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第二章
辛い日々の始まり(16歳。)
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16歳と言えば、可愛いドレスを着て社交界に出ているのが普通な年である。
だが、部屋から出してもらえないルディリアナは未だに社交界にすら出た事がなかった。
人の多い場所は嫌いだし、社交界にも興味はない。可愛いドレスにも興味がない。
なのに、自分と同じ年頃の女の子には与えられた自由を、自分はどうして得る事が出来ないのかと、ルディリアナは思うようになってきていた。
アースも部屋にやってくる事が少しずつ減っている。
鍵を閉ざされ、部屋から出ることの出来ないルディリアナに取って、最早この部屋にいる事は苦痛でしか無くなってきていた。
唯一の楽しみは窓を開け、外でピチュピチュと可愛らしく泣いている雀を見てボーッとする事くらいである。
「いいわね、貴方達は自由で。」
ルディリアナの声なんて通じるわけもなく、雀達はチュンチュンと鳴き、遠くへ羽ばたいていく。
自分だけがどこにもいけない虚しさを感じ、ルディリアナはツーっと頬に涙を伝わせた。
暫く外をボーッと見ていると、ルディリアナの目には幻覚か?と思う光景が映った。
ルディリアナが以前向かった庭園に、アースがいる。
アースがいるのは庭園にいることは普通なのかもしれないが、その横に立っている人物に問題があった。
アースの横には、ルディリアナが着たことのないような綺麗なピンク色のドレスを纏った可憐な女性が、アースの腕にベッタリと寄り添っていた。
アースは女性の腰に腕を回し、2人は何やら親密そうである。
顔を近づけクスクスと笑い合い、顔が近づき、女性の方は何やら照れていた。
ルディリアナはそんな2人を、観劇でも観ているかのように、呆然と眺める。
次第に2人はどんどんとくっついていき、お互いの顔を近づけ、キスをしたのだ。
側から見たら、恋人同士である。
そう思うと何だかとても納得ができた。
「あぁ、、、そうか。そう言うことなのね。」
ルディリアナの頬からは涙が伝っており、その声は震えていた。
考えたらわかる事だ。
ルディリアナからいきなり自由を取り上げた理由も。
部屋から出してもらえなくなり、キス以外を求められた理由も。
彼は、、アースには私ではない、他の恋人がいたのだ。
その人を大切にしたいが為に、ルディリアナを監禁し、大切な人にはできない為、欲求をルディリアナで解消しようとしたのだ。
愚かな自分は、自分の事が好きだから何らかの理由で監禁してたのだと信じて疑ったりしなかった。
でも、あの光景を見せられれば、もうそんな事信じることなどできない。
ルディリアナは涙を拭き取り、そして近くにあった呼び鈴をチリンチリンと二度鳴らした。
呼び鈴をならして駆けつけてくるのはいつもアースだが、今日は彼女との逢瀬中だ。
来ることはないだろう。
そして、案の定来たのはアースではなく、時々自分の世話をしにやってくる侍女であった。
「お呼びですか??ルディリアナ様!?」
侍女はドアを開けるや否やルディリアナを見て驚いた。
ルディリアナはベッドの上で腹を押さえ、「痛い、、痛いの。お医者様を呼んできて。」と泣き喚いているのだ。
「あぁ、、お待ちください!直ぐに呼んで来ますので。」
痛がるルディリアナを見て焦った侍女は鍵をかけることもせず、医者を呼びに行った。
ルディリアナは、涙を拭い取るとベッドから起き上がり、空いた扉から廊下に出た。
そして、慣れた足取りで外へと向かうのだ。
バレてはいけないため、近くを人が通ったらどこかの扉に適当に入り、バレないようにと少しずつ少しずつ外へと向かうのであった。
だが、部屋から出してもらえないルディリアナは未だに社交界にすら出た事がなかった。
人の多い場所は嫌いだし、社交界にも興味はない。可愛いドレスにも興味がない。
なのに、自分と同じ年頃の女の子には与えられた自由を、自分はどうして得る事が出来ないのかと、ルディリアナは思うようになってきていた。
アースも部屋にやってくる事が少しずつ減っている。
鍵を閉ざされ、部屋から出ることの出来ないルディリアナに取って、最早この部屋にいる事は苦痛でしか無くなってきていた。
唯一の楽しみは窓を開け、外でピチュピチュと可愛らしく泣いている雀を見てボーッとする事くらいである。
「いいわね、貴方達は自由で。」
ルディリアナの声なんて通じるわけもなく、雀達はチュンチュンと鳴き、遠くへ羽ばたいていく。
自分だけがどこにもいけない虚しさを感じ、ルディリアナはツーっと頬に涙を伝わせた。
暫く外をボーッと見ていると、ルディリアナの目には幻覚か?と思う光景が映った。
ルディリアナが以前向かった庭園に、アースがいる。
アースがいるのは庭園にいることは普通なのかもしれないが、その横に立っている人物に問題があった。
アースの横には、ルディリアナが着たことのないような綺麗なピンク色のドレスを纏った可憐な女性が、アースの腕にベッタリと寄り添っていた。
アースは女性の腰に腕を回し、2人は何やら親密そうである。
顔を近づけクスクスと笑い合い、顔が近づき、女性の方は何やら照れていた。
ルディリアナはそんな2人を、観劇でも観ているかのように、呆然と眺める。
次第に2人はどんどんとくっついていき、お互いの顔を近づけ、キスをしたのだ。
側から見たら、恋人同士である。
そう思うと何だかとても納得ができた。
「あぁ、、、そうか。そう言うことなのね。」
ルディリアナの頬からは涙が伝っており、その声は震えていた。
考えたらわかる事だ。
ルディリアナからいきなり自由を取り上げた理由も。
部屋から出してもらえなくなり、キス以外を求められた理由も。
彼は、、アースには私ではない、他の恋人がいたのだ。
その人を大切にしたいが為に、ルディリアナを監禁し、大切な人にはできない為、欲求をルディリアナで解消しようとしたのだ。
愚かな自分は、自分の事が好きだから何らかの理由で監禁してたのだと信じて疑ったりしなかった。
でも、あの光景を見せられれば、もうそんな事信じることなどできない。
ルディリアナは涙を拭き取り、そして近くにあった呼び鈴をチリンチリンと二度鳴らした。
呼び鈴をならして駆けつけてくるのはいつもアースだが、今日は彼女との逢瀬中だ。
来ることはないだろう。
そして、案の定来たのはアースではなく、時々自分の世話をしにやってくる侍女であった。
「お呼びですか??ルディリアナ様!?」
侍女はドアを開けるや否やルディリアナを見て驚いた。
ルディリアナはベッドの上で腹を押さえ、「痛い、、痛いの。お医者様を呼んできて。」と泣き喚いているのだ。
「あぁ、、お待ちください!直ぐに呼んで来ますので。」
痛がるルディリアナを見て焦った侍女は鍵をかけることもせず、医者を呼びに行った。
ルディリアナは、涙を拭い取るとベッドから起き上がり、空いた扉から廊下に出た。
そして、慣れた足取りで外へと向かうのだ。
バレてはいけないため、近くを人が通ったらどこかの扉に適当に入り、バレないようにと少しずつ少しずつ外へと向かうのであった。
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