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第一章
初めまして(5歳。)
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「ルーナ、アスラン様に会ったらきちんと挨拶できるかい??」
馬車の中で、ルディリアナの父マルフェスが問うた。
その質問にルディリアナは「勿論!!」と力一杯返事をした。
「よし!いい返事だ。」
そう言って、マルフェスはルディリアナの柔らかい髪をヨシヨシと撫でてあげる。
すると、ルディリアナはうとうとと目を瞑り始めた。
「こら、ルーナ。これからアスラン様に会うんだから寝たらダメだろう?」
マルフェスがルディリアナの体をゆさゆさと揺さぶるがルディリアナは「うーーん。」と先ほどまでの元気な返事はどこへと思うほど、眠そうである。
なんなら、立ったままルディリアナの半分は既に夢の中にいっている。
そんなルディリアナを見て、父も母も小さくため息を吐き、その後顔を見合わせ「ふふっ」と笑った。
この誕生日会は確かにアスラン王太子の誕生日を祝うものである。
だがその裏では、アスラン王太子の婚約者を探すと言う名目で開かれる事は、大人達の間では周知の事実であった。
マルフェスも妻のリジィもルーナを婚約者に!と思ったりもしたが、何処でもすぐに寝てしまうルーナを見ると、縛り付けるより、好きにしてやりたいと思ってしまうのである。
立ったまま、完全に寝てしまったルーナをそっと抱き上げ、自分の膝を枕代わりにして寝かせてやった。
マルフェスの膝の上で気持ちよさそうに眠るルーナを見て、寧ろ婚約者には選ばれないで欲しいなと思うマルフェスであった。
「ルーナ、ルーナ起きなさい。」
暫く馬車に揺られ、お菓子を食べる夢を見ていたルディリアナは耳元で聞こえてくる、父の声で目を覚ました。
「お父様、うるさいのです。。。折角のお菓子が遠のきました。」
かなり大きな声で耳元で呼ばれたせいで、ルディリアナは耳がキンキンと耳鳴り状態である。
せっかく始めてみるお菓子を夢の中で食べていたのに、最悪である。
ぷぅっと頬を膨らませキッと父を睨む。
「ほら、拗ねない拗ねない。王宮に着いたから、本物のお菓子が食べれるぞー。」
「ルーナの好きなマカロンもあるかもしれないわよ??」
王宮、、マカロン。。
まだ半分夢の中にいきそうな体をユラユラと揺らしながら、ルディリアナの頭の中に二人の声が響いた。
「王宮、、マカロン。」
ルディリアナが二人の言葉から自分好みの言葉を復唱する。
「そうそう、王宮にマカロンに。」
「ケーキにジュースもあるかも!!」
二人がルディリアナの喜ぶ内容をいくつか上げると、ルディリアナの頭には沢山のケーキとお菓子。
マカロンやジュースの映像が流れた。
そして「マカロン!!!」その言葉と共に、ルディリアナの目がカッと開いた。
一気に目が覚まったルディリアナはリジィとマルフェスと手を繋ぐと、王宮の中へと足を踏み入れた。
王宮の中に入った瞬間、香ってくる甘い香り。
スイーツ以外にも、豪華な料理もあるのだが、ルディリアナにはスイーツ以外目に入らないのである。
「ルーナ、いい子にしてます。」
パッとマルフェスとリジィと手を離すとルディリアナは二人にそう告げた。
二人と一緒にいると沢山挨拶をさせられるのをわかっているのである。
「ルーナ、アスラン様にお祝いの言葉を言いにいってからなら、好きにしていいから。」とお父様は言いますが。
「ルーナ、いい子にしてます。」
諦めずに同じ事をルディリアナは言い返した。
マルフェスは「ルディリアナ。」と愛称ではなく名前で呼ぶ。
少し怒っていると言う事だ。
だが、ルディリアナも負けじと、「ルーナ、いい子にします。」と言い返した。
