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第 14話 動き始めた計画 I

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「ザイン、本当にあなたなの?」

久しぶりに帰った俺に対してのリフリーの第一声がそれだった。

キャロに至っては怯えてリフリーの背後に隠れる始末だ。

姿形はそんなに変わってない筈なんだがなと、ひきった笑みを浮かべつつ俺は言う。

「パパの顔、忘れちゃたかな?」

そう言って、両手を広げる。

キャロは無反応だ。

俺はやり場のない手で頭を掻きながらリフリーを見た。

いつもなら俺の失敗をホローしてくれるリフリーも真顔で無視する。

「まぁいいわ、とりあえず中に入って」

そう言ってリフリーは[森の護り手]のメンバーが待つ部屋に俺を案内する。

リフリーのその態度は自宅だというのに、まるでお客さんでも案内するよう。

俺はリフリーの後を歩き出す、キャロはリフリーに引っ付きながらチラチラ俺を見る。

部屋に入った俺は皆の視線を感じながらテーブルに着くと俺が喋り出す前にリフリーがこちらを見ながら口を開く。

「あの日、あなたはビューネイで言う人に会いに行くと言って家を出た。」

「ザイン、何があったのか最初から教えてちょうだい。」

その質問に俺は困った、家に着くまでにいろいろ考えていたが、上手い答えが考えつかなかった。

まずビューネイの事だ、王都から遠く離れた小さな村のいち農夫が伝説の大魔道士と知り合いのはずがない。

そんな知り合いでもない人間を訪ねに辺境の雪深き山脈に行くなどつじつまが合わない。

俺の頭の中でムダな思考がぐるぐる回る、いっそのこと転生の事を話してしまうか?

ムダだろう、転生の話しもダメだ、俺は転生者でビューネイとは一度目の転生時代の知り合いなどと言っても頭がおかしくなったと思われるのが関の山だ。

なにしろ俺の王様時代や騎士団時代の記憶の話しもリフリー達にしてみれば数百年前の出来事、まるで御伽話の物語だ。

そんな御伽話の人物と農夫の俺ではまったく結びつかない。

唯一接点があるとすれば、冒険者時代の俺、それでもできて間もない冒険者ギルドをここまで大きくしたギルドマスターとしての俺の話しだ。

リフリー達にしてみれば雲の上の人物、ますます現実的ではない。

テーブルに座る前より皆の視線が熱く感じる。

「・・ロフトが・・・」

俺は苦し紛れにロフトの名を口にする。

「ロフトって、リズモンド公爵家の宰相ロフトか?」

森の護り手のメンバーが口を開く。

「そんな男とお前がどう関係がある」

苦し紛れに出たロフトの名だが、あながちまったくデタラメという訳ではない。

なにしろ石化獣の一件でこの場にいる皆、ロフトには会っている。

そしてロフトの慎重で疑り深い性格は国でも有名で暗部の存在も都市伝説的に伝わっている。

俺は皆の考えがまとまる前に納得させようともっともらしい話しをする。

「リフリー達が冒険者ギルドに行った後だ、ロフトの使いだという暗部の人間がここに来て、そして俺にビューネイの捜査を依頼していったんだ。」

リフリー達がいない間に暗部の使いが来た、話しの筋は通っている筈だ、その時に居たキャロがそんな人は来なかったと言えば不味いが、キャロはいつもならリフリーの膝の上にちょこんと座って皆の話しを聴いているのに、今日はリフリーの背後に隠れて黙ったままだ。

怯えるその姿は可哀想だが俺にとっては都合が良いこのまま話しを続けよう。

「なぁ、このまま此処で話し合ってても埒があかない、会えるかどうかわからないがロフトに会いに行かないか?」

森の護り手のメンバーのひとりが提案した。

ロフトに会えば俺の嘘がバレるかもしれないが、どのみち俺はロフトに合わなければならない。

それは何故か。

ビューネイに言われた破壊する者の対抗策、精霊魔法の発動に必要な大地の生命力を上げる方法として緑を増やす。

それが国中となれば冒険者ギルドを使ったとしても不可能に近い、ここは国の力を借りるしかない。

国と言えば王様、王政のこの国では王様のひと声で国中が動く、しかし、今の俺では王様との繋がりがないのだ。

そこでロフトに俺を王様に紹介してもらおうと都合の良い計画を俺は立てた。

森の護り手のメンバーからロフトへの面会の話しが出た事で、俺から話しをする手間が省けるが俺はこれ以上余計な事は言わずに頷いた。

出発は明日、ギルド長を伴ってロフト邸を訪れる。

夜もふけ森の護り手のメンバーは今夜、このまま家に泊まることになったがありがたい。

リフリーやキャロとの数週間ぶりの再会を楽しみにしていたが、この気まずい空気、3人だけの夜を過ごすと思うと身震いする。

何とかして誤解を解かなくてはならないと今の俺はロフトや王様との面会よりそれが重大な事だと確信した。

















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