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第 3 章 王都 防衛 編
王都 防衛戦 再び
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俺が落ち着くのを待ってカイトが話す。
「今回、カイトが俺の元に来た訳は『竜徒』達が再び王都に攻めてくるからだ。」
「それにあたりミグルド王国は他国に応援を要請すると同時に各村に兵士として冒険者を出すように通達してきた。」
「当然、ミグルド王国内にあるトルン村にも通達がある、どのみち王都が落ちればトルン村も同じ事。」
「村の若者は皆、参加する。」
「俺も行くつもりだ、ライス、力を貸してくれ。」
「トルン村から追い出すように出て行ったお前に言えた義理ではないが、今は戦力が欲しい。」
俺はみなまで言うなといった風にカイトの肩を叩く。
『竜徒』どもには貸しがある。
もしかしたらリュカクともまみえることができるかもしれない。
俺はカイトに伴って王都を目指した。
☆
王都では俺の登場で兵士達は沸き立った。
竜族に一撃喰らわせ『竜徒』どもを退かせた英雄に注目が集まる。
事実とはだいぶ違っているが今回、最前線で戦いたい俺はあえて事実を隠した。
案の定、ミグルド軍の隊長が直々に挨拶に来た、最初に冒険者として雇われた時とは偉い違いだ。
隊長は俺に一軍を率いて戦ってくれと申し出る。
俺達以外の兵士は邪魔だが、俺はその申し出に応じる。
モンスターを引き寄せる俺が城壁内にいるより住民も安全だろう。
今回、ミグルド王国は万全の対策を立てている。
兵士の数、一つとっても半端ではない、
ミグルド王国が滅びれば次は自分たちの国だと、周辺各国はこぞって援軍を出してきた。
その数、およそ八万!ミグルド軍と合わせると総勢12万が王都を囲む草原にひしめき合っている。
装備にしても『竜徒』に負けてない、前回のことを踏まえて大幅に改善されている。
弓の代わりに投石機を槍の代わりに破城槌を装備した兵士達が待ち構えている。
『竜徒』を人間でなく巨大なモンスターと仮定しての戦いだ。
☆
ミグルド連合軍と『竜徒』達との戦いはその日の内に始まった。
案の定、戦いはミグルド連合軍が優勢の状態で推移する。
『竜徒』達は前回より多い250人で攻めて来た、しかし、投石機から放たれる岩は次々に『竜徒』を潰していく。
いくら竜鱗の鎧でも2メートルはある岩に潰されてはダメージはあるだろう。
岩の雨をくぐり抜けた『竜徒』を破城槌が突き破る。
俺は最前線で『竜徒』を近づけまいと戦う。
カイトとリュオは城壁内に残してきた、リュオは納得していない様子だが、カイトをお前が守ってくれと無理矢理に納得させて残してきた、リュオは片角を失ってから力を落としている。
以前のように元気な笑顔を見せることが少なくなった。
辺りは夜を迎え、こちらの勝利で終わるかと思われた時、事態は急変する。
王都を囲む草原、それを囲む広大な森から溢れ出す赤き光!
その赤き光すべてがモンスターが放つ目の光、その光が闇に包まれた森に溢れる。
12万の兵士を上回る数のモンスターの群れが兵士達を囲むように襲ってきた。
この数に連合軍の装備は無力と化す。
投石機も破城槌もこの数には対応できない、倒しても倒しても押し包むように攻めてくる。
モンスターに囲まれるのも時間の問題、誰もがそう思った。
しかし、俺には秘策がある。
モンスターの一画から始まった変化はやがて大きな流れになっていく。
モンスターが一カ所に集まりだす、俺の所だ、剣の呪いがモンスターを引き寄せる。
無数のモンスターが集まってくる。
絶望と呼べるチャンスである。
俺は全力で剣を振るう!
後は力尽きるまで戦うだけの事、この程度の試練、乗り越えなければリュカクには届くまい。
モンスターにとっては人も『竜徒』も同じ餌、モンスターは『竜徒』も襲っている。
人、『竜徒』、モンスター、三者入り乱れて戦場は地獄と化した。
その時、聞き覚えのある声が戦場に響く。
「ほんの余興のつもりで虫達をけしかけたが、面白い奴が紛れ込んでいるな」
声の主はリュカク!
このモンスターの襲撃はリュカクに追われたモンスターが逃げ場を求めて王都に殺到しただけだったのだ。
俺は剣を掲げて叫ぶ!
