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一。
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とある国の王子が変わり者だと言うのは、国中の物が知っている話であった。
王子なのに、ずーっと机と睨めっこして部屋から出てこずに、薬草で様々な薬を作り出す。
そんな王子の事を誰も咎めないのは、王子が作り出すその薬はどれも一級品だからである。
熱を覚ます薬や、少しくらいの病気なら治してしまう薬まで作り出す王子は薬草王子と言われ、国中の人間は感謝の言葉を述べ、王子を崇めた。
だからこそ、王子が公の場に姿を余り表さなくても、離宮の自室から出て来なくても、誰も余り文句を言わないのである。
だが、薬草王子が25歳となる頃には、各所から結婚しなさいと言う手紙が来ており、離宮に立てこもり続けるのには少し限界は来ていた。
薬草王子異、ノア・レヴィリアは自室のソファーに腰掛け、大量の見合い写真と睨めっこをしている最中であった。
「ノア様~、そろそろルウの手がおかしくなりそうですよぅ。」
えーんと嘘泣きをしてくるメイドのルウには、勝手にキスをしてきた罰に、すり鉢を擦らせている最中である。
チラリと泣きまねをするルウを一瞥し、直ぐに見合い写真を見直した。
だが、口からは「はぁ。」と重いため息ばかりでる。
ノアは薬草にしか興味がなく、女性というものにさっぱり興味がない。
しかし、自分が王族として生まれたからには、他の貴族と結婚しないといけないと言うことも理解はしている。
一度母である王妃に泣きつかれ、貴族の令嬢に会ったこともあるが、前日に手に入れた東の方の国にしか咲かないと言われる薬草を手に入れ、その事に夢中でさっぱり令嬢の事なんか見ていなかった。
「はい。」とか「そう。」とか適当な相槌を打っていた事だけ覚えてるが、正直顔すら覚えていない。
それくらい女性には興味がないのである。
女性とは母か「ノア様~。ルウそろそろ死んじゃうかもです。手がもう無理だと言ってるんですぅ。」と先程から一人で喋ってるメイドくらいしか関わりがない。
「ルウ、おいで。」
自分が座っているソファーの横をポンポンっと叩き、涙目ですり鉢を擦っていたメイドを横に呼ぶと、目をキラキラと輝かせ、持っていたすりこぎをポイっとほったかと思えば、ルウはすぐにノアの元へと駆けてきたかと思えば、勢いよくその横に座った。
目をキラキラと輝かせ、ノアを見ているルウからは尻尾と耳が見える。
「何ですか?ノア様~!頑張ったルウへのご褒美ですか??」
「あれは罰だ。褒美なんてない。」
そう言い返し、自分の元へやってきたルウの顔を片手で掴むとまじまじとその顔を見つめた。
「なんれふか。ノア様~。」
顔を掴まれうまく喋れないであろう、ルウは無視して耳や目、鼻や口などまじまじと見つめる。
見つめ終われば首筋や頬などスンスンと色々なところを嗅ぎ、また顔をまじまじと見つめた。
そして、見終わったかと思えば一言。
「お前は女か?」とノアはつぶやいた。
ノアは薬草にしか興味がないのもあるが、元々女が余り好きではない。
薬草の匂いはきつくても好きだが、どうも彼女達がつけている香水の匂いが鼻を刺す。
薬草を嗅ぎすぎて敏感になってるのか、近くにこられた時に香る化粧の匂いもノアが女性を嫌になる原因の一つである。
話す内容もドレスや宝石の内容に、自分がどれだけ優れているかの自己評価ばかりで、ノアを退屈させるが、このメイドだけは違った。
なぜメイドのことは嫌にならないのか不思議でならないノアは、ルウの事は嫌にならないから本当は男かもと言うよくわからない考えからそう言ってしまったのだが、言われたルウはポカンと口を開け驚いている。
