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第 12話 魔女ビューネイ
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常に吹雪舞う雪深き山脈の一角に彼女の庵があった。
その一画だけ異世界のように緑溢れて花が咲き乱れている。
流石、大魔道士、俺は呆れつつもノックもそこそこにドアを開けて中に入った。
中に入った俺の視線の先に1人の幼き少女の姿があった。
ずいぶん幼いお弟子さんだな?
俺は少女に声をかける。
「ビューネイ殿は何処に?」
しかし、少女から返ってきた言葉は意外なもの。
「ずいぶん懐かしい顔が訪ねてきたものだね。」
俺は少女の言葉を理解出来ずにボーとしていると、ふたたび少女が口を開く。
「ザイン、お前さんだろ。」
俺は驚きのあまり叫んでしまう。
「あんた、ビューネイか⁉︎」
少女は当たり前だろうといった風な顔でたたずんでいる。
この幼き少女がビューネイだったことにも驚きだが、今の姿の俺をザインと見抜いた事にも驚きだ。
今の俺の姿はビューネイの友人だった王様の精悍さはなく、似ても似つかない。
「何故?俺がザインだとわかった?」
またまた、当たり前と言った風にビューネイは言葉を続ける。
「姿、形は変わっても魂の色は人それぞれ同じだからね、お前さんの魂の色はわかるさ。」
もちろん俺にはそんなものは見えないが不思議と俺は納得してしまった、彼女ならそんなものだろうと。
そんなことより彼女のその姿だ、彼女の逆鱗に触れることを覚悟で俺は彼女に質問する。
「ビューネイ、その姿は?」
彼女は余計なお世話だと言った風に言葉を返す。
「転生さね、」
「何を不思議がる、お前さんだって散々やっているだろう」
「そんな事までわかるのか‼︎」
俺は今まで体験してきた事を、この俺の存在を理解出来る彼女に話したい衝動に駆られてしまう。
そんな俺の衝動を彼女は静止して、真顔で言う。
「ザイン!そんな事の為に此処に来たんじゃないんだろ。」
彼女の言葉に俺は冷静になる。
「そうだ!ビューネイ、聞いてくれ!」
「奴だ!奴が復活する!」
そう言って俺はビューネイが少女だという事を忘れて掴んだまま揺らす。
「大の男が何をオタオタしてるんだい」
ビューネイは少しは落ち着きなと、言った風に軽く俺の手を払った。
「大体の事情はわかっているよ、こんなに早く奴が復活するなんてね。」
「前の戦いの時は丁度、転生中でね、行けなかった。」
「まぁ、私が行っても結果は変わらなかったろうが」
ビューネイには俺の心の中が全てわかるのだろう。
「そんな顔しなさんな、まったく勝ち目が無いわけじゃないよ。」
そう言って俺の胸を小突く。
「いいかい、聴きな。」
「奴には物理攻撃も魔法も効かない、それは復活しても変わらないだろう。」
「だが、奴にも弱点はある、いや、弱点というよりか苦手という方が正解か。」
「奴にも唯一有効な魔法がある、精霊魔法だ。」
【精霊魔法】?
