王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】

霙アルカ。

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第二章

複雑な感情。(14歳。)

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「外!外だ外!!」

アースが連れてきてくれたそこは、王宮の庭園だった。

色とりどりの花が植えられた庭園は、流石王宮。
どの花もあまり売っているのを見た事がない花ばかりである。

ルディリアナは、「わぁっ!」と目を輝かせると、始めてみる花の方に足を進めた。

いや、進めようとした。

だが、花の元に向かおうとした瞬間、グイッと何かに引っ張られ、花に向かっていたはずの足は、花から遠ざかった。

「ルーナ、走ったらダメでしょ。」

メッと言わんばかりに私に注意をするアース。

どんどんペットへの道を進んでいってる気がするが、言う事を聞かずに部屋に戻されても困るから、ゆっくりと歩きながら花の元に向かう。

花に近づけば、フワリと甘い香りが鼻に届き、少し幸せな気持ちになった。

「嬉しい、?」

そう問われ「うん!!ありがとう、アース!」と直ぐにお礼を告げた。

「じゃぁ、お礼にキスして??ルーナから。」

「えっ!!?」

全く思ってもいなかった言葉を言われ、ルーナは焦った。

そんな、、だっていつもされる側で、した事なんてない。

だけどしないともう連れてきてくれないかもしれない。それだけは、、大変困るのだ。

ルディリアナは眠るのがとっても好きな女の子である。家にいる時は、朝から夜まで寝ていたいと思うほどに、寝るのが好きだった。

でも、部屋から出してもらえない、沢山寝れるのに自由が与えられない。

そんな生活をしていたルディリアナは、いつしか外が恋しくなっていた。

だから、もう外に連れて行かないなんて言われた日には、ルディリアナは泣いてしまうかもしれない。

それだけは、阻止したいのである。

意を決し、私を待つアースの前に立つ。

サラサラの髪が風に靡いていて、青い瞳には照れた顔をしたルディリアナが映っている。

「めっ、、目を瞑って。アース。」

胸がドキドキと煩い。

ルディリアナより20センチほど既に背の高いアースはルディリアナが背伸びしてもきっと届かない。

「かがんで、、届かないから。」

ルディリアナの言葉に、アースがルディリアナと同じくらいの目線になるように屈む。

目を瞑ったままのアースの顔をまじまじとみる。

長いまつ毛に、きめの細かい肌、、いつも不気味な程弧を描く唇は薄く、なんだかとても色っぽい。

「まだ?ルディ何回も教えてあげたでしょ。ここだよ、ここ。ここにチュッてほら!早く。ルーナ」

自分の唇を長い指でトントンと、叩いてルディリアナを急かす。

心の準備もさせてくれないアースに怒りを覚えながら、もう、どうにでもなれ!と、ルディリアナは目の前にある唇に自分の唇を重ねた。

唇を当てる瞬間に目を瞑ったせいで、ちゃんとキスできていたのか不安になり、そっと目を開けば、目の前の青い瞳と目が合う。

ダメだと思った時には、遅い。

どちらともなく、一瞬離れた唇をもう一度重ね、そのキスはどんどんと深くなっていく。

「アース、んっ。」

名前を呼べば、キスが降ってくる。

もっともっとと言わんばかりに、ルディリアナは何度もその名を呼んだ。

「アース。アース。」

その言葉に続きなんてない。
ただ、その名前を呼ぶ。

自分何をしてるんだろう。

頭のどこかに、いつも冷静なルディリアナがいる。

けど、キスを落とされるたび、そんなルディリアナが消えていく。

どれくらいキスをしてただろうか。

人がきても気づかない程に、ルディリアナは理性を失ってキスをしていた。

「ルディリアナ、、、??」

どこか聞き覚えのある、、でも少し記憶と違うその声を聞くまでは、ルディリアナはアースとのキスに溺れていた。

「レオン。」


声も見た目も以前より少し変わったが、顔を引き攣らせながらルディリアナを呼んだのは、確かに、幼少期を共にした唯一の友人であった。
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