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すずちゃんのJK生活
9話
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「イエロー、3時の方向に敵が三体。ピンクは7時の方向の敵六体を頼む。ブラックは 10時の方向の七体を一緒に行こう」
相変わらずやってくるケサランバサランは私たちを全国各地に転移しては地の利が無いから先輩の『索敵』を使って場を把握しながら奴らを倒していく。
「リーダー、壊しちゃ不味いものとか近くにある?」
「イエローよ、僕はリーダーじゃなくレッドだ。あとは8時の方向にある高い塔と2時の方向にある寺は壊すと怖いので注意してくれ。」
高校生活が始まって早3ヶ月、気がつけば放課後にこうしてケサランバサランを倒す日常に私は慣れてしまっていた。
「今日の敵はこれで最後みたいだね、それじゃあ教室に帰ろうか」
………毎度先輩の『転移』で気分が悪くなるのは変わらないけど
「さて、夏休みまで残り2週間となったわけだけどそろそろ9月頭にある文化祭に向けて一人一作品のノルマは進んでるかい?」
部室に戻った私たちに先輩が笑顔で語る内容に単純な暑さとは違う要因で汗が吹き出す。覚えてはいる、覚えていはいたはずなのだがレベルの上がった学習と週に1・2回ほど外を駆け回る生活での疲れを盾に現実逃避をしていたというか…
絶対に一作品なのかと苦し紛れにそんな質問をするが最低一作品なだけで十作品くらいまでならなんとかなると思うよなんて逆の意味で捉えられてしまう。私は完全に逃げ場を失ってしまったのだ。
作品…作品か、部活の成果として制作する本に載せるものと言っても日々の戦闘を緩く四コマ漫画にする位しか思いつくネタがない。
「すずちゃん、書くものは決まった?」
隣の椅子でくるくると回っている楓ちゃんに尋ねればしなやかな筋肉を短期間で付ける為のトレーニングと食事などを纏めた論文を掲載する予定なのだと言う。聞く前から教えてくれた都斗は先輩と厳選した楓ちゃんのイラスト10枚を載せるのだとか…。友凜ちゃんは家でも簡単に作れる和菓子のレシピに四季を読んだ俳句をいくつか載せるらしい。他にも黒酒さんは先輩は青春ものの短編で先輩は身近な素材を使って行った実験のレポートと妹に当てた曲を載せるのだとか
文芸部だからと身構えていたのに思っていたよりも緩かったらしい。
それならばいっそ私の変な日常を四コマ漫画にして載せてしまおうか…
「それならタイトルはすずちゃんのJK生活だね」
どうやら私の妄想は口に出してしまっていたらしい。笑顔で命名してくれる先輩を前に冗談なのだと言い出せなくなってしまった私は計14枚のA4紙に四コマ漫画を書くことになったのである。
相変わらずやってくるケサランバサランは私たちを全国各地に転移しては地の利が無いから先輩の『索敵』を使って場を把握しながら奴らを倒していく。
「リーダー、壊しちゃ不味いものとか近くにある?」
「イエローよ、僕はリーダーじゃなくレッドだ。あとは8時の方向にある高い塔と2時の方向にある寺は壊すと怖いので注意してくれ。」
高校生活が始まって早3ヶ月、気がつけば放課後にこうしてケサランバサランを倒す日常に私は慣れてしまっていた。
「今日の敵はこれで最後みたいだね、それじゃあ教室に帰ろうか」
………毎度先輩の『転移』で気分が悪くなるのは変わらないけど
「さて、夏休みまで残り2週間となったわけだけどそろそろ9月頭にある文化祭に向けて一人一作品のノルマは進んでるかい?」
部室に戻った私たちに先輩が笑顔で語る内容に単純な暑さとは違う要因で汗が吹き出す。覚えてはいる、覚えていはいたはずなのだがレベルの上がった学習と週に1・2回ほど外を駆け回る生活での疲れを盾に現実逃避をしていたというか…
絶対に一作品なのかと苦し紛れにそんな質問をするが最低一作品なだけで十作品くらいまでならなんとかなると思うよなんて逆の意味で捉えられてしまう。私は完全に逃げ場を失ってしまったのだ。
作品…作品か、部活の成果として制作する本に載せるものと言っても日々の戦闘を緩く四コマ漫画にする位しか思いつくネタがない。
「すずちゃん、書くものは決まった?」
隣の椅子でくるくると回っている楓ちゃんに尋ねればしなやかな筋肉を短期間で付ける為のトレーニングと食事などを纏めた論文を掲載する予定なのだと言う。聞く前から教えてくれた都斗は先輩と厳選した楓ちゃんのイラスト10枚を載せるのだとか…。友凜ちゃんは家でも簡単に作れる和菓子のレシピに四季を読んだ俳句をいくつか載せるらしい。他にも黒酒さんは先輩は青春ものの短編で先輩は身近な素材を使って行った実験のレポートと妹に当てた曲を載せるのだとか
文芸部だからと身構えていたのに思っていたよりも緩かったらしい。
それならばいっそ私の変な日常を四コマ漫画にして載せてしまおうか…
「それならタイトルはすずちゃんのJK生活だね」
どうやら私の妄想は口に出してしまっていたらしい。笑顔で命名してくれる先輩を前に冗談なのだと言い出せなくなってしまった私は計14枚のA4紙に四コマ漫画を書くことになったのである。
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