最弱会社員の異世界サバイバル 特殊スキルで生き残る

塩爺

文字の大きさ
上 下
7 / 19
第 2 章  モンスター避けの腕輪 編

モンスターの塔  2

しおりを挟む
4階をクリアすれば最上階。

結晶が手に入る、しかし、4階が一番の問題だった。

この階には螺旋階段がなく、最上階に続くと思われる箇所は部屋の中央に有る円錐形のものだけ、しかも、上から降り注ぐ大量の水が流れている。

円錐形の台の高さは約20メートル、その頂上にポールが立っており、それが天井に開いた3メートルほどの穴に伸びている。

村長も人が悪い、塔の仕掛けについて教えてくれてもよかったのに。

まぁ、それでは攻略の意味はないか。

ロープらしきものは見当たらないし用意もしていない、もし、ロープが用意して有ればどうだったろう。

まず、ロープをあのポールに引っ掛ける。

どうやって?

ロープの先に剣を結び付け、それをなげたら?

多分ダメだ、上から降り注ぐ大量の水で遮られてしまう。

ならば、ロープの両端をそれぞれ持ち、引っ張る方法では?

この塔を攻略する人数が1人とは限らない。

モンスター避けの腕輪はパーティーの中の1人が装備すれば良いのだから。

その一個を手に入れる為に、パーティーで攻略することだってある筈だ。

それぞれ持ったロープを円錐形の台を挟んで二手に別れ、進んでいく。

ロープは自ずと円錐形の台の上の方にズリ上がっていき、やがてポールに引っ掛ける。

引っかかってしまえば、後はそのロープで引っ張り上げるだけ。

しかし、その方法が使えるか?

大勢のパーティーならいざ知らず、三、四人のパーティーではどうにもできない。

何故なら、水の流れの中、大の大人を引っ張り上げるのは余程の力持ちでも二、三人では無理だと思う。

せめて、片方のロープをくくりつける所でもあれば。

空でも飛べたら余裕だけれど。

俺は暇そうにパタパタ飛んでいるリュオを見る。

三階でリュオの助力を断った俺は今更リュオに頼めない。

皆、この仕掛けを解いて4階に上がった筈だ、必ず糸口はある。

俺は水の流れる円錐形の台に足をかける。

水の流れは以外に強く、急傾斜と相まって2歩目をかけることなく俺の体を押し戻す。

俺はそのまま床の水溜りに仰向けで落ちる。

俺は両手を軽く上げ『やれやれ』と言うポーズをとる。

これは、ロープがあっても無理だな。

ロープを用意してこなかった俺は少し安心した。

リュオは水に落ちた俺を見て、『リュオもやるー♪』と、いっしょになって水の中ではしゃいでいる。

俺は水からあがって観察する、リュオをではない。

もちろん円錐形の仕掛けについてだ。

台の周りをしばらく歩く、水を貯めてある部分の高さは腰ぐらいの高さで約80センチ、仕掛けが有るとすればこの部分が怪しい。

俺は剣で丹念に突き回し、そのまま一周する。

台座に怪しいところは見当たらない。

次は床、台に近い所からやはり剣で調べていく。

途中で疲れてきて調べた所と未だの所の区別がわからなくなっている。

俺は床の全部を調べ切らない内に壁に移る。

壁を調べ始めて、俺は焦り出す。

もし壁を調べても仕掛けが解けなかったらどうしよう。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずかリュオは俺の真似をして壁を叩いている。

俺はリュオを見ながら壁を調べるのを再開した。

『ズズン! ズズン!』

「ん?」

先程から床が揺れている、地震か?

この塔は大丈夫か?俺はリュオを探した。

そこで驚きの光景を目撃する。

リュオが壁を殴る度にこの塔が揺れるのだ。

このままではこの塔を壊しかねない、俺は慌てて止めに入る。

リュオが楽しそうにひときわ強く壁を殴る。

その時、ひときわ揺れた後、『ガコン』とゆう音がして上から降り注ぐ水が止まった。

塔を揺らす程の衝撃を与えることなど普通ない、仕掛けが誤作動したのだろう。

「壊れてしまったかな?」

「まぁ、これから訪れる冒険者の助けをしたのだ」と無理矢理、自分を納得させる。

リュオは、また『ムフー』のポーズで俺の正面で腕組みしている。

どうやら、このポーズがリュオの褒めてアピールのようだ。

少々乱暴な方法だが仕掛けが解除出来たことに変わりはない、やり方に目をつむりリュオの頭を俺は撫でた。

リュオは尻尾を『ピコピコ』しながら嬉しそうしている。

さあ!気を取り直して攻略を再開だ。

俺は台を慎重に登る、水の流れていた時と違いゆっくりだが登って行ける。

円錐形の台の頂上まで来た俺、後はポールを登れば攻略終了!

俺は深呼吸してポールに手をかけた、

その時⁉︎ 

後ろからリュオが『ヒョイ』と俺を抱き抱えると上の階に運んでしまう。

俺はその場にへたり込む・・・。

これでは、今までの努力が水の泡だ。

『リュオ~~~‼︎』俺はリュオを見る。

リュオは『キョトン』としている。

リュオにしてみれば飛べるんだから、飛んでいった方が俺も楽だろうと言う気遣いなのだろう。

リュオに悪気はない。

俺は深呼吸して気を落ち着かせて、「リュオ、ありがとな」と一言、言った。

















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...