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第一章

悪夢です。(7歳。)

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「あぁ、ルーナ。君はなんて悪い子なんだ。」

私をグイグイと引っ張る腕は強くて、暴れても解けそうにない。

「離して!!」

そう叫んでも離してくれない。

近くを通る使用人も一礼してそのまま去っていく。

お父様にもお母様にも、お兄様にすら裏切られてしまった。

「ルーナが悪いんだよ?婚約者の僕がいるのに、他の男に抱きしめられて触られて。悪いのは君だよね?」

そんな意味のわからない事を言われてもルディリアナには理解できない。

婚約した覚えもないし、大好きなお兄様に触られただけで怒られるのも納得ができない。

2年ぶりの再会だったのに、この男の子のせいで全部が最低になっていく。

悪夢だ。これはきっと悪い夢。

朝見た夢でも、私は『やめて』と叫んでた。

だから、これはきっと夢の続きなのだ。

そう思うのに、男の子に捕まれた腕は痛く、ルディリアナは夢ではないとわかる。

「ほら、ルーナの部屋に着いたよ。入って。」

夢ではないと分かると、やっぱりこの状況は異質で怖くて、ルディリアナの目にはたっぷりの涙が浮かんでいた。

「あれ?ルーナ泣いてるの?僕のせいで??」

コクリと頷けばやめてくれるだろうと思い、頷けば「えー!可愛い。僕のせいで泣いてるとか、あー、可愛い天使。」とわけのわからない事を言い出した。

ルディリアナはそんな男の子の姿を見て、あーこの人何を言っても駄目だと、子供ながらに悟ったのである。

「可愛い!可愛い!」と言いながら、抵抗する力も無くしたルディリアナをズルズルとベットまで引きずると、ポイっとルディリアナをベットに投げた。

そして、ギシッとベットが沈んだかと思えば、ルディリアナの体に何かがのしかかる。

「あぁ、僕の可愛いルディリアナ。」

男の子は私の髪を触る。

髪の次は耳、目を手で開いてきたりもしてくる。

鼻を触って口を触る。

そして、ニコッと微笑む。

あぁ、怖い。誰か助けて。

余りにも異常な行動を取られ、ルディリアナはもはや声すら出せなくなっていた。

「あの男が好きなの?」

男の子はクルクルとルディリアナの髪を指でいじりながら、ルディリアナに問う。

コクコクと頷けば、男の子は面白くなさそうに「フーン」と一言。

これはチャンスなのでは?と思った。

このままお兄様が好きだからやめてと言えば辞めてくれるのでは?と思う。

「どこが好きなの??」

とことん好きアピールをすればきっと諦めてくれる。
そう思ったルディリアナの口から最初に放たれた言葉は「筋肉!!!!」であった。
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