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佐竹が見つかったのは、日暮れだった。
「由佳と会って今、家にいるんだ。約束破ってごめん。」というメールが一斉に私たちの元に届いて、誰も何も言わずに佐竹の家へと走った。
鍵は開いていた。俺が行くと新田が先頭を切って私たちは後に続く。
その後のことは思い出したくない。
ただ、そこで私は見た。
風に揺られている佐竹の下で、ヘタリと座り込んで無表情に佐竹を見上げている1年前に死んだはずの由佳の姿を。
佐竹の恋人だった彼女の頬に涙の後が見えたことを。
私だけが見たのだ。
「由佳と会って今、家にいるんだ。約束破ってごめん。」というメールが一斉に私たちの元に届いて、誰も何も言わずに佐竹の家へと走った。
鍵は開いていた。俺が行くと新田が先頭を切って私たちは後に続く。
その後のことは思い出したくない。
ただ、そこで私は見た。
風に揺られている佐竹の下で、ヘタリと座り込んで無表情に佐竹を見上げている1年前に死んだはずの由佳の姿を。
佐竹の恋人だった彼女の頬に涙の後が見えたことを。
私だけが見たのだ。
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