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最終章
嘘。(17歳。)
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「レオン、、、。」
ルディリアナが名前を呼ぶと、男は嬉しそうに微笑む。
「帰ろう、ルディリアナ。君はここにいても苦しい思いをするだけだ。」
ルディリアナを再度抱き締めるレオンの体は震えており、レオンの怒りがルディリアナにも伝わってくるようだった。
「あいつは、、、あの男は、ルディリアナの事をちっとも大切なんかにしてない!」
「、、、レオン、何を言ってるの??アースはとても優しいわ。私の好きな物、何でも知ってるの。それにね?プレゼントだって貰ったのよ?」
机の上に置かれたリングケースを、ルディリアナは照れ臭そうに見える。
きっとレオンはアースの事を勘違いしてて、私が何かされてないか心配なのだ。
幼馴染が、変な男に捕まったのではないかと、優しいレオンの事だもの。私が心配で、こんな所まで来てくれたに違いない。
レオンを安心させるためにルディリアナは、リングケースを見せたのだが、ケースをみたレオンは何故か更に激昂するのだ。
『よかったな!おめでとう!』とか、喜びの声が聞こえると思っていたルディリアナは、レオンがみせた反応が思ったものと違い、困惑する。
「、、ルディリアナ!目を覚ませ!それは君が好きで送ったものなんかではない。。あいつはおかしい、、あいつは悪魔だ。」
更には、頭を抱え顔色を変え、レオンは怒り出すのだ。
何故、、アースの事何も知らないのに。そんな酷い事が言えるの?
昔はあんなにも優しかったのに、彼との時間はとても心地の良い物だったはずなのに、今のレオンからは優しさを一切感じない。
ただ、ただアースへの強い恨みを感じるのだ。
「何を知っててそんな事が言えるの?アースは優しいわ。いつだって私の事を考えてくれるし、私を喜ばせてくれようとしてくれるもの!!」
「ハッ!この部屋に監禁する事がルディリアナの事を考えてとった行動だって!?笑えるよルディリアナ。君はこの数年の間に変わったね。彼が変えたのかな?」
クツクツと笑いながら話すレオンこそ、昔の彼とは全く違う。
こんな人を馬鹿にしたような話し方、一切しなかった。
レオンに何があって、性格が変わったのかはわからないが、アースを馬鹿にされるのだけは嫌だと思った。
「アースのお父様はとっても厳しいらしいの。だから、私を傷つけないために部屋から出られないの。」
そう、だから仕方がない事。
出られなくても仕方がない。
「、、何年も何年も監禁されてるのがそれだけだと、本当に思ってるのか?ルディリアナ。だとしたら、私は君に失望すらするよ。」
「何年も監禁なんてされてないわ?前までは普通に出してくれてたって言ってたもの。」
そう、アースは以前は出していたと私に話していた。
でも、記憶を失う少し前から父が厳しくなり、君が傷つかないようにこうするしかないんだ。と自分もこんな事したくないんだ、、と苦しそうにアースもまた私を監禁するのを嫌がってすらいた。
だから、仕方がないはずなのだ。
私が少しの間我慢すれば済む事なのだ。
なのに何故、レオンは私の言葉を聞いて、涙を浮かべてるのだ。
私は幸せなはずなのに、何故?何故、、泣くの?
それではまるで、私が可哀想な子みたいじゃないか。
「ルディリアナ、、、よく聞いてくれ。私が知っているだけで、君がここから出られたのはほんの数回。君がここに来たのは13歳。そして、17歳の今日になるまで君はほとんどこの部屋から出られてないんだ、、、。ルディリアナ、これでも、彼を信じるのかい??」
目に涙をたっぷり溜め、レオンは私の頬を撫でた。
「こんなにも痩せ細るほど、君はストレスを感じて生きてきたんだ。寝るのが生き甲斐だった君に、どうしてそんなにクマがあるんだ?ねぇ、どうしてルディリアナ。」
先程までの怒った口調とは違う。
レオンの声は幼子に話しかけるように優しい。
レオンの言葉は全てきっと本当なのだ。
レオンの目を見ればわかる。嘘なんてついていない。
だとしたら、アースは私に嘘ばかりついていた事になる。
全部全部、嘘。
何処までが嘘なのか?
好きと言ったのも嘘なのだろうか?
好きでもないのなら、私を囲ってどうなるの?