俺の4度の人生でも聞いた事のないワード。
「集団魔法の一種か?」
ビューネイは俺の?に構わず話しを続ける。
「大地の生命力を使って放つ魔法、それが精霊魔法さね。」
「この魔法なら、奴を封印するだけじゃない、この世界から消し去る事だって可能だ。」
「だったら何故、この魔法が世に広まらなかったと思う?」
「文字通り生命力を使って放つ魔法だからさ、ひとたびこの魔法を使ったが最後、大地は干上がり、人はおろか生き物の住めない地になってしまう。」
「かつて精霊魔法を使った術者はそれを見て禁呪としたんじゃろう」
俺はビューネイの顔を見る。
たとえこの魔法で破壊する者を消してもリスマイア王国が生き物の住めない地になっては意味がない。
他国の為にはなるだろうが、俺は納得出来ない。
「まぁ、慌てなさんな。」
「方法ならある。」
「お前さんの出番じゃ。」
「いいかい、良く聴きな、私の見立てじゃ奴が復活するまで約半年。」
「お前は直ぐに王国に戻り、国をあげて野菜を作りな。」
(野菜作り?)野菜と魔法、どう関係がある、俺は再びビューネイの顔を見る。
「そうせくな、ちゃんと説明するから。」
「大地の生命力と言っても構成する物はさまざまさ、緑もその一部。」
「そして、人が関われるのは緑ぐらいさね、本来なら木を森を増やすのがいいんだろうが半年じゃどうにもならない。」
「そこで野菜作りさ、野菜だって緑にゃ違わない、しかも増やすのに時間がかからないときてる。」
「これで野菜作りをする意味はわかっただろう、お前は権力者、できたら今の王様が良いね、アレに掛け合って国中のあらゆる空き地で野菜を育てな。」
「遊びじゃないよ、なにしろこの世界の未来が野菜作りにかかっているんだからね。」
「わかったらさっさと行きな。」
急かすビューネイを静止して、俺はもう一つの質問をする。
数日を無駄にしても必要な事だ。
「以前の俺の力を取り戻す方法はないか?」
その俺の質問にビューネイは押し黙ってしまう、押し黙ったまましばらく考えた後、重い口を開く。
「可能性はゼロではない、ゼロではないが相当危険な賭けだよ。」
「以前の力を取り戻す行為、それは魂の上書きをする行為に等しく、仮に成功したとしても記憶の混濁、肉体の崩壊、どんな障害がでるか私にもわからないよ。」
「それでも構わないのであれば私は止めないけど。」
俺の答えは決まっている、どの道、精霊魔法をかけている間、奴をその場に留めておく者が必要だ、今のこの大陸にその力がある者はおそらくいないだろう。
「構わない、ビューネイ、やってくれ!」
そう言った俺に彼女は隣の部屋に来る様に促し、何やら用意を始めた。
その一画だけ異世界のように緑溢れて花が咲き乱れている。
流石、大魔道士、俺は呆れつつもノックもそこそこにドアを開けて中に入った。
中に入った俺の視線の先に1人の幼き少女の姿があった。
ずいぶん幼いお弟子さんだな?
俺は少女に声をかける。
「ビューネイ殿は何処に?」
しかし、少女から返ってきた言葉は意外なもの。
「ずいぶん懐かしい顔が訪ねてきたものだね。」
俺は少女の言葉を理解出来ずにボーとしていると、ふたたび少女が口を開く。
「ザイン、お前さんだろ。」
俺は驚きのあまり叫んでしまう。
「あんた、ビューネイか⁉︎」
少女は当たり前だろうといった風な顔でたたずんでいる。
この幼き少女がビューネイだったことにも驚きだが、今の姿の俺をザインと見抜いた事にも驚きだ。
今の俺の姿はビューネイの友人だった王様の精悍さはなく、似ても似つかない。
「何故?俺がザインだとわかった?」
またまた、当たり前と言った風にビューネイは言葉を続ける。
「姿、形は変わっても魂の色は人それぞれ同じだからね、お前さんの魂の色はわかるさ。」
もちろん俺にはそんなものは見えないが不思議と俺は納得してしまった、彼女ならそんなものだろうと。
そんなことより彼女のその姿だ、彼女の逆鱗に触れることを覚悟で俺は彼女に質問する。
「ビューネイ、その姿は?」
彼女は余計なお世話だと言った風に言葉を返す。
「転生さね、」
「何を不思議がる、お前さんだって散々やっているだろう」
「そんな事までわかるのか‼︎」
俺は今まで体験してきた事を、この俺の存在を理解出来る彼女に話したい衝動に駆られてしまう。
そんな俺の衝動を彼女は静止して、真顔で言う。
「ザイン!そんな事の為に此処に来たんじゃないんだろ。」
彼女の言葉に俺は冷静になる。
「そうだ!ビューネイ、聞いてくれ!」
「奴だ!奴が復活する!」
そう言って俺はビューネイが少女だという事を忘れて掴んだまま揺らす。
「大の男が何をオタオタしてるんだい」
ビューネイは少しは落ち着きなと、言った風に軽く俺の手を払った。
「大体の事情はわかっているよ、こんなに早く奴が復活するなんてね。」
「前の戦いの時は丁度、転生中でね、行けなかった。」
「まぁ、私が行っても結果は変わらなかったろうが」
ビューネイには俺の心の中が全てわかるのだろう。
「そんな顔しなさんな、まったく勝ち目が無いわけじゃないよ。」
そう言って俺の胸を小突く。
「いいかい、聴きな。」
「奴には物理攻撃も魔法も効かない、それは復活しても変わらないだろう。」
「だが、奴にも弱点はある、いや、弱点というよりか苦手という方が正解か。」
「奴にも唯一有効な魔法がある、精霊魔法だ。」
【精霊魔法】?
