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第 7話 魔術士 サラ
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ダンジョンの中をだいぶ進んだが、未だモンスターとは出会わない、とてもラッキーなことだが不気味でもある。
俺が考えるにこのダンジョンの特徴は、この階層に限ってのことだけかもしれないが、勇者にとってラッキー階層に見せかけた罠なのではないかと考えた。
このダンジョンのモンスターにとってほとんどの勇者は単なる獲物、しかも滅多に入って来ない獲物なのだ。
そんなご馳走を出口のあるこの階層で追い廻して逃げられでもしたら、まさかモンスター同士で出口のある1階層は襲わないようにしようなどと協定を結ぶ事など考えられないが、このモンスターの出現率の低さは初級ダンジョン並みの低さだ。
俺の様な初心者勇者ならまだしもこのダンジョンに挑む様な高ランク勇者ならば余裕だと調子に乗って攻略を急ぎ、次の階層に入ったところで狩る。
そんな罠がこの1階層には仕掛けられている気がする、俺が襲われたのは俺が間抜けに音を出したのと出口に近づいた為ではないか?
そんな事を考えていると背後から声をかけられた。
「あなた、そんな所でぼーとしてるとモンスターにやられるわよ。」
俺は声がした方向に振り向く。
見つけた、サラだ!
父親の亡骸の付近にいると思っていたがだいぶ手前の所で発見できた。
サラは俺の事をひと通り見回すと少し驚いた表情で、俺に話しかける。
「あら、あなた、あの時の人じゃない?」
その表情はどうしてこんな所に来たのという表情だ。
どうしてこんな危ない所に来たじゃねーよ、俺はムカついたがあくまで冷静にお前の事を夫人に頼まれて助けに来た事をサラに告げる。
「ふーん、あなたが?」
またサラは俺を見回して答える、その言葉の端々から、あなた程度の実力で助けに来られても足手纏いになるだけだと言われているように俺には聴こえる。
「まぁ、お礼は言っておくわ、ありがとう。」
言葉の言い回しは気になるが、こんなダンジョンに長居は無用、さっさと脱出しよう。
俺はサラの手を取ろうと左手を伸ばす。
「それはダメ!父さんの亡骸を見るまで帰らないわ!」
俺の手は見事に袖にされた、おいおい、最近の若い勇者はこのダンジョンの真の恐怖を知らないのか!
そう思いつつやり場のない左手をぷらぷらさせる。
ひとりでも行くわと言うサラに、俺はついていくことにした、夫人にサラを連れて帰ると約束したし、金を貰って成果なしでは、夫人は思わなくても街の勇者達に卑怯者と言われかねない。
卑怯者と呼ばれるのも命あってのことだが、できたらサラも助けたい。
俺こ考えではこの1階層はラッキー階層、上手く立ち回ればいけるのではないか?
俺はサラに大きな音をだしてはいけない等のこの階層での注意事項を伝えた、サラは[何も考えていないようでいろいろ考えているのね]と言う表情で俺を見て。
「あなた、おじさんね。」と
俺を平気で傷つける言葉を言いやがった。
そんな俺を無視してサラは構わず話し続ける。
「私はサラ、サラ・シュタイナー。」
「母さんに聞いてると思うけど魔術を使えるわ。」
「主に雷撃系の攻撃魔法だけれど、治癒術も使えるから傷があったら回復してあげる。」
なんと、治癒術まで使えるのか、今、つけられた心の傷を癒やしてもらおうなどと妄想していると、サラは俺をいぶしがりながら見て。
「それでおじさんは何が使えるの、見たところ剣士のようだけど、勇者ランクは?」
サラの中で俺はすっかりおじさんになっている、俺は自分が初心者勇者だと告げた。
その途端、サラの表情がみるみる変わる。
「あなた!そんなんで、よく助けに来たわね!」
サラは明らかに呆れた表情をしている。
「しょうがない、ここまで来ちゃたんだからいっしょに行ってあげるわ。」
サラは溜め息混じりに俺にそう告げた、これでは立場が逆ではないか、俺は命を賭けてサラを助けに来たんだぞ。
まぁ、サラは上級勇者で俺は初心者勇者、この場は波風立てずに目的を果たして出口に向かおう。
ダンジョンを出さえすれば後はお互い2度と会うこともあるまい、今は協力するのが大人の対応、こんな小娘に何を熱くなっている。
しかし、最近の娘の成長ぶりは、目を見張るものがある、国勇者がこのダンジョンに入った時にはもう生まれていたのだろうが幾つぐらいの年齢なのか?