しまいには、「はぁっ、いい子にしてるんだぞ。」と諦めてマルフェスはリジィと共に王子様の元へと去っていった。
馬車の中で、ルディリアナの父マルフェスが問うた。
その質問にルディリアナは「勿論!!」と力一杯返事をした。
「よし!いい返事だ。」
そう言って、マルフェスはルディリアナの柔らかい髪をヨシヨシと撫でてあげる。
すると、ルディリアナはうとうとと目を瞑り始めた。
「こら、ルーナ。これからアスラン様に会うんだから寝たらダメだろう?」
マルフェスがルディリアナの体をゆさゆさと揺さぶるがルディリアナは「うーーん。」と先ほどまでの元気な返事はどこへと思うほど、眠そうである。
なんなら、立ったままルディリアナの半分は既に夢の中にいっている。
そんなルディリアナを見て、父も母も小さくため息を吐き、その後顔を見合わせ「ふふっ」と笑った。
この誕生日会は確かにアスラン王太子の誕生日を祝うものである。
だがその裏では、アスラン王太子の婚約者を探すと言う名目で開かれる事は、大人達の間では周知の事実であった。
マルフェスも妻のリジィもルーナを婚約者に!と思ったりもしたが、何処でもすぐに寝てしまうルーナを見ると、縛り付けるより、好きにしてやりたいと思ってしまうのである。
立ったまま、完全に寝てしまったルーナをそっと抱き上げ、自分の膝を枕代わりにして寝かせてやった。
マルフェスの膝の上で気持ちよさそうに眠るルーナを見て、寧ろ婚約者には選ばれないで欲しいなと思うマルフェスであった。
「ルーナ、ルーナ起きなさい。」
暫く馬車に揺られ、お菓子を食べる夢を見ていたルディリアナは耳元で聞こえてくる、父の声で目を覚ました。
「お父様、うるさいのです。。。折角のお菓子が遠のきました。」
かなり大きな声で耳元で呼ばれたせいで、ルディリアナは耳がキンキンと耳鳴り状態である。
せっかく始めてみるお菓子を夢の中で食べていたのに、最悪である。
ぷぅっと頬を膨らませキッと父を睨む。
「ほら、拗ねない拗ねない。王宮に着いたから、本物のお菓子が食べれるぞー。」
「ルーナの好きなマカロンもあるかもしれないわよ??」
王宮、、マカロン。。
まだ半分夢の中にいきそうな体をユラユラと揺らしながら、ルディリアナの頭の中に二人の声が響いた。
「王宮、、マカロン。」
ルディリアナが二人の言葉から自分好みの言葉を復唱する。
「そうそう、王宮にマカロンに。」
「ケーキにジュースもあるかも!!」
二人がルディリアナの喜ぶ内容をいくつか上げると、ルディリアナの頭には沢山のケーキとお菓子。
マカロンやジュースの映像が流れた。
そして「マカロン!!!」その言葉と共に、ルディリアナの目がカッと開いた。
一気に目が覚まったルディリアナはリジィとマルフェスと手を繋ぐと、王宮の中へと足を踏み入れた。
王宮の中に入った瞬間、香ってくる甘い香り。
スイーツ以外にも、豪華な料理もあるのだが、ルディリアナにはスイーツ以外目に入らないのである。
「ルーナ、いい子にしてます。」
パッとマルフェスとリジィと手を離すとルディリアナは二人にそう告げた。
二人と一緒にいると沢山挨拶をさせられるのをわかっているのである。
「ルーナ、アスラン様にお祝いの言葉を言いにいってからなら、好きにしていいから。」とお父様は言いますが。
「ルーナ、いい子にしてます。」
諦めずに同じ事をルディリアナは言い返した。
マルフェスは「ルディリアナ。」と愛称ではなく名前で呼ぶ。
少し怒っていると言う事だ。
だが、ルディリアナも負けじと、「ルーナ、いい子にします。」と言い返した。
しまいには、「はぁっ、いい子にしてるんだぞ。」と諦めてマルフェスはリジィと共に王子様の元へと去っていった。
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