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第 2 章 モンスター避けの腕輪 編
モンスター避けの腕輪 2
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俺が村長の家に行くと先客がいた、街から来た商人の一団の長だと言うその男は嬉しそうに村長と話している。
村長は俺を認めると立ち上がり、俺のそばに来て商人を紹介するからと、テーブルに座らせた。
この世界の大きな街から来たと言う商人はブラックバイパーの素材を買い付けに来たという。
俺は先程から忘れていた事を思い出し村長に尋ねる。
「村長、本当に腕輪をタダでくれるのか?」
村長は『?』という顔で俺を見る。
俺は『いや、値段が。』と言うと、村長がその続きを遮り、「もちろん」タダで構わないと言った。
どうやら値段の話しは商人には聞かれたくない様だ。
村長は俺に耳打ちする、少し気色かったがその後の衝撃で俺の感情は消し飛ぶ。
「腕輪が『80万ゼニー』だという事はもちろん知っているが、ブラックバイパーの素材はそれ以上で売れる」との事だ。
隣で俺と村長の話しを聞いていたカイトが『貰っておけよ』と俺の肩を叩いた。
どうやら相手の肩を叩くのがカイトの癖のようだ。
まだ知り合ったばかりなのに馴れ馴れしい男だが、それが嫌味に感じない。
俺は手の甲で合わせる。
俺は村長に礼を述べるとカイトと一緒に村長の家を出る。
カイトが飯を奢るからと俺を誘って来たからだ、俺とカイトはお互いが体育会系の性格せいか昔からの友達のごとく気が合った。
何処の何者かもわからない俺に気さくに接してくれる、明るくて気取らない性格に村での人気も高い。
酒場に着くと、いつの間にかリュオが俺の後ろに着いてくる。
リュオが、いままで何をしていたかと言うと、工房の説明に飽きたリュオは森に遊びに行っていた。
普通、モンスターの居る危険な森に1人で行くなど考えられない事だが、リュオが竜族だと知っている村人は誰も止める者はいない。
ブラックバイパーを倒したのも俺ではなく『リュオ』だと薄々気づいているが、俺の方が話しが通じると、あえて俺が倒した事になったままになっている。
酒場の食事は美味い、食材は見たことない物ばかりだが俺の味覚に合っている。
リュオも夢中で食べている。
カイトの話術も絶妙だ、新しい話題を次々に出して俺を飽きさせない。
それが食事の味をいっそう美味くする。
いくつかの話題の後、俺はカイトに相談しようと工匠の長に言われた事を話題にだす。
今回、俺が工房に持ち込んだ結晶は規格外の大きさの為、腕輪に使ってもだいぶ余るから残りは返すとの事。
その使い道についてカイトに相談する。
カイトはしばらく考えた後に間を置き、語意を強めて『無い!』と答えた。
今の間はなんだ?
俺は聞き返す、「なあ、カイト、この結晶、腕輪以外に使えないか?」
この世界の装備は大きく分けて『武器』『防具』『アクセサリー』の3種類で腕輪はアクセサリーに分類される。
ならば、結晶をアクセサリー以外に使っても良さそうではないか?
俺は何気なくカイトに聞いた、「たとえば武器とかに使えないかな?」
その瞬間、いままで陽気に呑んでいたカイトがグラスをテーブルに叩きつけ立ち上がると俺の胸ぐらを掴んで押し倒す。
今にも飛びかかりそうなリュオを制止して俺はカイトを見る。
酒に酔っての行動では無い様だ。
カイトは胸ぐらから手を離すと『すまん』とひと言 言った後、俺の身体を起こし上げ椅子に座らせると自分もテーブルにつく。
カイトはため息を吐き『それはダメだ』と言った後、少し間を空いて話し出した。
「少し前の話しだが、俺には親友と呼べるシオンという男がいた。」
「才能に溢れ、特に剣術に於いては遥かに俺を凌いでいた。」
「冒険者としての腕も一流で困難な依頼も達成してくれた。」
「しかし、シオンの向上心はそれで治らず更なる上を目指してしまった。」
禁術! 結晶をアクセサリー以外に使ってはならないと言う村の掟を破り武器に使ってしまった。
工匠としても一流だったシオンは皆んなが止めるのを押しきって自分で結晶を武器に組み込む。
「武器を持って森に行ったシオンがどうなったか、次の日にはモンスターに食い荒らされたシオンの死体が見つかった。」
「武器に仕込んだ結晶は、力の強弱はあるがモンスターを引き寄せる。」
「残されたのは骨の一部と武器だけ、俺はその場で武器を壊して骨と一緒にその場に埋めた。」
「結晶を武器に使うことが、いかに危険かわかるだろ。」
そう言ってカイトは酒場から出て行った。
