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第二章

壊れた心。(16歳。)

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ルディリアナの足はガクガクと震えていた。

部屋から逃げ出した後、人が通る度に様々な部屋に逃げ隠れていた。

だが、今いる部屋のクローゼットに隠れて近くを通る侍女をやり過ごした後から、城内は何故か騒がしくなり、ルディリアナはクローゼットから出られなくなってしまったのである。

その為、城内が静かになるまでここで静かにしていようと思っているうちに眠ってしまい
目が覚めた時には今が何時か夜なのか既に朝になったかも分からない状況に陥っていた。

先程まで騒がしかった城内は静かになっていた為、そろそろクローゼットから出ようと思った時である。

聞き慣れた声が、ルディリアナの耳に聞こえてきたのは。

その声は何やら歌を歌っており、その歌声はどんどんとルディリアナがいる部屋へと近づいてきている。

なにを歌ってるの??と思い、ルディリアナが耳を澄ませた。
そして聞こえてきたのは、「ルディ~、ルディルディ、ルーナ。」と自分を呼ぶ歌であり
更に恐怖を覚えた。

恐怖で「はぁはぁっ。」と激しくなる息を手で押さえ、極力ゆっくりと息をするように気をつける。

「ルディ~、ルディルディ~、僕のルディ~はどこかな~。」

その声はとても楽しそうで、こんなにも自分は辛い思いをしているのに。。とルディリアナは怒りを覚える。

さっさと行ってよ、くそ男と内心思いながらもギュッと目を瞑った。

「ルディ~、ルディルディ~。」そして、声が少しずつ遠くなっていき、ルディリアナはホッと胸を撫で下ろした。

「よかった、、。」

安堵から声を漏らしていた。

しまったと思ったが小さな声だった為、聞こえてないだろう。

危なかった、、と安心した時だった、ギィっと古びたクローゼットが音を立てて開いたのだ。

「何がよかったの?ルディ?」

ルディリアナの目の前にはニッコリと怖いほどに口角を上げ、壊れた人形のように笑う、アースがいた。

「あっ、、、あっ、、なっ、んで。」

確かに声は遠くに行っていたはずなのに。どうして。

ルディリアナの声にならない疑問をアースはニコニコしながら答える。

「ルディの可愛い可愛いプラチナブロンドの髪が少しクローゼットから出てたよ?隠れるならもっとちゃんと隠れないとね?ルディ。」

そう言いながらアースの手がルディリアナへと伸びてくる。

プラチナブロンドの髪は長いこと切れてない為、既にお尻辺りまで伸びていた。

「いやっ、、、触らないで。」

ルディリアナは拒絶するが、アースはちっとも気にしていない。

「いやぁ!!!やめて!!!」と大声で叫んでみるが、誰かが助けに来る気配もない。

「ルディ?誰もこないよ?」とアースは何が面白いのかゲラゲラと笑った。

アースは変だ。狂ってる。 

そう思った時には、ルディリアナはもう逃げられない所まで来ていた。

筋肉のついたアースの力にルディリアナが勝つ事も出来ず、ルディリアナを「よいしょ。」とクローゼットから無理やり出すと、その体を横抱きにした。

ルディリアナがその腕の中でどれだけ暴れても、「痛い痛い。」とヘラヘラ笑いながら言うだけで全く効いてないから腹が立った。

だから、声を大きな声で出そうとすれば、出す前にその場にあったベッドの上にドサッと落とされる。

ベッドから逃げようとすかさず扉の方へ向かおうとするが、足を掴まれアースの方へと引き寄せられる。

そして、ルディリアナの上にアースが跨ったと思えば「ルディはとっても悪い子だ。」と満面な笑みを浮かべて言い放ってから、ルディリアナの唇を自分の唇で押さえ込んだ。

「やめっ、、ごめんなさい。アース。やめて。」

何度も何度もルディリアナにアースはキスを落とす。

昼間に見た、女性とのキスを思い出し、ルディリアナは吐きそうになるのを堪えた。

他の女にキスしたくせに、キスしないで。

そう言いたいのに、ルディリアナからはもう言葉は出ない。

涙も出なければ、表情も消えた。

暴れなくなり、何も言わなくなったルディリアナをおかしいと思ったのか、「ルディ??」とアースは首を傾げるが、ルディリアナが話すことはもうなかったのである。



王宮の侍女達が言うには、ある部屋に人形のように笑う事もなく話す事もない、美しい人形のような女性がいるらしい。

それは、王宮内で働く者達の中での最近の噂話の一つであった。

「ルディリアナ、、、?」

その噂をたまたま聞いた1人の男性は、その人形がいるであろう部屋へと目を向けポツリと呟いた。


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