王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】

霙アルカ。

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第一章

花嫁見つけました。

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小さい頃から、勉強、勉強、勉強。

ずっと、机と向き合って生きてきた。

5歳ながら既に10歳までの勉強は終わっており、自分で言うのもなんだが、自分は中々に天才だと思っている。

だからだろうか、周りの大人達からは5歳には見えないと言われる。

勉強勉強勉強勉強と勉強漬けにしてきたのは、大人の癖に、子供っぽくないと怒られ理不尽である。

同年代の子供と話してても話も合わない。

ピンクや黄色のフリフリのドレスを着て、皆揃って「可愛い~」しか言わない。

可愛いしか言葉を発せれないのかお前達はと言ってやりたいが、そこは僕もグッと我慢する。

5歳にして、既に人生に飽きを感じていた。

そんな中、一人ぼっちでケーキを食べる少女を見つけた。

他の同年代の子達みたいに、彼女はフリフリのドレスを着ていなかった。

上から下までフリルが一切使われていないドレスなのに、彼女にはそのドレスがとても似合っていた。


ケーキを食べて満面の笑みで「天国なの!!」と呟く彼女をみて、あっ嫁にしよっ。て思った。

初めてだった、こんな感情。

余り好きでない甘いケーキも、彼女が食べた残りだと美味しく感じる。

ビクビクと小さく震えながら前を歩く彼女が堪らなく愛しい。

自分に怖がってると思うと、余計に震えた。

「あぁ、可愛いなぁ。可愛いなぁ。」

泣き疲れて倒れるように眠りについた彼女の横に座り上から顔を覗き込む。

そっと顔を近づければ、彼女からは甘いケーキの香りがした。

「あぁ、食べたいなぁ。」

ポソっと呟いたその声は、きっと誰にも聞こえてない。


事を願ってる。
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