俺の4度の人生でも聞いた事のないワード。
「集団魔法の一種か?」
ビューネイは俺の?に構わず話しを続ける。
「大地の生命力を使って放つ魔法、それが精霊魔法さね。」
「この魔法なら、奴を封印するだけじゃない、この世界から消し去る事だって可能だ。」
「だったら何故、この魔法が世に広まらなかったと思う?」
「文字通り生命力を使って放つ魔法だからさ、ひとたびこの魔法を使ったが最後、大地は干上がり、人はおろか生き物の住めない地になってしまう。」
「かつて精霊魔法を使った術者はそれを見て禁呪としたんじゃろう」
俺はビューネイの顔を見る。
たとえこの魔法で破壊する者を消してもリスマイア王国が生き物の住めない地になっては意味がない。
他国の為にはなるだろうが、俺は納得出来ない。
「まぁ、慌てなさんな。」
「方法ならある。」
「お前さんの出番じゃ。」
「いいかい、良く聴きな、私の見立てじゃ奴が復活するまで約半年。」
「お前は直ぐに王国に戻り、国をあげて野菜を作りな。」
(野菜作り?)野菜と魔法、どう関係がある、俺は再びビューネイの顔を見る。
「そうせくな、ちゃんと説明するから。」
「大地の生命力と言っても構成する物はさまざまさ、緑もその一部。」
「そして、人が関われるのは緑ぐらいさね、本来なら木を森を増やすのがいいんだろうが半年じゃどうにもならない。」
「そこで野菜作りさ、野菜だって緑にゃ違わない、しかも増やすのに時間がかからないときてる。」
「これで野菜作りをする意味はわかっただろう、お前は権力者、できたら今の王様が良いね、アレに掛け合って国中のあらゆる空き地で野菜を育てな。」
「遊びじゃないよ、なにしろこの世界の未来が野菜作りにかかっているんだからね。」
「わかったらさっさと行きな。」
急かすビューネイを静止して、俺はもう一つの質問をする。
数日を無駄にしても必要な事だ。
「以前の俺の力を取り戻す方法はないか?」
その俺の質問にビューネイは押し黙ってしまう、押し黙ったまましばらく考えた後、重い口を開く。
「可能性はゼロではない、ゼロではないが相当危険な賭けだよ。」
「以前の力を取り戻す行為、それは魂の上書きをする行為に等しく、仮に成功したとしても記憶の混濁、肉体の崩壊、どんな障害がでるか私にもわからないよ。」
「それでも構わないのであれば私は止めないけど。」
俺の答えは決まっている、どの道、精霊魔法をかけている間、奴をその場に留めておく者が必要だ、今のこの大陸にその力がある者はおそらくいないだろう。
「構わない、ビューネイ、やってくれ!」
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