いかーん!何を俺はこんな緊迫した場面で妄想している?俺は頭を2、3度振るとサラの後をついていく。
「ねぇ、どうして父さんの装備をあなたが着けているの?」
サラが急に振り返って質問してきた、俺が夫人に借りたからだと説明しても不満そうだ。
「母さんが許可したからって、あなたの様な初心者勇者が着ていいものとは違うのだけれど。」
明らかにサラは俺が初心者勇者だと知ってから上から目線で話してくる。
そうこうしているうちに俺とサラは地図上に2つあった点の1つに辿り着いた、どうやら出口ではなかったようだが、これで父親の亡骸を見たいというサラの目的は達成できる。
このままサラに確認させてダンジョンを脱出しよう、この時の俺は父親の亡骸を見た娘の反応を甘く簡単に考えていたことを後になって後悔することになる。
俺が考えるにこのダンジョンの特徴は、この階層に限ってのことだけかもしれないが、勇者にとってラッキー階層に見せかけた罠なのではないかと考えた。
このダンジョンのモンスターにとってほとんどの勇者は単なる獲物、しかも滅多に入って来ない獲物なのだ。
そんなご馳走を出口のあるこの階層で追い廻して逃げられでもしたら、まさかモンスター同士で出口のある1階層は襲わないようにしようなどと協定を結ぶ事など考えられないが、このモンスターの出現率の低さは初級ダンジョン並みの低さだ。
俺の様な初心者勇者ならまだしもこのダンジョンに挑む様な高ランク勇者ならば余裕だと調子に乗って攻略を急ぎ、次の階層に入ったところで狩る。
そんな罠がこの1階層には仕掛けられている気がする、俺が襲われたのは俺が間抜けに音を出したのと出口に近づいた為ではないか?
そんな事を考えていると背後から声をかけられた。
「あなた、そんな所でぼーとしてるとモンスターにやられるわよ。」
俺は声がした方向に振り向く。
見つけた、サラだ!
父親の亡骸の付近にいると思っていたがだいぶ手前の所で発見できた。
サラは俺の事をひと通り見回すと少し驚いた表情で、俺に話しかける。
「あら、あなた、あの時の人じゃない?」
その表情はどうしてこんな所に来たのという表情だ。
どうしてこんな危ない所に来たじゃねーよ、俺はムカついたがあくまで冷静にお前の事を夫人に頼まれて助けに来た事をサラに告げる。
「ふーん、あなたが?」
またサラは俺を見回して答える、その言葉の端々から、あなた程度の実力で助けに来られても足手纏いになるだけだと言われているように俺には聴こえる。
「まぁ、お礼は言っておくわ、ありがとう。」
言葉の言い回しは気になるが、こんなダンジョンに長居は無用、さっさと脱出しよう。
俺はサラの手を取ろうと左手を伸ばす。
「それはダメ!父さんの亡骸を見るまで帰らないわ!」
俺の手は見事に袖にされた、おいおい、最近の若い勇者はこのダンジョンの真の恐怖を知らないのか!
そう思いつつやり場のない左手をぷらぷらさせる。
ひとりでも行くわと言うサラに、俺はついていくことにした、夫人にサラを連れて帰ると約束したし、金を貰って成果なしでは、夫人は思わなくても街の勇者達に卑怯者と言われかねない。
卑怯者と呼ばれるのも命あってのことだが、できたらサラも助けたい。
俺こ考えではこの1階層はラッキー階層、上手く立ち回ればいけるのではないか?
俺はサラに大きな音をだしてはいけない等のこの階層での注意事項を伝えた、サラは[何も考えていないようでいろいろ考えているのね]と言う表情で俺を見て。
「あなた、おじさんね。」と
俺を平気で傷つける言葉を言いやがった。
そんな俺を無視してサラは構わず話し続ける。
「私はサラ、サラ・シュタイナー。」
「母さんに聞いてると思うけど魔術を使えるわ。」
「主に雷撃系の攻撃魔法だけれど、治癒術も使えるから傷があったら回復してあげる。」
なんと、治癒術まで使えるのか、今、つけられた心の傷を癒やしてもらおうなどと妄想していると、サラは俺をいぶしがりながら見て。
「それでおじさんは何が使えるの、見たところ剣士のようだけど、勇者ランクは?」
サラの中で俺はすっかりおじさんになっている、俺は自分が初心者勇者だと告げた。
その途端、サラの表情がみるみる変わる。
「あなた!そんなんで、よく助けに来たわね!」
サラは明らかに呆れた表情をしている。
「しょうがない、ここまで来ちゃたんだからいっしょに行ってあげるわ。」
サラは溜め息混じりに俺にそう告げた、これでは立場が逆ではないか、俺は命を賭けてサラを助けに来たんだぞ。
まぁ、サラは上級勇者で俺は初心者勇者、この場は波風立てずに目的を果たして出口に向かおう。
ダンジョンを出さえすれば後はお互い2度と会うこともあるまい、今は協力するのが大人の対応、こんな小娘に何を熱くなっている。
しかし、最近の娘の成長ぶりは、目を見張るものがある、国勇者がこのダンジョンに入った時にはもう生まれていたのだろうが幾つぐらいの年齢なのか?
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そうこうしているうちに俺とサラは地図上に2つあった点の1つに辿り着いた、どうやら出口ではなかったようだが、これで父親の亡骸を見たいというサラの目的は達成できる。
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