「リュカク‼︎ 降りてきて俺と戦え‼︎」
リュカクは俺の前に降りてきた。
「いい面構えになったな、ペットから番犬に昇格か!」
俺は剣を構えてリュカクより先に斬りかかる。
俺の初撃は空振りになるがリュカクの間合いに入れた。
あとは剣撃を入れ続けるのみ、2撃、3撃、リュカクに軽くかわされる。
リュカクの攻撃は首に心臓と確実に俺の急所を狙ってくる。
だが前回の時とは違う、前回は何が起こったかすらわからなかった。
今は見えている、俺はリュカクの攻撃を紙一重の差でかわす。
「前回とは違うようだな」、リュカクは笑いながら近くのモンスターを切り裂いて、その血を舐めた。
俺に集まるモンスターがパニックを起こして誰彼構わず襲い始める。
「鬱陶しい虫どもが!」
リュカクの雰囲気が変わる、剣の一振りが数匹のモンスターをバラバラにする。
いままでは俺を相手に遊んでいたのか?
あれだけ苦労したのに届かないのか?
人間の俺では無理なのか?
否! もう俺は人間をやめている!
ならば俺の覚悟が足りないだけの事。
俺は剣を握り直して勇気を絞り出す。
「ポォーーーーー‼︎」
その時である、空をつん裂く鳴き声が戦場に響く。
他のモンスターとは明らかに違うなにかが俺たちに近づいてきて炎を放つ。
炎の目標はリュカク!
リュカクを燃やした後、炎は周りのモンスターを焼いてゆく。
「ポォー、ポォー!」
その者は俺の上空を旋回しながら俺に近づくモンスターを次々になぎ倒している。
俺はその者に見覚えがある。
洞窟の子ドラゴン、母ドラゴンは助けられなかったが、レッドドラゴンの子供が勇ましくなって今戦場に舞い降りる。
剣を持つ手に痛みにも似た衝撃が走った後に感情が爆破すると剣が何かを訴えるように震え出す。
俺は剣に応えるように強く握る、それこそ血が滲むように、否!本当に血を剣に吸わせた。
すると子ドラゴンの叫びと俺の血に母ドラゴンの素材の剣が応えたかのように形を変える。
両刃の剣が片刃の刀に形を変え、結晶から伸びたリュオの角が刀の背を覆う。
日本刀を思わせるその姿。
刀身は紅き炎を帯びたように輝く。
俺はこの剣を鍛えた刀匠の言葉を思い出した。
この剣は出来損ない、持ち手の覚悟で形を変えると。
☆
子ドラゴンの活躍のお陰で戦況はミグルド連合に有利に傾きつつある。
「俺たちに相応しい舞台で待っている」
リュカクは興が冷めたと、その言葉を残して戦場から離脱する。
これにより勝敗は決した、『竜徒』はいつの間にか姿を消して、モンスターはあらかた倒され残ったモンスターは森に逃げ出した。
「俺達の勝利だーー!」
戦場のあちこちから兵士達の勝鬨の声があがる。
「今回、カイトが俺の元に来た訳は『竜徒』達が再び王都に攻めてくるからだ。」
「それにあたりミグルド王国は他国に応援を要請すると同時に各村に兵士として冒険者を出すように通達してきた。」
「当然、ミグルド王国内にあるトルン村にも通達がある、どのみち王都が落ちればトルン村も同じ事。」
「村の若者は皆、参加する。」
「俺も行くつもりだ、ライス、力を貸してくれ。」
「トルン村から追い出すように出て行ったお前に言えた義理ではないが、今は戦力が欲しい。」
俺はみなまで言うなといった風にカイトの肩を叩く。
『竜徒』どもには貸しがある。
もしかしたらリュカクともまみえることができるかもしれない。
俺はカイトに伴って王都を目指した。
☆
王都では俺の登場で兵士達は沸き立った。
竜族に一撃喰らわせ『竜徒』どもを退かせた英雄に注目が集まる。
事実とはだいぶ違っているが今回、最前線で戦いたい俺はあえて事実を隠した。
案の定、ミグルド軍の隊長が直々に挨拶に来た、最初に冒険者として雇われた時とは偉い違いだ。
隊長は俺に一軍を率いて戦ってくれと申し出る。
俺達以外の兵士は邪魔だが、俺はその申し出に応じる。
モンスターを引き寄せる俺が城壁内にいるより住民も安全だろう。
今回、ミグルド王国は万全の対策を立てている。
兵士の数、一つとっても半端ではない、
ミグルド王国が滅びれば次は自分たちの国だと、周辺各国はこぞって援軍を出してきた。
その数、およそ八万!ミグルド軍と合わせると総勢12万が王都を囲む草原にひしめき合っている。
装備にしても『竜徒』に負けてない、前回のことを踏まえて大幅に改善されている。
弓の代わりに投石機を槍の代わりに破城槌を装備した兵士達が待ち構えている。
『竜徒』を人間でなく巨大なモンスターと仮定しての戦いだ。
☆
ミグルド連合軍と『竜徒』達との戦いはその日の内に始まった。
案の定、戦いはミグルド連合軍が優勢の状態で推移する。
『竜徒』達は前回より多い250人で攻めて来た、しかし、投石機から放たれる岩は次々に『竜徒』を潰していく。
いくら竜鱗の鎧でも2メートルはある岩に潰されてはダメージはあるだろう。
岩の雨をくぐり抜けた『竜徒』を破城槌が突き破る。
俺は最前線で『竜徒』を近づけまいと戦う。
カイトとリュオは城壁内に残してきた、リュオは納得していない様子だが、カイトをお前が守ってくれと無理矢理に納得させて残してきた、リュオは片角を失ってから力を落としている。
以前のように元気な笑顔を見せることが少なくなった。
辺りは夜を迎え、こちらの勝利で終わるかと思われた時、事態は急変する。
王都を囲む草原、それを囲む広大な森から溢れ出す赤き光!
