アースは足をそっと離した。
そして、しゃがんで頭を撫でてあげれば、アースは目を丸くし驚いている。
「ルディ、、、本物、、?」
次第に目に涙を溜め、ルディリアナの頬をペタペタと触った。
「えぇ。」と返せば、アースは顔をぐしゃぐしゃにし、子供みたいにワンワンと泣き出したのだ。
いい大人が、子供みたいに泣いて、、、と思うのに、ルディリアナはそんなアースを愛しいと思った。
だから、その体を抱きしめ、「愛してるわ。」と言えば、アースは「あぁ、ルディ!!僕も、、僕も愛してる!」と声高らかに言い返してくれるのだった。
------数年後
2人の間には男の子と女の子が産まれていた。
名前はルーナとアース。
2人の愛称から取った名前だった。
両親は最初こそ、娘に酷い思いをさせたくせに!と怒ってはいたが、アスランを見て幸せそうに笑うルディリアナを見て2人の結婚を許してくれた。
子供が生まれた今では、「ちょっと重いくらいの愛がいいのよねぇ。」とお母様は言っており、お父様もバラを持ってお母様を追いかけ回していたと言う話を聞いて思わず笑ってしまった。
「ルディ。僕はきっと、、一生君を離してあげれないと思う。それでも、、君は僕を嫌いにならないかい?」
王としてはとても優秀なのに、アスランは今でもルディリアナの前では捨てられる子供みたいにルディリアナの愛を欲する。
「まぁ、何を言ってるの?アスラン。監禁までされて好きなのよ?一生好きでいるって誓うわ。」と言ってあげれば、「あぁ!!!僕のルディ!!!愛してる!」とルディリアナを強く強く抱きしめた。
そして、そのままベッドへ運び、ルディリアナを手籠にする。
「ちょっ、、、アスラン!!まだ昼よ!」
外を指差せばまだ外は明るく、外からは子供達の遊び声すら聞こえるのに関わらず、「大丈夫、大丈夫。鍵かけたから。子供達は母さんが見てくれてるし。」って、そう言う問題じゃないのだ。
「あぁ、可愛い、可愛いね。ルディ。」
ルディの唇に何度もキスを落とし、そのキスは次第に深くなっていく。
「んっ、、、んん、、。やめ。あっ、アスラン。」
「もっと、もっと呼んでルディ。愛してるって言って。」
「いや、、外、、声聞こえ、んっむ、、。」
声が聞こえるのが嫌で嫌々と首を振れば、「、、嫌いになる?」と悲しげに言われてしまう。
青い瞳が悲しげにウルウルと揺れており、ルディリアナは観念する事にした。
「、、、大好きよ。アスラン。」
11
お気に入りに追加
202
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。

記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる