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第三章
優しい男。(16歳。)
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ルディリアナの婚約者だと言った男、アースはとても優しい人だとルディリアナは思う。
「ルディ、おはよう。今日も僕の事わからないかな?」
いつも同じ質問を繰り返すアースに対し、「ごめんなさい、、。」と伝えれば、アースはいつも少し安堵の笑みを見せたあとルディリアナの頭を優しく撫でてくれる。
大きくて温かな手はとても心地が良く、ルディリアナはアースの手に頭を撫でられるのが好きだと感じていた。
「ルディ、これルディが好きだった本。読まないかい?」
そう言って渡された本はどれも本当にルディリアナ好みで、ルディリアナは寝ては読んで寝ては読んでを三日三晩繰り返した。
「ルーナがこの香を焚くと、心が落ち着くって言ってたんだ。」
アースはルディリアナの部屋のドレッサーに置かれた香を焚くと、部屋中に落ち着いた香りが広がり、ルディリアナはその香りを嗅ぐだけで何だがホッとした気持ちになる。
アースはルディリアナの好みをなんでも把握していた。
好きな食べ物も服の好みも寝るのが何よりも好きな事も、全部全部知っている。
そして、ルディリアナに対しいつも優しく、大きな手で頭を撫でてくれる。
ルディリアナが「マカロンが食べたい。」と言えば直ぐにルディリアナ好みのマカロンを揃え、「寝心地の良い枕が欲しい。」といえば、新しい枕をいくつか用意してくれた。
アースはルディリアナにはとことん甘く優しく、ルディリアナの我儘をなんでも聞いてくれる。
顔はルディリアナ好みのイケメンで筋肉だってルディリアナ好みであり、何より、寝る時に側にいても不快だと感じなければ、いないとどこか落ち着かなかった。
アースといるとまるで前から一緒にいたような安心感すらあり、自分達が愛し合っていたと言うアースの言葉は徐々に信憑性を増していき、気づけばルディリアナの心は少しずつアースへと、動き始めていた。
「ルディ、何か欲しい物はないかい?」
そう問われた時、ルディリアナはアースの膝の上に座り本を読んでいた。
その間アースはルディリアナの髪を手で優しくすいており、手が頭に触れる度にルディリアナの心臓はドキドキと煩くなる。
ルディリアナは最初こそ膝の上に座る事を断っていたのだが、「この間まで自分から座ってくれてたのに、、。」と眉を下げ悲しげに言われて仕舞えば、アースの事を忘れてしまった申し訳なさもあり、ルディリアナが彼の膝に座るのがアースと時間を過ごす時の定位置へとなっていた。
だが、抱きしめられたようなこの体制はアースの筋肉のついた体と、自分の背中とがピッタリとくっついてしまっており、ルディリアナはいつも冷静を装うのに必死だ。
「うっん、。もう、沢山貰ったから。」
「ルディに喜んでもらうのが僕の幸せなのに。」
「はぅっ。」
ハァッと、言葉の後に続けて息を吐かれれば、ルディリアナの首元に息がかかり、何とも言えない声を出してしまった。
「えっ、、ルディ可愛い。何それ。」
「、、、何も言ってないわ。」
「いいや、僕はちゃんと聞いたよ?可愛いルディの声。どうしたらもっかい聞かせてくれる?ここ?ここに息が当たったから?」
そう言ってアースはルディリアナの頸に「ふぅっ。」と息を吹きかける。
それだけでルディリアナはまた「はぅっ。」と変な声を出してしまい、急いで自分の口を手で覆った。
自分の声なのに甘ったるい声にルディリアナは戸惑い、顔を真っ赤にさせるのだが、チュッと頸にキスを落とされ、「んんっ。」と抑えた口から声をもらしてしまい、自分でもどうしてこんな声がでるの!?と戸惑うのだが
「あぁ、ルディ。可愛い。可愛いよ。」
チュッ、チュッ、チュッチュッとアースは何度もルディリアナの頸にキスをするので、ルディリアナはキスをされる度に「んっ、んんんっ。」と声をこぼすのだ。
「ルディ、、、大好きだ。」
何かを我慢するような少し苦しそうな声で、アースはルディに愛を告げる。
ルディリアナは首元へのキスのせいでか、その言葉のせいでなのかはわからないが、ポタリと涙をこぼすのだ。
その涙の意味はルディリアナ自身でもわからない。
ただ、その言葉を聞いて嬉しいと感じた事だけは、分かる。
アースの膝の上に座り前を向いていたルディリアナはアースの膝の上に乗ったまま、器用に体を反転させた。
そうすれば、苦しそうに顔を歪めたアースと目が合う。
アースの綺麗な琥珀色の瞳には少し涙が滲んでおり、ルディリアナはそっと指でその涙をぬぐってあげた。
だが、アースは何を思ったのか、ポタポタと余計にその目から涙をこぼすので拭いても拭いてもキリがない。
しまいには、「ルディ、、ごめん。嫌だったよね?ごめん、泣かないで。傷つけるつもりはなかったんだ。また、、また僕は。。」とアースは涙をボタボタ流し出し泣き出す物だから、ルディリアナはその涙をタオルで何度も拭ってあげていると、逆に自分の目から出ていた涙をアースが優しく拭ってくれる。
それでルディリアナはアースが泣き出した理由が何となくわかった。
きっと、頸にキスをした事を私が嫌がって泣いたと勘違いしたのだ。
それでこんなに取り乱して泣いているのだ。
まるで子供みたいに泣き出すアースを見るのは、ルディリアナは二度目だった。
自分より大人のはずのアースは、自分よりとても子供で、とても可愛らしいとルディリアナは感じた。
だから、そんな彼の体にギュッと抱きつき、「嫌じゃないよ。アース。」と言えば、彼は強くでも壊れ物を扱うかのように優しくルディリアナを抱きしめた。
「あぁ、やっと。やっとだルディ。」
その言葉の意味はルディリアナに理解出来ないが、アースの腕の中はとても落ち着くことがルディリアナにはわかった。
例えるなら、、レオンの膝の上のように、アースの腕の中はとても心地が良い。
「アース、、好き。」とルディリアナは眠りにつく間近、小さく、アースに聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟くのだった。
「ルディ、おはよう。今日も僕の事わからないかな?」
いつも同じ質問を繰り返すアースに対し、「ごめんなさい、、。」と伝えれば、アースはいつも少し安堵の笑みを見せたあとルディリアナの頭を優しく撫でてくれる。
大きくて温かな手はとても心地が良く、ルディリアナはアースの手に頭を撫でられるのが好きだと感じていた。
「ルディ、これルディが好きだった本。読まないかい?」
そう言って渡された本はどれも本当にルディリアナ好みで、ルディリアナは寝ては読んで寝ては読んでを三日三晩繰り返した。
「ルーナがこの香を焚くと、心が落ち着くって言ってたんだ。」
アースはルディリアナの部屋のドレッサーに置かれた香を焚くと、部屋中に落ち着いた香りが広がり、ルディリアナはその香りを嗅ぐだけで何だがホッとした気持ちになる。
アースはルディリアナの好みをなんでも把握していた。
好きな食べ物も服の好みも寝るのが何よりも好きな事も、全部全部知っている。
そして、ルディリアナに対しいつも優しく、大きな手で頭を撫でてくれる。
ルディリアナが「マカロンが食べたい。」と言えば直ぐにルディリアナ好みのマカロンを揃え、「寝心地の良い枕が欲しい。」といえば、新しい枕をいくつか用意してくれた。
アースはルディリアナにはとことん甘く優しく、ルディリアナの我儘をなんでも聞いてくれる。
顔はルディリアナ好みのイケメンで筋肉だってルディリアナ好みであり、何より、寝る時に側にいても不快だと感じなければ、いないとどこか落ち着かなかった。
アースといるとまるで前から一緒にいたような安心感すらあり、自分達が愛し合っていたと言うアースの言葉は徐々に信憑性を増していき、気づけばルディリアナの心は少しずつアースへと、動き始めていた。
「ルディ、何か欲しい物はないかい?」
そう問われた時、ルディリアナはアースの膝の上に座り本を読んでいた。
その間アースはルディリアナの髪を手で優しくすいており、手が頭に触れる度にルディリアナの心臓はドキドキと煩くなる。
ルディリアナは最初こそ膝の上に座る事を断っていたのだが、「この間まで自分から座ってくれてたのに、、。」と眉を下げ悲しげに言われて仕舞えば、アースの事を忘れてしまった申し訳なさもあり、ルディリアナが彼の膝に座るのがアースと時間を過ごす時の定位置へとなっていた。
だが、抱きしめられたようなこの体制はアースの筋肉のついた体と、自分の背中とがピッタリとくっついてしまっており、ルディリアナはいつも冷静を装うのに必死だ。
「うっん、。もう、沢山貰ったから。」
「ルディに喜んでもらうのが僕の幸せなのに。」
「はぅっ。」
ハァッと、言葉の後に続けて息を吐かれれば、ルディリアナの首元に息がかかり、何とも言えない声を出してしまった。
「えっ、、ルディ可愛い。何それ。」
「、、、何も言ってないわ。」
「いいや、僕はちゃんと聞いたよ?可愛いルディの声。どうしたらもっかい聞かせてくれる?ここ?ここに息が当たったから?」
そう言ってアースはルディリアナの頸に「ふぅっ。」と息を吹きかける。
それだけでルディリアナはまた「はぅっ。」と変な声を出してしまい、急いで自分の口を手で覆った。
自分の声なのに甘ったるい声にルディリアナは戸惑い、顔を真っ赤にさせるのだが、チュッと頸にキスを落とされ、「んんっ。」と抑えた口から声をもらしてしまい、自分でもどうしてこんな声がでるの!?と戸惑うのだが
「あぁ、ルディ。可愛い。可愛いよ。」
チュッ、チュッ、チュッチュッとアースは何度もルディリアナの頸にキスをするので、ルディリアナはキスをされる度に「んっ、んんんっ。」と声をこぼすのだ。
「ルディ、、、大好きだ。」
何かを我慢するような少し苦しそうな声で、アースはルディに愛を告げる。
ルディリアナは首元へのキスのせいでか、その言葉のせいでなのかはわからないが、ポタリと涙をこぼすのだ。
その涙の意味はルディリアナ自身でもわからない。
ただ、その言葉を聞いて嬉しいと感じた事だけは、分かる。
アースの膝の上に座り前を向いていたルディリアナはアースの膝の上に乗ったまま、器用に体を反転させた。
そうすれば、苦しそうに顔を歪めたアースと目が合う。
アースの綺麗な琥珀色の瞳には少し涙が滲んでおり、ルディリアナはそっと指でその涙をぬぐってあげた。
だが、アースは何を思ったのか、ポタポタと余計にその目から涙をこぼすので拭いても拭いてもキリがない。
しまいには、「ルディ、、ごめん。嫌だったよね?ごめん、泣かないで。傷つけるつもりはなかったんだ。また、、また僕は。。」とアースは涙をボタボタ流し出し泣き出す物だから、ルディリアナはその涙をタオルで何度も拭ってあげていると、逆に自分の目から出ていた涙をアースが優しく拭ってくれる。
それでルディリアナはアースが泣き出した理由が何となくわかった。
きっと、頸にキスをした事を私が嫌がって泣いたと勘違いしたのだ。
それでこんなに取り乱して泣いているのだ。
まるで子供みたいに泣き出すアースを見るのは、ルディリアナは二度目だった。
自分より大人のはずのアースは、自分よりとても子供で、とても可愛らしいとルディリアナは感じた。
だから、そんな彼の体にギュッと抱きつき、「嫌じゃないよ。アース。」と言えば、彼は強くでも壊れ物を扱うかのように優しくルディリアナを抱きしめた。
「あぁ、やっと。やっとだルディ。」
その言葉の意味はルディリアナに理解出来ないが、アースの腕の中はとても落ち着くことがルディリアナにはわかった。
例えるなら、、レオンの膝の上のように、アースの腕の中はとても心地が良い。
「アース、、好き。」とルディリアナは眠りにつく間近、小さく、アースに聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟くのだった。
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