何もわからない。何もわからないのに、ただ一つわかるとしたら、アースを好きだと言う自分の気持ちだけ。
「でも、好きなの。アースが、、好き。」
だから、アースの気持ちを信じたい。
アースを信じていたい。と思うのに、「おいで。」と悲しげな表情をしたレオンに手を引かれた。
私は数ヶ月ぶりに外に出たのだ。
廊下には侍女が控えているのに、誰もレオンと私を止めるものはいなかった。
皆、レオンに頭を下げている。
レオンと私の姿が見えなくなるまでずっと。ずーっと。
侍女達の行動は、まるで主人に向ける態度だった。
ルディリアナが名前を呼ぶと、男は嬉しそうに微笑む。
「帰ろう、ルディリアナ。君はここにいても苦しい思いをするだけだ。」
ルディリアナを再度抱き締めるレオンの体は震えており、レオンの怒りがルディリアナにも伝わってくるようだった。
「あいつは、、、あの男は、ルディリアナの事をちっとも大切なんかにしてない!」
「、、、レオン、何を言ってるの??アースはとても優しいわ。私の好きな物、何でも知ってるの。それにね?プレゼントだって貰ったのよ?」
机の上に置かれたリングケースを、ルディリアナは照れ臭そうに見える。
きっとレオンはアースの事を勘違いしてて、私が何かされてないか心配なのだ。
幼馴染が、変な男に捕まったのではないかと、優しいレオンの事だもの。私が心配で、こんな所まで来てくれたに違いない。
レオンを安心させるためにルディリアナは、リングケースを見せたのだが、ケースをみたレオンは何故か更に激昂するのだ。
『よかったな!おめでとう!』とか、喜びの声が聞こえると思っていたルディリアナは、レオンがみせた反応が思ったものと違い、困惑する。
「、、ルディリアナ!目を覚ませ!それは君が好きで送ったものなんかではない。。あいつはおかしい、、あいつは悪魔だ。」
更には、頭を抱え顔色を変え、レオンは怒り出すのだ。
何故、、アースの事何も知らないのに。そんな酷い事が言えるの?
昔はあんなにも優しかったのに、彼との時間はとても心地の良い物だったはずなのに、今のレオンからは優しさを一切感じない。
ただ、ただアースへの強い恨みを感じるのだ。
「何を知っててそんな事が言えるの?アースは優しいわ。いつだって私の事を考えてくれるし、私を喜ばせてくれようとしてくれるもの!!」
「ハッ!この部屋に監禁する事がルディリアナの事を考えてとった行動だって!?笑えるよルディリアナ。君はこの数年の間に変わったね。彼が変えたのかな?」
クツクツと笑いながら話すレオンこそ、昔の彼とは全く違う。
こんな人を馬鹿にしたような話し方、一切しなかった。
レオンに何があって、性格が変わったのかはわからないが、アースを馬鹿にされるのだけは嫌だと思った。
「アースのお父様はとっても厳しいらしいの。だから、私を傷つけないために部屋から出られないの。」
そう、だから仕方がない事。
出られなくても仕方がない。
「、、何年も何年も監禁されてるのがそれだけだと、本当に思ってるのか?ルディリアナ。だとしたら、私は君に失望すらするよ。」
「何年も監禁なんてされてないわ?前までは普通に出してくれてたって言ってたもの。」
そう、アースは以前は出していたと私に話していた。
でも、記憶を失う少し前から父が厳しくなり、君が傷つかないようにこうするしかないんだ。と自分もこんな事したくないんだ、、と苦しそうにアースもまた私を監禁するのを嫌がってすらいた。
だから、仕方がないはずなのだ。
私が少しの間我慢すれば済む事なのだ。
なのに何故、レオンは私の言葉を聞いて、涙を浮かべてるのだ。
私は幸せなはずなのに、何故?何故、、泣くの?
それではまるで、私が可哀想な子みたいじゃないか。
「ルディリアナ、、、よく聞いてくれ。私が知っているだけで、君がここから出られたのはほんの数回。君がここに来たのは13歳。そして、17歳の今日になるまで君はほとんどこの部屋から出られてないんだ、、、。ルディリアナ、これでも、彼を信じるのかい??」
目に涙をたっぷり溜め、レオンは私の頬を撫でた。
「こんなにも痩せ細るほど、君はストレスを感じて生きてきたんだ。寝るのが生き甲斐だった君に、どうしてそんなにクマがあるんだ?ねぇ、どうしてルディリアナ。」
先程までの怒った口調とは違う。
レオンの声は幼子に話しかけるように優しい。
レオンの言葉は全てきっと本当なのだ。
レオンの目を見ればわかる。嘘なんてついていない。
だとしたら、アースは私に嘘ばかりついていた事になる。
全部全部、嘘。
何処までが嘘なのか?
好きと言ったのも嘘なのだろうか?
好きでもないのなら、私を囲ってどうなるの?
何もわからない。何もわからないのに、ただ一つわかるとしたら、アースを好きだと言う自分の気持ちだけ。
「でも、好きなの。アースが、、好き。」
だから、アースの気持ちを信じたい。
アースを信じていたい。と思うのに、「おいで。」と悲しげな表情をしたレオンに手を引かれた。
私は数ヶ月ぶりに外に出たのだ。
廊下には侍女が控えているのに、誰もレオンと私を止めるものはいなかった。
皆、レオンに頭を下げている。
レオンと私の姿が見えなくなるまでずっと。ずーっと。
侍女達の行動は、まるで主人に向ける態度だった。
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