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第 8話 農業はじめました2
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「ザイン~、そっちはどう? 見つかりそう?」
「それらしき物は見つからないな、リフリー、俺はもう少し奥を探してみる。」
「わかったわ、私はもう少しここら辺りを探してみるわ。」
俺は屋敷の裏手に向かいながら、こんなことならロフトを連れてくればよかったなと、独り言を言っていた。
ロフトならば兄貴から噴水の仕掛けの事を何か聞いているかもしれないからだ、まぁ、どのみちムリな相談。
宰相のロフトが一般人の今の俺のゆう事など聞くはずなどないのだから。
俺は屋敷の裏手に行く途中でひとつの小屋に目が止まった、小屋の存在は領地に来た時に気がついていたが、余りにも頑丈な作りの為、いままで放置していた。
石造りの壁に、鉄枠で出来た分厚い木の扉、扉の鍵はかかっており、ちょっとやそっとでは壊れそうにない。
特に壊す必要もなかったので放置していたのだ、しかし、この頑丈さが逆に俺の注意を引いた。
精密な仕掛けを設置するにはこれだけ頑丈な建物が必要ではないか?
「リフリー、こっちに来てくれ~!」
「ザイン! 何かあったの~!」
リフリーは俺の声を頼りに屋敷の陰になっているこの小屋の前まで来ると、小屋を前に考えている俺に声をかけた。
「この小屋ね」
「リフリーも怪しいと思うか?」
「そりゃあね、いかにもって感じじゃない」
俺はリフリーに扉に鍵がかかっている事を告げると、リフリーはいきなり剣を抜き扉の前で構える。
「ちょと待て!リフリー」
リフリーの相変わらずの行動力の速さには恐れ入る。
「何で止めるの? ザイン?」
「開かないなら、壊せばいいじゃない?」
俺は今にも剣を振りそうなリフリーをなだめた、この扉を壊す程の威力の剣撃、扉どころか中の物まで壊しかねない。
「リフリー、とりあえず落ち着こう。」
不満顔のリフリーを落ち着かせると、俺は改めてこの扉を開ける方法についてリフリーに提案した。
その為にリフリーを呼んだのだ、まぁリフリーに開けさせる訳ではない。
リフリーのパーティー『森の護り手』の持っているスキルが必要なのだ、この『鍵開け』スキルは何もリフリーのパーティーだけが持っているスキルというわけではない。
冒険者パーティーだったらほとんどのパーティーの誰かが持っている、ごく一般的なスキルなのだ。
俺はリフリーに鍵開けスキルを持つパーティー仲間をここに呼んでくれるように頼んだ。
リフリーは快諾したが、今から直ぐに呼びに行ってもらっても丸5日はかかる、その間に俺にも出来ることがある筈だ。
まず、噴水が使えると仮定して、野菜を栽培する場所まで、どうやって水を移動させよう?
俺はすでに野菜を栽培する場所を決めている。
この国の東に位置する旧リズモンド領、広大な領地のほとんどを森が占めており、人が住めるエリアはごく一部、もともとモンスターや敵国から国を守るために与えられた領地だけに、普通の貴族の屋敷とは異なった作りをしている。
普通の貴族の屋敷ではあり得ない城壁が森と人が住むエリアの間に張り巡らせられているのだ、この城壁はモンスターの進入を防ぐのは勿論のこと、敵国が攻めて来た際の防衛線の役目もはたしており、敵がここで足止めをしている間に王都に知らせを送る仕組みなのだ。
今のリストマイア王国は隣国とはそれなりの外交が成り立っており攻めてくる国はないが、王都から遠く離れたこの地のモンスターの実現率は高く城壁が無かったら今頃とっくにモンスターの巣と化していただろう。
俺はその城壁を野菜作りに利用しようと考えている。
普通に地面を耕して野菜を作った方が楽なのはわかっているが、俺が城壁にこだわる理由は2つある。
ひとつ目は地面の問題、菜園跡を耕せばいいのだがこの菜園跡、よく見るとあちこちに動物の痕跡がある。
城壁のお陰でモンスターは侵入できないが小さな動物までは想定していない、よってこの数十年の間にすっかり動物の楽園と化してしまった。
いちいち退治していたのでは俺とリフリーでは無理がある、その点、城壁の上ならば動物の被害を最小限に出来るのではと考えたからだ。
理由の2つ目は単純、俺がプランター栽培をやってみたいから、異世界に転生する前の俺の現世での話しになるが、病弱だった俺は、ほとんど『土いじり』という事をしたことがない。
大自然の中での農業に憧れた事もあったが病室から見える花壇をプランターに見立ててのこじんまりとした野菜の栽培。
そんな程度が自分には合っていると叶わない夢を見ていた、それが今、叶えられる。
城壁の上で栽培する効率の悪さを押しても俺がプランターにこだわる理由がここに有る。
城壁の高さは約3メートル、幅は約2メートルと、そんなに大きな物ではないが、これだけの長さに城壁を作るとなると、相当な労力を要した事だろう。
高さは充分ではないが、幅は両脇に栽培スペースを取っても人が作業出来るだけの幅があり、両脇に土を盛り上げ崩れない様に板で覆う。
そしてパイプから水を流せはプランター栽培の完成だ、俺はリフリーを待つ間、コツコツと材料を城壁の上に運び上げた。
「それらしき物は見つからないな、リフリー、俺はもう少し奥を探してみる。」
「わかったわ、私はもう少しここら辺りを探してみるわ。」
俺は屋敷の裏手に向かいながら、こんなことならロフトを連れてくればよかったなと、独り言を言っていた。
ロフトならば兄貴から噴水の仕掛けの事を何か聞いているかもしれないからだ、まぁ、どのみちムリな相談。
宰相のロフトが一般人の今の俺のゆう事など聞くはずなどないのだから。
俺は屋敷の裏手に行く途中でひとつの小屋に目が止まった、小屋の存在は領地に来た時に気がついていたが、余りにも頑丈な作りの為、いままで放置していた。
石造りの壁に、鉄枠で出来た分厚い木の扉、扉の鍵はかかっており、ちょっとやそっとでは壊れそうにない。
特に壊す必要もなかったので放置していたのだ、しかし、この頑丈さが逆に俺の注意を引いた。
精密な仕掛けを設置するにはこれだけ頑丈な建物が必要ではないか?