腕輪が完成するまであと3日、直ぐにカイトに謝りに行こう。
このまま別れるには惜しい男だ。
俺は酒場を出てカイトの元に向かった。
村長は俺を認めると立ち上がり、俺のそばに来て商人を紹介するからと、テーブルに座らせた。
この世界の大きな街から来たと言う商人はブラックバイパーの素材を買い付けに来たという。
俺は先程から忘れていた事を思い出し村長に尋ねる。
「村長、本当に腕輪をタダでくれるのか?」
村長は『?』という顔で俺を見る。
俺は『いや、値段が。』と言うと、村長がその続きを遮り、「もちろん」タダで構わないと言った。
どうやら値段の話しは商人には聞かれたくない様だ。
村長は俺に耳打ちする、少し気色かったがその後の衝撃で俺の感情は消し飛ぶ。
「腕輪が『80万ゼニー』だという事はもちろん知っているが、ブラックバイパーの素材はそれ以上で売れる」との事だ。
隣で俺と村長の話しを聞いていたカイトが『貰っておけよ』と俺の肩を叩いた。
どうやら相手の肩を叩くのがカイトの癖のようだ。
まだ知り合ったばかりなのに馴れ馴れしい男だが、それが嫌味に感じない。
俺は手の甲で合わせる。
俺は村長に礼を述べるとカイトと一緒に村長の家を出る。
カイトが飯を奢るからと俺を誘って来たからだ、俺とカイトはお互いが体育会系の性格せいか昔からの友達のごとく気が合った。
何処の何者かもわからない俺に気さくに接してくれる、明るくて気取らない性格に村での人気も高い。
酒場に着くと、いつの間にかリュオが俺の後ろに着いてくる。
リュオが、いままで何をしていたかと言うと、工房の説明に飽きたリュオは森に遊びに行っていた。
普通、モンスターの居る危険な森に1人で行くなど考えられない事だが、リュオが竜族だと知っている村人は誰も止める者はいない。
ブラックバイパーを倒したのも俺ではなく『リュオ』だと薄々気づいているが、俺の方が話しが通じると、あえて俺が倒した事になったままになっている。
酒場の食事は美味い、食材は見たことない物ばかりだが俺の味覚に合っている。
リュオも夢中で食べている。
カイトの話術も絶妙だ、新しい話題を次々に出して俺を飽きさせない。
それが食事の味をいっそう美味くする。
いくつかの話題の後、俺はカイトに相談しようと工匠の長に言われた事を話題にだす。
今回、俺が工房に持ち込んだ結晶は規格外の大きさの為、腕輪に使ってもだいぶ余るから残りは返すとの事。
その使い道についてカイトに相談する。
カイトはしばらく考えた後に間を置き、語意を強めて『無い!』と答えた。
今の間はなんだ?
俺は聞き返す、「なあ、カイト、この結晶、腕輪以外に使えないか?」
この世界の装備は大きく分けて『武器』『防具』『アクセサリー』の3種類で腕輪はアクセサリーに分類される。
ならば、結晶をアクセサリー以外に使っても良さそうではないか?
俺は何気なくカイトに聞いた、「たとえば武器とかに使えないかな?」
その瞬間、いままで陽気に呑んでいたカイトがグラスをテーブルに叩きつけ立ち上がると俺の胸ぐらを掴んで押し倒す。
今にも飛びかかりそうなリュオを制止して俺はカイトを見る。
酒に酔っての行動では無い様だ。
カイトは胸ぐらから手を離すと『すまん』とひと言 言った後、俺の身体を起こし上げ椅子に座らせると自分もテーブルにつく。
カイトはため息を吐き『それはダメだ』と言った後、少し間を空いて話し出した。
「少し前の話しだが、俺には親友と呼べるシオンという男がいた。」
「才能に溢れ、特に剣術に於いては遥かに俺を凌いでいた。」
「冒険者としての腕も一流で困難な依頼も達成してくれた。」
「しかし、シオンの向上心はそれで治らず更なる上を目指してしまった。」
禁術! 結晶をアクセサリー以外に使ってはならないと言う村の掟を破り武器に使ってしまった。
工匠としても一流だったシオンは皆んなが止めるのを押しきって自分で結晶を武器に組み込む。
「武器を持って森に行ったシオンがどうなったか、次の日にはモンスターに食い荒らされたシオンの死体が見つかった。」
「武器に仕込んだ結晶は、力の強弱はあるがモンスターを引き寄せる。」
「残されたのは骨の一部と武器だけ、俺はその場で武器を壊して骨と一緒にその場に埋めた。」
「結晶を武器に使うことが、いかに危険かわかるだろ。」
そう言ってカイトは酒場から出て行った。
腕輪が完成するまであと3日、直ぐにカイトに謝りに行こう。
このまま別れるには惜しい男だ。
俺は酒場を出てカイトの元に向かった。
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