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第 3話 救出作戦

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「ピーーーーーー!」

カン高い音を立てて俺はホイッスルを吹いた。

このホイッスルは冒険者がお互いの位置を把握する為に使用するもので、使い方次第では大まかな意思の疎通も出来る。

俺はリフリーの無事を願って、もう一度吹いた。

「ピュル・ルルル・ルル」

少しの間があり返信が来た!

「ピュル・ルルル・ルル」

気付いてくれた!リフリーは無事‼︎

1度目のホイッスルは相手の注意を引くものだが、2度目のホイッスルには意味がある。

意味することは『皆んなは無事か?』という内容、この吹き方はリフリーのパーティーで使うやり方だ。

冒険者でもない俺がなんで知っているかというと、リフリーにいやというほど教え込まれたためだ。

キャロが生まれる前、俺の両親と同居していた時に夜の営みの合図として遊びがてらに口笛を使って2人で練習した。

リフリーはもう冒険者としてパーティーを組んでおり、その時の経験が生かされた。

「ピュルル・ピュル・ピュピュ」

リフリーから合図が来た『魔獣・危険・技』、その魔獣は危険な技を持っているから気をつけてと、自分達が大変な時に相手を気遣っている。

俺は即座に返す!

『わかっている・魔獣はこちらでなんとかする・そこから出て来るな。』

そう、目の前の石化獣を倒して早くリフリー達を助け出そう。

ならば石化獣を遠巻きに囲んでいる男達に石化獣の攻略法をどういう風に伝えよう。

石化獣の甲皮は硬く剣や槍の攻撃を受け付けない、しかし、石化獣も生物である以上、関節などの可動部の甲皮に隙間がある。

その隙間を狙って攻撃を入れるのだが、手足の隙間はその下の分厚い筋肉と硬い骨に阻まれ攻撃が効かない。

ならば、どの部分かというと『首』!

首の部分は可動域が広く甲皮の隙間が出来やすい、しかも、甲皮の下は気道、剣が通れば致命傷になる。

まわりの男達にそれをどの様に伝えよう、言葉で言っても信用すまい。

自分達の命がかかっているのだからモンスターを倒した事もない俺の言葉など聞くわけがなく。

ましてやリフリーに養って貰っている身の俺の、どこで聞いたかわからない知識など聞くはずもない。

ならば我が身をもって示すのみ!

俺は石化獣の注意がまわりの男達にある内に石化獣の横に移動した。

そして一気に短剣を構えて石化獣の首筋めがけて突進する、動きの遅い俺の攻撃など当たる筈もないが。

案の定、石化獣は体を反転させてからの尾っぽによる攻撃で俺の体を吹き飛ばす。

しかし、これで良い、冒険者の内の誰か1人でも俺の攻撃の意図したことに気が付いてくれれば。

俺はワザと石化獣の尾っぽに近い位置から攻撃を仕掛け、石化獣が反転するよに仕向けた。

そうする事で石化獣の首が大きく反り返る様にする為だ、そこに短剣を持った俺が突っ込む。

これはヒントとしては大サービスだろう。

「首だ!首を狙え!」

やはりベテラン冒険者の1人が首の隙間に気がついた。

石化獣ではないが、沢山の魔獣を倒してきた経験が冒険者にはある。

だったら石化獣の攻略法にもいずれは気づく筈だが、この場は時間が惜しい。

俺が吹っ飛ばされたことで一刻も早く気付いてくれればそれでいい。

ベテラン冒険者は手の合図で仲間数名をガスに気をつけつつ石化獣のまわりに配置させた。

そしてベテラン冒険者の合図で一斉に足の関節の隙間を狙って攻撃を仕掛けた。

もちろんこの攻撃は効かない、陽動が目的だからそれでいい、石化獣の動きを止めるか注意を引きさえすればいい。

案の定、石化獣は足への攻撃を嫌って激しく首を振ってガス攻撃の体制に入る。

よし!今だ!ベテラン冒険者は槍を構えて一直線に首筋めがけて突進する。

ベテラン冒険者の槍の先端は石化獣の甲皮に弾かれつつも見事に石化獣の首深く刺さった。

俺はゆっくり立ち上がるとヨロヨロとおぼつかない足取りで石化獣まで近づき動かなくなったのを確かめて手に持った短剣で石化獣に傷を付けた。

まわりの男達は俺が何をしているのか?と呆気に取られているが、俺は構わず石化獣から流れる体液を水飲み用のカップで受けた。

俺はカップを持ったまま石化した男の側に移動すると、カップに入った体液を手で丁寧に石化した男に塗る。

この石化はガスにより起こされたものだが感染もする、しかも接触感染による感染率は高い。

皆が止めるのも聞かず、俺は今後の事も考えてあえて手で体液を塗る行動にでた。

案の定、体液を塗った箇所から、みるみる症状は改善していく、この男も後数時間すれば動けるようになるだろう。

俺が何故、この男を優先したかと言うとリフリーから『皆、大丈夫』と言う返信があったからだ。

上位冒険者のリフリーは例え追い詰められた状況でも冷静な判断ができる女性で、もし、洞窟に一緒に避難しているパーティーの誰かが怪我ないし石化をしていれば、その状況を伝えて来る筈だ。

それが大丈夫と伝えてきた、ならば俺は目の前の男を助ける。

おそらくリフリーもそうするだろう、もう石化獣はいない、あとはリフリーを助けるだけ、俺は足を引きずりつつ洞窟に向かった。




















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