その赤き光すべてがモンスターが放つ目の光、その光が闇に包まれた森に溢れる。
12万の兵士を上回る数のモンスターの群れが兵士達を囲むように襲ってきた。
この数に連合軍の装備は無力と化す。
投石機も破城槌もこの数には対応できない、倒しても倒しても押し包むように攻めてくる。
モンスターに囲まれるのも時間の問題、誰もがそう思った。
しかし、俺には秘策がある。
モンスターの一画から始まった変化はやがて大きな流れになっていく。
モンスターが一カ所に集まりだす、俺の所だ、剣の呪いがモンスターを引き寄せる。
無数のモンスターが集まってくる。
絶望と呼べるチャンスである。
俺は全力で剣を振るう!
後は力尽きるまで戦うだけの事、この程度の試練、乗り越えなければリュカクには届くまい。
モンスターにとっては人も『竜徒』も同じ餌、モンスターは『竜徒』も襲っている。
人、『竜徒』、モンスター、三者入り乱れて戦場は地獄と化した。
その時、聞き覚えのある声が戦場に響く。
「ほんの余興のつもりで虫達をけしかけたが、面白い奴が紛れ込んでいるな」
声の主はリュカク!
このモンスターの襲撃はリュカクに追われたモンスターが逃げ場を求めて王都に殺到しただけだったのだ。
俺は剣を掲げて叫ぶ!
「リュカク‼︎ 降りてきて俺と戦え‼︎」
リュカクは俺の前に降りてきた。
「いい面構えになったな、ペットから番犬に昇格か!」
俺は剣を構えてリュカクより先に斬りかかる。
俺の初撃は空振りになるがリュカクの間合いに入れた。
あとは剣撃を入れ続けるのみ、2撃、3撃、リュカクに軽くかわされる。
リュカクの攻撃は首に心臓と確実に俺の急所を狙ってくる。
だが前回の時とは違う、前回は何が起こったかすらわからなかった。
今は見えている、俺はリュカクの攻撃を紙一重の差でかわす。
「前回とは違うようだな」、リュカクは笑いながら近くのモンスターを切り裂いて、その血を舐めた。
俺に集まるモンスターがパニックを起こして誰彼構わず襲い始める。
「鬱陶しい虫どもが!」
リュカクの雰囲気が変わる、剣の一振りが数匹のモンスターをバラバラにする。
いままでは俺を相手に遊んでいたのか?
あれだけ苦労したのに届かないのか?
人間の俺では無理なのか?
否! もう俺は人間をやめている!
ならば俺の覚悟が足りないだけの事。
俺は剣を握り直して勇気を絞り出す。
「ポォーーーーー‼︎」
その時である、空をつん裂く鳴き声が戦場に響く。
他のモンスターとは明らかに違うなにかが俺たちに近づいてきて炎を放つ。
炎の目標はリュカク!
リュカクを燃やした後、炎は周りのモンスターを焼いてゆく。
「ポォー、ポォー!」
その者は俺の上空を旋回しながら俺に近づくモンスターを次々になぎ倒している。
俺はその者に見覚えがある。
洞窟の子ドラゴン、母ドラゴンは助けられなかったが、レッドドラゴンの子供が勇ましくなって今戦場に舞い降りる。
剣を持つ手に痛みにも似た衝撃が走った後に感情が爆破すると剣が何かを訴えるように震え出す。
俺は剣に応えるように強く握る、それこそ血が滲むように、否!本当に血を剣に吸わせた。
すると子ドラゴンの叫びと俺の血に母ドラゴンの素材の剣が応えたかのように形を変える。
両刃の剣が片刃の刀に形を変え、結晶から伸びたリュオの角が刀の背を覆う。
日本刀を思わせるその姿。
刀身は紅き炎を帯びたように輝く。
俺はこの剣を鍛えた刀匠の言葉を思い出した。
この剣は出来損ない、持ち手の覚悟で形を変えると。
☆
子ドラゴンの活躍のお陰で戦況はミグルド連合に有利に傾きつつある。
「俺たちに相応しい舞台で待っている」
リュカクは興が冷めたと、その言葉を残して戦場から離脱する。
これにより勝敗は決した、『竜徒』はいつの間にか姿を消して、モンスターはあらかた倒され残ったモンスターは森に逃げ出した。
「俺達の勝利だーー!」
戦場のあちこちから兵士達の勝鬨の声があがる。
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