「リフリー、こっちに来てくれ~!」
「ザイン! 何かあったの~!」
リフリーは俺の声を頼りに屋敷の陰になっているこの小屋の前まで来ると、小屋を前に考えている俺に声をかけた。
「この小屋ね」
「リフリーも怪しいと思うか?」
「そりゃあね、いかにもって感じじゃない」
俺はリフリーに扉に鍵がかかっている事を告げると、リフリーはいきなり剣を抜き扉の前で構える。
「ちょと待て!リフリー」
リフリーの相変わらずの行動力の速さには恐れ入る。
「何で止めるの? ザイン?」
「開かないなら、壊せばいいじゃない?」
俺は今にも剣を振りそうなリフリーをなだめた、この扉を壊す程の威力の剣撃、扉どころか中の物まで壊しかねない。
「リフリー、とりあえず落ち着こう。」
不満顔のリフリーを落ち着かせると、俺は改めてこの扉を開ける方法についてリフリーに提案した。
その為にリフリーを呼んだのだ、まぁリフリーに開けさせる訳ではない。
リフリーのパーティー『森の護り手』の持っているスキルが必要なのだ、この『鍵開け』スキルは何もリフリーのパーティーだけが持っているスキルというわけではない。
冒険者パーティーだったらほとんどのパーティーの誰かが持っている、ごく一般的なスキルなのだ。
俺はリフリーに鍵開けスキルを持つパーティー仲間をここに呼んでくれるように頼んだ。
リフリーは快諾したが、今から直ぐに呼びに行ってもらっても丸5日はかかる、その間に俺にも出来ることがある筈だ。
まず、噴水が使えると仮定して、野菜を栽培する場所まで、どうやって水を移動させよう?
俺はすでに野菜を栽培する場所を決めている。
この国の東に位置する旧リズモンド領、広大な領地のほとんどを森が占めており、人が住めるエリアはごく一部、もともとモンスターや敵国から国を守るために与えられた領地だけに、普通の貴族の屋敷とは異なった作りをしている。
普通の貴族の屋敷ではあり得ない城壁が森と人が住むエリアの間に張り巡らせられているのだ、この城壁はモンスターの進入を防ぐのは勿論のこと、敵国が攻めて来た際の防衛線の役目もはたしており、敵がここで足止めをしている間に王都に知らせを送る仕組みなのだ。
今のリストマイア王国は隣国とはそれなりの外交が成り立っており攻めてくる国はないが、王都から遠く離れたこの地のモンスターの実現率は高く城壁が無かったら今頃とっくにモンスターの巣と化していただろう。
俺はその城壁を野菜作りに利用しようと考えている。
普通に地面を耕して野菜を作った方が楽なのはわかっているが、俺が城壁にこだわる理由は2つある。
ひとつ目は地面の問題、菜園跡を耕せばいいのだがこの菜園跡、よく見るとあちこちに動物の痕跡がある。
城壁のお陰でモンスターは侵入できないが小さな動物までは想定していない、よってこの数十年の間にすっかり動物の楽園と化してしまった。
いちいち退治していたのでは俺とリフリーでは無理がある、その点、城壁の上ならば動物の被害を最小限に出来るのではと考えたからだ。
理由の2つ目は単純、俺がプランター栽培をやってみたいから、異世界に転生する前の俺の現世での話しになるが、病弱だった俺は、ほとんど『土いじり』という事をしたことがない。
大自然の中での農業に憧れた事もあったが病室から見える花壇をプランターに見立ててのこじんまりとした野菜の栽培。
そんな程度が自分には合っていると叶わない夢を見ていた、それが今、叶えられる。
城壁の上で栽培する効率の悪さを押しても俺がプランターにこだわる理由がここに有る。
城壁の高さは約3メートル、幅は約2メートルと、そんなに大きな物ではないが、これだけの長さに城壁を作るとなると、相当な労力を要した事だろう。
高さは充分ではないが、幅は両脇に栽培スペースを取っても人が作業出来るだけの幅があり、両脇に土を盛り上げ崩れない様に板で覆う。
そしてパイプから水を流せはプランター栽培の完成だ、俺はリフリーを待つ間、コツコツと材料を城壁の上に運び上げた。
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