そして、その発言が失言だと思った時には時既に遅く、目の前にいるルウの目にはたっぷりの涙が浮かんでいた。
王子なのに、ずーっと机と睨めっこして部屋から出てこずに、薬草で様々な薬を作り出す。
そんな王子の事を誰も咎めないのは、王子が作り出すその薬はどれも一級品だからである。
熱を覚ます薬や、少しくらいの病気なら治してしまう薬まで作り出す王子は薬草王子と言われ、国中の人間は感謝の言葉を述べ、王子を崇めた。
だからこそ、王子が公の場に姿を余り表さなくても、離宮の自室から出て来なくても、誰も余り文句を言わないのである。
だが、薬草王子が25歳となる頃には、各所から結婚しなさいと言う手紙が来ており、離宮に立てこもり続けるのには少し限界は来ていた。
薬草王子異、ノア・レヴィリアは自室のソファーに腰掛け、大量の見合い写真と睨めっこをしている最中であった。
「ノア様~、そろそろルウの手がおかしくなりそうですよぅ。」
えーんと嘘泣きをしてくるメイドのルウには、勝手にキスをしてきた罰に、すり鉢を擦らせている最中である。
チラリと泣きまねをするルウを一瞥し、直ぐに見合い写真を見直した。
だが、口からは「はぁ。」と重いため息ばかりでる。
ノアは薬草にしか興味がなく、女性というものにさっぱり興味がない。
しかし、自分が王族として生まれたからには、他の貴族と結婚しないといけないと言うことも理解はしている。
一度母である王妃に泣きつかれ、貴族の令嬢に会ったこともあるが、前日に手に入れた東の方の国にしか咲かないと言われる薬草を手に入れ、その事に夢中でさっぱり令嬢の事なんか見ていなかった。
「はい。」とか「そう。」とか適当な相槌を打っていた事だけ覚えてるが、正直顔すら覚えていない。
それくらい女性には興味がないのである。
女性とは母か「ノア様~。ルウそろそろ死んじゃうかもです。手がもう無理だと言ってるんですぅ。」と先程から一人で喋ってるメイドくらいしか関わりがない。
「ルウ、おいで。」
自分が座っているソファーの横をポンポンっと叩き、涙目ですり鉢を擦っていたメイドを横に呼ぶと、目をキラキラと輝かせ、持っていたすりこぎをポイっとほったかと思えば、ルウはすぐにノアの元へと駆けてきたかと思えば、勢いよくその横に座った。
目をキラキラと輝かせ、ノアを見ているルウからは尻尾と耳が見える。
「何ですか?ノア様~!頑張ったルウへのご褒美ですか??」
「あれは罰だ。褒美なんてない。」
そう言い返し、自分の元へやってきたルウの顔を片手で掴むとまじまじとその顔を見つめた。
「なんれふか。ノア様~。」
顔を掴まれうまく喋れないであろう、ルウは無視して耳や目、鼻や口などまじまじと見つめる。
見つめ終われば首筋や頬などスンスンと色々なところを嗅ぎ、また顔をまじまじと見つめた。
そして、見終わったかと思えば一言。
「お前は女か?」とノアはつぶやいた。
ノアは薬草にしか興味がないのもあるが、元々女が余り好きではない。
薬草の匂いはきつくても好きだが、どうも彼女達がつけている香水の匂いが鼻を刺す。
薬草を嗅ぎすぎて敏感になってるのか、近くにこられた時に香る化粧の匂いもノアが女性を嫌になる原因の一つである。
話す内容もドレスや宝石の内容に、自分がどれだけ優れているかの自己評価ばかりで、ノアを退屈させるが、このメイドだけは違った。
なぜメイドのことは嫌にならないのか不思議でならないノアは、ルウの事は嫌にならないから本当は男かもと言うよくわからない考えからそう言ってしまったのだが、言われたルウはポカンと口を開け驚いている。
そして、その発言が失言だと思った時には時既に遅く、目の前にいるルウの目にはたっぷりの涙が浮かんでいた。
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